「明日の吉野川と市民参加のあり方を考える懇談会 -第十堰から始める新しい川づくり-」第 9 回 懇 談 会 資 料
 議事資料:第十堰をめぐる動き(年表)/懇談会設置をめぐる経緯など

■第十堰をめぐる動き(年表)

1965.4 吉野川1級河川指定。第十堰、柿原堰直轄管理。
1982.3 :工事実施基本計画を改訂、計画規模を1/80から1/150に変更。既設固定堰改築の必要性明記。
*基本高水:17.500m3/sから24.000m3/sに
*計画高水:15.000m3/sから19.000m3/sに
*第十堰上流付近の現況流下能力:17.300m3/s
1983.7 :徳島県議会、第十堰改築を決議
1984.4 :建設省、予備調査に着手
1988.4 :建設省、実施計画調査に着手
1991.4 :第十堰建設事業採択(特定多目的ダム建設事業)
1992.3 :建設省、13km地点道路橋合併案決定
1992.9 :建設省、第十堰環境調査委員会設置
1993.9 :吉野川シンポジウム実行委員会結成
1995.7 :ダム・堰にみんなの意見を反映させる県民の会結成
1995.9 :吉野川第十堰建設事業審議委員会設置
1995.10 :第1回審議委員会(非公開、第3回目から公開)
1997.7 :事業目的から利水を外す
1998.7 :審議委員会、「可動堰妥当」と結審
*審議14回、公聴会3回、技術評価報告会2回
1998.11 :徳島市と藍住町で住民投票を求める直接請求署名開始
1999.1 :直接請求有効署名数確定
徳島市:101.535(有権者の48.8%)
藍住町:9.663(有権者の43.6%)
1999.2 :徳島市議会、藍住町議会、住民投票条例案を否決
1999.5 :建設省、起伏式、ゴム式可動堰案提案。
環境アセスメント手続き先送りを表明。
1999.6 :徳島市議会、住民投票条例可決
建設省、「市民参加のあり方に関する懇談会(案)」提案
*建設省・徳島県各1、推進・反対代表各3、公募市民4
1999.8 :建設推進33団体、「第十堰・署名の会」結成
1999.11 :建設省、一般公募による「懇談会」設置表明
1999.12 :「第十堰・署名の会」署名数推計31万6.003人
2000.1 :徳島市住民投票。投票率55%(113.996人)で成立。
計画に反対102.759票、賛成9.367票
徳島市長、計画に反対表明
2000.2 :住民投票の会、中山建設大臣に「計画白紙撤回」申し入れ
一般公募による「吉野川懇談会」初会合
2000.3 :中山建設大臣、「現堰補修、堤防強化含め市民の代替案も議論対象とする」と表明
2000.7 :自民党、「公共事業抜本見直し検討会」設置
2000.8 :与党、「現在の可動堰計画を白紙に戻し、新たな計画を策定する」よう政府に勧告
2000.9 :徳島市議会、可動堰促進意見書撤回

■懇談会設置をめぐる経緯
99年6月:建設省、「市民参加のあり方に関する懇談会」設置を提案
(建設省・徳島県各1、推進・反対代表各3、一般公募市民4)
★可動堰疑問団体の意見
  • 住民投票は地方自治における重要な意思決定手続きであることを認め、懇談会とは両立するものでであることを認めること。
  • 計画を白紙にしないで話をしても無意味。可動堰計画を一旦棚上げすること。
  • 事業化に関わる予算を要求しないなど、可動堰事業化の保留を表明すること。
  • 懇談会は、事業目的の合理性の有無、第十堰改修の有無・程度なども検討対象とし、その検討結果によっては既存計画を見直すことを保証すること。
  • 住民が公正に判断する環境を整えるために、事業推進の一方的な広報は抑制し、反対意見等にも広報の機会を保証すること。
★可動堰推進団体の意見
  • 住民投票にとらわれるべきでない。
  • 審議委員会答申、県・市町村決議を尊重すること。
  • 計画の棚上げを前提としないこと。
  • 事業化に向けた手続きをすすめること。
★建設省の回答
  • 住民投票制度そのものを否定するわけではないが、住民投票は感情的なしこりや対立が残る。まず対話を先行させるべき。
  • 審議委員会の結論を尊重したい。河川管理者が河川整備について理念を持つことは当然であり、また対話とは様々な考えを持つものが議論するものであり、計画を「棚上げ」する意義を感じない。
  • 河川管理者の責務として、第十堰を可動堰に改築することは妥当と考えており、そのための予算要求は当然。
  • 懇談会は対話の条件づくりをテーマとするもので、対話の場が実現した場合は、広範な事項について柔軟に検討対象としたい。
  • 対話の場での合意が尊重されることは当然。
  • 必要な広報をする考えに変わりがないが、対話の場が実現した場合は、その内容が広報の中心になると考えている。

吉野川懇談会への批判のもとは、ひとつにはこうした住民投票をめぐるいきさつがある。住民投票に対抗する形での「対話」や懇談会設置ではないかという批判があった。

この時点では、建設省は、審議委員会の答申の尊重、可動堰計画を推進という姿勢を崩していない。その上での対話の呼びかけ。

疑問団体と推進団体の見解は正反対。
●99年11月:建設省、団体抜きの一般公募に踏み切る。対話の受け皿をつくっておきたい。
 *「見切り発車」という批判のもとになっている。
■住民投票実施後の動き
可動堰疑問団体の意見
  • 住民投票の結果を尊重し、可動堰計画は白紙撤回すべき。
  • 建設省の結論が可動堰しかない状態では対話は成立しえない。話し合いのためには、計画白紙化が不可欠。
  • 住民投票の結果を建設省がどう受け止めるか期待したが、何の動きも見せない。建設省の考えは変わっていない。
  • 懇談会の中間提言は、住民投票への言及がない。懇談会は、独立、中立を確保しているとはいえず、正当性に問題がある。
★建設省の見解
  • 可動堰妥当との考えは変わらないが、技術的に可能ならば可動堰にこだわらない。ゼロから話し合う。
  • 大平所長「住民投票の結果は、流域の1意見として理解。流域の多種な意見を最大限に採りれる。」竹村局長「可動化計画が住民の理解を得られているとは思っていない」
  • 13km地点での可動堰計画は一旦おく。この計画を説明する行為はやめる。予算は、対話、合意形成のために使う。

住民投票の結果をどう受け止めるかが大きな争点。懇談会の中間提言への批判にもつながっている。

建設省は、現計画にこだわらない、ゼロからの議論、PRをやめるなど柔軟な姿勢を示す。ただし、可動堰妥当との考えは変わらない。
■与党勧告後の動き
可動堰疑問団体の意見
  • 可動堰に代わるよりよい案を考えるために元に戻すのであって、可動堰もありというのはこじつけ。建設省が再び可動堰を持ち出すことは明らか。建設省が可動堰計画中止を明言することで自由な話し合いの場ができる。
  • 懇談会は、可動堰事業化の最後のよりどころとなっている。
★その他の団体の動き
  • 徳島商工会議所:推進決議を原点に戻し、住民合意を得た代替案を検討していく
  • 期成同盟会:可動堰含む代替案検討。様々な団体から意見を聞き、見解をまとめる方針
  • アセスの会:「あるべき第十堰検討会」を提案
  • 佐野塚・第十堰を考える会:「現堰切り下げ案」を提案
  • 活性化図る会:「中立の第三者による仲介」を提言
★建設省の見解
  • 現計画(13km道路橋合併案)はすでになくなっている。今後の話し合いで建設省から現計画を持ち出すことはしない。
  • 白紙とは、予見を持たずにゼロから話すこと。改築の必要性、現堰を残す価値など含めて議論すればよい。
*依然として隔たりはあるが、新たな動きもでてきている。