議事1:問題解決への道筋


 第1回アンケート、第2回アンケート、第2回懇談会グループ討議でのみなさんから出された意見から、これまでの問題点や解決の道筋を整理すると、以下のようになるのではないかと思います。

■これまでに不足していたこと
1. 計画をつくる各段階での市民参加
建設省は反対派の意見に対してコメントを出すだけ、合意点を出すまで話していないなど、行政が計画をつくる各段階で市民が参加できる仕組みや、そこで出た意見を反映させる仕組みが不足していたといえるのでは?。
2. 意見や立場が異なる市民(団体)間の話し合い
賛成、反対がとことんはなしていない、市民と市民との話し合いにしないといけないといった意見があるように、建設省と市民(団体)との関係だけでなく、意見や立場の異なる市民(団体)間の話し合いや流域全体での話し合いも不足していたといえるのでは?。
3. 治水と環境、歴史、文化、空間の価値といった多様な価値観の論議
可動堰は環境破壊につながるとか、歴史、文化遺産を残しながらこれからの河川管理に生かすべきだといった意見があるように、多様な価値観があります。そうした市民の多様な価値観を把握して計画に反映させるという取り組みが不足していたといえるのでは?。
生命と財産を守るという大原則、これは共通認識のはず。一方で、現堰が本当に危険なのか、真の安全とは何かといった意見があるように、吉野川全体の治水上の課題や安全方策に関する共通認識をつくるという取り組みが不足していたといえるのでは?。
こうした治水と環境など多様な価値観を総合した論議が不足していたのでは?
4. 多様な選択肢
日本中の工学者(場合によったは海外も)に検討してもらうとか、多数の案件を作成しとか、堰の型などを一般公募したらどうかとかいった意見があるように、これまで選択肢が不足していた(可動堰の是非だけ)といえるのでは?。

■みんなでいい解決をするために
1. 第十堰に関する団体が共通のテーブルで話し合うことが必要
反対団体が入った懇談会でないと一歩も前進しない、賛成・反対・中立・行政の話し合いの場(円卓会議)が必要といった意見があるように、まずは意見の異なる団体が入った話し合いの場を設けることが、合意形成に向けた最初のステップになるのでは?。
2. 流域全体の市民が参加できる仕組みが必要
徳島市だけでなくほかの町村の住民の意見や危険と隣り合わせで居住している人の意見、市町村にも話を聞くべきといった意見があるように、団体間、あるいは団体と行政の話し合いだけではなく、流域全体の話し合いや合意形成のための仕組みが必要といえるのでは?。
3. 治水と環境・空間価値(風景、体験)を融合させる新しい智恵を出す
生命と財産を守ることが大原則、真の安全とは何かといった意見があり、また250年の歴史・文化遺産を残しながら河川管理をすべき、あるいは、可動堰は環境破壊につながるから反対だが洪水対策も大事、どうしたら両立させられるかといった意見があるように、多様な価値観を融合する新たな市民の知恵を生み出す必要があるといえるのでは?。
4. 多様な選択肢を用意してみんなで考える
みなさんのアンケートの中にも可動堰に賛成、反対という意見があります。これは、みなさん方だけのことだけではなくて流域全体の状況を表しています。でも、一方で、左の欄に書いたように、日本中の工学者(場合によったは海外も)に検討してもらったらどうかとか、多数の案件を作成して選択したらどうか、堰の型などを一般公募したらどうかとかいった意見があるように、もっと多様な案を用意しみんなで考えることが必要だといえるのでは?

■ 対話が実現するためのいくつかのハードル

●どうしたら共通のテーブルにつくことができるのだろう?
なぜテーブルにつかないのか/どういうテーマだったらつけるのか(共通点はないのか)/どういう構成だったらつけるのか/どういう条件だったらつけるのか/どういうよびかけをしたらいいか
●どうしたらこの懇談会が様々な団体や市民の方に認めてもらえるのだろう?
この懇談会が市民の目ににどう映っているの?/中立の立場とは?/どのような行動をすればいいの?/各団体などに出かけていくとしたらどのような準備や留意すべき点があるのか