吉野川流域一斉水質調査(秋期調査)の中間発表について

 吉野川流域一斉水質調査は10月29日(日)は、建設省徳島工事事務所、吉野川ダム統合管理事務所、四国山地砂防事務所の呼びかけに応募いただいた一般市民の方々の参加により、実施しました。 この度、流域内の各地の河川や水路などで調査結果を中間報告としてとりまとめましたのでお知らせします。

 今回の調査は、今年7月の調査に引き続き、2回目です。調査地点は4県40市町村にまたがるのべ642地点(支川や水路なども含む)、参加者総数約295名でした。とくに今回は、前回には台風の影響もあって調査の少なかった上流域で数多くの参加をいただけたことで、今後のデータの蓄積等につながる部分も多いと考えております。 調査された方々からは、「いろんな生き物がいるのも知れて、楽しかった」、「子供のころ夏休みには毎日川で遊んだことを思い出した」「きれいな水だと思っていたけど汚染が多いことがわかってちょっといやだった」等、様々なご意見をいただきました。

  来年以降も引き続き調査を実施していきたいと考えておりますので、できるだけ多くの方々に参加していただければ幸いです。


平成12年12月14日
建設省 徳島工事事務所 河川環境課

(問い合わせ先)
建 設 省 徳 島 工 事 事 務 所
河川環境課 森本 輝(Tel.088-654-2211 内線361)



(参考)

調 査 結 果 概 要

 調査日当日は、一部の地域で、前線に伴う前日からの雨がのこるなど、くもりのあいにくの天気となりました。10月の降雨量が平年よりも多かったこともあり、各河川ともこの時期としては流量が若干多かったようです。ただ、濁りがあったと報告された地点はあまりありませんでした。

 新町川流域や旧吉野川支川など、吉野川流域の下流の低平地を流れる河川では、報告されたCODの値が夏調査よりも幾分小さくなりました。 しかし、田宮川や飯尾川、神宮入江川などでは、前回の調査同様、CODが8mg/l以上の地点がかなり報告され、引き続き汚れた状態だったと言えます。 ほたる川など、CODが6mg/l以上の地点が多く数えられた河川もありますが、吉野川中上流やその支川ではCODが0〜2mg/lと非常にきれいだったと言えます。

 生き物に着目してみると、汽水域ではボラやカニ類が、中流(池田より下流)ではウグイが、そして上流ではアマゴ、タカハヤ、沢ガニなどの渓流性の生物が報告され、場所の違いによって魚などの生物が住み分けている様子がよく分かります。 また、下流の支川等の流れのゆるい場所ではホテイアオイの繁殖が、中流では川底の石に茶色の藻(珪藻)が報告され、上流では木の葉や植物の枯れたものなどしか見られなかった、との報告がありました。

 浮遊物やゴミについては、下流ほどビニールなどの人間生活に由来するゴミが見られたと報告された地点が多く、場所によっては自転車などの投棄も見られたとの報告もありました。

 今回の調査では、夏調査よりも水質が改善されたところが多くありましたが、それでも人間生活の影響が大きい河川では、非常に汚れた状態であったと言えます。 水質を抜本的に改善するためには、下水道などの整備が必要ですが、整備が完了するにも長期間が必要です。川を美しくするためには、「油は流さない」、「残飯や野菜クズなどを流さない」などのちょっとした努力を積み重ねていくことが必要と考えられます。