こころの「自然」がよみがえるプロムナード

 

緑の久万山から、
波おだやかな
瀬戸内海へ

ここで紹介する四国のみちは、愛媛県上浮穴郡久万高原町(旧久万町・
久万町役場)から、 今治市・蛇越池までの約130km。

歩きながら森林浴が楽しめる「山を呼吸する」ルートを基調に、
郷愁の里道ルート、文学散歩にショッピングと楽しみ多い市街地ルート、
そして内海ならではの波おだやかな海岸線を行く「海を呼吸する」ルート
などが表情豊かに続きます。
いずれも、ここだけの歴史と自然を満喫できる「瀬戸風のみち」です。


愛媛県/久万高原町(旧久万町・久万町役場)〜今治市・蛇越池/約130km

山里の冬支度がのぞく、朝霧の道。
久万町役場〜峠御堂
久万町役場から大宝寺までは、なだらかな舗装路。まずは、旧街道の面影を
残すしょうゆ屋・へんろ宿などが並ぶ商家街を抜け、久万川を渡る。ここからは
山里の暮らしまのあたり。アズキ干しのムシロ・軒のトウキビ等、誰もがふっと
子どもに帰る、 懐かしい景色が一杯の里道である。山頭火も訪れた大宝寺か
ら峠御堂までは、 木漏れ陽の山越え道。途中から泥まじりの急坂となり息も切
れるが、サワガニや緑の濃淡を楽しみながら、休み休み行けば不慣れな足で
も大丈夫。

ススキ・野花がゆれる、
風光る高原ロード。
峠御堂〜岩屋寺〜八丁坂休憩所
峠御堂から八丁坂休憩所を経て、国民宿舎までの大半は、四季を満喫しなが
ら皆で歩けるファミリーロード。中でもほっとするのはへんろ宿もある石積みの
河合 集落の佇まい。その先の、春夏秋の野花(タンポポ・ツユクサ・コスモスな
ど)が 一時に咲いている堤道。そしてその奥の、国指定名勝、古岩屋の敷石
道。清流沿 いのここは、新緑よし、紅葉よし。アユ・カジカ・ムカシトンボ・野鳥・
野花もいっぱいの、森林浴の道である。国民宿舎から沢沿いの道をたどれば、
奇岩絶壁 の岩屋寺。大杉の参道を上るだけでもゼーハーとなるが、この山寺
の先はさらに 心臓破りの尾根ルート。どちらかといえば健脚の人向きの道である。

網掛石
かって弘法大師が峠から運んだと
いう伝説の巨岩。
旧へんろ宿脇にデンと佇む。
八丁坂休憩所〜三坂峠〜桜橋
東明神から三坂峠への登りは、歩きやすい舗装路。峠てっぺんは視界
180度。 吹き渡る風の中、松山平野も一望とあって、地元ドライバーも、
続々とやってくる。三坂からの下りは、峠越えの妙味満々。腰くだけにな
りそうなつづら折りの野花道を、土と小石を踏み、少し汗ばみながらゆく。
それでも旧土佐街道の頃のここはもっと難路だったはずと、先人の労に
感謝しながら眼下に広がる松山平野へ。峠ふもとからは陽光のもと、み
かん畑や稲木が広がる丘陵地。人里の暮らしがクローズアップで見え
る、ゆるい下りが続く。

新興住宅の間にぽつんと残る、
土塀の家。
桜橋〜重信川
榎から浄瑠璃寺までは、お年寄りにも楽な、ゆるい下りの舗装路。あちこ
ちにコスモスの家・ハギの家が佇む、田園から町へと変わる道である。
御坂川沿いは弘法伝説の網掛石・へんろ宿・馬頭観音と、馬子唄の昔
が残る。さぞ難関だったろうこの山間をここまで拓いた先人の労をしのび
ながら、もうひとつの網掛石と仏足石のある浄瑠璃寺へ。浄瑠璃寺から
八坂寺までは土の匂いと草いきれのまん中をいく細いあぜ道。八坂寺か
らは町らしい家並みも増える舗装路。その先には足立重信の治水の道、
重信川が横たわる。

田んぼを抜ける道、その先はキウィ畑。
重信川〜松山郊外
ここは名水に始まる、三つの札所をめぐる道。子どもたちにもお年寄りにも
歩きやすい、松山郊外の新興住宅街を抜けていく道である。 久谷大橋か
ら県道松山東部環状線をたどり、名水(もらい水に来る人もいる)とていれ
ぎ(清流に自生する妙味の香草)の西林寺へ。旧国道11号を横切って、
念仏の空也上人ゆかりの浄土寺へ。ここは目抜き仁王(ギャンブルの守
護神)もいる。その先の繁多寺は、ちょっとセクシーな歓喜天をまつる寺
である。

にぎわう石手寺参道脇の、静かな茶屋。
甘酒・焼き餅などで一服。
松山市街
石手川から山越へ。ここは右も左も観光名所、いで湯と城と文学の町を
抜ける道。名所をつなぐ道の表情もとりどりで、家族で歩けば楽しみもひ
としおである。民間遍路のルーツ・衛門三郎と大師の像が向かい合う石
手寺から道後公園を経て、ちょっと渋い木造の温泉本館へ。この先はみ
やげ物が並ぶ商店街のカラー 舗装路。そしてコイ遊ぶ川もある、幾何学
模様の「にぎたつの道」。ともに土地の人の街づくりへの想いが見える、
美しい道である。温泉街から住宅街・大学街を抜け、御幸寺山麓を北上
すれば、昔ながらの静かな寺街となる。

太山寺(第52番札所)
緑の急坂のちょっと長い参道をた
どる山寺。
国宝の本堂・地獄極楽絵・子規句
碑等が、目をひく。
松山市街〜松山郊外
ここはツユクサ堤・みかん畑を抜けて、緑の山野に至る道。吉藤までは国
道196号沿いの自転車・歩行者専用道をたどる。そこから太山寺までは
景色とりどりの道になる。まずは水色が目に沁みるツユクサ堤、七面鳥
もいるみかん畑や稲田を抜ける道、市内には珍しい古い民家が並ぶ道、
丘上の池を上るジャリ道。そして、白壁の家並みも美しい、小川沿いの
太山寺参道となる。その先、仁王門から本道までは山気しんしんの登り
となるが、ゆっくり歩けば息も上がらない。その足下の稲田を抜ければ円
明寺。キリシタン石碑の寺である。
松山郊外〜粟井川
ここは松山から北条へ国道196号をたどる道。円明寺から程なく、 国道
196号にはいる。新旧が程良く調和した堀江の街並みを左右に歩く。なだ
らかながら延々と続く舗装路はやはり少々足にくる。潮の香りが漂ってく
ると左にぱっと広がる斎灘。ここから粟井坂までは右に山、左に海のマリ
ンロードが続く。粟井坂の先は右手に新旧の家並みと稲田がのぞく北条
路。このあたりはかって大松と白砂が続く松街道であったが、松枯れの
今その景観を偲ぶのは難しい。

昔ながらの、木造の家。
粟井川〜北条港
ここは国道196号旧道をいく潮風散歩道。平坦な舗装路続きながら、この
ルートには文人たちの足跡がいっぱい。文学ファミリーには特に魅力の
道である。ヨットと漁船が隣り合う柳原港周辺には、中江藤樹・立志の
碑。その先西ノ下には虚子の胸像と句碑。点在する寺には地元俳人た
ちの墓碑句や芭蕉塚がひしめく。またルート左手の鹿島、右手の腰折山
麓からの一茶の道も、寄り道ながら文学心をそそる道である。

山と海の間をひたひた、カモメを
横目にあるく道。
北条港〜砥鹿山隧道
延々と国道196号をたどるこの道は、車に用心しながらオゾン満々。皆で
歩けるファミリーロード。和風サウナ・石風呂後の先は再び斎灘が広が
る。寄せる波、沖の島影、行き交う船、赤灯台、ギャーッと飛び交うカモメ
たち。ここからは海を呼吸する道である。また夏はマリンスポーツ一色の
道となる。近くの青少年スポーツセンターはじめ、海沿いのマリン基地か
ら集まる人との出会いとか、ちょっと岩場に降りて波と遊ぶ、釣り人の手
並みやカモメの餌付けを見物する、といったこともこの道ならではのほっ
とする小休止である。

右に左に点在する瓦団地。
鬼瓦づくりの名人・鬼師もいる、
ここは伝統の瓦の街。
砥鹿山隧道〜種
見えかくれする海を左手に国道196号をたどる道。田之尻のトンネルを抜
けると、まず鰻処が目を引く。海と瓦の街・菊間町。遍照院の鬼瓦から民
家のとっくり瓦まで、あちこちに美しい銀の陽だまりが並ぶ。中でもおもし
ろいのは鬼瓦資料館。奥の工房も見学できるここで、瓦のにわか通にな
ってみたいもの。その先の菊間川と種川、二つの河口の静かな佇まいも
心に残る。

しっくい壁と瓦屋根の家並みが残る、
旧宿場筋・新町あたり。
種〜新町
ここは少しずつ海を離れて国道196号から旧道をたどる道。誰にも歩きや
すい舗装路が続く。新田までは国道196号、その先は旧道となる。穂波
の田園、緑におおわれた白い木造の旧小学校、そして天水瓶の旧庄屋
邸もある新町の旧宿場筋などが心に残る。紺原から今治バイパスまで
は、再び国道196号の道。田園のまん中を抜けていく。

今治バイパス
野間馬の郷や阿方貝塚の間を抜ける、
緑風の道。
新町〜今治市街
ここはバイパスから今治へ、三つの札所をめぐる道。緩い上り坂と平坦な
舗装路続きで、歩きやすいが市街では道もせばまり車も増えるのでご用
心。野間馬の里から今治街までは道幅も広い緑のバイパス。その北、延
命寺は鳥獣ゾロゾロの牧歌ゾーン。市街に入り、立て込む住宅街をつき
きる。鳩がひしめく南光坊をUターンしたあと、日吉町のスクールゾーンを
抜けて再び田園へ。やがて穂波の向こうに泰山寺の白壁が見えてくる。

「いいなあ」の家並みが続く、
仙遊寺ふもと近くの昼なお静かな道。
今治市街〜頓田川
今治市から玉川町へ、この道は仙人伝説の山寺をとりまくアップダウンロ
ード。仙遊寺ふもとまでは誰にも歩きやすい舗装路。まずは蒼社川から
田園を抜け、栄福寺へ。ここは鐘つき堂から見晴らす風景もやさしい、ち
ょっと山手の小さな寺である。仙人ゆかりの仙遊寺へは新参道を上る。
急坂を虫や野花を道連れにゆっくりたどれば やがて眼下に今治平野。疲
れも吹き飛ぶ眺望である。帰りは旧参道の石段から、草と土の山下り。
ここはつんのめりそうになる急坂も多いが、家族で歩くのもおもしろい。そ
のふもとからは再び平坦な舗装路。白壁にハギゆれる石積みの家・荒
壁や庄屋門の家もある美しい道が続く。
頓田川〜蛇越池休憩所
ここは山から海、海から山へ自然の懐をめぐる道。その大半は歩きやす
い舗装路である。国分寺からの唐子山越えは緑のふもとをたどる緩やか
な下り道。唐子浜から国道196号をたどり、浜桜井の生活道を経て桜井
漁港へ。その先沖浦までは左に海の潮騒道。昔ながらの漁師町の家並
み、延々と続く綱敷天満宮と志島ヶ原が心に残る。桜井スポーツランドの
先は再び海目の当たり。桜井岩風呂から蛇越池までは、少し息あがる
山越え道。緑や鳥の歌を励みに休み休み歩きたい。

このコース上にあるお四国さん
第44番札所 大宝寺 第45番札所 岩屋寺 第46番札所 浄瑠璃寺 第47番札所 八坂寺
第48番札所 西林寺 第49番札所 浄土寺 第50番札所 繁多寺 第51番札所 石手寺
第52番札所 太山寺 第53番札所 円明寺 第54番札所 延命寺 第55番札所 南光坊
第56番札所 泰山寺 第57番札所 栄福寺 第58番札所 仙遊寺 第59番札所 国分寺

お問い合わせ先
国土交通省四国地方整備局 地域道路課
〒760-8554 高松市サンポート3番33号 高松サンポート合同庁舎
Tel: 087-811-8323