私たちの肱川

(わたし)たちの生活(せいかつ)密接(みっせつ)(かか)わっている肱川(ひじかわ)台風(たいふう)梅雨前線(ばいうぜんせん)発達(はったつ)によってもたらされた大雨(おおあめ)による洪水 (こうずい)は、(いま)までたびたびおこり、(わたし)たちの生活(せいかつ)をおびやかしてきました。

そんな肱川 (ひじかわ)について、洪水(こうずい)()()かってきた歴史(れきし)治水 (ちすい)について勉強(べんきょう)してみましょう。 

また、わたしたち、大洲河川国道事務所(おおずかせんこくどうじむしょ)肱川(ひじかわ)洪水対策(こうずいたいさく)()()みを()ることで、みなさん、ひとりひとりが、災害(さいがい)(ふせ)ごうという気持(きも)ちをもってもらい、いつも 安心(あんしん)して()らせる環境作(かんきょうづく)りをいっしょに(かんが)えていきましょう。 

肱川の名前の由来川イラスト
肱川(ひじかわ)という名前(なまえ)がついたのかという(せつ)には、いくつかあります。
川の流れが、人の(ひじ)のように()がりくねっているので、肱川(ひじかわ)という名前がついたとか、川のまわりに湿地(しっち)が多く、泥地(でいち)湿地(しっち)意味(いみ)する「ヒジ」ということから肱川(ひじかわ)とつけた(せつ)もあります。そしてもうひとつ、伝説(でんせつ)も残っています。(むかし)宇都宮氏(うつのみやし)というお殿様(とのさま)が、大洲 (おおず)(しろ)(きず)いたとき、下手(しもて)の石がきが何回積(なんかいつ)んでも(くず)れるため、「これは神のタタリだろう。」と(だれ)かが言い(はじ)めると、みんなが、そうだと思いこんでしまいました。(むかし)は、このようなとき、人柱(ひとばしら)をたてて神様(かみさま)のいかりをしずめるしか方法(ほうほう)がないと(しん)じられていました。人柱(ひとばしら)とは、生きたまま、神様(かみさま)のささげものになり、土の中にうめられてしまうのです。(みずか)らすすんで人柱(ひとばしら)になる人はいません。そこで、くじ()きとなったのですが、運悪(うんわる)くあたったのがおひじというむすめでした。人々(ひとびと)は、最後(さいご)(のぞ)みはないか、おひじに()くと、「この川にわたしの名まえをつけてください。」とはなし、土の中にうめられました。ふしぎなことに、その()は、石がきがくずれることはなく、りっぱなお(しろ)ができあがりました。人々(ひとびと)は、おひじの(ねが)いどおり、お(しろ)の下を流れる川を「ひじ川」と名付(なづ)け、おひじの住んでいたところを「ひじ町」としました。
道路がじゅうぶんに発達(はったつ)していなかったころの肱川(ひじかわ) は、(おお)くの船がゆききし、山で切り出した木材をいかだで運搬(うんぱん)するなど、人々(ひとびと)生活(せいかつ)をささえていました。 
肱川ってどんな川
肱川(ひじかわ)は、本流(ほんりゅう)(なが)さは103Kmありますが、源流 (げんりゅう)から(うみ)にでる河口(かこう)までの直線距離(ちょくせんきょり)は、18Kmしかない全国(ぜんこく)でもめずらしい川です。通常(つうじょう)であれば、河口(かこう)には、川が(はこ)んできた、石ころや砂がたまって、平野(へいや)ができるのですが、この川の河口(かこう)には、ほとんどありません。下の写真(しゃしん) を見てもわかるように、河口 (かこう)直前(ちょくぜん)まで、山がせまっており、せまい谷になっています。 

一般的な川の河口(いっぱんてき かこう) (左)と 肱川の河口(ひじかわ かこう) (右)

流域(りゅういき)大部分(だいぶぶん)は、(やく)200万年前(まんねんまえ)隆起(りゅうき)してできた四国山地(しこくさんち)ですが、肱川自体(ひじかわじたい)は、この四国山地(しこくさんち) ができるもっと前から存在 (そんざい)していました。 
また、肱川(ひじかわ)支川 (しせん)(おお)いのが特徴(とくちょう)で、流域面積 (りゅういきめんせき)全国(ぜんこく) でも55番目なのに、支川(しせん)本数(ほんすう) は474本もあり、全国(ぜんこく)で5番目になっています。 
流域(りゅういき)月平均気温(つきへいきんきおん) は、最低 (さいてい)の1月で5℃、最高 (さいこう)の8月では27℃で、温度差(おんどさ)は、20℃くらいです。これは、瀬戸内(せとうち)温暖(おんだん)気候(きこう)と同じ環境(かんきょう)になっています。 
年間(ねんかん)の雨の()(りょう)は、約1800mmです。しかし、このうちの大半(たいはん)が、 梅雨(つゆ)台風(たいふう)時期(じき)集中(しゅうちゅう)しているため、そのことが、洪水(こうずい)などを引きおこしている要因(よういん) にもなっています。

めずらしい気象現象(きしょうげんしょう)として、「肱川(ひじかわ)あらし」があります。
肱川(ひじかわ)海側(うみがわ)である伊予灘(いよなだ) と、中流(ちゅうりゅう)大洲盆地(おおずぼんち)気温(きおん)()からおこる現象(げんしょう)で、季節(きせつ)晩秋(ばんしゅう)から冬、早春(そうしゅん)にかけておこります。
日が()れて1,2 時間後(じかんご)から、翌日(よくじつ)のお昼くらいにかけて、(つめ)たく湿(しめ) った強風(きょうふう)肱川(ひじかわ)沿()って伊予灘(いよなだ)()き出します。
とくに、(きり)の多い10月から3月は、巨大(きょだい)雲海(うんかい)となって流れこみ、風速(ふうそく)20mになることもあります。

肱川あらし
肱川(ひじかわ)流域(りゅういき)は、90%は山地で、土地のほとんどが山林でしめられており、田畑や、人の住んでいる宅地(たくち)割合(わりあい)は小さくなっています。
このような里山的(さとやまてき)環境(かんきょう)と、複雑(ふくざつ)地形(ちけい)から、肱川(ひじかわ)には、いろいろな生き物が生息(せいそく)し、たくさんの自然(しぜん)が残された環境(かんきょう)になっています。
国土交通省(こくどこうつうしょう)では、平成2年から全国の大きな川やダムで河川水辺(かせんみずべ)国勢調査(こくせいちょうさ)といって、 住民(じゅうみん)調査(ちょうさ) を行う国勢調査(こくせいちょうさ)と同じように川やダムに住む、昆虫(こんちゅう)や、魚、鳥、動物、爬虫類(はちゅうるい) 、植物などを調査(ちょうさ)しています。
肱川(ひじかわ)には、魚では、アユ、ウナギ、アマゴなどから貴重(きちょう)なイシドジョウ、メダカ、アカザなどが生息(せいそく)しています。貴重(きちょう)な植物では、タコノアシ、ミゾコウジュなどが生息(せいそく) し、貴重(きちょう) な鳥では、クマタカの生息(せいそく)確認(かくにん) されています。
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生息種類数

絶滅危惧種(環境省レッドデータブックによる)

哺乳類

27

コテングコウモリ

鳥類

200

クマタカ*、ヤイロチョウ*
トモエガモ、オオタカ、チュウヒ、ハヤブサ、マナヅル、ツバメチ ドリ、ブッポウソウ、
サンショウクイ、コジュリン

爬虫類

16

両生類

12

魚類

91

イチモンジタナゴ*、イシド ジョウ*、クボハゼ*
スナヤツメ、アカザ、メダカ

陸上昆虫類

2,500

イトアメンボ、チャマダラセセリ*

底生動物

454

植物

1,300

シャジクモ*、アゼオトギリ*、ツルマサ キ*、アキノハハコグサ*、ツクシタンポポ*
イトトリゲモ*、サガミトリゲモ*、キエビネ*
マツバラン、ヒメウラジロ、タコノアシ、 ミズマツバ、ハマサジ、スズサイコ、ツルギキョウ、スブタ、マイヅルテンナンショウ、ユキモチソウ、ムギラン、エビネ、キンラン、クマガイソ ウ、トサムラサキ、キキョウ、ナツエビネ

付着藻類

363


生息種類数

絶滅危惧種(愛媛県レッドデータブックによる)

哺乳類

27種

モモンガ

鳥類

200種

クマタカ*、 オオギシギ*、コノハズク*、
ブッポウソウ*、 ヤイロチョウ*、 サンショウクイ*、
ヨシゴイ、 トモエガモ、 オオタカ、 ハイイロチョウヒ、 チュウヒ、 ハヤブサ、 マナズル、
ツバメチドリ、 ジュウイチ、ヨタカ、アカショウビン、ビンズイ、カヤクグリ、コルリ、
エゾムシクイ

爬虫類

16種

イシガメ

両生類

12種

トノサマガエル

魚類

91種

スナヤツメ*、 ヤリタナゴ*、 イシドジョウ*、 アカザ*、 クボハゼ*、 メダカ

陸上昆虫類

約2,500種

ホソミイトトンボ*、オオイトトンボ*、ハネビロトンボ*
イトアメンボ、 チャマダラセセリ、 コオナガミズスマシ

底生動物

454種

アリアケモドキ*、セスジイトトンボ*、オオイトトンボ*、
アオサナエ、コオナガミズスマシ

植物

約1,300種

マツバラン*、 エビガラシダ*、カミガモシダ*、ハンノキ*、アカザ*、セリバオウレン*
アゼオトギリ*、 ズイナ*、ラセンソウ*、コシロネ*、ハルノタムラソウ*、ゴマギ*、
ツルギキョウ*、 アキノハハコグサ*、 スブタ*、 オヒルムシロ*、トウササクサ*、ミチシバ*、
イヌアワ*、ヒロハノハネガヤ*、 マイヅルテンナンショウ*、 ウラシマソウ*、ウマスゲ*
キエビネ*、 ササバギンラン*、ヤマトキソウ*、 ナツエビネ*、
ヒメウラジロ、 ヌカイタチシダ、コバノチョウセンエノキ、アカソ、ミヤマミズ、
ミズタガラシ、 タコノアシ、 ハマゼリ、 スズサイコ、 コカモメヅル、カワミドリ、 キキョウ、 フクド、
オケラ、タウコギ、ノニガナ、 ツクシタンポポ、 ミズオオバコ、 イトトリゲモ、 タツノヒゲ、
コバノウシノシッペイ、スズメノコビエ、 ユキモチソウ、 エビネ、 ギンラン、 キンラン、
クマガイソウ、 セッコク、ニラバラン、 トサムラサキ、

付着藻類

363種

 *絶滅危惧IB類以上の種 無印:絶滅危惧II類の種   環境省と愛媛県両方で絶滅危惧種に指定

肱川流域で確認された動植物の生息種類と絶滅危惧 類

肱川流域 で生息、生育する貴重な動植物
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