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愛媛新聞平成16年4月19日付け「社説 山鳥坂ダム」の内容について

平成16年4月19日付け「社説 山鳥坂ダム」の内容は、愛媛新聞社が誤解されて書かれたものと感じられます。そこで、肱川水系河川整備計画の策定者である国土交通省四国地方整備局と愛媛県から再度ご説明いたします。

1.肱川水系河川整備計画の策定にあたっての意見聴取などについて

社説には、「肱川流域委員会は反対派住民らを締め出し、期間もごく短かった。」、「ダム建設では流域住民や有識者らから多くの疑問や反対意見が出された。計画はそうした声に少しも耳を傾けていない。」、「都合の悪い意見は切り捨てる」とあります。

肱川水系河川整備計画の策定にあたっては、河川法第16条の2第3項の規定に基づき学識経験者の意見を聴くために「肱川水系流域委員会」を設置しました。また、河川法第16条の2第4項の規定に基づき流域住民の意見を反映するためにハガキ・インターネット、意見交換会、公聴会、情報コーナー、出前講座など様々な手法を用いて幅広く丁寧にご意見をお聴きしたところです。
●詳しくは「ニュースレターNo.43」(pdf:197kb)

その結果、意見総数で1,000件を超える多数のご意見をいただき、十分にご意見を聴取できたものと考えております。また、いただいたご意見を大きく分類した結果、
①整備計画に関して肯定的な意見の方が約8割
②整備計画に関して否定的な意見の方が約1割
③その他の意見が約1割
でした。
いただいたご意見をできる限り盛り込んで肱川水系河川整備計画を作成しようとしましたが、当然のことながら、一方で盛り込まれないご意見もありました。これらに関しては、いただいたご意見を約100件に集約し、4月14日の「肱川水系河川整備計画(原案)」の公表時に、盛り込まれているご意見、盛り込まれていないご意見などに分類し、その理由を付して回答させていただいているところです。
●詳しくは「肱川水系河川整備計画の策定に係るご意見について」(pdf:134kb)

私どもは、新しい河川法の規定に基づき、河川整備計画策定にいたるプロセスを大切に考え、こうした対応により流域の皆様の様々なご意見を真摯に伺い、よりよい整備計画づくりに反映させていただいたものと認識しております。

2.平成15年10月策定の肱川水系河川整備基本方針における基本高水のピーク流量について社説には、「『基本高水』についても、国と連絡会とでは大きく食い違う。」とあります。

水源開発問題全国連絡会は、 図-1 に示すとおり、昭和31年~平成13年の46年間の流量データを用いて100年に1回起こるであろう洪水を4,500m³/sと算定しています。
その際、水源開発問題全国連絡会は死傷者131人、152人の大水害を引き起こした著名な昭和18年洪水及び昭和20年洪水をあえて除いて確率評価を行っていますが、地域社会に重大な被害をもたらした実績洪水を除外して河川計画の基本となる基本高水を算定することは明らかに過小評価であり、不適切と考えます。
国土交通省は、昭和18年洪水及び昭和20年洪水について、当時の観測水位、浸水や河道の状況写真、被害状況、痕跡水位などから、当時の流量をできる限り正確に推定するように努め、その結果、それぞれの洪水流量を5,400m³/s、5,000m³/sと推定しています。このデータも用いて、国土交通省は、 図-1 に示すとおり、昭和18年~平成13年の59年間の流量データから100年に1回起こるであろう洪水は5,000m³/s~6,400m³/sと算定しており、肱川水系河川整備基本方針に定められた基本高水のピーク流量の6,300m³/sは妥当なものであると考えております。
●詳しくは「第3回肱川流域委員会 基本高水流量6,300m³/sの根拠」(pdf:4456kb)

3.山鳥坂ダムの治水効果について

社説には、「河辺川の集水面積は肱川流域全体のわずか5.3%に過ぎない。当然、ダムの治水効果はそれに見合うものとなろう」、「国側は、ダムが建設されれば洪水時に大洲地点で最大約40cm水位を下げる」、「連絡会は、最大24cm程度と見ている」とあります。
住民の皆さんとの意見交換会等の場でも再三ご説明申し上げてきたことですが、肱川は、
①大洲盆地に洪水が集中し易い
②中下流部の勾配が緩やかで洪水が流れにくい
③下流部の川幅が狭く洪水が吐けにくい
④中流部は市街地が隣接し下流部は山が迫り、上流より川幅が狭い
など地形的な特徴があり、全国的にみても治水対策が大変難しい川のひとつです。近年では平成7年に甚大な浸水被害が発生し、その後堤防整備を集中的に実施しましたが、未だに15年に1回程度の洪水にしか対応できないのが現状です。このような状況にある肱川の今後の治水対策としては、引き続き上下流の治水バランスを考慮して堤防整備を行うとともに、上流で洪水を調節して下流の洪水流量を減らすことが有効です。新規の洪水調節施設としては、降雨量、地形・地質などの自然条件や、市街地や鉄道等重要施設への影響などの社会・経済的条件などから、山鳥坂ダムを整備することが最適と考えています。
一般的にダムの洪水調節効果は、対象とする洪水の雨の量や地域的な降り方、地形・地質条件から決まる確保しうる洪水調節の容量、その調節方式などによって異なるものであり、単に流域面積でその効果を推定することは誤りです。河川整備計画の目標流量5,000m³/sの洪水に対し、3ダム(既設野村ダム・山鳥坂ダム・既設鹿野川ダム改造)の洪水調節効果は大洲地点で1,100m³/sです。そのうち山鳥坂ダムの洪水調節効果は、河辺川上流域は肱川流域でも雨が多い地域であること、また、洪水調節容量も大きいことより、大洲地点で約400m³/sあり、水位に換算すると約50cmの水位低減効果となり、山鳥坂ダムの治水効果は大きいものと考えております。
詳しくは「第3回肱川流域委員会 山鳥坂ダムの治水効果」(pdf:690kb)