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四国河川ニュース
《11/3(土)〜11/16(金)》 736号
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【2018.11.19発行】
○四国・水こぼれ話談話室Vol.353
○効果の見える治水事業 大嶋海岸海岸施設改良事業について 高知県須崎土木事務所長 能津 恭介
○地震・津波災害と対峙しながら海洋スポーツのまちを目指す 須崎市長 楠瀬 耕作
○今週のニュース
○愛媛大学農学部の学生を対象とした「現場見学会」を開催(重信川水系 四国山地砂防事務所)
○日下川新規放水路関連工事の橋梁下部工事見学会を開催(仁淀川水系 高知河川国道事務所)
四国・水こぼれ話談話室Vol.353
1.効果の見える治水事業 大嶋海岸海岸施設改良事業について 高知県須崎土木事務所長 能津 恭介
○大嶋海岸は、高知県中西部に位置する浦ノ内湾の湾奧に位置し、高幡地域の中核都市である須崎市と県都を海岸線沿いに結ぶ重要路線である主要地方道須崎仁ノ線が背後を走っている海岸です。また、県立公園に指定されている横浪半島によって、南に広がる土佐湾と遮られ穏やかな海岸線が延び、特に景観が優れた地域です。そのため、海岸環境施設として遊歩道やトイレ、植栽が整備され、地域住民だけでなくお遍路さんの憩いの場所として広く愛されている海岸となっています。しかし、近年、前浜が後退するとともに、汀線にはカキ等の貝殻が散乱し、利用者からは以前の海岸環境の再生を望む声が年々大きくなってきました。
○他方、須崎市では、当該海岸を含む浦ノ内地区を海洋スポーツ拠点として整備するスポーツパーク構想が計画され、そのなかで、本県のスポーツツーリズムの推進とスポーツの振興を図ることになりました。大島地区は、スイミングエリアとしてオープンウォータースイミング(以下OWS)コース、トライアスロンのトランジッション等の役割が求めらました。また、2020年の東京オリンピック、パラリンピックの合宿誘致に向けて、県、須崎市を挙げた早急な整備が求められました。そこで、日本水泳協会認定OWS大会サーキットシリーズ最終戦として、国内外のトップ選手を集めて行われる「すさきOWS2017」までの竣工を目標に施設整備を行うことになりました。
○そこで、県は、海岸の整備として、既存陸こうを閉鎖し、代替施設として遊歩道のバリアフリー化と養浜を実施、須崎市は、シャワー施設等を備えた管理棟、浮桟橋を整備しました。県整備施設は、単独事業として、平成28年度に実施設計、平成29年度には遊歩道190m、養浜3,400m3を施工、事業費約70百万円で大会直前の平成29年10月に竣工しました。
○工事の中では、特に既存遊歩道との景観の調和に配慮し、護岸工石材に既設と同じ石材を使用しました。また、遊歩道のブロックに将来補修時には入手困難にならないよう一般的なブロックのなかから、既設レンガに色調の近いものを使用することに配慮しました。
○この施設整備により、須崎市がチェコ共和国のカヌーナショナルチーム事前合宿の誘致に成功したことをはじめとして、実業団のトライアスロン合宿に利用されたり、海上アスレチックが設置され、多くの利用者が訪れるようになり、以前に増して大いに愛される海岸と生まれ変わりました。
2.地震・津波災害と対峙しながら海洋スポーツのまちを目指す 須崎市長 楠瀬 耕作
○須崎市は、高知県のほぼ中央部に位置し、年間を通して温暖な気候と豊かな自然環境に恵まれています。特に、県立自然公園である横浪半島周辺の自然環境は、黒潮洗う雄大な太平洋の眺望と波静かな複雑に入り組んだ入り江を持つ浦ノ内湾の景観は他の地域にはない魅力を有し、観光スポットとしても人気のエリアです。この浦ノ内湾周辺の自然環境を活用し、本市では、2020東京オリンピック・パラリンピック競技会の開催が決定したことを契機に一層の海洋スポーツの振興を図るため、「須崎市海洋スポーツパーク構想」を立ち上げました。
○この構想では、市立スポーツセンター等の施設整備を図り、東京五輪海外チームの事前合宿誘致や国内の高校・大学・競技団体のスポーツ合宿の誘致などに取り組むこととし、2017年11月にはチェコ共和国カヌーナショナルチームが、またOWS(オープンウォータースイミング)では世界のトップ選手が須崎市を訪れました。また、高知県の協力をいただき新たに整備したシーパーク大島では四国では初となる海上アスレチックを設置したほか、SUPボードやバナナボート、シーカヤックなど親子で楽しめる海洋レジャースポットとして人気を博しています。
○天然の良港である須崎港は国の重要港湾に指定されており、平成30年3月には高知県港湾計画が改定され、今後大型バースの建設や災害に強い港の整備が図られ、須崎市をはじめとする高幡地域の経済発展につながるものと期待しています。須崎港はその地形から津波被害を受けやすい特性があります。そのため、須崎港湾口部には国の直轄事業で津波防波堤が建設され、現在も粘り強い化の工事が行われています。市では避難道の整備や家具の転倒防止対策など市民の皆さんと共に取り組んでいます。
○また、本市は高潮対策にも計画的に取り組んでいます。須崎港海岸では直轄高潮事業により南海トラフ地震に対する防護施設が整備され、現在須崎市が整備を進めている野見漁港海岸は、平成23年度から野見漁港海岸高潮対策事業を着工し、本年度に概成を向えます。
○治水事業に関しては、須崎港には、桜川・御手洗川・新荘川の3つの二級河川が流れ込んでおり、中でも桜川は、平成27年9月の豪雨により、周辺住民へ避難指示を発令するような非常事態も発生するなど、古来より氾濫を繰り返してきました。現在、高知県によって堤防嵩上げなどの河川改修事業を実施していただいており、この桜川の河川改修事業が早く完成し、地域住民の安全・安心が一日でも早く確保されるよう願っています。
今週のニュース
1.愛媛大学農学部の学生を対象とした「現場見学会」を開催(重信川水系 四国山地砂防事務所)
○11月13日(火)に、重信川直轄砂防事業の工事現場において、愛媛大学農学部の学生約20名を対象とした現場見学会を開催しました。
○最初に砂防事業の概要説明を行い、その後の質疑応答の際には当初の想定の倍以上の30分にも及ぶ、学生さんからの質問がありました。西日本豪雨により愛媛県内でも甚大な被害が生じたことから、学生さん達も砂防事業に対して大変興味深く聴講していました。
○その後、「既存堰堤改良工事の現場(堰堤のスリット化)」と「大規模法面崩壊箇所(標高差約150m)の復旧対策工事の現場」等を見学してもらい、工事中でなければ見ることのできない砂防事業の現場を体感してもらいました。その日、同行して頂いた愛媛新聞の記者も、初めて見る砂防事業の現場に興味津々でした。
○今後も、土砂災害について考える機会を提供し、砂防事業への関心や知識を深めてもらい若手技術者の育成支援に取り組んでいきたいと思います。
2.日下川新規放水路関連工事の橋梁下部工事見学会を開催(仁淀川水系 高知河川国道事務所)
○11月13日(火)に、日下川新規放水路関連工事の橋梁下部工事見学会を開催しました。
○現在建設中の日下川新規放水路は、日高村下分に呑口ができますが、それにより付け替えとなる村道の橋梁下部工事も施工しています。
○当日は、工事箇所に隣接する「くさか保育園」の年中・年長児33名を工事現場に招き、見学してもらいました。
○園児たちは、放水路の役割などについてお話を聞いた後、場所打ち杭打設に用いるケーシングにお絵かきをしたり、高所作業車に乗って放水路呑口付近を眺望したり、日頃見かける建設機械にふれあったりした後、自分達がお絵かきをしたケーシングが地面に圧入される様子を見学したりしました。
○園児達に地域のくらしを守る新規放水路事業について理解を深めていただくと共に、建設業や地方整備局の業務に興味と希望を持っていただくことを期待しています。
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■連絡先■ 四国地方整備局 河川部 水災害予報センター 水災害対策専門官 片井 良英
〒760-8554 高松市サンポート3番33号
TEL 087-851-8061(代)マイクロ88-3852(片井)mailto:skr-rivers-news@mlit.go.jp
FAX 087-811-8417(河川計画課)
四国地方整備局 ホームページURL(河川)
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