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四国河川ニュース

6/2(土)〜6/15(金)》 728

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2018.6.18発行】

                                                                                       

○四国・水こぼれ話談話室Vol.348

  ○効果の見える治水事業  愛媛県(二)僧都(そうづ)川水系 僧都川 総合流域防災事業   愛媛県南予地方局 愛南土木事務所長 津田 哲

 ○効果の見える治水事業  愛南町における水害対策   愛南町長 清水 雅文

                                           

○今週のニュース

  ○「那賀川源流碑開きで上下流交流」を開催 (那賀川水系 那賀川河川事務所)

○銅山川において「弾力的管理試験」を実施 (吉野川水系 吉野川ダム統合管理事務所)

○「吉野川水系水質汚濁防止連絡協議会 吉野川上流部会」を開催 (吉野川水系 吉野川ダム統合管理事務所)

○「自然観察会〜カジカガエル観察会〜」を開催 (重信川水系 松山河川国道事務所)

○「平成30年度 富郷ダム・柳瀬ダム・新宮ダム防災操作説明会」の開催 (吉野川水系 吉野川ダム統合管理事務所)

○「愛大新入生セミナーB(防災)」で講義を実施 (重信川水系 松山河川国道事務所)

 

 

四国・水こぼれ話談話室Vol.348

 

1.効果の見える治水事業  愛媛県(二)僧都(そうづ)川水系 僧都川 総合流域防災事業   愛媛県南予地方局 愛南土木事務所長 津田 哲

 

○二級河川僧都(そうづ)川は、南宇和郡愛南町僧都に源流を発し、山間部を南下し、御荘平野を貫通して御荘湾にそそぐ、流域面積71.1km2、延長17.4kmの河川です。

○僧都川は、源流から下流、約12kmが渓谷となっており、小規模ながら渓谷美を味わうことができ、特に晩春から初夏にかけての新緑の時期には手頃なハイキングコースとなります。また、下流の平地部は南宇和郡有数の穀倉地帯で、僧都川の恩恵を存分に受けており、住民の生活にとって必要不可欠な河川であります。

○その反面、僧都川下流域では、昭和18年7月の氾濫など、昔から洪水の被害を頻繁に受けており、出水のたびに人家や農地が危険にさらされていました。

○このため、愛媛県では、昭和28年から昭和50年にかけて改修工事を実施し、現在の河川堤防を完成させました。

○この河川改修工事により、大規模な氾濫はなくなりましたが、一部区間については未だ浸水被害の危険性があるため、流下能力向上対策として、平成25年度より総合流域防災事業による河道掘削を実施しております。

○今後も引き続き関係機関や地元住民の協力をいただきながら事業を推進し、治水安全度の向上に努めたいと考えております。

 

 

2.効果の見える治水事業  愛南町における水害対策   愛南町長 清水 雅文

 

<愛南町の概要>

○本町は、愛媛県の南端に位置し、南宇和郡の旧5町村(内海村、御荘町、城辺町、一本松町、西海町)が合併して誕生しました。

○南は黒潮踊る太平洋を望み、西は豊後水道に面している自然環境に恵まれた地域です。北部には四国山脈から分岐した一本松地域の篠山支脈があり、ここから発する僧都川の流域に平野部が開け、この平野部に御荘地域、城辺地域の市街地が形成されています。

○また、内海地域、御荘地域、城辺地域及び西海地域の海岸部は「足摺宇和海国立公園」に面し、自然豊かな恵みを受け水産業や観光事業に恩恵を受けています。

<水害の記録>

○さて、本町では、平成25年度に、「愛南町の災害体験談」、平成26年度には「愛南町総合防災マップ」を刊行しました。僧都川に関連する災害体験談を見てみますと、昭和18年に僧都川の堤防が決壊し、現在の愛南町庁舎がある北裡地区(旧城辺町)が全滅したという記録が記載されています。

○幸いにもそれ以降、大規模な水害は起こっていないようですが、梅雨時期や台風シーズンの大雨時には、氾濫寸前まで水位が上昇していることもあります。

○普段は、緩やかな流れで町民の散歩や憩いの場として本町の象徴的な存在であり、山からの栄養分を御荘湾へ運ぶことにより、本町の基幹産業である水産業にも大きな恵みを与えてくれる僧都川ですが、出水期には町民の生命を脅かす存在にもなります。

<防災への取り組み>

○防災対策は、ハード対策とソフト対策のバランスの取れた事業の推進が大切です。

○現在、僧都川において、総合流域防災事業により河道掘削が実施されており、治水機能の向上が図られております。また、平成31年度には、水位周知河川に指定される予定と聞いております。

○今後とも、国・県のご指導をいただきながら、水害から町民の生命・財産を守り、安心で安全なまちづくりに取り組んで参りたいと考えています。

 

  

今週のニュース

 

1.「那賀川源流碑開きで上下流交流」を開催 (那賀川水系 那賀川河川事務所)

 

○那賀川源流にて5月27日(日)に那賀川アフターフォーラム主催、「ゆきかう那賀川推進会議」共催による「那賀川源流碑開き」が開催されました。

○「那賀川源流碑開き」は那賀川流域におけるこの1年間の安全を祈願するとともに、上下流連携の促進を図るため、源流が特定された翌年の平成18年に始まり、今回で13回目を数えます。

○当日は、早朝から青空がみられる、少し汗ばむほどの陽気につつまれるなど、天候に恵まれた一日となりました。今年度は、初めて参加者を一般公募で募った結果、平島小学校や吉井小学校の児童、阿南工業高等専門学校の学生、企業、一般参加者など、合計約80名に参加して頂きました。

○上下流交流では、阿南高専の湯城名誉教授による「那賀川源流特定までの経緯」を、彫刻家の井下俊作先生から、「源流モニュメント」に込められた思い等についてご紹介頂きました。また、参加児童及び阿南高専生による学校紹介や校歌紹介、参加者全員による源流モニュメント周辺等の清掃活動を行いました。

○上下流交流後は源流まで向かい、児童の皆様に那賀川源流の水質調査(簡易パックテスト)を実施しました。

源流までの道のりでは、通路付近に生えている木の種類について、中村会長から説明頂きました。源流では、桑野川と那賀川源流の水質調査を行い、どっちの水がきれいなのか比べてもらい那賀川源流の水がきれいな水だと確認することができました。

○那賀川河川事務所では、今後とも流域の活性化に向けて、地域の取り組みや上下流の連携・交流の促進を支援していきたいと思います。

 

 

2.銅山川において「弾力的管理試験」を実施 (吉野川水系 吉野川ダム統合管理事務所)

 

○銅山川では、新宮ダム下流の河川環境を改善するために、新宮ダムから下流への放流量を増量する弾力的管理試験を平成22年度から実施しています。

○平成26年度までは社会実験として実施してきましたが、平成27年度からは試行運用として実施しています。

○放流量の増量にあたっては、洪水時に富郷ダムの洪水調節容量内の一部に治水上、支障のない範囲で貯留した利水用水(上水、工水、かんがい)ではない水を用いています。

○5月31日(木)に環境改善のための容量25万6千m3のうち半分である約13万m3を利用し、影井堰から約10.0m3/s(放流前は約0.17m3/s)の水を約3時間に亘り放流しました。

○今回は、川の水量が少なくなり、水温が高く藻類が繁茂する春から夏にかけてのフラッシュ効果を確認できました。

○今後は当日採水した水質の分析など測定データから環境改善効果を整理し、本運用に向けた最適な放流方法を検討していきます。

 

 

3.「吉野川水系水質汚濁防止連絡協議会 吉野川上流部会」を開催 (吉野川水系 吉野川ダム統合管理事務所)

 

○6月5日(火)に、吉野川水系水質汚濁防止連絡協議会の吉野川上流部会が徳島県三好市内の吉野川ダム統合管理事務所で開催されました。

○本部会は、四国4県や吉野川上流域の関係市町村等の部会会員や担当者の方々に出席いただき、吉野川上流域の河川やダム湖で水質事故等が発生した時や発生するおそれがある時の対応として、関係機関等との連絡体制の強化を図ること等を目的とし、毎年開催しています。

○当日は、水質事故等発生時の連絡体制や対応について確認するとともに、最近の水質事故発生状況等の情報共有を行いました。

○また、各機関が参加し水質事故発生を想定した情報伝達訓練を同月中に実施することを確認しました。

○今後も関係機関でなお一層の連携を図り、水質汚濁事故発生時の被害の防止もしくは軽減に向け、万全を期していきます。

 

 

4.「自然観察会〜カジカガエル観察会〜」を開催 (重信川水系 松山河川国道事務所)

 

○「水源地域の自然環境保全」の一環として、石手川ダムせせらぎ公園において「自然観察会〜カジカガエル観察会〜」(主催:石手川ダム水源地域ビジョン推進委員会)を6月9日(土)に開催しました。当日は天気にも恵まれ、一組のキャンセルもなく無事開催することができました。観察会には、松山市内の小学生とそのご家族39名が参加し、石手川ダムの豊かな自然を楽しんでもらいました。

○観察会の最初に、石手川ダム管理支所において、東雲女子大学名誉教授の石川先生と農学博士の久松先生から、カジカガエル、コウモリ、ホタルなど石手川ダム周辺で観察できる生き物の説明があり、参加した子供たちは真剣なまなざしで話を聴いていました。

○説明後は、せせらぎ公園で「フィフィフィフィ」ときれいな鳴き声で鳴くカジカガエルをフィールドスコープで観察したり、事前に捕獲していたカジカガエルを触ったりして、石手川上流の自然を体験してもらいました。その後、ダム上流の日浦地区に移動し、地区のボランティアの方にもお手伝いいただき、ホタルの観察も行いました。当日は日浦地区ホタル祭りの翌日だったため、見学場所の道沿いには竹灯籠が並べられ、幻想的な雰囲気の中での観察会となりました。しかし、昨年の台風18号による出水の影響で、ホタルの幼虫や餌のカワニナが流されてしまったため、残念ながら飛んでいるホタルは数匹程度しか見られませんでした。

○それでも、イベントの最後に書いていただいたアンケートでは、「ホタルを見たりカエルにさわれたりして楽しかった」、「ダムの見学にも来てみたい」など、概ね好評をいただきました。今後も多くの皆様に石手川ダムの貴重な自然を伝えるとともに、石手川上流域と下流域の住民交流を続けていきたいと思います。

 

 

5.「平成30年度 富郷ダム・柳瀬ダム・新宮ダム防災操作説明会」の開催 (吉野川水系 吉野川ダム統合管理事務所)

 

○吉野川ダム統合管理事務所ならびに水資源機構池田総合管理所では、毎年、出水期を迎えるにあたり、ダムからの警報・放流についてご理解をいただくために、銅山川3ダム(富郷ダム、柳瀬ダム、新宮ダム)の下流沿川の地方自治体、警察、消防、小中学校、報道機関等を対象として、防災操作説明会を開催しており、本年度は6月11日(月)に実施しました。

○当日は、11の関係機関、13名の方々にご出席頂き、銅山川3ダムの洪水調節時のダムの貯留方法、ダム放流時の通知及び警報のタイミング等について、約1時間の説明を行いました。

○出席者からは活発に質問が出され、充実した説明会となりました。

○放流警報は、夜間・早朝になることもありますが、今後も引き続き、地元住民及び関係機関のご理解とご協力を頂きながら、的確なダム管理、情報提供に努めていきたいと思います。

 

 

6.「愛大新入生セミナーB(防災)」で講義を実施 (重信川水系 松山河川国道事務所)

 

○6月12日(火)に愛媛大学工学部5号館において、新入生セミナーB(防災)として、治水等に関する講義を行いました。

○最初に担当の門田准教授からセミナーのスケジュール説明があり、引き続き、四国地方整備局の業務全般の概要説明、重信川の治水の歴史や現在の治水・利水・環境に関する様々な問題、また、これまでに行われてきた河川事業に関する取組について、パワーポイントやパンフレット・写真を用いて重信川の治水対策で特徴的な霞堤の説明を中心に約90分間行いました。

○今後は、事務所に来所して資料収集し、重信川の現場で護岸調査グループと浸水調査グループに分かれ簡易レーザ変位計を用いて計測等を行い、7月24日(火)の最終講義で予定している成果のプレゼンテーションには、事務所職員も出席し、評価を行う予定です。

 

 

 

 

 

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          TEL 087-851-8061(代)マイクロ88-3852(片井)mailto:skr-rivers-news@mlit.go.jp

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