*******************************************************

四国河川ニュース

2/3(土)〜2/16(金)》 721

********************************************************

 

                                                                            2018.2.19発行】

                                          

○四国・水こぼれ話談話室Vol.344

                                           

○効果の見える治水事業  愛媛県 成碆(なるばえ)海岸高潮対策事業 『愛南町御荘地区沿岸の津波対策について』愛媛県 南予地方局 愛南土木事務所長 日野 茂

  ○愛南町における地震・津波対策 愛南町長 清水 雅文

                                            

                                            

○今週のニュース

 

○「第1回重信川堤防調査委員会」を開催 (重信川水系 松山河川国道事務所)

○四国圏域生態系ネットワーク推進協議会を設立 〜生態系ネットワークの形成による魅力的な四国づくりの実現を目指して〜(河川部 河川計画課)

○「新たな直轄高知海岸保全施設計画の策定に向けて」平成29年度 高知海岸保全技術検討委員会を開催 (高知海岸 高知河川国道事務所)

○第5回阿南市生物多様性フォーラムを開催 〜未来へつなげよう!あなんのごっつい自然〜 (那賀川水系 那賀川河川事務所)

 

 

四国・水こぼれ話談話室Vol.344

 

1.効果の見える治水事業  愛媛県 成碆(なるばえ)海岸高潮対策事業 『愛南町御荘地区沿岸の津波対策について』愛媛県 南予地方局 愛南土木事務所長 日野 茂

 

○はじめに

 愛媛県愛南町は、県の最南端に位置しており、自然環境に恵まれた地域です。特に西側は美しい宇和海に面し、その恵みを受け、水産業や観光がとても盛んな町ですが、近い将来、南海トラフを震源とする巨大地震の発生が予測されており、この愛南町も津波による大きな被害を受ける恐れがあります。

 県では、背後に市街地を有する御荘地区の3海岸(御荘港、長崎、成碆)を対象として、海岸工学や自然環境の専門家や地域の漁業・防災関係者で構成する「愛南町御荘地区沿岸津波対策検討委員会」を平成2711月に立ち上げ、地域が必要とする堤防等の整備方針についての議論を進めています。

 

○段階的整備を基本とした整備方針について

 L1津波を完全防護するためには、地盤から高さ5m程度の堤防を建設する必要があり、堤防の巨大化に伴い、日常生活や景観・自然環境への影響や整備期間の長期化が懸念されることから、検討委員会では、「段階的整備」を基本とした整備方針が提案され、「第1期整備」では、早期に達成すべき目標を設定したうえで、地震直後の広域的な地盤沈下分を補う高さまで先行して堤防を整備することが示されました。

 なお、「第1期整備」では、地震直後の津波浸水時間を遅らせ避難時間を確保することや、堤防を粘り強い構造とすることによって得られる津波減衰効果による浸水被害の抑制を目標としています。

 

○地域の合意形成について

 御荘地区の整備延長は約4kmにも及び、堤防の整備に伴い沿岸部の環境が大きく変化することから、整備方針については、地域の合意形成を図ることが必要です。

 このため、検討委員会では、地元住民からの意見を広く集めるため、自治会単位での住民説明会、地元中学校や高校への説明会、関係地域の全世帯を対象としたアンケート調査などを行っており、今後、寄せられた意見を踏まえて最終的な整備方針を定めていくこととしています。

 

2.愛南町における地震・津波対策 愛南町長 清水 雅文

 

<愛南町の概要>

 本町は、愛媛県の南端に位置し、南宇和郡の旧5町村(内海村、御荘町、城辺町、一本松町、西海町)が合併して誕生しました。

 南は黒潮踊る太平洋を望み、西は豊後水道に面している自然環境に恵まれた地域です。北部には四国山脈から分岐した一本松地域の篠山支脈があり、ここから発する僧都川の流域に平野部が開け、この平野部に御荘地域、城辺地域の市街地が形成されています。

また、内海地域、御荘地域、城辺地域及び西海地域の海岸部は「足摺宇和海国立公園」に面し、豊かな自然により水産業や観光事業に恩恵を受けています。

<防災への取り組み>

 今後30年以内に70%の確率で発生するとされる南海トラフ地震ですが、差し迫る被害想定は最大震度7、御荘湾での最大津波高約9mとなっています。

 東日本大震災では巨大な津波により、沿岸部が壊滅的な被害を受けたことから、本町は津波からの避難を中心に啓発してきました。しかし、熊本地震での強い揺れにより倒壊した住宅の下敷きになったり、土砂崩れに巻き込まれるなどの被害があったため、まず強い揺れから命を守ることを第一段階、助かった命をつなぐため津波からの避難を第二段階と位置づけ、防災フォーラムや防災学習等での啓発を行っています。

 本町では、津波対策として海抜20m以上の地点約170ケ所を一次避難場所として指定し、防災灯や防災倉庫を設置するほか、学校や住宅等から避難するための避難路整備として、手すりの設置や舗装工事を行っています。

さらに、その後一時避難所としての使用が想定される学校へは、使用するルールの作成や避難所資機材の整備を行っています。

 備蓄物資については、人口の10%の3日分を目安に備蓄をしています。

<成碆海岸高潮対策事業への期待>

 愛媛県で計画されている御荘地区沿岸の津波対策事業については、最大の津波を想定した場合、完全に防御できるものではありませんが、津波浸水時間を遅らせる効果や浸水被害区域の抑制が図られることから、かけがえのない町民の命を守るために重要な事業であり、前述した本町が行うソフト事業との相乗効果により大きな力となるものと期待しています。さらに、高潮対策にも効果を発揮することから、事業の早期完成を願っています。

 

  

今週のニュース

    

1.「第1回重信川堤防調査委員会」を開催 (重信川水系 松山河川国道事務所)

 

○2月2日(金)に、「第1回重信川堤防調査委員会」を開催しました。

○本委員会は、平成29年9月台風18号で発生した堤防漏水に対して、被災原因の特定や対策工法について、大学教授や河川堤防の専門家からの意見を踏まえて検討を行います。

○第1回委員会では、台風18号の出水及び被災概要や、特に漏水被害が大きかった2区間において、土質調査結果等からの被災メカニズムの検証の説明を行いました。

○各委員からは、被災メカニズムの特定に関する指摘や、今後の調査計画に関するご意見をいただきました。

○今後は、堤防調査委員会を複数回開催し、被災原因の特定及び漏水対策工法等について検討をして頂き、一刻も早い災害復旧が行われ、住民の皆様に重信川流域の安全・安心を与えられるよう努めていきます。

 

2.四国圏域生態系ネットワーク推進協議会を設立 〜生態系ネットワークの形成による魅力的な四国づくりの実現を目指して〜  (河川部 河川計画課)

 

○四国では、近年、コウノトリやナベヅル・マナヅル等の飛来が多く見られるようになりました。また、コウノトリが繁殖に成功した鳴門市周辺では、今年も更なる飛来が確認されており、新たなペアの誕生や繁殖が期待されています。

○コウノトリやツル類は、大型の美しい水鳥類として多くの人々に親しまれるシンボル的な存在でもあることから、四国各地の飛来地域における自治体やNPO・関係団体等によって、繁殖や越冬環境の創出を目指す取組や、それらの活動を通じた地域振興・活性化のための様々な取組が活発化しています。

○そのような背景から、コウノトリ・ツル類を広域指標種として設定し、効果的な情報発信と持続的な発展、多様な主体との連携・協働による経済の活性化につながる総合的な取組の推進を目的に、「四国圏域生態系ネットワーク推進協議会」を設立し、2月5日に第1回協議会を開催しました。

○協議会は、学識者、6名の市長、行政、団体等の31名の委員で構成し、会長に愛媛大学の鈴木幸一名誉教授に就任いただきました。

○協議会では、事務局から設立の目的や目標について説明するとともに、出席委員からは、これまでの取組内容の紹介や、協議会に期待することなどのご意見をいただきました。

○また、平成29年10月19日には、「吉野川流域コウノトリ・ツルの舞う生態系ネットワーク推進協議会」を設立したところですが、平成30年度には、「幡多地域生態系ネットワーク推進協議会」の設立も予定しています。

○今後は、2050年に四国各地において、コウノトリ及びツル類が暮らしていることが日常の光景となることなどを到達目標として、各地域の取組状況を共有するとともに、課題の解決を図りながら、更なる取組の発展に繋げていく予定です。

 

3.「新たな直轄高知海岸保全施設計画の策定に向けて」 平成29年度 高知海岸保全技術検討委員会を開催 (高知海岸 高知河川国道事務所)

 

○2月9日(金)に、平成29年度 高知海岸保全技術検討委員会を開催しました。

○高知海岸は、土佐湾中央部の高知市、南国市、土佐市沿岸に位置し、海岸延長約13.3kmの砂浜海岸です。高知海岸の背後地は、3市合計で約41万人と高知県全体の約57%が集中し、高知龍馬空港、高知新港などの物流施設と合わせ、絶縁紙世界トップシェアの企業や、生産量日本一の冬春シシトウ、グロリオサ(生花)等のハウス園芸、坂本龍馬像で有名な桂浜や仁淀川を結ぶ観光道路(花海道)など、資産、産業、経済、観光、物流の中心となっています。

○高知海岸の海岸保全施設整備の歴史は、昭和21年の南海大震災の地盤変動対策事業から始まり、昭和44年から南国市の南国工区を直轄化、平成6年には高知市の長浜、戸原、仁ノ工区、土佐市の新居工区を追加し、高潮侵食対策として面的防護を実施、平成24年からは全工区で地震津波対策を実施しています。

○今回の高知海岸保全技術検討委員会の審議の目的は、近年の測量やシミュレーション等の技術開発により、平成16年から17年の高波浪による海底地形の変化の把握、高知海岸沿岸の土砂移動などが解明できたことより、平成6年に策定された施設整備計画の妥当性を検証し、越波防止に必要な砂浜幅を確保するための、効果的、効率的な施設整備メニューを再検討したものです。

○本委員会では、海岸工学の専門学識者等にご参加いただき、現況施設を活用した150mヘッドランド(長浜〜新居工区)や、人工リーフの嵩上げ(南国工区)等の施設整備と合わせ、養浜を行い、早期に越波防止に必要な砂浜を確保できる施設整備計画が了承されました。

○また、海岸保全施設の構造検討や計画見直し、保全効果の把握に際しては、良質で精度の高い基礎データの蓄積が重要であり、今後も深浅測量などにより、海浜地形の変化などモニタリングを行っていくとともに、状況に応じて施設計画の見直し等を行うことが必要との助言をいただきました。

○今後は、この海岸保全施設計画を平成30年度の事業再評価で審議いただき、直轄高知海岸保全体計画(施設整備計画)の変更を行い、高潮侵食対策の施設整備効果の早期発現を図ります。

 

4.第5回阿南市生物多様性フォーラムを開催 〜未来へつなげよう!あなんのごっつい自然〜 (那賀川水系 那賀川河川事務所)

 

○阿南市では、豊かな自然を守り、活用するために「未来に残すべき生物多様性ホットスポット」を6箇所選定しております。今年度で選定3周年を迎え、今後の活動をさらに活性化するための生物多様性フォーラム(主催:阿南市、阿南工業高等専門学校、あなん未来会議)が2月10日(土)に阿南ひまわり会館で開催されました。

○フォーラムでは今回、6箇所のホットスポットのうち「オヤニラミ(桑野川)」、「シオマネキ(那賀川)」、「伊島ササユリ(伊島)」、「チュウヒ(出島野鳥園)」の4箇所の取り組み事例が紹介されました。那賀川河川事務所は、「シオマネキ(那賀川)」の取り組み事例を紹介しました。また、日和佐中学校3年生、阿南工業高等専門学校4年生による研究発表や東邦大学の長谷川教授による「トカゲのおかげ」と題した特別講演もありました。

○パネルディスカッションでは、阿南工業高等専門学校の大田准教授をコーディネーターに、東邦大学の長谷川教授、大正大学の古田教授、ホットスポットの担い手4名の計7名により横のつながりを意識した活動の連携やホットスポットを未来の子ども達にどう伝えていくかなど議論しました。まだまだ市民の認知度が低いことから「PR活動をもっと積極的に」、「看板やシンボルマークをつくる」、「ホットスポットのスタンプラリーをやってはどうか」などの意見が出されました。

 

 

 「四国河川ニュース」に関するご意見、ご要望や四国の河川についての資料の要求、また河川に関するニュースなどがありましたら、以下までご連絡をお願いいたします。

 

 

  ■連絡先■  四国地方整備局 河川部  水災害予報センター 水災害対策専門官  片井 良英

          760-8554 高松市サンポート3番33号

          TEL 087-851-8061(代)マイクロ88-3852(片井)mailto:skr-rivers-news@mlit.go.jp

          FAX 087-811-8417(河川計画課)

       四国地方整備局 ホームページURL(河川)

          http://www.skr.mlit.go.jp/kasen/index.html

         四国地方整備局 ホームページURL(四国河川ニュース)

               http://www.skr.mlit.go.jp/kasen/topics/news/news.html

 

 

**********************************************************

「四国の川を考える会」ホームページURL

※四国の一級河川の紹介や川にまつわる話題を紹介しています。

  http://www.shikoku-river.net/

***********************************************************