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四国河川ニュース

6/17(土)〜 7/8(金)》706

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2017.7.10発行】

 

四国・水こぼれ話談話室Vol.337

 

○効果の見える治水事業  高知県 奈半利川清水バイパス  高知県安芸土木事務所長 松尾 浩明

○恵み豊かなゆずの里 北川村  北川村長 上村 誠

 

○今週のニュース

 

○「嶺南 あじさい鑑賞会(柳瀬ダム)」を開催 (吉野川水系 吉野川ダム統合管理事務所)

○「平成29年度 富郷ダム・柳瀬ダム・新宮ダム防災操作説明会」を開催  (吉野川水系銅山川 吉野川ダム統合管理事務所)

○「第22回重信川クリーン大作戦」を開催(重信川水系 松山河川国道事務所)

 

 

四国・水こぼれ話談話室Vol.337

 

1.効果の見える治水事業  高知県 奈半利川清水バイパス  高知県安芸土木事務所長 松尾 浩明

 

○高知県東部の年間降水量が4,000ミリを超える、日本屈指の多雨地帯を流れる奈半利川は、源流域で「日本3大美林」の一つといわれる魚梁瀬杉の美林が形成され、その豊かな水量から、鮎をはじめとする魚類が豊富に泳ぐ自然豊かな河川でした。

 急峻な流域地形、多雨に伴う豊富な水資源を有することから、戦後の高度経済成長時期に上流域にダム群が建設され、発電用水の取水が行われており、中国・四国地方の産業発展に寄与してきました。

○しかし、それらダム下流域では、洪水時に発生した濁水の長期化や、発電用水の取水に伴って減水区間になっていることから、魚類の生息環境が悪化するなど、地域にとって問題となる河川環境への影響が発生し、改善を望む声が強く寄せられてきました。

○このため、高知県では、特に問題となっている平鍋ダム下流の減水区間(L=14.0km)において、河川の水量及び水質を改善し、濁水の長期化を軽減することを目的として、平鍋ダム上流の支川(小川川)から清澄水を取水し、ダム直下に放流させる「清水(せいすい)バイパス」の建設を発電利水者と共に進めていくことにしました。

○清水バイパス建設に向けた取り組みは、平成28年度から、国の社会資本整備総合交付金により事業化され、本年度からは、最上流部に位置する取水施設の工事に着手する予定です。

○本年4月には、魚梁瀬杉を搬出するために設置されていた、奈半利川沿いなどの魚梁瀬森林鉄道跡が、文化庁の「日本遺産」に認定されました。これを機に今後は、「森林鉄道から日本一のゆずロードへ〜ゆずが香り彩る南国土佐・中芸地域の観光と食文化〜」というテーマに沿って、地域の魅力を発信する大きな取り組みが、地域や県をあげて加速していきます。

○清水バイパス事業が完成し、下流域をダムのなかった頃の奈半利川の自然豊かな環境に近づけることで、奈半利川や、日本遺産の文化財を観光資源とする関連施設の収益の向上や、本河川を代表するアユ漁への好影響、また地域住民の河川とのふれあいの機会が増えることによる地域住民の河川愛護意識の向上などが期待されます。

○県では、これらのストック効果の発現や地域の課題解決に向け、本事業の早期完成を目指し、全力で取り組んでまいります。

 

 

 

2.恵み豊かなゆずの里 北川村  北川村長 上村 誠

 

○高知県の東南、室戸岬の近くに位置する北川村は、村の中央には南北に奈半利川が流れ、周囲を山林に囲まれた自然豊かな小さな村で、日本でも屈指のゆずの産地です。その芳醇な香りと良質なしぼり汁は高級料亭でも高く評価され使用されています。

 本村のゆず栽培は、昭和40年代から本格的な栽培が始まり、果汁販売などの加工仕向けが主ですが需要が高く、また、日本で初めて青果をEUへ輸出(H24)するなど積極的な取組を行っています。

○本村の人口は、昭和30年の4,578人から奈半利川電源開発事業の最盛期であった昭和35年に6,000人にまで増え一時電発景気に沸きましたが、その後、ダムの完成、国有林事業の統廃合等による人口移動に加え、地場産業の衰退により平成27年には4分の1以下の1,294人にまで減少しています。

○この人口減少の負の連鎖を断ち切るため、平成19年に”ゆずの振興なくして地域の振興なし”という基本姿勢のもと、本村がゆずの産地として今後進むべき方向性を「ビジョン」として取りまとめ、生産者、農協、民間企業、行政が協力して、具体的な対策を行ってきました。そして、このビジョンを確かなものとしていくため、国や県の地方創生の動きとも連動し、また、それを追い風にして、本村の取組を加速するため、平成2712月に「北川村まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定し、”村に住み、村で生活可能な収入を得られる農業(ゆず)の構築”を基本目標に掲げ、村の存続をかけて、全力で取り組んでいるところです。

○また、本村には、世界に二つしかない「モネの庭」、利用者の方々からその良質を高く評価していただいている「北川温泉」、江戸時代に参勤交代の道として使われた「野根山街道」、坂本龍馬の僚友、中岡慎太郎を紹介する「中岡慎太郎館」など、様々な観光資源があります。特に、「北川温泉」は現在リニューアル中であり、来年4月にオープンを目指しています。是非、北川村にお越しいただいて、その魅力を感じてもらいたいと思います。

○今回、清水バイパスの事業化ということで、長年、地域の課題であった、奈半利川の水質が改善され、アユ等魚類の生息環境・河川環境の改善が図られることにより、地域住民が河川への親しみ、ふれ合う機会も増え、また、観光施設等への入込客が増加し地域経済が活性化していくことを期待しています。

 

 

今週のニュース

    

1.「嶺南 あじさい鑑賞会(柳瀬ダム)」を開催 (吉野川水系 吉野川ダム統合管理事務所)

 

○6月25日()に、四国中央市富郷町にある下長瀬あじさい公園(柳瀬ダム金砂湖)において、第20回嶺南あじさい鑑賞会(主催:嶺南あじさい会)が開催されました。

○今年は、近年まれにみる大渇水で、あじさいの花も5分咲きではありましたが、例年通り6月の最終の日曜日に開催されました。

○当日は、生憎の雨模様の中にもかかわらず、約400名の方々が来場されました。嶺南あじさい会の関係者も「恵みの雨なので、良かった」と笑顔で、鑑賞会に来られた来場者の方々をもてなしていました。

○この鑑賞会は、銅山川流域のダム水源地域と分水先の川之江地区、三島地区等の交流及び嶺南地域活性化の一助として、毎年実施されています。

○下長瀬公園周辺は、「あじさいロード」として国道319号線の法皇トンネルから別子山方面へ沿線15kmにわたって約3万株が植えられており、会員の方々が手入れをしてきたあじさいが、もう少しで見頃を迎えます。

○来年も、6月の最後の日曜日に開催を予定していますので、是非ご来場頂ければと思います。

 

 

2.「平成29年度 富郷ダム・柳瀬ダム・新宮ダム防災操作説明会」を開催   (吉野川水系銅山川 吉野川ダム統合管理事務所)

 

○吉野川ダム統合管理事務所ならびに水資源機構池田総合管理所では、毎年、出水期を迎えるにあたり、ダムからの警報・放流についてご理解をいただくために、銅山川3ダム(富郷ダム、柳瀬ダム、新宮ダム)の下流沿川の地方自治体、警察、消防、小中学校、報道機関等を対象として、防災操作説明会を開催しており、本年度は6月26日(月)に実施しました。

○当日は、12の関係機関、17名の方々にご出席頂き、銅山川3ダムの洪水調節時のダムの貯留方法、ダム放流時の通知及び警報のタイミング等について、約1時間の説明を行いました。

○放流警報は、夜間・早朝になることもありますが、今後も引き続き、地元住民及び関係機関のご理解とご協力を頂きながら、的確なダム管理、情報提供に努めていきたいと思います。

 

 

3.「第22回重信川クリーン大作戦」を開催(重信川水系 松山河川国道事務所)

 

○7月1日(土)に「第22回重信川クリーン大作戦」を行いました。

○当日は早朝の通り雨で一瞬冷や汗ものでしたが予定通り、下流(河口)・中流(松原泉)・上流(拝志大橋)の3箇所で計440名の参加者のもと開催することができました。

○上流箇所では昨年11月に就任した加藤章・東温市長の開会挨拶のあと、橋の上下流で約1時間ゴミ拾いを行い、鳥羽事務所長の閉会挨拶で無事終わりました。

 今年は3箇所でゴミ袋約150袋とタイヤ・ソファー等の粗大ゴミを回収しました。

○今回特徴的だったのは、河川区域では禁止されているゴルフ練習の痕跡と思われるロストボールが沢山集められたことです。これは、昨年度の重信川フォーラムで伊予農高希少植物群保全プロジェクトチームから問題提起されており、今後河川利用者のモラル向上を図っていく必要があると思われます。

 

 

 

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