*******************************************************

四国河川ニュース

6/4(土)〜 6/17(金)》683

********************************************************

2016.6.20発行】

 

 

 

○四国・水こぼれ話談話室Vol.317

 

○「効果の見える治水事業」愛媛県 肱川 広域河川改修事業   愛媛県南予地方局大洲土木事務所 所長 石崎 桂三

○「母なる川「肱川」を未来に   愛媛県 大洲市長 清水 裕

 

 

○今週のニュース

 

○「自然観察会〜カジカガエル観察会〜」を開催(重信川水系 松山河川国道事務所) 

○中筋川ダム見学及び川の健康診断(水生生物調査)を実施(渡川水系 中筋川総合開発工事事務所) 

○四万十川自然再生事業「ツルの自然体験学習会」を開催(渡川水系 中村河川国道事務所)

 

 

 

四国・水こぼれ話談話室Vol.317

 

1.「効果の見える治水事業」愛媛県 肱川 広域河川改修事業    愛媛県南予地方局大洲土木事務所 所長 石崎 桂三

 

○肱川は、愛媛県の西南部に位置し、その源を愛媛県西予市の鳥坂峠(標高460m)に発し、途中、四国山地の1,000mを越す標高部を源流とする小田川、船戸川など数多くの支川を合わせながら大洲盆地を貫流して、伊予灘に注いでいる愛媛県一の大河川です。

肱川本川は、その名が示すように中流部において“ひじ”のように大きく曲がっていることに加え、流域は、

1.中流部の大洲盆地に川が集まっている。(手のひらのような、洪水が集中しやすい地形)

2.河床勾配が非常に緩い。(洪水が流れにくい地形)

3.大洲盆地から下流は山が両岸から迫り、河口に行くほど平野の広がりがない。(洪水が吐けにくい地形)

 などの地形的特徴を持っており、これまで堤防決壊や越水により浸水被害を頻発してきました。

○特に大洲市においては、平成7年の梅雨前線豪雨や平成16年、17年及び平成23年の台風による洪水で甚大な浸水被害が発生し、平成25年にも、大洲市の菅田地区では2度にわたり浸水被害が発生するなど、早期の河川整備が望まれています。また、平成16年に国、県で策定した「肱川水系河川整備計画」に基づき、国土交通省とともに堤防整備やダム建設などと併せて、肱川流域の「安全、安心な暮らし」を確保するため、計画的に治水安全度の向上に努めているところです。

○県が取り組んでいます肱川流域の河川改修事業は、大洲市の「肱川下流工区」、「久米川工区」、西予市宇和町の「宇和川工区」の3箇所で実施しており、このうち、大洲土木事務所で事業を実施している「肱川下流工区」については、全体延長が10.4kmで平成12年度に事業着手、平成45年度までの整備完了を目標として計画的に事業を進めています。

○「肱川下流工区」の整備手法としては、下流地区の水位上昇を考慮し、当面は一部区間を無堤として残す「霞堤方式」で整備を進め、整備完了時には築堤で締め切る予定としています。

○現在は、「肱川下流工区」内にある11地区のうち、平成26年度に最上流の「池田成見地区」が概成し、平成28年度(今年度)は、「阿部板野地区」が概成する予定です。今後、順次下流に向けて事業進捗を図っていくこととしております。

○今後も、引き続き関係機関や地元住民の協力をいただきながら、残る地区の整備を推進し、肱川流域の浸水被害を解消したいと考えています。

 

 

2.母なる川「肱川」を未来に   愛媛県 大洲市長 清水 裕 

 

○大洲市は、県庁所在地である松山市から南西に約50km、車で約1時間のところにあり、人口約4万5千人のまちです。市の中心部を県下最大の河川である「肱川」が流れ、瀬戸内海へと注いでいます。藩政時代は、六万石の城下町として栄え、その風情が残る町並みや鵜飼い、肱川より眺める大洲城、臥龍山荘、冨士山などの景観により、「伊予の小京都」「水郷大洲」と呼ばれています。肱川は、勾配が緩く、豊かな水量と緩やかな流れが特徴的な河川です。かつては、重要な貨物輸送路として利用され、また、沿川では、肱川からもたらされた肥沃な土壌によって農業が盛んに行われるなど、市民は、肱川から数多くの恵みを受けてきました。反面、地形的特性からひとたび大雨が降れば“暴れ川”に豹変するため、度重なる水害に悩まされてきました。平成7年洪水では、浸水家屋1,000戸を超す甚大な災害が発生し、これを受け、激甚災害対策特別緊急事業により再度被害防止のための堤防整備がなされ、大幅に治水安全度が向上しました。しかし、平成16年・17年・23年に観測史上1位〜3位の水位を記録する洪水があり、この10数年間で3回も甚大な浸水被害が発生しました。

○このような中、平成16年に河道整備、山鳥坂ダム建設、鹿野川ダム改造を三本柱とした「肱川水系河川整備計画」が策定され、国・県において事業が計画的に推進されており、大洲市としても円滑に事業推進が図られるよう積極的な連携・協力に努めているところであります。

○ご紹介の県管理区間での肱川広域河川改修事業の「肱川下流工区」については、上流から順次堤防整備を実施しており、整備済み区間においては、上流からの洪水流による、農地及びビニールハウスの流出被害が解消されております。また、市道天貢線宇津橋(旧板野橋)の架替工事が完了したことにより、肱川の増水時に通行止めになることなく、池田成見地区の住民の避難路として利用できるようになっています。

○しかしながら、「肱川下流工区」の整備については、下流の国管理区間の整備完了後に堤防締め切りを行う必要があることから、当面の間、下流に影響を及ぼさないよう「霞提」による整備が進められており、まだまだ安全とは言えない状態であります。これまでの国・県・市による治水事業により、治水安全度は、少しずつ向上しておりますが、今後も治水安全度を早急に向上させるよう国・県と連携して事業を推進していきたいと考えております。

○川は、生命を生み出し、産業を育み、そして集いの場となり、人々に癒しと和みを与えてくれます。大洲市の営みは、いつの時代も肱川とともにあります。今後も、肱川が未来にわたって市民から愛され親しまれる“母なる川”であり続けるよう、治水対策をはじめとする課題解決に取り組んでいきたいと考えております。

                         

今週のニュース

 

1.「自然観察会〜カジカガエル観察会〜」を開催(重信川水系 松山河川国道事務所) 

 

○「水源地域の自然環境保全」の一環として、石手川ダムせせらぎ公園において「自然観察会〜カジカガエル観察会〜」(主催:石手川ダム水源地域ビジョン推進委員会)を6月4日(土)に開催しました。当日は昼からあいにくの雨でしたが、無事に開催することができました。観察会には、松山市内の小学生とそのご家族32名が参加し、石手川ダムの豊かな自然を楽しんでもらいました。

○観察会の最初に、石手川ダム管理支所において、東雲女子大学名誉教授の石川先生と愛媛県立衛生研究所 生物多様センターの久松先生から、カジカガエル、コウモリ、ホタルなど石手川ダム周辺で観察できる生き物の説明があり、参加した子供たちは真剣なまなざしで話を聴いていました。

○説明後は、せせらぎ公園で「フィフィフィフィ」ときれいな鳴き声で鳴くカジカガエルをフィールドスコープで観察したり、事前に捕獲していたカジカガエルを触ったりして、石手川ダムの自然を体験してもらいました。その後、ダム上流の日浦地区に移動し、地区のボランティアの方にもお手伝いいただき、ホタルの観察も行いました。雨のためホタルは見られないかもしれない、と思っていましたが、参加者が現場に到着したタイミングで雨が小降りになり、数は少ないながらもホタルが飛ぶ様子が見られ、参加者から歓声が上がっていました。

○参加者の皆様からは、「カジカガエルの声が聞けて良かった」、「ホタルがきれいで可愛かった」、「今後もこのようなイベントがあれば参加したい」などの感想をいただきました。今後も多くの皆様に石手川ダムの貴重な自然を伝えるとともに、石手川上流域と下流域の住民交流を続けていきたいと思います。

 

 

 

2.中筋川ダム見学及び川の健康診断(水生生物調査)を実施(渡川水系 中筋川総合開発工事事務所) 

 

○6月2日(木)に三原小学校4年生(11名)が中筋川ダム見学と水生生物調査に来てくれました。

○ダム見学では、職員がお手製の模型を使用して洪水時におけるダムの役割及び水力発電の仕組みの説明を行いました。

○説明を受けた児童は、ダム堤体内に入り放流管や水力発電等の見学を行った後、中筋川ダムでしか見ることの出来ない「洗浄放水」をバックに記念撮影を行いました。

○ダム見学の後、ダム上流梅ノ木公園に移動して「水生生物調査」を実施しました。

 児童たちに水生生物調査を通じて身近な河川の水質状況を知ってもらい、水質改善の必要性や河川愛護意識の向上を図ることを目的としています。

○児童ひとりひとりがバケツと網を持って川の中へ入り石をひっくり返して生物採集を行い、採取した生物をバケツから白いトレイに移し、写真を見ながら分類していきました。

○採取した生物はヒラタカゲロウ、カワゲラ、サワガニ等が見つかり水生生物調査による水質判定を行った結果、「きれいな水」と判定されました。

○また、パックテストによる簡易水質調査で水質判定を行った結果、水産用水基準によると、アユやサケの成育が自然繁殖できる水質レベルと判定されました。

○これからもきれいな水を保てるように努めていきたいと考えています。

 

 

3.四万十川自然再生事業「ツルの自然体験学習会」を開催(渡川水系 中村河川国道事務所)

○「四万十つるの里づくりの会」並びに「国土交通省中村河川国道事務所」の主催により、四万十川自然再生事業「ツルの自然体験学習会」を6月15日に開催しました。

○この学習会は、四万十川自然再生事業の取り組みの一環として、次世代のツルの守り手育成を目指し、平成18年度より毎年実施しているもので、今年も東中筋小学校・中学校の生徒24名が参加しました。

○参加した生徒は、「ツルの里づくり講座」として中筋川で実施してきた湿地再生(ツルのねぐら・えさ場整備)の概要やツルの飛来・越冬状況について説明を受けたあと、湿地再生箇所である中筋川左岸・中山箇所において、田植えによりツルのえさ場づくりを体験しました。

○これまでは、ツルのエサ(稲)となる「モミまき」を実施していましたが、昨年度の洪水によりモミが流され、稲が育たなかったことから、今年度は田植えによるえさ場づくりを行うこととしたものです。

○昨年度は四万十市に多数のツルの飛来があり「ツルの里づくり」に力を入れている地域として大変盛り上がった1年でした。秋には今回田植えをしたえさ場に穂が実り、たくさんのツルが飛来・越冬することを期待します。

 

 

 

 

 

 「四国河川ニュース」に関するご意見、ご要望や四国の河川についての資料の要求、また河川に関するニュースなどがありましたら、以下までご連絡をお願いいたします。

 

 

  ■連絡先■  四国地方整備局 河川部  河川管理課 水災害対策専門官  青木 研

          760-8554 高松市サンポート3番33号

          TEL 087-851-8061(代)マイクロ88-3522(青木)mailto:skr-rivers-news@mlit.go.jp

          FAX 087-811-8417(河川計画課)

 

       四国地方整備局 ホームページURL(河川)

          http://www.skr.mlit.go.jp/kasen/index.html

         四国地方整備局 ホームページURL(四国河川ニュース)

               http://www.skr.mlit.go.jp/kasen/topics/news/news.html

 

 

 

**********************************************************

「四国の川を考える会」ホームページURL

※四国の一級河川の紹介や川にまつわる話題を紹介しています。

  http://www.shikoku-river.net/

***********************************************************