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四国河川ニュース

2/28(土)〜 3/27(金)》653

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2015.3.30発行】

                                                                                       

○四国・水こぼれ話談話室Vol.288                                           

○「水源確保と災害に強い町づくり」 小豆島町長 塩 田 幸 雄

○「効果の見える治水事業」香川県 別当総合開発事業(内海ダム再開発) 土木部河川砂防課長 氣 多 拓 夫

 

 

○今週のニュース

○第2回 吉野川流域生態系ネットワーク検討委員会を開催 (吉野川水系 徳島河川国道事務所)

○第2回 土器川総合土砂管理対策技術会議を開催 (土器川水系 香川河川国道事務所)

 

 

四国・水こぼれ話談話室Vol.288

 

1.「水源確保と災害に強い町づくり」 小豆島町長 塩 田 幸 雄

 

○小豆島町は、瀬戸内海国立公園に浮かぶ島で、面積153km2、周囲126kmの瀬戸内海では淡路島に次ぐ大きな島で海と山に囲まれた風光明媚な島です。小豆島町は、小豆島の中央から東に位置し、  

壺井栄の小説「二十四の瞳」の舞台として、また、日本におけるオリーブ栽培発祥の地として、全国的に知られています。

 

○小豆島町とオリーブの関わりは、明治41年、当時の農商務省が三重、香川(小豆島)、鹿児島の3県を指定して、アメリカから輸入した苗木で試験栽培を行い、小豆島町に植えたオリーブだけ

が順調に成育し、大正初めには搾油ができるまでになりました。オリーブが健康によいことは医学的にもよく知られており、小豆島町ではオリーブによる健康長寿の島づくりに取り組んでいま

す。

 

○また、「二十四の瞳」の映画撮影時のセットを保存した「二十四の瞳映画村」があり、多くの観光客で賑わっています。その他、日本三大渓谷美に数えられる寒霞渓、18世紀頃に始まり現在も

伝承されている農村歌舞伎舞台など、数多くの観光スポットを有しています。

 

○小豆島の気候は温暖少雨の瀬戸内海式気候であり、年間降水量は1200mm程度で、従来からたびたび水不足に悩まされている一方で、多くの河川は、山間部が急勾配で平野部に出て急に勾配が

緩くなるという地形的特長を有しているため、昭和49年災、51年災に代表される台風や集中豪雨による大災害にも見舞われています。

 

○この内海ダム再開発事業は、行政に課せられた「住民の皆さんの生命と財産を守る」という最大の使命をしっかりと果たしていくために、昭和五十九年度の予備調査開始から数えますと実に三

十年近くの年月をかけて進められてきました。また、平成15年、平成21年の2度にわたり事業促進町民総決起大会が行われるなど町民一体となって推進してまいりました。

 

○現在、ダム周辺整備工事も終盤を迎え、新内海ダムの全景を眺めてみますと別当川沿いで生活する住民の方々にとって非常に心強く、安心して暮らしていけることと喜んでいます。

 

○今年度は冬場の降雨量が多く、まもなく試験湛水の完了が見込まれています。試験湛水が無事完了し、新内海ダムが全面供用されることにより、安定した水道を供給することが小豆島を元気にしていくことに繋がっていくことと期待しています。

 

 

2.「効果の見える治水事業」香川県 別当総合開発事業(内海ダム再開発) 土木部河川砂防課長 氣 多 拓 夫

 

<内海ダムの概要>

○別当川は、小豆島の東南東部香川県小豆郡小豆島町に位置し、その源を名勝寒霞渓(神懸山:標高671m)に発し、山間部を南流し、途中小豆島町神懸通、草壁本町を貫流して、小豆島町草壁本

町地先で内海湾に注ぐ流域面積8.8km2、流路延長4.0kmの二級河川です。

 

○本河川は、香川県内でも有数の急勾配河川であり、その下流域では、古くから洪水による被害がたびたび発生しています。昭和34年にコンクリートと土石の混成堤である旧内海ダムが完成し

ましたが、昭和36年の台風では、ダム上部からの越流により、ダム堤体下流の土石部分が流出しました。また昭和49年と昭和51年の降雨では、大雨により川が氾濫し、護岸の被災や住宅の浸

水など甚大な被害が発生しています。

 

○このようなことから、治水、利水の抜本的な対策として、別当川総合開発事業(内海ダム再開発)が計画され、地元や関係者の協力のもと、平成254月に無事竣功することができました。

1)目   的:洪水調節、流水の正常な機能の維持

        新規水道用水の開発

2)経   過:平成2112月着工

        平成25年 4月竣工

3)位   置:小豆郡 小豆島町 神懸通

4)河    名:二級河川 別当川水系 別当川

5)諸   元:重力式コンクリートダム

        堤    高 :43.0m

        堤  体  積 :165,000m3

        総貯水容量:1,060,000m3

6)洪水調節:自然調節方式により、ダム地点におけるピーク流入量130m3/sのうち、50m3/sを調節し、80m3/sを放流

 

<台風19号における洪水調節効果>

○平成2610月の台風19号による出水では、ダム地点での最大時間雨量が33mm、最大流入量36.4m3/s、降り始めからの累計雨量は207mmとなりましたが、最大流入時に10.6m3/sを調節し、下

流寒霞渓橋における最高水位を約 54cm低減させたと推定されます。

 

<現在の内海ダム状況>

○内海ダムでは、試験湛水を平成2611月から開始し、平成27318日に洪水時最高水位(標高79.0m)に到達しました。

 

○今後は、ダム及び貯水池の安全性を調査・確認し、平常時最高貯水位(標高70.0)まで水位を低下させながらダム及び貯水池の観測を継続して、試験湛水を終了します。

 

 

 

今週のニュース

 

1.第2回 吉野川流域生態系ネットワーク検討委員会の開催について(吉野川水系 徳島河川国道事務所)

 

○平成27年3月6日、徳島河川国道事務所にて、第2回目の吉野川流域生態系ネットワーク検討委員会が開催されました。

 

○委員会は、吉野川流域(徳島県内) において、河川を拠点とした生態系ネットワークの形成を図り、自然からの恵み豊かな地域づくりを進めるために、

生態系ネットワーク形成の目標や、多様な主体の協働による具体的な事業展開の方策を検討することを目的としています。

第2回の委員会では

(1)目標・基本方針について

(2)プロジェクトについて

(3)今後の検討の進め方及び部会メンバーについてについて検討しました。

 

○吉野川流域における生態系ネットワークを進めていくための目標や基本方針については事務局提示案に対して、今後プロジェクトの話を進める中で新たにもりこむものがあるかもしれないこと

から()は残す形で概ね了解がえら得ました。

 

○プロジェクトについては上流域のプロジェクトの追加、海を含めた水辺のネットワーク形成で目標種にアユカケの追加、身近な水辺のネットワーク形成でシマヒレヨシノボリ、ミナミメダカ等

の目標種の追加、ツルやガンを迎える地域づくりではコウノトリ追加及び外来種対策の追加等の意見が出されました。

 

○また、今後の検討の進め方で来年度から部会を進めること、部会のメンバーの発表を行いました。部会についてはオブザーバー的に両方の部会に出たい等委員の方々の積極的な参加意見が出さ

れました。

 

○今後、プロジェクトの中から3カ年の委員会の中で実現可能なパイロット事業案を事務局側から提示し、来年度から始まる協働参画部会、技術検討部会の中で取り組みメニューや実施方法の検

討を行っていくことになりました。

 

 

2.第2回 土器川総合土砂管理対策技術会議を開催 (土器川水系 香川河川国道事務所)

 

○2月23日()に、丸亀市水防センターにおいて「第2回土器川総合土砂管理対策技術会議」を開催しました。

 

○土器川は全国有数の急流河川であり、河川改修や河川構造物の設置、土砂採取や度重なる出水などにより、川幅と水深のバランスが二極化しており、特殊地質の露出も相まって、上流部での河

床低下の進行や中流部での慢性的な土砂堆積による問題が顕在化してきています。

 

○このような全川にわたる土砂に関する課題に対して、総合的な土砂管理対策を適正に進めるため、香川大学及び国土交通省国土技術政策総合研究所(以下、「国総研」)の助言を得ながら、対策

の取り組みに関する技術的な方向性の確認と、各セクションの取り組み状況の情報共有化を図ることを目的として、昨年度に第1回会議を開催し、今年度2回目となる会議を開催しました。

 

○当日は、香川大学の長谷川修一教授、石塚正秀准教授及び国総研の服部敦室長に出席頂き、午前中に事務所担当者とマイクロバスにて課題のある箇所を上流から下流に移動しながら視察し、午

後から垂水地区防災ステーション内の丸亀市水防センターで約2時間半の会議を行い、活発な議論を交わしました。

 

○今後は、本会議で頂いたアドバイス等を参考に、より効果的・効率的な総合土砂管理対策を推進していきます。

 

 

 

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          TEL 087-851-8061(代)マイクロ88-3522(岡林)mailto:skr-rivers-news@mlit.go.jp

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