********************************************************

四国河川ニュース

11/29(土)〜12/12()647

********************************************************

2014.12.15発行】

 

○四国・水こぼれ話談話室Vol.282

○「効果の見える治水事業」高知県 十市前浜海岸高潮対策事業 中央東土木事務所長 中島 俊彦

○「効果の見える治水事業」高知県 南国市における地震・津波対策 南国市長 橋詰 壽人

 

 

○今週のニュース

○「つるシンポジウムin四万十」を開催しました (渡川水系 中村河川国道事務所)

○「H26.11.29 インフラツーリズム」の催行 (肱川水系 野村ダム管理所)

 

 

四国・水こぼれ話談話室Vol.282

 

1.「効果の見える治水事業」高知県 十市前浜海岸高潮対策事業 中央東土木事務所長 中島 俊彦

 

<地域の概要>

○本海岸は、高知県の中央部に位置し、東は1級河川物部川から西は重要港湾高知港(新港)までの約8kmの砂浜海岸であり、沿岸は稲作とともに全国でも有数なハウス園芸地帯として展開されています。

 

○また、高知龍馬空港と高知港を結ぶ県道春野赤岡線の沿道には、複数の産業団地が整備され、多くの企業が進出しており、産業密度が高く、本県の産業経済上、重要な地域です。

 

○一方、昭和21年の南海地震では、大きな揺れと地盤沈下により甚大な被害を受けていること、今後30年以内の南海トラフ地震の発生確率が70%程度と切迫していることから早急な地震対策が必要な地域です。

 

<高潮対策事業の概要>

○平成25年度より、本海岸のうち4.7km区間を県事業区間(残区間は、直轄事業)として、高潮対策事業に着手しました。まず、設計津波の水位の設定にあたっては、本海岸を含む高知市から香南市について南国香南地域海岸として位置づけ、レベル1地震については、2003年中央防災会議公表モデル(東南海・南海地震2連動)として設計津波水位を8.0mとしています。(レベル2:14.2m)

 

○堤防の設計にあたっては、FLIPによる耐震性能評価の結果、現堤防が液状化により大きな変位が発生しないことが判明したため、地震発生後の広域地盤沈降や液状化による沈降に対し、現堤防高が設計津波水位以上を満足する計画高としています。

 

○現在、約1.5km区間の堤防補強等の工事を実施していますが、地域の方々の理解と協力もあり、原則、既存の陸閘は撤去することとし、代替施設として坂路や階段を設置して、これまでの利便性等を損なわないような工夫も行っています。

 

 

2.「効果の見える治水事業」高知県 南国市における地震・津波対策 南国市長 橋詰 壽人

 

<南国市の概要>

○本市は、高知県の中央部、一級河川物部川の下流域に位置し、古くは約1300年前、律令時代に国府が置かれ、土佐の政治経済の中心地として栄えました。国司として赴任した紀貫之が任を終え、帰京する際の心情を綴ったのが、かの有名な「土佐日記」です。そして戦国時代には、長宗我部元親が岡豊城を本拠地として土佐を平定するなど、豊かな自然とともに歴史資源が数多く残る「土佐のまほろば」です。

 

○また、高知自動車道南国I.C・高知龍馬空港を有し、高知新港に隣接するなど優れたアクセス機能を持っているため、高知県の交通拠点となっています。

 

○産業は製造業とともに、土佐の稲作発祥の地として営まれてきた農業が盛んであり、高知平野に水田が広がる田園都市であり、高知大学医学部・農学部、高知工業高等専門学校が立地する学園都市でもあります。

 

○全国各地と結ぶ高知の玄関都市として、企業誘致による新産業拠点・スポーツ・文化・教育・研究などの交流拠点を整備するとともに、環境に優しく、災害に強い安全安心なまちづくりを目指しています。

 

<防災への取り組み>

○高知龍馬空港が位置する物部川河口付近には、かつて小高い山がありました。それは度重なる大地震の津波から民の命を救ったことにより、いつしか「命山・宝山」と呼ばれるようになったと云われています。その命山が失われた現代においては、住民の命を守る術として、官民一体となった人づくり・地域づくりのソフトとハードの両対策を推進し、防災・減災に向けた取り組みを進めてまいりました。

 

○しかしながら、平成23年3月11日に発生した東日本大震災による甚大な津波被害は、本市の津波避難を始めとする南海地震対策の抜本的な見直しを浮き彫りにしました。加えて国及び県の新たな南海トラフ巨大地震の津波高等推計や津波浸水予測の公表は、緊急避難場所を確保するという最優先に取り組まなければならない喫緊の課題となりました。

 

○こうした中、平成24年1月、本市では概ね5分程度の避難完了を目指した「命山構想」を立ち上げ、沿岸部の緊急避難場所の整備に取り組みました。これには国及び県の手厚い財政支援もあり、平成26年3月末には計画どおり津波避難タワー14基を一斉に完成することができました。

 

○今後も職員ひとり一人が「住民の生命、身体及び財産を守る」という強い意志を共有しながら、現在の命山の整備に努め、防災・減災に向けてまい進してまいります。

 

<十市前浜海岸高潮対策事業への期待>

○近い将来、高知県沿岸部には人命や財産を脅かす巨大な津波が襲来します。前述しましたように、本市には高知龍馬空港など本県の交通拠点である施設が立地しているため、沿岸部全域での迅速な取り組みについては感謝申し上げるところです。

 

○また、津波避難タワーなど緊急避難場所の整備に一定の目途がたったとはいえ、レベル1津波に対する防潮堤の強靭化対策については、多重の減災対策として大変有効な施策であると考えています。本市におきましても、レベル1・レベル2津波を問わず、住民とともに迅速な避難に向けての訓練を継続してまいりますが、この事業の実施自体が沿岸住民に対して、より一層の安全安心を付与していることはいうまでもないことであり、事業の早期完成を願うものであります。

 

 

 

今週のニュース

 

1.「つるシンポジウムin四万十」を開催しました(渡川水系 中村河川国道事務所)

 

○高知県四万十市中筋川流域では、地域住民と行政が協力し、湿地や水辺の希少な野生動植物の保全を目的とし、ツル類の渡来地としての湿地環境整備を行っています。

 

○この度、西日本地域でツルやコウノトリの保護を行っている方々、地元で自然保護に取り組んでおられる方々をお招きし、11月28日に「つるシンポジウムin四万十 −環境、学び、集い、産業。ツルがもたらす地域の発展−」を四万十市で開催しました。ツル保護の住民団体である「四万十つるの里づくりの会」や地元団体「四万十川自然再生協議会」と中村河川国道事務所、四万十市で構成する、「つるシンポジウムin四万十実行委員会」が主催しました。

 

○当日は地域の住民の皆さんをはじめ、ツル保護や自然環境保全に取り組んでいる方、行政関係者など約180名にご参加頂きました。

 

○シンポジウムでは、国土交通省足立顧問(元四国地方整備局長)の特別講演や、地元NPO法人の神田優氏による基調講演、各地の保護活動の事例紹介、パネルディスカッションが行われ、参加者からは、「自然保護のあり方やツルやコウノトリの保護活動、またそれによる地域の活性化について情報交換し、相互理解を深めることができました。」という感想を頂きました。

 

○翌日29日には、フィールドツアーが実施され、四万十川自然再生事業「ツルの里づくり事業」や、地元住民「四万十つるの里づくりの会」で整備しているツルの越冬地環境整備箇所を巡り、約30名の方にご参加頂きました。

 

○また四万十つるの里づくりの会主催の「第6回 四万十つるの里祭り」も地元中学校で同時開催され、ツルの写真パネル展や地元で採れた野草と有機米を使ったおかゆの無料プレゼントなどが催され、約800名が参加しました。この祭りはツルが飛来してくる地元で毎年行われ今年で6回目となり、着実に地域に根付いてきており、ツルの里づくりへの取り組みが進んでいます。

 

 

2.「H26.11.29 インフラツーリズム」の催行 (肱川水系 野村ダム管理所)

 

○旅南予協議会(事務局:愛媛県南予地方局商工観光室)では、地域の観光資源を発掘し、今までにない旅行商品を販売・検証する取組を行っています。

 

○また、四国地整備局では、社会資本整備への理解を深めて頂く取り組みの環として、旅会社と連携した観光ツアーにインフラ施設学を含めた「※インフラツーリズム」の推進に取り組んでいます。

 

○これを受けて、野村ダム管理所では四国管内で初めてとなる「インフラツーリズム」として、旅南予協議会ツアー(全6コース)の一つに、インフラ施設である『野村ダム」、『南予用水取水塔』と「真穴みかん収穫体験と選果場見学」とセットにした旅行商品として販売して頂き、11月29日に催行されました。(参加者23名)

 

○今回のツアーコース「昭和の愛媛三大事業南予用水・野村ダム見学と日本屈指の真穴ミカン収穫体験と選果場見学」では、野村ダムの他、普段、一般観光客に公開していない南予用水取水塔やJAにしうわ真穴共同選果場の内部見学ができる他、真穴みかんの収穫体験が目玉となっています。

 

○また、昼食は四国有数の酪農の町である西予市野村町にあるミルクをテーマにした施設「農業公園ほわいとファーム」となっています。施設内にあるミルク工房では、ミネラルたっぷりの新鮮な牛乳づくりからアイスクリーム・ヨーグルトなどの乳製品を生産しており、その様子を見学することができるほか、特産品販売施設では乳製品はもちろん、手作りクッキーや牛のキャラクターグッズなども販売されています。

 

○野村ダム管理所では、インフラツーリズムを通じて、流域内外の交流はもとより地域の活性化が図られれば幸いと考えています。今後とも引き続き、地域と連携したダム管理の目標の一つとして、インフラツーリズムに取り組んでいく所存です。

 

※インフラツーリズム

  ・世界に誇るべき土木技術や優れた性能を有する土木構造物な ど、特徴あるインフラ施設を観光資源として活用するものです。

 

 

 

 「四国河川ニュース」に関するご意見、ご要望や四国の河川についての資料の要求、また河川に関するニュースなどがありましたら、以下までご連絡をお願いいたします。

 

 

  ■連絡先■  四国地方整備局 河川部  河川管理課 洪水予測専門官  岡林 福好

          760-8554 高松市サンポート3番33号

          TEL 087-851-8061(代)マイクロ88-3522(岡林) mailto:rivers-news@skr.mlit.go.jp

          FAX 087-811-8417(河川計画課)

  ────────────────────────────────────────── 

       四国地方整備局 ホームページURL(河川)

          http://www.skr.mlit.go.jp/kasen/index.html

         四国地方整備局 ホームページURL(四国河川ニュース)

               http://www.skr.mlit.go.jp/kasen/topics/news/news.html