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四国河川ニュース

8/9(土)〜8/22()639

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2014.8.25発行】

 

 

○四国・水こぼれ話談話室Vol.274

○「効果の見える治水事業」高知県 永瀬ダム統合河川環境整備事業 中央東土木事務所 永瀬ダム管理事務所長 乾 隆重

○「初夏のやすらぎ:しばてんと遊ぼう!」 香美市長 法光院 晶一

 

 

○今週のニュース

○「吉野川水系今切川における長期放置船舶に係る簡易代執行」を実施 (吉野川水系 徳島河川国道事務所)

○「クリーン大作戦」を実施  (肱川水系 野村ダム管理所)

○「エンツァイ(中国野菜)」の植生会  (肱川水系 野村ダム管理所)

○「森と湖に親しむ旬間クロッケー大会」の開催  (肱川水系 野村ダム管理所)

○「水生生物調査」を実施  (肱川水系 野村ダム管理所)

○「野村ダム見学会」を実施  (肱川水系 野村ダム管理所)

 

 

四国・水こぼれ話談話室Vol.274

 

1.「効果の見える治水事業」高知県 永瀬ダム統合河川環境整備事業 中央東土木事務所 永瀬ダム管理事務所長 乾 隆重

 

<事業の背景>

○永瀬ダムのある物部川の上流域は、平成5年に発生した約500haに及ぶ山林火災による山肌の露出や、平成16年、平成17年の台風等の豪雨に伴う広域的な山腹崩壊により、中小の降雨でも濁水が発生するようになりました。

 

○特に平成16年には、永瀬ダムにおいて濁度15度以上の日が年間100日以上記録し、濁水が下流に長期間流出したことにより社会的な問題となりました。

 

○このため、平成17年に学識経験者や国、県などからなる「物部川濁水対策検討会」を組織し、物部川の濁水減少への対策について、流域対策および貯水池対策の技術検討を行うこととなりました。

 

○そこで、貯水池対策のひとつとして、統合河川環境整備事業によりダム湖内に分画フェンスを設置することとなり、平成25年に設置が完成しました。

 

<統合河川環境整備事業で整備した濁水対策分画フェンスの目的>

○分画フェンスの設計に際しては、事前に湖内の濁度シミュレーションを実施し、経済的かつ最も効果のある位置を検討した結果、ダムの上流250mの地点に設置しました。永瀬ダムは、洪水時にクレストゲート及び高圧バルブにより放流を実施していますので、フェンスによる流動制御の効果によって濁水塊を一度、下層に導くことで濁水の早期排出の効果を高めることとしました。

 

○また、高知県公営企業局が管理する発電取水口において実施している選択取水による対策も、分画フェンスの設置により、濁水の排出効果を更に高めることにしています。

 

<濁水対策分画フェンスの効果>

○分画フェンス完成後の平成25年9月に累積雨量257mm、時間最大雨量24mmの降雨がありましたので、効果の検証を実施しました。放流初期(出水1日後)では、フェンス上流側で濁度の低い層が表層付近に広がり、分画フェンスによって高濁度層が下方に押し下げられて、そのままゲート放流及びバルブ放流位置に移動し、排出されていました。また、放流末期(出水5日後)では、表層からフェンスの設置深度付近まで濁度が低下しており、早期に濁水が軽減されていることが確認できました。

 

○この現象は分画フェンスを境にして上流側表層が清浄な様子、下流表層で濁度が高い様子が目視で充分に確認できる状態であり、このことは、設置前の予測シミュレーションとほぼ一致するものとなっており、分画フェンスの設置は、永瀬ダム貯水池及び下流域の濁水対策に一定の成果を得ることができたと考えています。

 

 

2.「初夏のやすらぎ:しばてんと遊ぼう!」 香美市長 法光院 晶一

 

○香美市には民間信仰である「いざなぎ流」が伝承され、昨今の陰陽師ブームもあって研究者や若い方の間では関心をよんでいます。その香美市は、高知県最大の平野である高知平野にあり、この地方は、弥生時代から人々が定住し、米作りがされ、飛鳥時代には、古代豪族である物部氏(ものべうじ)の勢力圏下であったともいわれています。

 

○平安時代には「土佐日記」の作者、紀貫之(きのつらゆき)が国府として治め、都への官道がありました。その後、江戸時代には土佐藩の家老、野中兼山(のなかけんざん)によって物部川からの用水路が積極的に整備され、現在の農業基盤が築かれました。その当時は舟運としても 盛んに使われ水路沿には宿場も栄えました。

 

○さて、近年の物部川は、林地の荒廃などさまざまな要因により汚濁が進んでいます。でも物部川は私たちの宝であり、誇りであることに変わりはありません。

 

○清流物部川を取戻し、かつて物部川で「川ガキ」(絶滅危惧種:1日中川での遊びを満喫できる、知恵と技術を持った子どもたち)と「しばてん」(この地域に伝わる河童のような妖怪)が戯れた伝説が今によみがえることを願わずにいられません。         

 

○物部川の自然や神話、魅力を全国に発信するためにも、関係者が力を合わせ環境整備、汚濁対策を前進させたいと考えていますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 

 

 

今週のニュース

 

1.「吉野川水系今切川における長期放置船舶に係る簡易代執行」を実施 (吉野川水系 徳島河川国道事務所)

 

○平成26年8月7日(木) 徳島市川内町中島地先 において、長期放置船舶の簡易代執行を実施しました。

 

○これは、吉野川水系今切川における所有者情報不明の長期放置船舶3隻(FRP船)の撤去保管を、河川法75条及び、行政代執行法に基づき行いました。所有者情報不明の船舶は、緊急時の措置やトラブルの是正等の指示をすることが出来ないなど、河川管理上の支障が大きいため、簡易代執行の手続きをとったものです。

 

○当日は午前9時30分より執行責任者の撤去作業開始宣言のあと、現地の放置船舶3隻を順次作業場所において積み込み、保管場所(百石須資材置き場:徳島県板野郡北島町高房字百庵ノ前)への移動及び保管を行い、午前10時30分に撤去作業を終了しました。

 

○今後半年間保管し、所有者が引き取りにこない場合は適正に処分を行う予定です。

 

○徳島河川国道事務所は、今後も適正な河川管理を行って行きたいと考えております。

 

 

2.「クリーン大作戦」を実施 (肱川水系 野村ダム管理所)

 

○国土交通省及び林野庁では、森やダム等の重要性について理解を深めていただくことを目的に、毎年7月21〜31日を「森と湖に親しむ旬間」として定めていますが、その取り組みに先立ち、西予市宇和町明間地区において、「クリーン大作戦パート2」を実施しました。

 

○大作戦は、明間小学校の生徒主催による清掃活動で、環境を守るために自分にできることは何かを考え、進んで取り組もうとする積極的な態度を身につけるとともに、清掃活動を通して明間を流れる宇和川との関わりを考え、川や環境を大切にしようとする気持ちを持つために、毎年この時期に実施しています。

 

○大作戦の実施にあたっては、生徒を3班に班別し、上流側・下流側の2手に分かれて、宇和川の河原に堆積しているゴミを拾いました。今年は、例年に比べてゴミが少し増えており、プラスチックゴミや空き缶、釣りの疑似餌など、1時間程度で2t車に2台分を回収しました。

 

○当日は、蒸し暑い日でしたが、小学生と力を合わせて作業を滞り無く進めることができました。

 

○野村ダム管理所では、今後とも引き続き、地域の皆様方にご協力をいただきながら、地域と連携したダム管理に努めて行く所存です。

 

 

3.「エンツァイ(中国野菜)」の植生会 (肱川水系 野村ダム管理所)

 

○富栄養化の原因物質である窒素やリンを吸収して育つ「エンツァイ(中国野菜)」を7月22日に植え付けました。今年は、去年と比べ苗が大きく、根から先端まで約30cmあり、元気なエンツァイを植生することが出来ました。

 

○エンツァイの植え付けは、地元の活動団体の発案で、平成16年から実施しており、今年で11年目となります。当日は、梅雨明け直後で、少し蒸し暑かったですが、地元の活動団体をはじめ約30名の方が参加され、ダム周辺の竹で造った筏(10隻)に約500株の苗を植え付け、ダム湖に浮かべました。

 

○参加された方の中には、初めて参加していただいた方もおり、エンツァイが食べられると言うことがあまり知られていませんでした。エンツァイは、少し苦みがありますが、葉を多めの油で炒めて醤油などで味付けするとおいしく、他にも白和えやだし巻き卵、スパゲティなどとバリエーションも幅広く、さらに血糖値も下げる効果もあります。

 

○エンツァイ植え付けにより、「水をきれいにしよう」という流域の方々の意識啓発につながれば幸いと考えており、次年度以降も継続して実施する予定ですので、機会があれば、是非、ご参加されるようお願いします。

 

 

4.「森と湖に親しむ旬間クロッケー大会」の開催 (肱川水系 野村ダム管理所)

 

○野村ダムの水源地と受益地住民の交流を図り、水源地と環境保全への意識向上に資することを目的とした「森と湖に親しむ旬間クロッケー大会」が、7月25日(金)に八幡浜市の運動公園にて開催されました。

 

○この大会は、国土交通省及び林野庁が森やダム等の重要性について理解を深めていただくことを目的として、毎年7月21〜31日の「森と湖に親しむ旬間」における取り組みの一環として、平成16年度より開催しており、今年で11回目となります。

 

○大会は、野村ダムの水資源に関係する3市1町(西予市、宇和島市、八幡浜市、伊方町)の老人クラブの方が一同に会し、健康増進と親睦を深め合う場となっており、今年は昨年と同様に56チ ーム(約240人)が参加しました。

 

○当日は、太平洋高気圧の影響で、本格的な夏を迎え大変暑かったのですが、参加者の皆様方は、暑さを感じさせないほど元気一杯で試合に臨んでいました。

 

○競技方法は、予選が8ブロックに分けての総当たり戦で、決勝が各ブロック勝者によるトーナメント方式であり、野村ダム管理所も2日ほど練習をして試合に挑みましたが、1勝することがやっとでした。やはり、日々の練習がものを言うと痛感させられました。

 

○野村ダム管理所では、今後も引き続き、このような地元の交流を支援し、地域と連携したダム管理に努めて行く所存です。

 

 

5.「水生生物調査」を実施 (肱川水系 野村ダム管理所)

 

○野村ダムでは平成26年7月25日(金)に、「森と湖に親しむ旬間」の取り組みの一つとして、ダム湖流入部付近の西予市宇和町明間(昭和橋付近)において水生生物調査を実施しました。この調査は、川にすむ生物を観察し、その生物指標から川のきれいさを調べるもので、今年で28回目となります。

 

○当日は、西予市内の小学生や保護者10人が参加し、この調査のアドバイザーとして参加されている河野先生(元中学校教諭)と一緒に川底の石に付着した生き物を採取しました。

 

○「ややきれいな水(水質階級2)」の指標生物であるシロタニカワカゲロウやキイロカワカゲロウが多く、この他に同じ水質階級のマシジミ、カワニナ等が捕れました。

 

○参加された児童らは、河野先生の生き物の説明〔ゲンジボタルの幼虫についての説明の他、水生生物調査の結果など〕を、熱心に聞いていました。また、参加者した児童からは「楽しい。」という感想も聞こえ、河川の水質に興味を持っていただいく、きっかけになれたのではないかと思います。

 

○今回調査に参加された児童らは、自分の生活を通して、きれいな川になるよう普段から心掛けていただけると信じています。

 

○本調査は、次年度以降も引き続き、森と湖に親しむ旬間のイベントの一つとして、河川環境に関心を持っていただくため、実施して行きますので、よろしくお願いします。

 

 

6.「野村ダム見学会」を実施 (肱川水系 野村ダム管理所)

 

○野村ダム管理所では、申し込みがあれば適宜、「ダム見学会」を開催していますが、「森と湖に親しむ旬間」における取り組みの一環として、地域住民の方に野村ダムの役割や重要性を理解していただくことを目的として、7月28日(月)〜29日(火)の2日間にかけて、午前・午後の2回づつ見学会を開催しました。

 

○見学会では、はじめに野村ダム建設の経緯、ダムの役割や機能を簡単に説明した後、ダム操作室→コンジットゲート室→ジェットフローゲート室→ダム天端の順に案内し、機器類やゲートの放流能力などについて、見学者に説明していきました。

 

○見学者からは、「ダムの中は涼しいですね。」、「ゲートってこんなに大きいんだ。」などの感想が出されたり、見学記念に写真撮影をされる方もいました。また、ジェットフローゲート室を出てすぐの広場では、ダムを間近で見ることができ、子ども達からは「大きい!」、「すごい!」と歓声が沸き上がりました。

 

○また、見学者の中には今年でダム見学が3回目だという児童もおり、野村ダムについてはすっかりベテランになっていました。

 

○旬間期間中のダム見学者は、全4回で52名の参加があり、昨年(41名)に比べて増えており、ダムに興味を持っていただいることが分かりました。見学された方は、みなさん満足されている様子でした。次年度には、見学者数がさらに増えるよう見学内容や広報手法を見直し実施したいと考えています。

 

 

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