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四国河川ニュース

10/12(土)〜10/25()618

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2013.10.28発行】

 

○四国・水こぼれ話談話室Vol.254

○「愛媛県 大込(おおごみ)地区災害関連緊急急傾斜地崩壊対策事業(喜多郡内子町)〜生命・財産を守る土砂災害防止施設〜」 愛媛県南予地方局大洲土木事務所長 桐山 正勝

○「土砂災害から命を守る取り組み」 内子町長 稲本 隆壽

 

 

 

○今週のニュース

○「第3回開発霞ワークショップ」を開催 (重信川水系 松山河川国道事務所)

○「第1回土器川総合土砂管理対策技術会議」を開催 (土器川水系 香川河川国道事務所)

○「重信川クリーン大作戦(清掃活動)」を開催 (重信川水系 松山河川国道事務所)

 

 

 

 

四国・水こぼれ話談話室Vol.254

 

1.「愛媛県 大込(おおごみ)地区災害関連緊急急傾斜地崩壊対策事業(喜多郡内子町)〜生命・財産を守る土砂災害防止施設〜」 愛媛県南予地方局大洲土木事務所長 桐山 正勝

 

■箇所の概要

○当地区(大込地区)は、愛媛県中央部の内子町と砥部町との町境に位置した山間部の集落です。

 

○急傾斜地崩壊危険箇所(ランク1)である当該箇所は、平成23年9月20日に来襲した台風15号の影響により、人家背後の斜面が崩壊し、人家1戸が全壊、2戸が一部破損の被害を受けました。被害を受けた家屋等の住民は、地元で指定した近隣の避難場所(集会所)に自主避難をしていたため、幸い人的被害はありませんでした。

 

■事業の概要

○愛媛県では、放置すれば次期降雨等により被害が拡大するおそれがあることから、災害関連緊急急傾斜地崩壊対策事業を申請し、斜面崩壊を防止するための吹付法枠工や植生基材吹付工等の早期斜面対策に努め、平成25年8月に完成しました。

 

○今回の災害関連緊急急傾斜地崩壊対策事業では、崩壊が発生した斜面対策のみであるため、地区全体の土砂災害防止対策として、急傾斜地崩壊対策事業も一体で事業化し、平成27年度の完成に向けた整備を進めているところです。

 

○本事業の完成により、地域住民の生命・財産の保全に寄与するものと考えています。

 

■事業内容

○施工位置:愛媛県喜多郡内子町臼杵

○事業期間:平成23年度

○事業費 :14,600千円

○工事内容:施工延長L=21.8m、吹付法枠工A=328m2、植生基材吹付工A=130m2

 

 

2.「土砂災害から命を守る取り組み」内子町長 稲本 隆壽

 

○内子町は愛媛県のほぼ中央に位置し、県都松山市から南西約40kmの地点にあります。町土の大半を山林が占める中山間地域で、土砂災害危険箇所も多数存在しています。平成17年1月の合併時の人口は約2万人でしたが、少子高齢化の進行や若年層の流出などによって、現在までに約1割にあたる2千人程度が減少しております。特に土砂災害危険箇所が多い山間集落では、急速に高齢化が進み、限界集落も多数存在していることから、災害時の避難、誘導にも時間や労力を要するなど、大変苦慮する事が考えられます。このため災害から住民の命を守る取り組みが極めて重要な課題となっています。

 

○内子町ではこのような状況から、ハ−ド・ソフトともに防災事業を推進しています。ハ−ド面においては、土砂災害の中でも発生頻度が高い「がけ崩れ」について、従来からの補助事業に加え、町独自で「がけ崩れ防災対策事業費補助金」制度を創設して、補助事業の対象にならない箇所についても、被害の危険性がある箇所は対策を進めています。

 

○また、ソフト面では消防や各自治会の自主防災組織等、関係機関との連携のもと、防災訓練や防災教育を定期的に行い、住民の防災意識の向上や避難態勢の整備強化に努めているところです。

 

○今回、事例紹介された大込地区においては、平成23年9月の台風第15号による集中豪雨で、がけ崩れが発生し、家屋全壊1棟、一部損壊2棟の被害が発生しましたが、幸いにも人的被害はありませんでした。住人は土砂災害に不安を感じ、近所と声を掛け合いながら、災害発生前に自主的に近くの避難場所に避難をしておりました。この的確な判断によって、人的被害が免れたことは大きな教訓です。町民一人一人が防災について考え、避難勧告や指示が出ていなくても、不安や危険を感じたら、地域で声を掛け合いながら、早めに自主的な避難行動がとれる町になって欲しいと考えています。幸い内子町では、各自治会の自主防災組織率が100%となっています。今後も地域の絆による共助によって、災害から命を守る取り組みに努めて頂きたいと考えています。

 

○なお、当大込地区については、被災後、国、県のご尽力により、「災害関連緊急急傾斜地崩壊対策事業」にて緊急対策を実施して頂き、早期に被災者の安全並びに生活再建が確保できた事を厚くお礼申し上げます。また、継続して「急傾斜地崩壊対策事業」にて地区全体の対策を進めていただける事に感謝しております。

 

○内子町におきましても、今後もハード・ソフトの両輪で、官民一体となって土砂災害から命を守る取り組みを進めていきたいと考えておりますので、国、県ご当局におかれましても、引き続きのご支援、ご協力をよろしくお願い致します。

 

 

 

今週のニュース

 

1.「第3回開発霞ワークショップ」を開催 (重信川水系 松山河川国道事務所)

 

○10月9日(水)に、東温市役所において、東温市上村地区(重信川開発霞)の自然環境復元に向けた計画づくりを議論する「第3回開発霞ワークショップ」を開催しました。

 

○「開発霞ワークショップ」は、重信川開発霞において、自然環境の保全・再生に向けた計画設計・施工・モニタリング・維持管理等に関する検討を行い、具体的な計画づくりを行うことを目的に学識者4名、公募メンバー15名(NPO・学校関係・地元住民等)、オブザーバーとして行政関係者4名の合計23名で構成されているものです。

 

○今回ワークショップは、1班4〜5名で3班により議論を進め、各班の発表を受けて、ファシリテーターの愛媛大学二神透准教授からとりまとめがありました。

 

○重要課題である「(1)水の確保」について、上流に取水井戸を設けて自然流下により新たに設ける泉に湧水させることで合意されましたが、泉とそこから本川まで繋ぐ小川の詳細な構造については、目標とする保全対象生物の生態を踏まえ、次回再検討を行うことになりました。

 

○「(2)開発霞自然再生の整備内容(ゾーン区分)」については、概ね合意を得ましたが、人の利用と生物の利用の両方を考え整備を検討することが必要。

 

○「(3)保全、再生対象生物」については、大(いつか戻ってくることを期待する種)、中(20年程度で戻ってくることを期待する種)、小(3年程度で戻ってくる生物)。目標については、現状の生息状況を踏まえて様々な意見が出されたことから、学識者の意見を個別に確認した上で再整理することになりました。

 

○その他、子供からお年寄りまで幅広い方々が利用できるようバリアフリー構造とする、メンテナンス(維持管理)し易い設計とする、目玉となる花・木を植える、セイタカアワダチソウやクレソン等の外来種が入りにくくする構造を検討するなどなどの意見がありました。

 

○次回は保全・再生対象生物を踏まえた整備内容を確定するとともに、維持管理や利活用についても議論を行う予定です。

 

 

 

2.「第1回土器川総合土砂管理対策技術会議」を開催 (土器川水系 香川河川国道事務所)

 

○土器川の直轄管理区間上流部では河床低下が進行し、平成16年10月の出水では橋梁の橋脚基礎の露出や床固の護床ブロックの流失等の被害が発生しています。一方、中流部では土砂堆積による疎通能力の低下も発生し対策が必要となっています。

 

○このような全川にわたる土砂に関する課題に対し、土器川総合土砂管理対策を適正に進めるため、『第1回土器川総合土砂管理対策技術会議』を開催しました。

 

○10月24日(木)に開催した第1回会議では、香川大学から石塚准教授、国土交通省国土技術政策総合研究所河川研究室から福島主任研究官を招き、助言を頂きながら、香川河川国道事務所の土器川担当者(計画、工事、管理)が一同に会し、各セクションの取り組みに関する情報の共有化を図りました。

 

○当日は、台風27号及び前線による降雨が心配されましたが、河床低下の進む直轄管理区間上流部を視察し、午後の会議形式においては現状の認識及び今後の進め方等について議論を行いました。現場や会議では、現在行っている河床低下進行予防の実験工事やモニタリング等に関する知見を持ちより、課題認識と対策に関する方向性の確認を行いました。

 

○会議を踏まえ実験工事エリアの追加と低水路置土の組み合わせにより対策を進めることとし、河床の変動状況を把握しつつ、総合土砂管理対策を適正に進められるよう情報交換を継続して行い、総合土砂管理についてブラッシュアップして参りたいと思います。

 

 

 

3.「重信川クリーン大作戦(清掃活動)」を開催 (重信川水系 松山河川国道事務所)

 

○前日から雨が降り開催が危ぶまれたくもり空の10月19日(土)に、「重信川の自然をはぐくむ会」の主催による15回目の「重信川クリーン大作戦(清掃活動)」が行われました。

 

○「重信川クリーン大作戦」は、平成17年1月に重信川エコリーダー(大学生サークル)の呼びかけにより開催され、年に2回(6月、10月)継続的に実施されています。

 

○清掃場所は、下流左岸(松前町:重信川河口)、中流右岸(松山市:重信橋周辺及び自然再生事業で取り組んだ広瀬霞)、上流左岸(東温市:拝志大橋周辺)の3箇所で、今回約560名の参加があり、ゴミは「可燃」「不燃」「粗大」に分別され、合計約300袋を収集しました。その中には、古タイヤ、チューブ、トタン板、ゴルフクラブ、鉄パイプ、ポリタンク、手押し車等の不法投棄もありました。

 

○下流では愛媛県立伊予農業高校希少植物群保全プロジェクトチームの生徒、中流では松山市立南第二中学校ソフトテニス部の生徒、上流は愛媛県立東温高校の生徒など多くの子供たちにも参加頂いています。また、中流では、重信川の自然をはぐくむ会10周年を記念して、「はぐくむ会10年」の人文字をつくり写真撮影を行い、その後の清掃の中で、自然再生事業により再生した松原泉及び小川に生育する外来種(オランダガラシ、アマゾントチカガミ等)の除去も実施しました。

 

○清掃後は周辺がゴミひとつないきれいな重信川になりました。ゴミを捨てない、ゴミがあれば拾う精神を一人一人が実行し、ゴミひとつない重信川の河川環境が引き継がれていかれればと思っています。

 

 

 

 

 

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