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四国河川ニュース

9/14(土)〜10/4()616

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2013.10.7発行】

 

 

○四国・水こぼれ話談話室Vol.252

○「徳島県南部における地震津波対策 〜避難時間の確保を目指した地震津波対策〜」 徳島県南部総合県民局(美波庁舎)県土整備部 副部長 高橋 正夫

○「我町の地震・津波対策」 海陽町長 五軒家 憲次

 

 

○今週のニュース

○重信川で小学生が「水生生物による水質の簡易調査」を実施 (重信川水系 松山河川国道事務所)

○「野村中学校環境教育体験学習会」の開催 (肱川水系 野村ダム管理所)

 

 

 

四国・水こぼれ話談話室Vol.252

 

1.「徳島県南部における地震津波対策 〜避難時間の確保を目指した地震津波対策〜」 徳島県南部総合県民局(美波庁舎)県土整備部 副部長 高橋 正夫

 

★お詫び:高橋副部長の「タカ」の字は、機種により表示しないおそれがあったため、変更させていただきました。★

 

○徳島県南部総合県民局(美波庁舎)は、高知県に隣接する徳島県南部の3町(面積:約5万ha,人口:約5万人)を所管し、太平洋に面した海部灘沿岸の約142km(海岸保全区域約35km)を管理しております。この地域は、過去に襲来した津波の痕跡・史跡・文献等が多く残されており、また、近年では平成22年のチリ津波や、平成23年の東日本大震災による津波で、船舶が流されるなどの被害が発生している津波襲来地です。

 

○徳島県では、県民の皆様の生命を守るために、「南海トラフの巨大地震」や「活断層地震」に備え「死者0(ゼロ)を目指す」ことを基本理念として、ハード・ソフト対策を推進しており、平成25年3月29日に、南海トラフの地震津波の影響を受ける地域では初めて県全体の「設計津波(L1津波)の水位」を公表しました。

 

○美波庁舎管内においては、『設計津波の水位』が高く、施設整備に時間を要するため、段階的な対策を行う方針を打ち立て、まずは津波避難所までの避難時間を考慮した『避難時間の確保』のための整備を行うこととしております。

 

○今後は、迫り来る「南海トラフの巨大地震」を迎え撃つため、早期に効果発現できる段階的な堤防整備や、「率先避難の啓発」などのソフト対策を推進し、「南海トラフの巨大地震」による「死者0(ゼロ)」の実現を目指し取り組んでいきたいと考えております。

 

 

2.「我町の地震・津波対策」 海陽町長 五軒家 憲次

 

○毎年何回となく自然の脅威に神経をとがらせるも、自然の威力の前には、人の無力さ、人智の限界を思い知らされている。

 

○平成7年1月17日阪神大震災では安全神話が消え、平成23年3月11日の東日本大震災は、地震、津波、政治の限界、曖昧との議論が百出した。地震発生の日時、場所、規模の三要素唯今予測不可能。茶の間で天気予報と同様に地震予報の聞けること何時か。その道は開かれるのか、日暮れて道遠し・・・

 

○我町、特に浅川地区(V字型港湾内の集落)は白鳳地震(684年M8.4)から8回津波に襲われた歴史・記録があり、昭和21年12月21日未明の南海地震津波では85名が亡くなり、集落は全滅、県下一の被災地であった。

 

○自分は当時8歳、小学校2年生、修羅場の映像だけは子供の脳裏に焼き付いた。

 

○昭和59年村上仁士先生(現徳島大学名誉教授)との出会いが津波対策を町の大黒柱にすべき決定打となった。先生のご指導により、一歩一歩、ハード・ソフト両面から進め、唯今も進行形である。一期一会の大切さをしみじみとかみしめている。

 

○30有余年取組んだ主課題、ソフト面は避難訓練等毎年積み重ねている。ハード面は平成10年に完成した「まぜのおか」、平常時は、親子・グループの絆の場、車の宿屋であるが、「事」が起これば避難場所に(H=25m前後高台、体育館、温水プール、コテージ12戸、テント、毛布完備等)

 

○平成15年には町立病院の高台移転(H=8.4m)、平成18年には命の堤防が完成し(次の南海地震津波M8.0前後に耐える構造)、そして、平成22年に我町の防災の司令塔、県立南部防災館が設置された。この完成によりハード面の防災対応の第一ラウンドは曲がりながらも、浅川地区は節目をクリアーしたと納得したが、翌年3月11日三陸沖の地震津波により再スタートとなる。

 

○平行して平成22年には、国により我町沖合に波浪計(GPS)設置。平成24年度より地震津波観測監視システムの体系化がされつつある。一方陸上道路は海岸線を走る国道55号一本、迂回路はなく、荒天時は通行止め。本年悲願達成、第二国道の調査区間に決定された。命の道の第一歩を町民挙げて喜び、引き続き事業化を切望している。しかしながら他力本願に全て依存すべきでない、我町でできるものはやるべきとの基本姿勢から、第二国道はトンネル主体、残土処分場を確保し、新道完成時には我町の公共防災施設等を設置すべき構想をもって、住民の命を守る基金条例10億円を6月議会に設定した。

 

○三位一体、三本の矢の流行言を借りれば三本の命の堤である。海(津波)、陸(道路)、山(津波)我町住家は山を背に散在しており、1892年(明治25年)崩壊により47名犠牲者を出した苦い経験がある。三本の堤に向けて奮闘する。

 

○「三つ子の魂百まで」子供に防災教育の徹底を図る。

 

○住民は速く高台に逃げ、公は迅速、的確なる情報周知。これが生命線である。やりすぎた「災害対策はない」「備えてなを憂う」が自然災害に対する行政の基本、臥薪嘗胆を肝に銘じている。

 

 

 

今週のニュース

 

1.重信川で小学生が「水生生物による水質簡易調査」を実施 (重信川水系 松山河川国道事務所)

 

○9月26日(木)に、重信川中流の砥部町高尾田「重信橋」で、松山市立浮穴小学校5年生児童95名が参加して、水生生物と水質パックテストそれぞれで水質簡易調査を実施しました。

 

○調査にあたっては、川越先生にご協力いただき、水生生物は水質によりすむ場所が違うことを説明されました。「きれいな水には、きたない水にすむ生物もすめるが、きたない水にはきれいな水にすむ生物はいない。」

 

○この後、児童たちはザルや網を持ち、上手に捕まえてとのアドバイス(水生生物は、魚に食べられないように石の下や石と石の間にすんでいる)を受けて川に中に飛び出していきました。

 

○前日の31℃の最高気温が27℃となり風も強かったことから少し肌寒い感もありましたが、児童たちは夢中でカワゲラ、ヒラタカゲロウ、コオニヤンマ、ミズムシ、サカマキガイなどの生物を捕獲し、結果として「Iきれいな水」の判定となりました。

 

○水質パックテストを用いた水質の簡易調査も実施し、PHは7.0、CODは4.0、NH4−Nは0.2、DOは8.0、透視度は100cm以上という結果となり、水生生物調査の結果と同様概ねきれいな水の判定となりました。

 

○調査後、児童から「学校外の体験で楽しかった」「見たことのない小さな水生昆虫に驚いた」「きれいな水を汚さないようにしたい」などの感想が聞かれました。  

 

○重信川では今年度浮穴小学校を含め小学校3校、中学校1校の水生生物による水質簡易調査を実施しました。自然環境に関心を持っていただけるよう、貴重な小中学生の河川体験活動を今後も継続して支援していきたいと思います。

 

 

2.「野村中学校環境教育体験学習会」の開催 (肱川水系 野村ダム管理所)

 

○野村ダムでは、今年度より愛媛県立野村中学校からの依頼を受けて、「環境教育体験学習会」を実施しています。

 

○今回は、前回(平成25年6月27日開催)に参加できなかった3年生全員(53名)を対象として、平成25年9月24日に第2回学習会を開催しました。

 

○体験学習の内容は、1)ダムの目的と役割(治水・利水)、2)自然エネルギーの利用(水力発電)、3)流木等の堆肥化(リサイクル)、4)水質浄化(エンツァイ水耕栽培)等、野村ダムで実施している各種取り組みについて説明するとともに、ダムの操作室や堤体内の見学、堆肥化する前の流木に混じったゴミの分別やエンツァイの収穫などを体験してもらいました。

 

○中学生たちは、普段見ることのできないダムの操作室や堤体の中に入ると、興味津々な様子で、ダムのゲートなどを見て「すごい大きい。」と驚いていました。

 

○また、ダムに流れ込んできた流木の分別体験では、「かなり手間のかかる作業で大変」「いろんなゴミが混じっていてビックリした」等の声も聞かれました。

 

○水質浄化の面では、中国野菜のエンツァイを用いた水耕栽培による浄化の仕組みを説明し、その後、実際にエンツァイを収穫してもらいました。また、収穫したエンツァイは、各家庭で料理の材料に使ってもらえるよう、希望する生徒には家に持ち帰ってもらいました。調理レシピも配布したので、おいしい夕食が食べられたことと思います。

 

○当日は、天候には恵まれたものの、非常に短い時間(約2時間)の中に、上記のような盛りだくさんのメニューを詰め込んだため、各々の説明や体験に要する時間が限られてしまい、深く理解してもらうまでには至らなかったと反省しています。

 

○野村ダムでは、この体験学習会を通して、次代を担う若い世代が、将来、少しでも土木技術やダム技術、環境保全等に興味を持つきっかけになれれば幸いと考えており、今後もこのような体験学習の依頼があれば積極的に受け入れを図りたいと考えています。

 

 

 

 

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