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四国河川ニュース

6/22(土)〜6/28()606

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2013.7.1発行】

 

 

○四国・水こぼれ話談話室Vol.245

    ○「香川県別当(べっとう)川総合開発事業(内海(うちのみ)ダム再開発)」 香川県土木部河川砂防課長 阿部 孝雄           

    ○「オリーブライフ小豆島〜煌く海、瞳輝く、実りのまち」 小豆島町長 塩田 幸雄

 

 

○今週のニュース

    ○「自然観察会〜バードウォッチングと巣箱作り体験〜」 (渡川水系 中筋川総合開発工事事務所)

    ○「平成25年度 物部川水防工法講習会」を開催 (物部川水系 高知河川国道事務所)

    ○「平成25年の春渇水を振り替えって〜那賀川の渇水状況〜」 (那賀川水系 那賀川河川事務所)

    ○「第1回開発霞ワークショップ」を開催 (重信川水系 松山河川国道事務所)

    ○「アオコ抑制対策の公開実験」を実施 (肱川水系 野村ダム管理所)

 

 

 

四国・水こぼれ話談話室Vol.245

 

1.「香川県別当(べっとう)川総合開発事業(内海(うちのみ)ダム再開発)」 香川県土木部河川砂防課長 阿部 孝雄

 

○別当川は、小豆島の東南部香川県小豆郡小豆島町に位置し、その源を名勝寒霞渓(神懸山:標高671m)に発し、山間部を南流し、途中小豆島町神懸通、草壁本町を貫流して、小豆郡小豆島町草壁本町地先で内海湾に注ぐ流域面積8.8km2、流路延長4.0kmの二級河川です。

 

○本河川は、急勾配の河川であり、その下流域では、古くから洪水による被害がたびたび発生しています。昭和34年にコンクリートと土石の混成堤である旧内海ダムが完成しましたが、集水面積に比べ洪水調節容量が小さいことから、昭和36年の台風17号により、ダムの上部から越流し、ダム堤体下流の土石部分が流出してしまいました。

 

○昭和49年と51年の降雨では、大雨により川が氾濫し、護岸の被災や住宅の浸水など大きな被害が発生しており、抜本的な治水対策を図る必要があります。

 

○一方で、小豆島町は瀬戸内式気候に属し、降水量が少ないため、たびたび深刻な水不足に見舞われており、水不足の際には緊急的に給水船やため池からの取水に頼るなど、不安定な水源に依存せざるを得ない状況であり、水源の安定化を図る必要があります。

 

○このように治水・利水の両面から早急な対策が望まれており、内海ダム再開発事業を進めてきました。

 

○本事業では「周辺地域の豊かな自然資源と調和のとれた、よりよい景観形成を図る」ため、有識者や地元の代表の方々から構成される「内海ダム景観検討委員会」を設置し、これまで9回にわたる審議を経て、景観や環境に配慮した整備を実施しています。

 

○現地の施工については、平成18年度から工事着手した付替道路は平成23年9月に全線供用開始しました。また、平成21年度から着手したダム本体工事も昨年9月にコンクリート打設が完了し、本年4月24日には竣功式を開催することができました。

 

○今後は、引続き地元の方々のご理解・ご協力を得ながら、残る周辺環境整備等を実施し、平成25年度中の事業完成を目指してまいります。

 

 

 

2.「オリーブライフ小豆島〜煌く海、瞳輝く、実りのまち」 小豆島町長 塩田 幸雄

 

○小豆島町は、瀬戸内海国立公園に浮かぶ小豆島の中央から東に位置し、海と山の美しい自然に恵まれた町です。壺井栄の小説「二十四の瞳」の舞台として、また、日本におけるオリーブ栽培発祥の地として、全国的に知られています。

 

○小豆島町とオリーブの関わりは、明治41年、当時の農商務省が三重、香川(小豆島)、鹿児島の3県を指定して、アメリカから輸入した苗木で試験栽培を行い、小豆島町に植えたオリーブだけが順調に成育し、大正初めには搾油ができるまでになりました。オリーブが健康によいことは医学的にもよく知られており、小豆島町ではオリーブによる健康長寿の島づくりに取り組んでいます。

 

○本年4月26日に長年のオリーブの緑化活動と花いっぱい運動の取り組みが評価され、「みどりの式典」において緑化推進運動功労者として内閣総理大臣から表彰されました。この受賞を契機にオリーブ栽培面積の拡大やオリーブによる健康増進の実現など、オリーブのブランド力の向上を図るとともに、より一層の花づくりをはじめとした緑化活動を推進していきます。

 

○また、「二十四の瞳」の映画撮影時のセットを保存した「二十四の瞳映画村」があり、多くの観光客で賑わっています。その他、日本三大渓谷美に数えられる寒霞渓、18世紀頃に始まり現在も伝承されている農村歌舞伎舞台など、数多くの観光スポットを有しています。

 

○3月20日から開催されている「瀬戸内国際芸術祭2013」では、小豆島の5つの地区(土庄、肥土山・中山、三都半島、醤の郷、福田)において国内外の芸術家が地域資源を活かした作品を展開しています。醤油・佃煮の地場産業が盛んな醤の郷地区で地域資産を生かしたアートプロジェクトを展開し、農村歌舞伎舞台や棚田が広がる中山地区・日本の原風景の残る三都半島で自然と歴史文化を生かした作品が展示されます。また、大阪城築城時からの歴史を有する石材のまちの福田地区ではアジアの芸術家を中心とした作品が展示されるなど、小豆島の魅力を県内外に発信しています。

 

○小豆島の気候は温暖少雨の瀬戸内海式気候であり、年間降水量は1200mm程度で、従来からたびたび水不足に悩まされている一方で、多くの河川は、山間部が急勾配で平野部に出て急に勾配が緩くなるという地形的特長を有しているため、昭和49年災、51年災に代表される台風や集中豪雨による大災害にも見舞われています。

 

○行政に課せられた、「住民の皆さんの生命と財産を守る」という最大の使命をしっかりと果たしていくために、昭和59年度の予備調査開始から数えますと実に30年近くの年月をかけて進められてきました内海ダム建設が4月24日に竣功式を迎えられましたことを、心からよろこんでいます。

 

 

 

今週のニュース

 

1.「自然観察会 〜バードウォッチングと巣箱作り体験〜」 (渡川水系 中筋川総合開発工事事務所)

 

○中筋川ダムでは 、6月12日(水)に宿毛市立咸陽小学校から4年生(36名)を対象に環境学習として自然観察会を行いました。

 

○自然観察会では、午前中に「バードウォッチング」を、午後からは「巣箱作り体験」をしてもらいました。

 

○3年生だった昨年度は、ダム見学とダムの絵写生会に来てくれたので、1年ぶりの再訪となりました。

 

○野生生物環境研究センター所長の澤田氏を講師に迎え、中筋川ダムとその流域で見られる野鳥の生息状況や保護活動について、スライドや写真パネルで紹介し、ときおり鳥の鳴き声をスピーカーから流すと、児童たちは熱心に聴き入っていました。

 

○その後、バスに乗り込み、ダムの上流へ出発。川沿いの細い山道をドンドン進み、バードウォッチング開始地点に到着しました。そこからは鳥の声や姿を探しながら、約40分かけて来た道をゆっくり歩いて戻りました。

 

○鳥の声が聞こえてきた方角に双眼鏡を向けて、その姿を見ようとしましたが、残念ながら、この日はほとんど姿を見つけることはできませんでした。

 

○午後からはダム管理庁舎の敷地内で、小鳥の巣箱作りを体験しました。あらかじめカットされた木材を使って、10箇所ほどをクギ打ちし、裏面は開閉できるように蝶番をネジで取り付けました。友達同士で協力しながら、約1時間で1個ずつの巣箱を完成させることができました。

 

○完成した巣箱は各自が持ち帰り、自宅などの木に取り付けて、鳥たちが使ってくれる様子を観察してくれるとのことです。

 

○中筋川ダムでは、今後もダム見学や児童の写生会など、「地域に開かれたダム」として積極的に取り組んでいきたいと思います。

 

 

 

2.「平成25年度 物部川水防工法講習会」を開催 (物部川水系 高知河川国道事務所)

 

○6月16日(日)、高知県南国市物部地先の物部川右岸河川敷において、国、高知県、南国市、香南市、香美市、南国市消防本部、香美市消防団、岩村分団、香南市消防本部、野市消防団の総勢83名が参加し、水防工法講習会を開催しました。

 

○講習会は、高知河川国道事務所長の挨拶の後、水防工法講習を開始しました。

 

○講習会では、行政機関、香南市消防本部・野市消防団、南国市消防本部・香美市消防団・岩村分団の3班に分かれ、約2時間にわたり水防工法の基本となるロープワークの習得、土のうの作り方、改良積土のう工や月の輪工、木流し工等水防工法の実践などを、7名の防災エキスパートの指導を受けながら実施しました。各参加者は東南海・南海地震や近年の災害発生傾向から防災意識が高まっていることもあり、真剣に訓練に取り組んでいました。

 

○水防工法講習会は、水害被害の軽減や未然防止のための水防技術の習得、指導者の育成、防災意識の向上を目的に、事前に関係機関等と合同で実施することで、本番の水防活動に万全の体制で臨むことを目的としています。

 

 

 

3.「平成25年の春渇水を振り替えって 〜那賀川の渇水状況〜」 (那賀川水系 那賀川河川事務所)

 

○長安口ダムは、徳島県の阿南市、那賀町を流れる那賀川の治水、利水の要として昭和31年に徳島県によって施工され、平成19年4月からは那賀川河川事務所が管理しています。

 

○今年は、長安口ダムの上流域における5月以降の降水量が110mmと、平年の約38%、過去42年間で2番目の少雨を記録し、深刻な渇水被害が考えられたため那賀川河川事務所では、5月20日午後に「那賀川河川事務所渇水対策支部」を設置し、関係機関の協力のもと水利用の調整など渇水対策を行いました。

 

○各利水者におかれては、「那賀川河川事務所渇水対策支部」の設置に先立ち、5月11日から自主節水を実施し、支部設置以降は5月21日の第1次取水制限から6月18日の第5次取水制限まで順次制限率を強化しつつ渇水対策に努めました。

 

○自主節水は10日間、取水制限期間は32日間と合計で42日間に及び、制限率も最大で50%まで強化されました。

 

○6月19日より前線に伴うまとまった降雨があり、ダムの貯水率が回復したため、21日には取水制限を解除しましたが、この間、長安口ダムからは合計で約3,400万m3の補給を行いました。

 

○この補給量は東京ドーム約27杯分に相当し、ダムからの補給がなかった場合、那賀川の流量は通常の取水量に対して約20%しかなく、また、取水制限が行われなかった場合は6月11日にはダムの容量が枯渇するなど危機的な状況でしたが、ダムからの計画的な補給と利水者の節水努力により、渇水被害の軽減が図られました。

 

○那賀川では近年、毎年のように渇水に見舞われ、大規模化する出水も懸念されているところですが、引き続き関係機関との連携のもと、適正かつ良好な河川管理に努めたいと思います。

 

 

 

4.「第1回開発霞ワークショップ」を開催 (重信川水系 松山河川国道事務所)

 

○6月24日(月)に、東温市役所において、東温市上村地区(重信川開発霞)の自然環境復元に向けた計画づくりを議論する「第1回開発霞ワークショップ」を開催しました。

 

○「開発霞ワークショップ」は、重信川開発霞において、自然環境の保全・再生を目的に計画設計・施工・モニタリング・維持管理等に関する計画づくりを行うことを目的に、学識者4名、公募メンバー15名(NPO・学校関係・地元住民等)、オブザーバーとして行政関係者4名の合計23名で構成されています。

 

○初回会合は、自己紹介、ワークショップの進め方、重信川の現状把握を行った後、今回参加の18名が4班に分かれて、過去・現状を踏まえた望ましい姿を議論しました。議論は、開発霞に「あったらいいもの」「ないほうがいいもの」について意見抽出を行い、各班で発表を行った後に、ファシリテーターを務めていただいている愛媛大学防災情報研究センター二神透准教授により総括がありました。

 

○総括として二神先生から、「現在も多様な利用があるので、それを妨げるのではなく、現在の施設をより良いものに改良を図る。」「水の確保が最重要課題で、昭和30年代のように1年を通じて小川に水が確保されていることが必要。」「地元より松山市内の方々の利用が多いため、地元の方が利用できるような整備も重要。」が上げられました。

 

○今後重信川の先行事例などの現地調査を行い、整備方針等の検討を行う予定です。

 

 

 

5.「アオコ抑制対策の公開実験」を実施 (肱川水系 野村ダム管理所)

 

○野村ダムでは、6月25日に、ダム湖流域住民及び関係機関の皆様方が共通の課題として認識しているアオコ発生抑制に向けて、肱川流域では初めて水質改善剤を用いたアオコ対策の公開実験をダム上流500m左岸の焼却場跡付近入り江部で実施しました。

 

○実験当日は、流域住民や利水者、漁協、関係自治体職員、報道機関など、約50名が参加され、広さ1,000m2の入り江部での作業船による水溶液散布状況を見守って下さいました。

 

○水質改善剤は、アオコと天然成分である海水と石灰石が原料の水酸化マグネシウムを結合させ、微生物に分解させるもので、安全性に問題はありませんが、散布から3日間、魚類の遊泳状況や水温、水素イオン指数(pH)、DOSSなど12項目の水質試験を実施し、魚類や植物などに影響ないことを確認した上で、改善効果があれば、条件の異なる他の地区でも実験を試す予定です。

 

○実験結果については、結果がまとまり次第、各関係機関に情報提供するとともに、今後も引き続き、流域住民の意見を聞きながら、アオコの抑制に務めていきたいと考えています。

 

 

 

 

 

 

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