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四国河川ニュース

1/12(土)〜1/18()584

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                                                                                                                                                           2013.1.21発行】

 

○四国・水こぼれ話談話室 Vol.234

    ○香川県 別当川総合開発事業(内海ダム再開発)  香川県土木部河川砂防課長 阿部 孝雄

    ○談話室(香川県小豆郡小豆島町)  香川県小豆島町長  塩田 幸雄

 

 

                                           

○今週のニュース

    ○銅山川において第5回社会実験(弾力的管理試験)を実施  (吉野川水系 吉野川ダム統合管理事務所)

    ○公募による吉野川の河道内樹木伐採を実施  (吉野川水系 徳島河川国道事務所)

    ○平成24年度 桑野川堤防維持工事  (那賀川水系 那賀川河川事務所)

    ○平成24年度 西畑樋門外耐震補強工事  (仁淀川水系 高知河川国道事務所)

    ○平成24年度 加賀須野堤防耐震対策(その3)工事   (吉野川水系 徳島河川国道事務所 吉野川鴨島出張所)

    ○平成24年度 那賀川左岸高潮堤防工事(その3)  (那賀川水系 那賀川河川事務所)

 

 

四国・水こぼれ話談話室Vol.234

 

1.香川県 別当川総合開発事業(内海ダム再開発)  香川県土木部河川砂防課長 阿部 孝雄

 

○別当川は、小豆島の東南部香川県小豆郡小豆島町に位置し、その源を名勝寒霞渓(神懸山:標高671m)に発し、山間部を南流し、途中小豆島町神懸通、草壁本町を貫流して、小豆郡小豆島町草壁本町地先で内海湾に注ぐ流域面積8.8km2、流路延長4.0kmの二級河川です。

 

○別当川流域は急流のため古くからたびたび被害を受けており、香川県では、地元小豆島町(旧内海町)が水道専用ダムとして昭和31年に完成させた内海ダムを、昭和34年に治水機能も併せもつ多目的ダムとして改築しました。

 

○このダムは、集水面積に比べ洪水調節容量が非常に小さく、また、洪水調節方式として一定量放流方式を採用しているため、操作が非常に難しくなっています。昭和49年の台風8号による豪雨では、浸水家屋538戸、浸水農地71.3ha、昭和51年の台風17号による豪雨では、5ヶ所で氾濫し、浸水家屋732戸(全半壊含む)、浸水農地48.4haおよび河岸の決壊などの被害が発生しました。また、ダムの構造がコンクリートと土石の混成堤であり、非常用洪水吐きが設置されておらず、昭和36年の台風17号では、内海ダムの天端から水があふれ、ダムの下流側の斜面が崩壊する被害に遭いました。昭和49年の台風8号でもダム天端越流の危険性があったことから、地元住民からは抜本的な治水対策が強く望まれてきました。

 

○一方、別当川は川沿いの耕地などに対するかんがい用水や小豆島町の水道水源として広く利用されていますが、小豆島町(旧内海町)では昭和60年、61年、平成3年、6年、7年、8年などしばしば深刻な水不足に見舞われています。平成9年の吉田ダム完成により水事情は改善されたものの、平成12年8月17日から85日間、平成14年12月2日から150日間、平成19年5月28日から49日間、渇水対策本部を設置し、節水に努めました。 このような状況に加え、小豆島町では、合併に伴って予定されている簡易水道の上水道への統合計画や、現在かんがい期には取水できないため池や水質悪化により水道水源として不適格な表流水に依存している現状を踏まえ、安定水源の確保に努めていくこととしています。

 

○このように治水はもとより、利水においても早急な対策が望まれており、内海ダム再開発事業には大きな期待が寄せられています。また、本事業では「周辺地域の豊かな自然資源と調和のとれた、よりよい景観形成を図る」ため、有識者や地元の代表の方々から構成される「内海ダム景観検討委員会」を設置し、これまで9回にわたる審議を経て、景観や環境に配慮した整備を実施しています。

 

○現地の施工については、平成18年度から工事着手した付替道路は、平成23年9月に全区間が供用開始されました。また、平成21年度から着手したダム本体工事も昨年9月にコンクリート打設が完了するなど順調に工事を進めることができ、12月21日からは、試験湛水を開始しています。

 

○今後とも地元の方々のご理解・ご協力を得ながら地元小豆島町と共に、残る周辺環境整備等に鋭意取り組みまして、平成25年度の事業完成を目指してまいります。 

 

 

2.談話室(香川県小豆郡小豆島町)  香川県小豆島町長  塩田 幸雄

 

○小豆島町は、瀬戸内海国立公園に浮かぶ小豆島の中央から東に位置し、海と山の美しい自然に恵まれた町です。壺井栄の小説「二十四の瞳」の舞台として、また、日本におけるオリーブ栽培発祥の地として、全国的に知られています。

 

○小豆島町とオリーブの関わりは、明治41年、当時の農商務省が三重、香川(小豆島)、鹿児島の3県を指定して、アメリカから輸入した苗木で試験栽培を行い、小豆島町に植えたオリーブだけが順調に成育し、大正初めには搾油ができるまでになりました。オリーブが健康によいことは医学的にもよく知られており、小豆島町ではオリーブによる健康長寿の島づくりに取り組んでいます。

 

○また、「二十四の瞳」の映画撮影時のセットを保存した「二十四の瞳映画村」があり、多くの観光客で賑わっています。その他、日本三大渓谷美に数えられる寒霞渓、18世紀頃に始まり現在も伝承されている農村歌舞伎舞台など、数多くの観光スポットを有しています。

 

○本年3月20日から開幕されます「瀬戸内国際芸術祭2013」では、醤油・佃煮の地場産業が盛んな醤の郷地区で地域資産を生かしたアートプロジェクトを展開し、農村歌舞伎舞台や棚田が広がる中山地区・日本の原風景の残る三都半島で自然と歴史文化を生かした作品が展示されます。また、大阪城築城時からの歴史を有する石材のまちの福田地区ではアジアの芸術家を中心とした作品が展示されるなど、小豆島の魅力を県内外に発信します。

 

○気候は温暖少雨の瀬戸内海式気候であり、年間降水量は1200mm程度で、従来からたびたび水不足に悩まされている一方で、多くの河川は、山間部が急勾配で平野部に出て急に勾配が緩くなるという地形的特長を有しているため、昭和49年災、51年災に代表される台風や集中豪雨による大災害にも見舞われています。

 

○この内海ダム再開発事業は、平成15年、平成21年の2度、事業促進町民総決起大会が行われるなど町民一体となって推進してまいりました。ダム本体コンクリートが昨年9月に打設完了した新内海ダムの全景を眺めてみますと別当川沿いで生活する住民の方々にとって非常に心強く、安全で安心して暮らしていけることと喜んでいます。

 

 

 

今週のニュース

 

1.銅山川において第5回社会実験(弾力的管理試験)を実施  (吉野川水系 吉野川ダム統合管理事務所)

 

○銅山川では、新宮ダム下流の河川環境を改善するために、新宮ダムから下流への放流量を増量する「社会実験(弾力的管理試験)」を平成22年度から実施しています。

 

○放流量の増量にあたっては、洪水時に富郷ダムの洪水調節容量内の一部に治水上、支障のない範囲で貯留した水を用いています。

 

○この「社会実験(弾力的管理試験)」は、効果的な放流方法を検討するにあたって、地域の方々にアンケート調査などを通してご意見や感想をお伺いするものです。

 

○今回は1月12日(土)に、影井堰から約10.0m3/s(放流前は約0.042m3/s)の水を約8時間に渡り放流し、地域の方々に見学いただきました。

 

○今後、これまでの実験結果を踏まえて、よりよい放流方法を検討していきます。

 

 

2.公募による吉野川の河道内樹木伐採を実施  (吉野川水系 徳島河川国道事務所)

 

○徳島河川国道事務所では、吉野川の河道内に自生している樹木を自ら伐採し、無償で持ち帰りたい方を一般公募し、河道内の樹木伐採を実施しました。

 

○吉野川の河道内に自生する樹木は、洪水時の流れの支障となり、さらには倒れた樹木が下流の橋等に引っかかり洪水をせき上げるなど治水上支障となっており、また、河川巡視の際の視野も遮られ、河川管理上の支障になったり、ゴミの不法投棄の温床となっています。このため、河川管理者自ら適宜伐採・処分しているところです。

 

○この河川管理上支障となっている河道内に自生する樹木を、薪などとして有効活用して頂くとともに、伐採・処分費用の経費削減を目的に、一般公募による伐採を平成22年度より実施しており、今年度で3回目となります。

 

○今年度は、平成24年9月下旬から11月上旬に応募受付を行い、平成24年12月の約1ヶ月を伐採作業期間として実施し、13名の応募がありました。伐採箇所は各650m2程度で区画割を行い、全体で約8,500m2の伐採を行いました。

 

○通常、河川管理者で伐採する場合は、伐採した幹を小割して一般の方へ無料配布しておりますが、公募伐採を行うことにより、通常の伐採で必要な伐採作業や幹の小割作業等の費用を削減することができるため、今回の公募伐採では約100万円の削減を行うことができました。

 

○来年度以降も継続して実施し、コスト縮減および資源の有効利用に取り組んでいきたいと思います。

 

 

3.平成24年度 桑野川堤防維持工事  (那賀川水系 那賀川河川事務所)

 

○工事名:平成24年度 桑野川堤防維持工事

 

○工 期:平成24年4月1日〜平成25年3月31日

 

○請負業者名:()那賀建設

 

○工事場所:徳島県阿南市桑野川河口〜徳島県阿南市長生町地先

 

○工事概要:河川維持工 一式、河川修繕工 一式

 

○工事の目的

 本工事は、桑野川の直轄管理区間の維持管理を目的として河川管理施設等の維持修繕を実施しています。

 

○現在の施工状況

 現在は桑野川において2回目の堤防除草の施工と災害時のポンプ車両作業場の設置を進めているところであり、除草は年内、作業場設置は3月上旬の完了を目標にして施工を行っています。

 

○現場での取り組み、工夫、目標など

 本工事では、除草や樹木伐採で発生する刈草・伐採木を一般の住民に無料配布することで処分費の削減を図っています。平成23年度は、刈草・伐採木において多くの需要があり、ほぼ100%の配布が達成されています。また那賀川河川事務所のHPに無料配布場所・施工時期を掲載し、利用者の拡大・更なる協力をいただきコスト縮減に取り組んでいます。

 

 

4.平成24年度 西畑樋門外耐震補強工事  (仁淀川水系 高知河川国道事務所)

 

○工事名:平成24年度 西畑樋門外耐震補強工事

 

○工 期:平成24年6月28日〜平成25年3月29日

 

○請負業者名:(株)南国・西村 

 

○工事場所:高知県高知市春野町西畑地先外

 

○工事概要:函渠工(AT-P)1式、函渠工(PP)1式、門柱工1式

 

○事業、工事の目的

 本工事は東南海・南海地震に対する耐震・津波対策として、既設樋門(西畑樋門、菅第1樋門、仁西樋門、奥田川排水樋門、南の谷樋門)に対する耐震補強を実施する工事です。

 

○現在の施工状況

 現在、西畑樋門のPP工法(PAE系ポリマーセメントモルタルマグネタイト・ピア−補強工法)を施工中であり、年内に函渠側面の施工を完成させ1月からは函渠底板のAT−P工法(主筋埋込み方式PCM巻立て橋脚補強工法)に着手しています。

 

○現場での取り組み、工夫、目標など

 函渠の補強工事のため、函渠内をドライな状態に保つ必要がある一方、出水時には流水の支障とならないよう仮設を撤去する必要があるため、天候には細心の注意を払いながら作業を進めています。

 今後は他樋門での門柱補強等、狭所での作業も発生しますが、作業員の安全を確保しながら作業を進め、無事故での工事完成を目指します。

 

 

5.平成24年度 加賀須野堤防耐震対策(その3)工事  (吉野川水系 徳島河川国道事務所 吉野川鴨島出張所)

 

○工事名:平成24年度 加賀須野堤防耐震対策(その3)工事

 

○工 期:平成24年8月9日〜平成25年3月29日

 

○請負業者名:赤松土建(株) 

 

○工事場所:徳島県徳島市川内町加賀須野地先

 

○工事概要

 堤脚補強工:1式、法覆護岸工:1式、付帯道路工:1式、構造物撤去工:1式、仮設工:1式

 

○工事目的

 旧吉野川・今切川沿線は、大規模地震発生時に基礎地盤の液状化により堤防沈下が発生し、それに伴う津波被害の拡大が懸念されています。本工事は、堤内側に透水性綱矢板を打設することにより、液状化による堤防の沈下を抑制し津波被害の軽減を図るものです。

 

○現在の状況

 クローラクレーン及び油圧圧入機にて綱矢板を施工中であり、1月17日現在、概ね全施工延長の3割程度の打設が完了しています。

 

○工事特性など

 本工事で打設する綱矢板は、1枚あたりの長さがL=18.0〜19.0mですが、進入路の幅員が狭く送電鉄塔などの上空障害物があることから、長尺ものでの搬入・打設が困難であり、溶接による継ぎ手が必要となります。

 なお、施工ヤードも狭隘であることから、建て込みながら溶接する方法により打設しています。

 

 

6.平成24年度 那賀川左岸高潮堤防工事(その3)  (那賀川水系 那賀川河川事務所)

 

○工事名:平成24年度 那賀川左岸高潮堤防工事(その3)

 

○工 期:平成24年7月7日〜平成25年2月28日

 

○請負者:(株)藤本建設

 

○工事場所:徳島県阿南市那賀川町中島地先

 

○工事概要

 海岸土工:1式、護岸基礎工:1式、法覆護岸工:1式、根固め工:1式、仮設工:1式

 

○工事の目的

 東南海・南海地震等の発生が予想されており、堤防の基礎地盤の沈下や津波による浸水被害が想定されています。その対策として、高潮耐震性の強化を図るため既設護岸の補強、堤防の嵩上げを行っています。

 

○現在の施工状況

  12月末までに、根固めブロック(3t型)製作、矢板打設及び捨石投入敷き均しまで完了し、現在は根固めブロックを設置しています。平行して、ブロック製作ヤードでは1号コンクリートブロック(5t型)を製作しています。

 

○現場での取り組み・工夫・目標など

 河川には汚濁防止フェンスを二重に設置し、濁水の流出を低減し、また工事車両通行道路に清掃専門員を配置し、環境対策に努めています。厳しい工程ですが、無事故無災害で工事完成を目指しています。

 

 

 

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