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四国河川ニュース
《11/3(土)〜11/9(金)》575号
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【2012.11.12発行】
○四国・水こぼれ話談話室Vol.230
○愛媛県 コヤガ谷川(久万高原町) 砂防事業と治山事業との連携 愛媛県中予地方局久万高原土木事務所長 嶋田 哲郎
○地域防災力による「災害につよいまちづくり」を目指して 愛媛県久万高原町長 高野 宗城
○今週のニュース
○「野村高校就業体験」について (肱川水系 野村ダム管理所)
○「第5回 那賀川源流コンサート」を開催 (那賀川水系 徳島県)
○平成24年度 四国多自然川づくり担当者会議の開催 (四国地方整備局)
○平成24年度 鹿野川ダム貯水池等維持工事 (肱川水系 山鳥坂ダム工事事務所)
○平成24年度 肱川堤防維持第1工事 (肱川水系 大洲河川国道事務所 肱川出張所)
四国・水こぼれ話談話室Vol.230
1.愛媛県 コヤガ谷川(久万高原町) 砂防事業と治山事業との連携 愛媛県中予地方局久万高原土木事務所長 嶋田 哲郎
■箇所概要
○コヤガ谷川は、高知県境に近い県中央部に位置する流域面積0.24km2の土石流危険渓流で、平成16年10月台風23号による豪雨で山腹崩壊が発生しましたが、人家直上流には、砂防ん堤が整備されていたことから、幸い土石流被害は免れました。
○しかしながら、渓流内には多量の土石とともに倒木が堆積しており、次期出水時にはこれらの不安定な土石が満砂した砂防えん堤を越え、下流へ流出するおそれがあるため、新たな砂防えん堤を計画しました。
■事業概要
○本県では、平成16年の相次ぐ台風襲来により東予東部を中心に土砂・流木災害などによる甚大な被害が発生したことを踏まえ、流域全体を視野に入れた土砂災害対策を進めており、土砂災害防止施設の整備にあたっては、砂防事業だけでなく、森林整備・治山事業がともに連携して取り組んでいます。
○コヤガ谷川では、砂防・治山事業が調整し、下流に砂防えん堤を1基、上流域には治山事業で、谷止工6基・土留工10基・山腹緑化0.3haを整備しました。
■事業連携による効果
○谷止工による土砂発生抑制量を計上することにより堤高14.5mの透過型砂防えん堤でも土砂整備率100%の確保が可能となり、施工にあたっても、砂防えん堤の工事用道路を谷止工と共用することができるなど、効果的・効率的な事業計画を策定し、コスト縮減と事業効果の早期発現を図ることができました。
○今後とも、流域一体となった土砂災害防止に取り組み、地域住民の安全・安心な暮らしの確保に努めてまいりたいと考えています。
2.地域防災力による「災害につよいまちづくり」を目指して 愛媛県久万高原町長 高野 宗城
○本町は、愛媛県のほぼ中央部に位置し、平成16年8月に久万町、面河村、美川村及び柳谷村の1町3村が合併して久万高原町になりました。県都松山市から国道33号、三坂道路を経て町の中心部まで約30km。総面積は584km2、人口は約10,000人で、標高1,000mを超える四国山地に囲まれ、町内には一級河川仁淀川の支流にあたる、面河川と久万川が走る高原と渓谷のまちです。
○また、「ひと・里・森がふれあいともに輝く元気なまち」をキャッチフレーズに、豊かな自然環境と人々の生活が調和した元気なまちづくりを推進し、農林業とともに観光振興にも力を入れています。
○さて、「災害につよいまちづくり」ということですが、残念ながら町内には土砂災害危険箇所が554箇所も在ります。平成16年の台風16号では、町内各地に土砂災害が発生し大きな被害を受けました。また、国が公表している深層崩壊に関する全国マップによると、土砂災害の相対的な発生頻度が「特に高い」地域とされています。近年ゲリラ豪雨と言われる集中豪雨が全国各地で頻発する中、土砂災害のリスクは以前と比べ、格段に高まっているのではないかと感じています。
○過疎高齢化の進展により、町の人口は10,000人を割り込み、高齢化率は43%を上回っています。地域を守る消防団も同じく団員の減少と高齢化が進み、このままでは災害の危険が迫った場合の避難誘導や災害時の対応に支障が出ることが危惧されています。
○いざ災害が発生すると、行政の対応だけでは自ずと限界があることから、「自助・共助・公助」の仕組みを整えた上で、「自分の命は自分で守る」との意識を高めることが、「地域防災力」を向上させることに繋がるのだと思います。
○その一環として、土砂災害危険箇所や安全な場所を町民に理解していただくことを目的に、平成23年度から、国の社会資本整備総合交付金を活用して「マップ」を作成し、現地に看板を設置する事業に取り組んでいるところです。自然災害の猛威から被害を最小限に抑えるためには「災害につよいまちづくり」を推進することが重要であり、引き続き防災訓練等の実施を重ね、行政と住民が一体となって地域の防災力を向上させる減災対策に努めてまいりたいと考えています。
今週のニュース
1.「野村高校就業体験」について (肱川水系 野村ダム管理所)
○野村ダムでは、毎年、愛媛県立野村高校からの就業体験を受け入れています。野村高校では、1年生に「総合的な学習時間」として、「就業体験」を通して職業の特性や自己の在り方・生き方を考えることをねらいに取り組みを続けており、今年度は、10月25〜26日に、2名の生徒が自分の興味・関心がある職業として、野村ダムを選択されました。
○「就業体験」のカリキュラムは、1日目に野村ダムの役割・概要、操作室内の各種機器類及び監査廊内でゲート室・地震計・プラムライン・漏水調査等を説明した後、野村ダム管内の工事現場(2箇所)と雨量観測所を見学させ、野村ダムが水質浄化の一環で栽培している中国野菜(エンツァイ)の収穫及び今年度試行している流木粉砕物(堆肥)の袋詰めの製作作業を体験して頂きました。
○2日目は、貯水池内の湖面巡視に同行させ、ダム湖の現状把握と維持管理の重要性について理解して頂くとともに、2日間の「就業体験」を踏まえた成果として、家族や友人たちに野村ダムをPRするための広報チラシを作成して頂きました。
○チラシは、体験されたダムの働き、流木の堆肥化、エンツァイ栽培の紹介とともに、川の大切さを呼びかけており、今後の広報資料として、役立たせたいと考えています。
○今回「就業体験」された2名の生徒は、まだ進路を決めてないそうですが、将来を担う土木技術者への一歩となれば幸いです。野村ダム管理所では、今後も引き続き、就業体験を受け入れ、人材育成に向けた学習活動を支援して行く所存です。
2.「第5回 那賀川源流コンサート」を開催 (那賀川水系 徳島県)
○平成24年10月28日(日曜日)、徳島県那賀郡那賀町の四季美谷温泉広場において、「那賀川アフターフォーラム」主催、「ゆきかう那賀川推進会議」後援による「第5回 那賀川源流コンサート」が開催され約300名の参加を戴きました。
○このコンサートは、那賀川における流域内交流の活性化、上下流連携の推進による地域振興を目指して開催しているもので、今回は、阿南市・那賀町・徳島県・那賀川河川事務所が準備したバス等で参加者を会場まで送迎する取り組みを行いました。
○当日は、前日からの雨も次第に回復し、午後には秋晴れとなりました。
○コンサートでは、那賀町立北川幼稚園(1名)北川小学校(2名)木頭小学校(2名)による「上流の小さなピアニストたち」のピアノ演奏、那賀町立鷲敷小学校生(44名)「鷲小元気ッズ」による校歌などの斉唱、宮本先生によるピアノ独奏、「阿南第九の会」による合唱、「美尺会」による日本民謡の独唱及び演奏が行われました。
○また今年は、コンサートのオープニングイベントとして、丹生谷青流座による人形浄瑠璃の上演やコンサートの最後に阿波踊りも飛び出し出演者と観客が一体となって「踊るアホウと、見るアホウ」になっていました。
○出演者による一生懸命な演奏や歌声に、会場全体は暖かい雰囲気となり、すばらしいコンサートとなりました。
3.平成24年度 四国多自然川づくり担当者会議の開催 (四国地方整備局)
○平成24年度「四国多自然川づくり担当者会議」を徳島県職員会館(徳島市)において、平成24年10月30日〜31日に開催しました。
○当会議は、平成14年度より多自然川づくりに係わる担当者の技術向上を目的として、事例紹介を通じた議論及び情報交換の場として実施しております。今年度は徳島県が開催県でした。
○当日は整備局職員や、各県の河川担当者等約50名が参加しました。
○初日は徳島県自然保護協会の森本会長による那賀川で行っている河川工事における環境配慮について基調講演があった後、各事務所、各県から多自然川づくりのポイントや整備後における現状の評価等4テーマについての事例発表がありました。
○事例発表については各地域の討論を踏まえた上で「全国多自然づくり会議」(平成24年12月5日、6日で関東地整で開催予定)に推薦します。今回選定された題名は以下のとおりです。
・「ジャコウアゲハの生息環境の保全に対する河川維持活動について」
高知河川国道事務所 小田係長
・「四万十川におけるアユの瀬づくり事業について」
中村河川国道事務所 濱田係長
・「桑野川河川改修事業における
環境に配慮した施工」
徳島県南部総合県民局 瀬川主任
○翌日は、NPO法人新町川を守る会により運航されている周遊船に乗船し、新町川から吉野川本川を経由し約1時間で今切川まで、船から河川の状況を視察しました。また、下船後は環境整備事業の今切川水辺プラザを視察しました。
○今後もこうした会を開催し自然環境に配慮した川づくりに役立てていきたいと思います。
4.平成24年度 鹿野川ダム貯水池等維持工事 (肱川水系 山鳥坂ダム工事事務所)
○工事名:平成24年度 鹿野川ダム貯水池等維持工事
○工 期:平成24年4月1日〜平成25年3月31日
○請負業者名:株式会社 西建設
○工事場所:鹿野川ダム貯水池
○工事概要:流木処理、アオコ除去、底泥除去等
○事業、工事の目的
本工事は、鹿野川ダム貯水池の維持管理を目的としてダム、ダム貯水池の維持修繕を実施していす。
○現在の施工状況
出水期の流木処理が概ね完了し、12月からの底泥除去に向けての準備作業を実施しています。
○現場での取り組み
貯水池内を利用している釣り客等の一般利用者に配慮しながら、事故等が起きないよう安全対策を十分に実施して作業を行っています。
また、日頃から貯水池内の点検を実施しており、貯水池内に異常がある際の連絡や、水質事故等に即座に対応できる体制づくりに取り組んでいます。
5.平成24年度 肱川堤防維持第1工事 (肱川水系 大洲河川国道事務所 肱川出張所)
○工事名:平成24年度 肱川堤防維持第1工事
○工 期:平成24年4月1日〜平成25年3月31日
○請負業者名:向成建設 株式会社
○工事場所:肱川13.8k〜19.7k、矢落川0.0k〜4.2k
○工事概要:堤防除草工、伐木除根工、塵芥処理工、排水ポンプ車施設工等
○事業、工事の目的
本工事は国管理区間の肱川上流・矢落川の維持管理を目的として河川管理施設等の維持修繕を実施しています。
○現在の施工状況
現在、堤防除草(年2回)の2回目を、12月末の完了を目指して実施中です。また、11月中に排水ポンプ車施設工に着手し施工に取りかかります。
○現場での取り組み
堤防除草で刈り取った草は、梱包して現地や一般の人が取りやすい所に仮置きし、希望する地元の方々に持ち帰って頂くことで、処分費が発生しないように取り組んでおります。また、仮置き箇所には、一般の方々に持ち帰って頂くような簡易看板を設置する等の取り組みも行っております。
これから事故が発生しやすい時期になりますが、現場での課題・問題点が発生しましたら、関係機関・出張所・他業者と迅速に調整し、対策を講じて、無事故・無災害で工事完了を目指します。
「四国河川ニュース」に関するご意見、ご要望や四国の河川についての資料の要求、また河川に関するニュースなどがありましたら、以下までご連絡をお願いいたします。
■連絡先■ 四国地方整備局 河川部 河川管理課 建設専門官 柳 忠和
〒760-8554 高松市サンポート3番33号
TEL 087-851-8061(代)マイクロ88-3753(柳) mailto:rivers-news@skr.mlit.go.jp
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