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四国河川ニュース

9/29(土)〜10/5()570

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2012.10.9発行】

 

○四国・水こぼれ話談話室Vol.227

    ○高知県 浮鞭海岸津波・高潮危機管理対策緊急事業  高知県幡多土木事務所長 野々村 毅

    ○黒潮町の南海地震対策  高知県黒潮町長 大西 勝也

 

 

○今週のニュース

    ○「防災パネル展」を開催  (渡川水系 中村河川国道事務所)

    ○「エンツァイ収穫会」について  (肱川水系 野村ダム管理所)

    ○防災月間行事『那賀川防災パネル展』を開催  (那賀川水系 那賀川河川事務所)

    ○「平成24年度 四国河川技術伝承会」(徳島地区)を実施  (吉野川水系 徳島県)

 

 

四国・水こぼれ話談話室Vol.227

 

1.高知県 浮鞭海岸津波・高潮危機管理対策緊急事業  高知県幡多土木事務所長 野々村 毅

 

<地域の概要>

○浮鞭海岸は高知県西部の幡多郡黒潮町に位置している延長1,040mの海岸で、太平洋に面しているため、風浪の強い地域です。背後には人家、国道56号が控えており、昭和南海地震(1946)においても、津波による被災があり、今後30年以内に60%の確率で予測されている南海地震においても、大規模被害が想定されています。

 

<事業概要> 

○前述のとおり浮鞭海岸の背後地には人家や国道56号が控えており、浮鞭海岸の堤防は防災対策上非常に重要な役割を果たしています。

 

○しかしながら、昭和南海地震以降に整備した既存施設は著しく老朽化しており、地震時における安全性の把握についても不十分な状況でした。

 

○そこで、高知県の南海地震対策の基本的な考え方である県民の命を守ることを最優先にした「逃げる」取り組みを支援するために、老朽化の著しい箇所のコンクリート被覆等により通常施設として緊急的な防災機能の強化を図ることを目的として平成22年度より平成23年度にかけて津波・高潮危機管理対策緊急事業での浮鞭海岸の破堤防止対策を実施しました。

 

○この改良により老朽化した堤体の補強が完了したと同時に、堤防の表法のコンクリートによる被覆により断面を大きくすることで設計水位を超える大きな津波に対しても浸水被害の発生を遅延させる効果が一定期待できる粘り強い構造となっていると考えています。

 

○今後も引き続き地元住民と一体となって地域防災の推進に努めたいと考えています。

 

 

2.黒潮町の南海地震対策  黒潮町長 大西 勝也

 

○高知県幡多郡黒潮町は、高知県の中でも西南地域であり、幡多郡の中でも東部に位置します。高知県幡多郡「大方町」「佐賀町」の合併による新しい町として、平成18年3月20日に誕生しました。「人が元気、自然が元気、地域が元気」を合い言葉に、2町の速やかな一体化を促進し、新しいまちとして出発しました。

 

○気候は、南国特有の温暖で年間平均気温17度、降雨量2800mm前後と、雨が多くなっています。こうした気候を活かして、大方地区では早くから施設園芸や花卉、葉たばこ、水稲を中心に栽培が行われ、農業の盛んな町でした。

 

○また、佐賀地区では「土佐カツオ一本釣り漁業」が盛んであり、近年は完全天然塩も代表的な特産物となっています。農業では、シメジやエノキダケ、エリンギなどの栽培が盛んな町でもあります。

 

○また、今年の3月31日に南海トラフの巨大地震による震度分布・津波高の推計が、国(内閣府)から1次報告として公表されました。その内容では、黒潮町において「最大震度7、最大津波高34.4mという大変厳しい数字が示されました。

 

○今回の推計は、東日本大震災の教訓を踏まえた新たな考え方として、あらゆる可能性を考慮し、現時点の最新の科学的見地に基づき、最大クラスの地震、津波を想定したものですが、高知県下では南海トラフを震源とする地震に、100年〜150年の周期で繰り返し襲われており、地震による家屋の倒壊や津波により、多大な人命及び財産を失ってきています。

 

○このため、本町においては、「生命の安全確保」を最優先に考え、防災関係機関、事業者、町民が一体となって、建築物の耐震対策、津波避難対策、人づくり・地域づくり対策など、ソフト対策を優先しながら、ソフト対策を補完するものとして効果的なハード対策を推進し、減災に向けた施策の一層の充実を図ります。

 

○過去に発生した南海地震は、東海地震や東南海地震と同時に発生する場合のほか、数時間から数年の時間差で発生しています。このため、こうした可能性を考慮するとともに、被害の広域性や地域の孤立などの災害特性なども踏まえて、対策を進めていきます。

 

○浮鞭海岸の津波高潮危機管理対策事業の完成は前述したようにソフト対策を補完する効果的なハード対策の一環として効果を期待しており、今後も100年から150年に一度の頻度で発生する津波に対応でき、1000年に一度の頻度で発生する最大規模の津波による浸水被害を遅らせることができる防潮施設の整備を国や県に要望していきたいと考えております。

 

 

 

今週のニュース

 

1.「防災パネル展」を開催  (渡川水系 中村河川国道事務所)

 

○8月30日〜9月5日の防災週間に合わせて、「防災パネル展」を8月30日〜9月7日に開催しました。中筋川総合開発工事事務所との合同開催です。

 

○防災パネル展は、地元のショッピングセンターにご協力頂き、フロアの一部をお借りして毎年開催しているもので、今回は「フジグラン四万十 2階 フードコート」にて開催しました。

 

○四万十川の水害・治水(昭和10,38年、平成16,17,23年の洪水、中筋川ダムの効果)、昭和南海大震災、東日本大震災への対応、四国地震防災基本戦略、河川事業及び道路事業の地震津波対策や整備効果についてパネル及び写真を展示しました。

 

○今回行った防災パネル展のアンケート調査を通して、地域のみなさまが社会資本整備の遅れにより災害に対して不安を抱いていること、地震津波対策の推進を求めていること等を感じました。頂いたご意見は今後の防災業務に生かして参りたいと思います。

 

○来年度以降も引き続き防災パネル展を開催し、防災情報の発信を通して地域の防災力向上に取り組んでいきます。ご協力頂きましたフジグラン四万十様にはこの場をお借り致しましてお礼申し上げます。ありがとうございました。

 

 

2.「エンツァイ収穫会」について  (肱川水系 野村ダム管理所)

 

○野村ダムでは、アオコ発生に起因する栄養塩類を除去する働きを持つエンツァイ(中国野菜)を平成16年より毎年ダム湖面に植生(水耕栽培)し、植生から2ヶ月ほど成長させ収穫しています。今年は7月20日に植生会、9月7日に収穫会を開催しました。

 

○収穫会では、1mほどに成長したエンツァイを半分程切り取り収穫しました。そして、刈り取ったエンツァイを集め計量したところ、今年は67.3kgという結果になりました。これは、ダム湖の中に含まれているリン、窒素のそれぞれ約17g、約180gの量を除去できたという結果になります。

 

○計量が終わった後は、住民団体主催のもと肱川上下流交流会を開催し、エンツァイを餃子やお好み焼きなどに入れ、いただきました。また、残った根を再び水面に戻しておくと、2〜3週間後に収穫できるほどの大きさに育ちますので、定期的(4〜5回)にダム管理所で収穫し、少しでもダム湖内の栄養塩類の除去に努めたいと考えております。

 

○野村ダムでは毎年このエンツァイの植生会、収穫会を通して住民の方々へのダムの水質問題に対する意識啓発に繋がれば幸いと考えており、このイベントを継続的に実施していきたいと考えております。

 

 

3.防災月間行事『那賀川防災パネル展』を開催  (那賀川水系 那賀川河川事務所)

 

○那賀川河川事務所では、地域の皆様に防災意識を高めていただくために、過去に起こった洪水の写真や洪水ハザードマップ、東日本大震災の災害復旧活動状況などをパネルにして地域の皆様にご紹介する展示会を、平成24年9月14日から20日までの7日間、ショッピングセンター アピカ店の催事場で開催しました。

 

○今回で15回目になるパネル展では、約70点のパネルを展示し、買い物に訪れた方々に那賀川流域で起こった過去の災害状況や東日本大震災での災害復旧状況などをご覧いただきました。

 

○また、パネル展示に併せて、那賀川流域で実施している事業について、ご理解いただくために那賀川事業概要パンフレット等の配布も行いました。

 

○那賀川河川事務所では、那賀川流域の皆様に、引き続き防災意識を高めていただくために、今後も防災パネル展を開催していきたいと思います。

 

 

4.「平成24年度 四国河川技術伝承会」(徳島地区)を実施  (吉野川水系 徳島県)

 

○9月26日(水)に、徳島河川国道事務所において、「平成24年度 四国河川技術伝承会(徳島地区)」を四国地方整備局(本局)、徳島河川国道事務所、四国山地砂防事務所、吉野川ダム統合管理事務所の職員約40名が参加して開催しました。

 

○今回は、「耐震対策における配慮事項」をテーマとして、下記の3名の先輩諸兄に技術の伝承をお願いしました。また、事務局である河川工事課からは林河川工事課長に御出席をいただきました。

 

      伝承者  藤本 久雄 氏

               鷲津 隆廣 氏 (野村ダム管理所長)

      連絡員  田村  猛  氏 

 

○会議では、まず、徳島河川国道事務所より、旧吉野川、今切川における地震・津波対策工事の方針、対策必要区間、対策工等について説明した後、伝承者から対策工事における配慮事項についての留意点や苦慮した点等過去の経験 談をお話していただきました。今後工事を進めていくうえで、豊富な経験を基 にした話は非常に参考になりました。

 

○その後、参加者から伝承者の方々へ質問させていただくなど、忌憚のない意見交換をさせていただきました。

 

○伝承者の方々から貴重なご意見、ご助言をいただくことができ、これからの旧吉野川、今切川の地震・津波対策工事の進捗に役立てていきたいと考えています。ご指導いただきました伝承者の方々に、改めて御礼申し上げます。

 

 

 

 

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  ■連絡先■  四国地方整備局 河川部  河川管理課 建設専門官  柳 忠和

          760-8554 高松市サンポート3番33号

          TEL 087-851-8061(代)マイクロ88-3753(柳) mailto:rivers-news@skr.mlit.go.jp

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