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四国河川ニュース

6/2(土)〜6/8()553

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                                                                                                                                                              2012.6.11発行】

 

○四国・水こぼれ話談話室Vol.218

    ○高知県 長沢川砂防堰堤スリット化  高知県須崎土木事務所四万十町事務所  所長  井上 博元

    ○二十一世紀につたえる ふるさとの風景 四万十川  高知県四万十町長 *瀬 満伸

      ※ *はなべぶたの下がはしごのようになっている高です。(はしごだか)

 

○今週のニュース

    ○排水ポンプ車による実排水操作訓練を実施  (肱川水系 大洲河川国道事務所)

    ○「中筋川ダム水生生物調査について」  (渡川水系(四万十川水系) 中筋川総合開発工事事務所)

    ○吉野川河川敷耕作地におけるパトロールの実施について  (吉野川水系 徳島県)

    ○「重信川クリーン大作戦(清掃活動)」、「重信川自然再生・保全プロジェクト(松原泉で句会ライブ)」を開催  (重信川水系 愛媛県)

    ○「重要水防箇所現地説明会」を開催  (仁淀川水系、物部川水系 高知河川国道事務所)

 

 

四国・水こぼれ話談話室Vol.218

 

1.高知県 長沢川砂防堰堤スリット化  高知県須崎土木事務所四万十町事務所  所長  井上 博元

 

○四万十町西部に位置する長沢川は、一級河川四万十川中流域の支川であり、河川延長9.8km、流域面積34.3km2の豊かな自然環境に囲まれた地域を流れています。四万十川流域では、流入土砂をコントロールし、本川の河床上昇による氾濫を抑制する目的のため、昭和30年代から40年代にかけ多数の砂防堰堤が建設され治水上大きな役割を担ってきました。

 

○しかしながら、近年、流入土砂の減少による四万十川の河床低下とそれに伴う河川環境の悪化が、漁業者を中心とする流域住民から問題視され、水系一貫を視野に入れた流域土砂管理を強く求められました。そこで、大規模な土砂流出があった場合は一時的にこれを抑制し、平常時にはその堆積土砂を徐々に下流側に流すことができるよう、既設堰堤のスリット化を行いました。

 

○今後はスリット部の状況等を定期的に確認し、効果が最大限発揮されるよう維持管理を続けていきたいと考えています。

  最後に本事業に協力して頂いた地域住民の皆様をはじめ、関係機関の方々に深く感謝申しあげます。

 

 

2.二十一世紀につたえる ふるさとの風景 四万十川  高知県四万十町長 *瀬 満伸 ※ *はなべぶたの下がはしごのようになっている高です。(はしごだか)

 

○四万十町は、平成18年3月に窪川町 大正町 十和村の町村合併により県下最大面積642km2の町として誕生しました。高知県中西部に位置し、中央を清流四万十川が東から西へと大きく蛇行して流れる自然豊かな所です。その中流域にあたる十和地域は、こいのぼりの川渡し、川下りやキャンプ、鮎の友釣りなど、思い思いのアウトドアライフを満喫するスポットが点在し、多くの観光客に親しまれ、この地を好むIターンの方も増えています。

 

○火振り漁などの伝統漁法も盛んで「四万十の鮎 鰻」としてその名が知られていますが、漁獲量は年々減少しており、その要因には山の荒廃、生活・農業排水による水質悪化が挙げられ、町は漁業者と議論を重ね、下水道、農業集落排水施設、四万十川方式による水質改善施設の設置とともに、生活排水の水質改善のための啓発活動や、保水力を高めるための森林の間伐奨励等を行うと同時に、高知県に対して、支川に多数ある砂防堰堤に堆積した河川砂利を適切に流下させ水質浄化作用を高めるよう要望してきました。

 

○この度、長沢川砂防堰堤のスリット化を県が実施したことで、支川から四万十川への適正な砂利供給の取組みが一歩前進しました。今後も継続して要望するとともに、清流四万十川と流域の環境保全に努め、ふるさとの原風景を後世につたえ、山と川と海、自然と人が元気なまちづくりを目指します。

 

 

今週のニュース

 

1.排水ポンプ車による実排水操作訓練を実施  (肱川水系 大洲河川国道事務所)

 

○5月31日(木)に、大洲市柚木の肱川右岸河川敷において「平成24年度排水ポンプ車操作訓練」を実施しました。

 

○当日は、大洲河川国道事務所が保有する排水ポンプ車5台(150m3/min級:1台、30m3/min級:4台)を使用し、災害出動時に各ポンプ車を担当する土木業者の作業員42名が、操作手順や設置作業のノウハウを習熟すべく、暑い中にも関わらず熱心に取り組みました。

 

○合わせて今年度も過去2年に引き続き、大洲河川国道事務所の緊急災害対策派遣隊(TEC−FORCE)として登録されている職員及び排水ポンプ車出動時の現地状況連絡担当職員ら総勢15名が訓練に参加しました。

 

○今年の訓練でも、昨年の東日本大震災での排水支援作業派遣者の意見を参考に、現地で指揮する立場として、作業に必要な免許資格等の基礎的知識や衛星携帯電話の使用方法の習得と、排水ポンプ車をコース上で実際に運転して車両感覚を体験したり、照明車の応用的な操作とその意味を習得したりして、昨年度からさらに充実させた内容で行いました。

 

○後半は、今年度は軽量ポンプだけでなくクレーンの必要なポンプ車の作業に対しても職員が加わり、担当業者と共に排水ポンプの投入やホースの敷設、ポンプの運転操作などを職員自らも実際に行い、災害対応技術力の向上を目指して真剣に取り組みました。

 

○また、照明車や可搬型照明装置を現地にて点灯させ、排水ポンプ車と併せて稼働確認を行い、不具合等が無いことを確認しました。

 

○今後の本格的な出水シーズンに向けて、ハード、ソフトの両面で万全の態勢を整えることができました。

 

 

2.「中筋川ダム水生生物調査について」  (渡川水系(四万十川水系) 中筋川総合開発工事事務所)

 

○6月1日(金)、中筋川ダムのダム湖より少し上流にある河原で、地元の三原小学校5年生児童たちに協力してもらって、水生生物の調査を行いました。三原小学校ではこの水生生物調査を5年生の年間行事に入れてもらっています。幸いにも、この日の天気は晴れ時々曇り、水に濁りはありませんでした。

 

○まずは、CODパックテストによる水質調査を行いました。多少のばらつきはありましたが、ほとんどが「キレイな水」という結果となりました。

 

○続いて、水生生物調査を行いました。川幅約4メートル・水深5〜15センチメートルの浅瀬で、川底の石の裏や網ですくった砂利の中から、たくさんの生き物を見つけました。「キレイな水」に住むカワゲラ、ヒラタカゲロウ、ナガレトビケラ、サワガニ、「少しきたない水」に住むコオニヤンマ、カワニナ等、小さなものでは、長さが1センチにも満たない生き物を慎重に水の張ったパットに集めていきました。他にも、10センチほどに成長したアユ(手づかみで捕まえました!)や、環境省レッドリスト絶滅危惧種2類のアカザ、カジカガエルも捕まえることができて、大人も子供も大興奮でした。

  

○30分ほどで採取した生き物をルーペやピンセットを使って数を数え、それらの種類や数の割合等から最後には水質を判定し、結果は「キレイな水」となりました。

 

 

3.吉野川河川敷耕作地におけるパトロールの実施について  (吉野川水系 徳島県)

 

○平成24年6月1日(金)、吉野川河川敷や善入寺島の耕作地における肥料や堆肥の不適切な施用を防ぐため、徳島県と合同でパトロールを実施しました。

 

○吉野川には古くから農地として耕作されてきた歴史があり、今も流域約660haにわたり野菜等が作付され、有機質肥料が広く利用されています。

 

○吉野川の環境保全のため、耕作地における肥料や土壌改良材などの適切な施用についての周知・啓発を行うとともに関係機関の一層の連携を図るため、平成19年から吉野川河川敷耕作地におけるパトロールを実施しているものです。

 

○今回、徳島市から阿波市の善入寺島までの往復約55kmの間の耕作地について、施用されている肥料等の質、量などが適切かどうかパトロールを行い、野積み、鋤込み不良等不適切と判断した5件について適切に施用するよう指導し、協力を求めました。

 

○吉野川の適正な維持管理のために、皆様のご理解とご協力をよろしくお願いします。

 

 

4.「重信川クリーン大作戦」(清掃活動)、「重信川自然再生・保全プロジェクト」(松原泉で句会ライブ)を開催  (重信川水系 愛媛県)

 

○6月2日(土)に、「重信川の自然をはぐくむ会」の主催で、12回目となる「重信川クリーン大作戦」(清掃活動)が行われました。

 

○「重信川クリーン大作戦」は、平成17年1月に重信川エコリーダー(愛媛大学生)の呼びかけにより開催され、年に2回(6月、10月)継続的に実施しています。

 

○清掃場所は、下流左岸【松前町】(重信川河口)、中流右岸【松山市】(重信橋周辺)、上流左岸【東温市】(拝志大橋周辺)の3箇所で約360名の参加があり、「可燃ゴミ」「不燃ゴミ」「粗大ゴミ」別に集められ、約390袋のゴミが回収されました。その中には、テレビ、古タイヤ・自転車・ガスコンロ等の不法投棄もありました。

 

○今回の清掃は、中流で重信川自然再生・保全プロジェクト(松原泉で句会ライブ)とコラボして開催し、清掃後に俳句集団いつき組組長の夏井いつきさん進行による句会ライブが開催され、参加者は泉、清掃、外来種などのテーマで俳句をひねり、夏井さんのユーモアあふれるコメントで会場は笑いの渦となりました。

 

○各テーマ毎の優秀句により5回の対戦を行った後、最終句に残ったのは、「草しげる 泉をあらう手と手と手」となりました。

 

○くもり空ではあったものの初夏の気温が高い中参加頂いた方々からは、清掃後のきれいになった重信川を見てすがすがしい気分となりましたが、不法投棄されたテレビなどの粗大ゴミやペットボトル、弁当殻などの多くのゴミが集まった状況に驚きを感じるとともに、重信川の美しい河川環境を守り育てていくために、一人一人がゴミを捨てないようにする意識の向上や、工夫が必要と感じていました。

 

○次回は10月20日(土)に開催する予定です。皆さんもご参加下さい。

 

 ※「重信川の自然をはぐくむ会」:環境悪化が進む重信川の保全・再生を目指し、地域の大学、学生、NPO、行政の協力・連携を図るため平成15年1月に設立された団体。

 ※「重信川エコリーダー」:松山在住の大学生の環境学習等を実施しているサークルであり、「重信川の自然をはぐくむ会」の構成メンバーで子供と大人を繋ぐ橋渡し的な存在。

 

 

5.「重要水防箇所現地説明会」を開催  (仁淀川水系、物部川水系 高知河川国道事務所)

 

○梅雨や台風シーズンの出水に備え、6月1日(金)、4日(月)で仁淀川・物部川の重要水防箇所の巡視を、流域市町村などの関係機関と合同で行いました。本説明会は、国や市町村や水防団などの関係機関が、合同で重要水防箇所などの現地を確認することにより情報を共有し、洪水時に迅速かつ適確な水防活動・体制の充実を図るものです。

 

○重要水防箇所とは、洪水時に堤防が崩れたり、洪水が堤防を越える等の水害を受ける恐れがある、重点的に見回りや点検が必要とされる箇所のことです。近年は、地球規模での気候変動に起因する短時間の集中豪雨も発生していることからも注意が必要と考えています。

 

○巡視は下記の日程で行われました。

 6月1日  仁淀川(高知市、土佐市、いの町、日高村)の重要水防箇所

 6月4日  物部川(南国市、香南市、香美市)の重要水防箇所

 

○巡視を行ったのは、仁淀川・物部川・高知海岸の水防連絡会を構成する下記の機関です。

 【仁淀川重要水防箇所巡視の参加機関】

   高知県、高知市、土佐市、いの町、日高村、国土交通省など。

 【物部川重要水防箇所の参加機関】

   高知県、南国市、香南市、国土交通省など。

 

○今後も、このような水防体制充実に向けた取り組みを積極的に行っていきます。

 

 

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  ■連絡先■  四国地方整備局 河川部  河川管理課 建設専門官  柳 忠和

          760-8554 高松市サンポート3番33号

          TEL 087-851-8061(代)マイクロ88-3753(柳) mailto:rivers-news@skr.mlit.go.jp

          FAX 087-811-8417(河川計画課)

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