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四国河川ニュース

1/21(土)〜1/27()535

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2012.1.30発行】

○四国・水こぼれ話談話室Vol.209

  ○徳島県 見堂谷通常砂防事業 徳島県 南部総合県民局県土整備部 副部長 東村 正行

  ○大規模地震と土砂災害(山津波)の対応 那賀町長 坂口 博文

 

○今週のニュース○

  ○河川と水の環境学習会を開催 (吉野川水系 徳島県)

  ○「石井町総合防災訓練」に参加 (吉野川水系 徳島県)

 

 

四国・水こぼれ話談話室Vol.209

 

1.徳島県 見堂谷通常砂防事業 徳島県 南部総合県民局県土整備部 副部長 東村 正行

 

■事業概要

○ 那賀川水系坂州木頭川流域の見堂谷地区は、徳島県の山間部、那賀郡那賀町坂州に位置する砂防指定地であり、土石流が発生する危険性が高い地区です。当地区内には、人家37戸をはじめ、地域防災計画で避難所に位置づけられた集会所や防災ヘリポートへ連絡する町道など重要な施設がありますが、かねてより当地区の上流部では、山腹崩壊等により荒廃が進行しており、出水時には、土石流等により、下流域の人家等に甚大な被害を及ぼす恐れがありました。

 

○ このため、平成10年度より通常砂防事業による整備に着手し、これまでに、堰堤2基を完成させ、さらに、現在、最上流部のたまんきら谷で来年度の完成を目標に第3号堰堤を施工しており、この完成により、地区の安全性を格段に向上させることができます。 

 

○ 昨年は、台風12号により紀伊半島地方で大規模な土砂災害が発生しましたが、平成16年の台風10号の際には那賀町で日降水量1,317oを記録し、当地区及び周辺地区では、土砂災害が多発し、甚大な被害が生じました。最近の頻発するゲリラ豪雨や大型化する台風、さらには大規模地震の発生に備え、これまで以上にハード・ソフト一体となった土砂災害対策の取り組みを推進していく必要があると考えております。

 

■主要施設

  砂防堰堤 3基 第1号堰堤(H=12.0m L=30.0m)H14年度 完成

第2号堰堤(H=12.5m L=55.7m)H21年度 完成

                 第3号堰堤(H=14.0m L=56.0m)施工中

 

■事業期間

  平成10年度〜平成24年度(予定)

 「那賀川水系坂州木頭川支見堂谷 土石流危険渓流T」    

 

2.大規模地震と土砂災害(山津波)の対応 那賀町長 坂口 博文

 

○ 那賀町は、徳島県の東南部に位置し、地域の北西部に四国山地、南部には海部山脈などを配しており標高1,000メートル級の山々に囲まれ、地域の9割以上が森林の中山間地域です。 地域内には那賀川及び坂州木頭川が流れ、両河川は旧上那賀町内で合流し地域のほぼ中央を西から東に貫流しています。面積は694.86平方キロメートルで、徳島県総面積の約17パーセントを占めています。このような広大な面積と那賀川を挟んで山麓に点在する集落は東西に約60キロメートルに及び、脆弱な地質と急峻な地形が土砂災害の危険性を高めています。

 

○ 今後、何時起きても不思議でない状況下にある大規模地震を想定するとき、深層崩壊を含めた大規模な土砂災害を想定しておかなければならず、河道閉塞、幹線道路の通行不能箇所の対応、生活物資の供給、負傷者・病人を搬送する緊急輸送路や通信手段の確保等について、海岸沿いの津波対策とは違った視点での想定が必要です。特に、平成16年の大規模地すべり災害の未だ完全復旧していない箇所を含め、対策工事を早急に完成しておかなければ安心できない箇所も多くあります。

 

○ さらに、近年地球温暖化傾向から局地的な豪雨が頻繁に発生する気象条件下にあることから、豪雨と重なった大規模地震発生を想定するとき、長安口ダムの早期改良を願わずにはいられない状況にあります。 

 

○ 那賀町では、合併時から進めております地域自治会単位を中心とした、自主防災組織での活動を通じ、本町に合った防災意識を住民に自覚していただくこととしており、それぞれの地域で安全な場所・安全な避難方法を常に意識しておくことが重要であります。その上に災害予防を含めた対策工事が、被害を最小限にくい止めることに繋がることから、今後ともハード整備と連携しながら町民がより安心して生活出来る環境づくりに努めていきたいと考えております。

 

 

 

今週のニュース

 

3.河川と水の環境学習会を開催 (吉野川水系 徳島県)

 

○ 1/16(月)に、「特定非営利活動法人新町川を守る会」の理事長である中村英雄氏を講師としてお招きし、河川と水の環境学習会を開催しました。

 

○ 今回の学習会は、国土交通省・水資源機構の共催で行われ、「川を生かしたまちづくり」をテーマに、中村理事長にご講演いただきました。

 

○ NPO法人新町川を守る会は、「自分たちの汚した川は自分たちの手で再生しよう」をキャッチフレーズとして、1990年に河川清掃等の河川環境の改善と環境啓発イベントに取り組むため、有志10名で発足し、「水辺に人が集まるまちづくり〜吉野川をはさんだ水際交流拡大プロジェクト〜」の活動が高く評価され、昨年6月に第13回日本水大賞でグランプリを受賞されました。

 

○ 河川清掃活動は毎月1日と第3土曜日に新町川・助任川の清掃を行っていて、現在までほとんど休まずに活動を続けているとのことでした。この中でも川に捨てられた自転車や放置船舶の回収や処理が課題となっていると伺いました。また吉野川の清掃も月に1回行っているそうです。

 

○ 河川環境啓発活動として代表的な活動は、新町川・助任川の一周6キロ(ひょうたん島の周り)の無料遊覧船の運航を毎日しており、遊覧船の乗船に県内外から年間5万人程度の人が訪れています。福祉の川として身障者の方々も安全に乗下船できるように配慮しており、遊覧船を使った様々なイベントも行っているとのことでした。また、徳島・鳴門間を川で結んだかつての主要交通路である撫養航路を再興し、川を活かした町づくりを通して地域の活性化を目指しているとのことです。一方で船の運航中、場所がわかるように道路橋に案内標識のようなものを川にもつけてほしいとの要望もいただきました。

 

○ 最後に、中村氏から「昔人々は川を背にしていたが、近年川がきれいになると川の方に向いてくれるようになった」「住民のありがとうの言葉がボランティアの配当」「住民がまずやることが大切」「川と、まち・人が益々仲良くなれるように運動を広げていきたい」といった言葉が心に残りました。

 

4.「石井町総合防災訓練」に参加 (吉野川水系 徳島県)

 

○ 1月17日()に、石井町において地元消防団、建設業協会、自主防災組織など約600名の参加による「石井町総合防災訓練」が開催されました。

 

○ 本訓練は平成23年3月11日の東日本大震災をはじめとし、近年頻発している大規模自然災害を踏まえ、マグニチュード8、震度6弱以上の地震発生の発生や津波警報の発令を想定し、参加者各自の防災知識の習得や、災害時対応の確認について実働的な訓練を行うものです。

 

○ 訓練は各地域ごとの緊急避難訓練に始まり、自主防災組織による火災消火や心肺蘇生、炊き出し等の各種実働訓練が行われました。

 

○ このうち、吉野川鴨島出張所では防災エキスパートの協力のもと、水防技術指導員として水防団および建設業協会を対象に、土のうづくり、土のう積みの指導を実施しました。

 

○ また、自主防災組織の皆さんを対象に、ロープワークの指導も行いました。

 

○ 特にロープワークについては、指導者が質問攻めに遇うなど、参加者の皆さんは非常に関心を持たれ、防災意識の高さを認識することとなりました。

 

○ 今後ともあらゆる機会を通じ、地域の方々との連携、防災意識向上に努めたいと思います。

 

 

 

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