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四国河川ニュース
《10/15(土)〜10/21(金)》521号
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【2011.10.24発行】
○四国・水こぼれ話談話室Vol.201
○高知県 甲浦地区(安芸郡東洋町)の急傾斜地崩壊対策事業 「急傾斜施設を利用した南海地震時の津波避難」 高知県土木部防災砂防課長 加藤 仁志
○「防災のまちづくりへ」 東洋町長 松延 宏幸
○今週のニュース○
○「重信川クリーン大作戦」(清掃活動)を開催 (重信川水系 愛媛県)
○平成23年度 吉野川左岸中流堤防維持工事 佐々木建設(株) (吉野川水系 徳島河川国道事務所)
○平成22−23年度 蓬莱地区根固工事 横田建設(株) (土器川水系 香川河川国道事務所)
四国・水こぼれ話談話室Vol.201
1.高知県 甲浦地区(安芸郡東洋町)の急傾斜地崩壊対策事業 「急傾斜施設を利用した南海地震時の津波避難」 高知県土木部防災砂防課長 加藤 仁志
○ 安芸郡東洋町は、高知県の最東端に位置し、大半が山地で、高い山岳が海岸近くまで迫っており、そのほとんどが室戸阿南海岸国定公園に含まれています。甲浦地区は急峻な地形により、複数の急傾斜地崩壊危険箇所が連担しているとともに、南海地震時の津波浸水想定区域にも含まれており、地区全体に甚大な被害を及ぼすことが想定されています。
○ 甲浦地区の急傾斜地崩壊対策施設は、主に昭和40年代後半から50年代にかけて整備した箇所が多く、落石防護柵が腐食や破損している箇所があります。斜面崩壊が発生した際に、施設の機能を十分に発揮させるため、県単事業等により順次、落石防護柵の付け替えを実施しており、これに併せて、老朽化した管理用階段等についても付け替えを実施しています。
○ 東洋町は地震発生から津波到達までの時間が、早い場所では5分以内、多くの地域が10分から30分の間に到達すると予想されています。人家の前には港、背後には山という地形である甲浦地区では、津波から避難するために背後の山へ登らなければなりません。急傾斜地崩壊対策施設として設置している管理用階段等を利用し、高台へ避難するための訓練や救急処置訓練を 実施しており、地区住民の防災意識の向上を図っています。
○ 高知県では、土砂災害の被害を最小限に留めるため、ソフトとハードが一体となり、防災対策を実施しています。今後は、南海地震が発生した際に懸念される斜面崩壊及び津波被害に対するハード対策として、特定利用斜面保全事業による斜面対策と津波避難場所の創出についても市町村と連携し、積極的に検討していきたいと考えています。
2.「防災のまちづくりへ」 東洋町長 松延 宏幸
○ 東洋町は高知県の最東端に位置し、北部は徳島県海陽町、南部は室戸市に隣接し、室戸阿南海岸国定公園のほぼ中央にあり、輝く海に面した東西14km、清流野根川沿いの南北16kmで、面積は74.10km2に及び、全面積の約86%が山林で自然豊かな町です。
○ 甲浦港は、古くから天然の良港として恵まれ、高知県東部海岸の避難港のひとつであるとともに、東の玄関口でもあります。
○ 甲浦地区の中にある白浜地区の海抜は1.3mから4.6mであり、河口部の低地に住宅などが密集していることから、河川の氾濫による危険だけでなく、津波被害の危険が大きいことが予測されています。
○ 南海地震は、今後30年以内に60%程度の確率で発生すると予測され、歴史的にみると安政南海地震津波(1854年)で3m、昭和南海地震津波(1946年)で2.5mという推定浸水域の記録が残っています。高知県では平成17年度に、県下の津波浸水予測を公表しており、白浜地区においては大きいところで6m以上の津波高と予測されています。これを受けて、東洋町では平成22年度に津波避難計画を策定しましたが、更に見直しをしているところです。
○ 現在の津波避難計画の中でも、津波到達時間を10〜15分と想定するとともに、この津波到達時間から地震による揺れの継続時間及び避難準備時間を控除した避難可能時間を5〜6分と示し、避難困難地域を示します。それにより白浜地区には津波避難困難地域が広く存在することが確認されています。さらに、人口が密集している上、災害弱者である高齢者の比率も45%に達していることから、白浜地区は最も早急な対策が必要な地域のひとつであることが判明しました。
○ こうした状況下で、まず避難場所として整備したのが、甲浦中学校屋上へ上がるための避難階段です。しかし、そこだけでは白浜地区の全住民が避難することは不可能であることから、避難場所として防災避難タワーを2基建設いたしました。現在は、甲浦地区の中にある小池地区にも1基建設中となっておりますが、平成24年度以降には県補助を頂き、野根地区に2基、本庁舎のある生見地区へも1基の建設を計画しています。
○ 高台への避難が出来る地区には避難道の整備を行っておりますが、避難道の維持管理、避難訓練を積極的に行い、まずは、「逃げること」という自主防災意識の向上に努めることが最も大事であると考えております。
○ 今後も県の支援を受けながら、自主防災組織等の意見がすぐに反映できる組織づくり、リーダー役を養成するとともに、県、町、住民と一体となった防災事業により住民の生命と財産を守り、安心して暮らせるまちづくりを目指していきます。
○ なお、標記内容の詳細は、次の四国地方整備局HPにおいても掲載していますので、ご覧下さい。またこのメールは、各市町村長様にもご担当より転送して下さいますよう、お願い致します。
http://www.skr.mlit.go.jp/kasen/topics/mizukobore/index.html
今週のニュース
3.「重信川クリーン大作戦」(清掃活動)を開催 (重信川水系 愛媛県)
○ 10月15日(土)に、「重信川の自然をはぐくむ会」の主催で、11回目となる「重信川クリーン大作戦」(清掃活動)が行われました。
○ 「重信川クリーン大作戦」は、重信川エコリーダー(愛媛大学生)の呼びかけにより開催され、年に2回継続的に実施しています。
○ 清掃場所は、これまでの下流左岸【松前町】(重信川河口)、中流右岸【松山市】(重信橋周辺)、上流右岸【東温市】(拝志大橋周辺)に加え中流左岸(広瀬霞)でも実施しました。
○ 各所で集められたゴミは「可燃ゴミ」「不燃ゴミ」「粗大ゴミ」に分別し、約640袋のゴミが回収されました。その中には、古タイヤ・自転車等の不法投棄もありました。
○ 今回は上流右岸で、地元で定期的に清掃を実施している重信川美化推進の会と共同開催としたことで約500名の参加があり、下流、中流、上流合わせると約730名となり、これまでで最多の参加人数となりました。
○ 今回の清掃は、先般の台風第15号の出水で、従来より大量のゴミが河口に押し寄せられたことにより、河口部でペットボトル等の燃えるゴミが多く、また、上流は参加人数が約500名となったこともあり、今回の収集したゴミの量は例年の約1.5倍となりました。
○ また、清掃後は上流右岸において、重信川エコリーダーによるプロジェクトWET(水に関する教育)が実施され、小学生5,6年のサッカーチームのメンバーと大学生が、水循環等についてゲーム感覚で学習を行いました。
○ 参加者からは清掃後のきれいになった重信川を見て、すがすがしい気分となりましたが、集められた多くのゴミを見て、重信川の美しい河川環境を守り育てていくために、一人一人がゴミを捨てないようにする意識の向上や、ゴミ拾いを継続して実施していく必要性を感じていました。
※「重信川の自然をはぐくむ会」:環境悪化が進む重信川の保全・再生を目指し、地域の大学、学生、NPO、行政の協力・連携を図るため平成15年1月に設立された団体。
※「重信川エコリーダー」:松山在住の大学生の環境学習等を実施しているサークルであり、「重信川の自然をはぐくむ会」の構成メンバーで子供と大人を繋ぐ橋渡し的な存在。
4.平成23年度 吉野川左岸中流堤防維持工事 佐々木建設(株) (吉野川水系 徳島河川国道事務所)
○工事名:平成23年度 吉野川左岸中流堤防維持工事
○工期:平成23年4月1日〜平成24年3月31日
○請負会社:佐々木建設(株)
○工事場所:吉野川左岸20k5〜40k8
○工事概要
河川維持工 1式、河川修繕工 1式
○現場紹介
本工事は、吉野川左岸吉野川中流20.5kmから40.8kmの区間について、堤防除草等の維持修繕工事を行っています。
維持修繕工事では、除草で発生する刈草を一般の住民に無料配布することで処分費の削減を行っています。平成22年度は、吉野川の美馬市から三好市までの除草区間について100%の配布が達成されており、吉野川市から下流域については約75%の配布率となっています。
このため、より多くのみなさまに無料配布について知っていただくため、徳島河川国道事務所ではHPに情報を掲載し、また関係する自治体には広報誌に掲載していただくなどのご協力をいただいています。その結果、今年度1回刈りの時点で100%の配布が達成されました。
5.平成22−23年度 蓬莱地区根固工事 横田建設(株) (土器川水系 香川河川国道事務所)
○ 工事名 :平成22−23年度 蓬莱地区根固工事
○ 工 期 :平成23年3月11日〜平成24年2月24日
○ 請負業者名 :横田建設株式会社
○ 工事場所 :香川県丸亀市土居町2丁目地先
○ 工事概要
本工事は、土器川左岸1k/6+ 30〜1k/8+ 20付近の局所的な洗掘に伴う既設根固工の流出・損傷対策として、根固補強を行っているものです。
当該地域は、従前より周辺環境にも配慮した自然石による多自然型護岸工が施工されている区間であり、当工事においても、自然石による巨石張工を採用しています。
○ 現在の進捗状況
現在の工事進捗状況は9月末で完成間近となっています。
○ 現場の取り組み
本年度は、5月下旬から9月までの間、台風2号、12号、15号の襲来に伴い幾度となく多くのゴミや塵芥が流下し散在していましたが、公共事業のイメージアップ対策として塵芥処理を実施し、周辺住民らの河川利活用に配慮しました。
また、工事区間の堤防背後地には、一般の商業施設があったため、施設管理者とも協議の結果、工事の施工方法について集客時への配慮の観点から、お盆の期間の工事中止や粉塵対策として乗り入れ道の散水等を行うなど、注意しながら実施しました。
本工事は、根固工の設置が特に夏場に集中したため、注意力散漫による車両、人身の事故等を防ぐため、大型クレーン車作業時の事故防止対策とともに、熱中症対策にも注意し、これまで無事故・無災害で施工中です。
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■連絡先■ 四国地方整備局 河川部 河川管理課 課長補佐 藤田 博史
〒760-8554 高松市サンポート3番33号
TEL 087-851-8061(代)マイクロ88-3753(藤田) mailto:rivers-news@skr.mlit.go.jp
FAX 087-811-8417(河川計画課)
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