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四国河川ニュース

1/29(土)〜2/4()485

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                                                                          2011.2.7発行】

 

 

○四国・水こぼれ話談話室Vol.185

   ○香川県 八幡地区(観音寺市)の急傾斜地崩壊対策事業『八幡地区 急傾斜地崩壊対策事業 』   (香川県西讃土木事務所 児玉 学 所長)

 

   ○「安心できるまちづくりを目指して」 (香川県 観音寺市 白川 晴司 市長)

 

 

○今週のニュース○

 

   ○平成22年度 土器川維持工事でのコスト縮減対策について (上流維持工事 清田建設(株) 下流維持工事 岩崎建設()) (土器川水系 香川河川国道事務所)

 

   ○大渡ダム定期検査を実施 (大渡ダム管理所)

 

  ○水防技術指導者研修を実施 (四国技術事務所 防災技術センター)

 

  ○平成22年度 河道閉塞(天然ダム)対応訓練について (仁淀川水系 高知県)

 

  ○第3回「早明浦ダム濁水対策新技術検討委員会」の審議結果について (吉野川水系 吉野川ダム統合管理事務所)

 

  ○四万十川洪水危機管理演習を開催 (渡川水系 高知県)

 

  ○銅山川ダム群の渇水状況報告(1月末現在)について (吉野川水系銅山川 吉野川ダム統合管理事務所)

 

 

 

四国・水こぼれ話談話室Vol.185

 

1.香川県 八幡地区(観音寺市)の急傾斜地崩壊対策事業『八幡地区 急傾斜地崩壊対策事業 』 香川県西讃土木事務所 児玉 学 所長

 

○ 八幡地区は、県西部の観音寺市八幡町に位置し、保全対象人家12戸、高さ28m、傾斜度45°の急傾斜地であり、斜面崩壊による被害を防止するため、昭和53129日に急傾斜地崩壊危険区域に指定し、昭和5455年度にかけて、急傾斜地崩壊対策事業として擁壁工と落石対策工を実施しておりました。

  しかし、平成16年の台風等の豪雨により土砂の崩落及び流出が発生したこと、また斜面の風化・浸食が進行し、小崩壊が発生し、放置すれば重大な災害につながる恐れがあることから、地元住民からの強い要望を受け、急傾斜地崩壊対策事業として法面対策工事を実施しました。

 

○ 対策にあたっては、当該地区が寛永通宝の砂絵で有名な琴弾公園に近接し、風致地区に指定されているとともに、瀬戸内海国立公園内の一部でもあることから、自然環境及び景観に配慮する必要があり、現況地形及び植生を大きく改変しない工法を選定する必要がありました。

 

○ そのため、切土は行わずに現況の地山にあわせた施工が可能な吹付のり枠工と鉄筋挿入工を採用し、枠内に厚層基材吹付を行うとともに、現地で生育している高木樹は伐採せずに残し、低木樹は切り株を存置し再生可能とすることにより周辺環境との調和を図ることとしました。

                            

○ 工事は平成223月に着手し、地元住民の皆様のご協力もあり円滑に施工することができ、同年8月には無事に竣工を迎えることができました。

 

○ ハード整備を終えたことから、今後はソフト対策として、土砂災害(特別)警戒区域の指定促進、また警戒避難情報の提供などを行い、総合的な災害対策の推進に努めることとしています。

 

 

2.「安心できるまちづくりを目指して」香川県 観音寺市 白川 晴司 市長

 

○ 香川県の最西部で四国の中央部に位置する本市は、平成1710月に近隣の大野原町、豊浜町と合併し、新生観音寺市として出発しました。人口は約63千人、面積は117.47kuで、東部から南部にかけては四国霊場第66番札所として有名な雲辺寺山から海岸部に讃岐山脈が連なっており、北部は七宝山などの丘陵地が連なっています。また中央部には、三豊平野が広がり、東西にわたって財田川、一の谷川、柞田川が流れ、その河川の流域には豊かな田園地帯が形成され、財田川の河口付近の有明浜には砂絵の寛永通宝が姿を見せています。

 

○ 気候は、温暖な瀬戸内式気候で降水量が少ないため、農業用のため池が多数点在する特色ある風景が印象的な、自然に恵まれた災害の少ないまちであります。

 

○ しかし、平成16年には、かつて経験したことがない程の台風の襲来を受け、本市は山間部を中心に大きな被害を受けました。

 

○ また、八幡地区の急傾斜地においても豪雨により、法面崩壊の危険性が十分にありましたが、幸いにも被害は出ませんでした。しかし急傾斜地周辺には住宅等が密集しており、斜面が崩壊した場合には被害は大きなものとなることが予想されます。その状況を見てがけ上に位置する興昌寺や斜面下部の住民より対策事業の要望があげられました。

 

○ 興昌寺は急傾斜地上部に位置し、その境内には俳諧の祖、山崎宗鑑が客に一夜以上の滞在を許さなかったといわれる一夜庵(市指定文化財)があります。

 

○ また、平成16年災害においては、河川においても多大な被害が発生しました。川が氾濫して道路が浸水し、農地や住宅に土砂が流入した箇所もありました。住宅密集地を流れる河川流域の住民からは河川改修の要望が出されております。河川の氾濫は一瞬にして人命や財産を奪ってしまうため、関係者の協力を得ながら改修に取り組めればと考えております。

 

○ 自然災害は待ってくれません。今後は新しい手法を模索することも含めて、国、県と調整を図り、安心して住みやすいまちづくりを目指して参りたいと考えております。

 

○ なお、標記内容の詳細は、次の四国地方整備局HPにおいても掲載していますので、ご覧下さい。またこのメールは、各市町村長様にもご担当より転送して下さいますよう、お願い致します。

 

   http://www.skr.mlit.go.jp/kasen/topics/mizukobore/index.html

 

 

 

今週のニュース

 

3.平成22年度 土器川維持工事でのコスト縮減対策について (上流維持工事 清田建設(株) 下流維持工事 岩崎建設()) (土器川水系 香川河川国道事務所)

 

○工事名:平成22年度 土器川上流維持工事

     平成22年度 土器川下流維持工事

 

○工期:平成22年4月1日〜平成23年3月31日

 

○請負会社:土器川上流維持工事  清田建設(株)

      土器川下流維持工事  岩崎建設(株)

 

○工事場所:土器川 0k1/0〜18k1/650

 

○工事概要

 河川維持工 1式、河川修繕工 1式、樋門修繕工 1式

 

○現場紹介

 本工事は、土器川河口から18.65kmの区間について、堤防除草等の維持工事を行っています。今回の維持工事では、コスト縮減や環境への取り組みとして、いろいろな事を試験施工しています。

 

(1)除草で発生する刈草をロール化し、無料配布を行い処分費の削減を行いました。香川県は規模が小さい農家が多いので、過去の同様な試験時には散々な結果でしたが、今回は高松から三豊地区までの広範囲にわたって、何回もPRを実施した成果もあり、まずまずの配布成果(約2285個/67回)となりました。来年度以降もこの「土器川ロール」を増やしていきたいと考えています。

 

(2)河川内で生えている樹木を定期的に伐採していますが、これについても伐採木の無料配布を実施しました。とりあえず、試験的に1日だけの配布でしたが、10人の方が取りに来られ約30m3の伐採木が有効利用されました。何に利用するのかアンケートした結果は、薪ストーブ、風呂の燃料、木工工作教室の材料、植木の台、テーブルと椅子などが有りました。今後とも継続していくつもりですので、必要な方は土器川出張所まで連絡ください。

 

(3)以前から植物廃材の有効利用として、試験施工している「土器川堆肥」も、周辺の住民や小学校・幼稚園、関係工事への支給などにより売り切れの状況となっています。今後は、チッパーを利用しない堆肥作成を試験して、堆肥製作コストのより一層の縮減を目指していきます。

 

(4)除草廃材の処分については、平成10年頃までは焼却処分していましたが、環境を配慮して廃棄物処分しています。この現地焼却を復活させようと本年度約20,000u程度試験施工しています。詳細な結果は取り纏め中ですが、とりあえず注意深い施工と入念な周辺周知により苦情は0件でした。今後は、支障ない箇所の現地焼却が行えるよう、慎重に進めていきたいと思います。

 

(5)来年度は、これらの方法を組み合わせて、維持工事から出る除草廃材のゼロエミッションを目指して、各種試験施工にトライしていきます。

 

 

4.大渡ダム定期検査を実施 (大渡ダム管理所)

 

○ 大渡ダムにおいて、1月24日(月)〜25日(火)の2日間に渡って、ダム定期検査が行われました。

 

○ ダムの定期検査は、3年に1回、職員によるダムの管理状況を点検するために行われるものです。

 

○ 初日は、検査官(本局)と検査官補助者(直轄各ダム所長等)約10名が、書面検査として、ダムの漏水量、揚圧力データ、たわみ計等、各種データについて、経年的変化や、季節変化状況を確認頂き、現在の大渡ダムの管理状況について議論がなされました。

 

○ 2日目は初日の書面検査を踏まえ、実際に大渡ダムの監査路や外観、ゲートを稼働させる等、各設備を確認頂きました。

 

○ 検査結果として、緊急対応が必要とされるような指摘事項はありませんでしたが、継続的に漏水が発生している箇所等の経過観察や、機器の点検等について助言を頂くことができました。

 

○ 今回、指摘、助言を頂いた事項については、早急な対応を実施するとともに、ダム管理の着目点として活用し、今後も確実で適切なダム管理が出来るよう努めてまいります。

 

 

5.水防技術指導者研修を実施 (四国技術事務所 防災技術センター)

 

○ 防災技術センター(四国技術事務所)では、1月26日(水)〜27日(木)の2日間、河川担当の事務所課長、出張所長、建設専門官、建設監督官、自治体防災担当者を対象にして、水防技術指導者研修を計画外研修として実施しました。

 

  本研修は、水防団等の知識・技能の向上を支援するため、水防管理団体等の要請に応じて、水防訓練・講習会等で技術指導を行う「水防技術指導者」を養成することを目的に、「水防技術指導者」として必要な心構えや専門的な防災知識、水防技術の習得を図るものです。

 

○ 研修には、四国各地から20人が参加し、藤山河川情報管理官から水防法等の講義を受けた後、冬空の下、2班に分かれて防災エキスパートの高橋徹馬氏、原田重信氏の2名から指導を受けながら、土のう作り、ロープワーク、改良積み土のう工、改良積み土のう工U、月の輪工、シート張り工の各工法を実施しました。

 

○ 今回の研修の目的は、各自が水防工法を習得することはもちろんですが、習得した技術を初心者の人にいかに分かりやすく教えるか、という「指導方法の習得」にあり、2人1組になって、各工法の動作を声を出して分かりやすく説明しながら実施し指導方法を勉強しました。

 

○ 今回の研修成果を生かして、今後、各事務所の若手職員や水防団、自主防災組織の方々に、水防工法の指導をしていってくれるものと期待しています。

 

 

6.平成22年度 河道閉塞(天然ダム)対応訓練について (仁淀川水系 高知県)

 

○ 学習型訓練形式による「河道閉塞(天然ダム)対応訓練」を、土砂法の一部改正を受けた天然ダム対応の訓練としては、全国で初めて実施いたしました。

 

○ 日時:平成22年1月26日() 13:00〜17:00

 

○ 場所:すこやかセンター伊野(高知県吾川郡いの町1400)

 

○ 参加機関(訓練参加数 87名)

  高知県、高知市、土佐市、いの町、越知町

  陸上自衛隊、高知県警察、

  仁淀消防組合、高吾北消防組合

  国土交通省(本局企画部・河川部、四国山地砂防事務所、高知河川国道事務所、土佐国道事務所、大渡ダム管理所)

 

○ 目 的

 南海地震等により河道閉塞が発生した場合に、関係機関同士の情報の伝達や共有方法を確認することにより連携を強化し、また、天然ダムに対する対応技術の向上を目指します。

 

○ 想 定

 平成23年10月28日()に、土佐湾沖でマグニチュード8の南海地震が発生し、仁淀川(越知町中心部の約5km下流)に大規模な河道閉塞(天然ダム)が発生したとの想定で開始されました。

 

○ 訓練概要

 訓練は、天然ダムが形成された直後の「発災ステージ」から「初動体制確立ステージ」、「初動対応ステージ」、「応急対策ステージ」の4ステージに分けて順を追って実施しました。

 訓練の進行者から訓練参加各機関に対して、「大規模な河道閉塞の連絡が入りました。あなたの機関ではどのような対応をとりますか」など、災害の状況に応じた質問が出され、それに対して各機関が班内で検討し「どのような情報伝達を行うか」、「どのような行動を行うか」等の回答を行う形で実施しました。

 また、天然ダムによる湛水被害や決壊浸水被害等の「危険度概略判定」をどのように実施しているかの説明も受け、訓練に参加した職員の技術向上に資することが出来たと思います。

 

 

7.第3回「早明浦ダム濁水対策新技術検討委員会」の審議結果について (吉野川水系 吉野川ダム統合管理事務所)

 

○ 平成23年1月27日13時30分から、高知プリンスホテル(高知市南宝永町)にて開催いたしました。「第3回 早明浦ダム濁水対策新技術検討委員会」の審議結果につきましては下記のとおりです。

 

○ 第3回委員会審議結果について

  第3回委員会(委員長、高知大学大年邦雄教授)では、一次選定された15件の濁水対策技術について、最終審議を行い総合評価を行いました。

 

<総合評価>

  応募技術については、どの技術にもそれぞれの課題があり、現時点では現場適用性が低いと判断された。課題としては、早明浦ダムの貯水池規模に対する適用性、安全性、経済性などがあげられる。ただし、応募技術の一部又はその考え方の一部については、その適用方法や他の手法との組み合わせにより、有効な濁水対策となり得る可能性があるものもいくつかあった。

 

<有効な濁水対策となる可能性がある考え方の事例>

  @貯水池流入部に、みお筋を造成して浸食を抑え、濁りの巻き上げを抑制しようとする考え方

 

 

 A貯水池の入り江を利用してフェンスで仕切り、そこに温存しておいた清水を洪水後に放流しようとする考え方(清水温存放流)

 

○ 今後の濁水対策の進め方について

 今回は、応募技術をそのまま現地に適用することは見送ることとしましたが、今後は委員会での審議結果を踏まえ、具体的な対策の検討を実施していきたいと考えています。

 また、委員会の中でも指摘のありました凝集剤活用の可能性についても、意見を踏まえ、継続して検討していきたいと考えています。

 

 

8.四万十川洪水危機管理演習を開催 (渡川水系 高知県)

 

○ 四国地方整備局水災害予報センターでは、直轄河川に係わる自治体を対象とした大規模洪水災害における、防災担当者の危機管理への対処能力の向上に資することを目的として、平成23年1月29日(土)に高知県四万十市において、「四万十川洪水危機管理演習」を開催しました。

 

○ 演習は、四国地方整備局、中村河川国道事務所、中筋川総合開発工事事務所、高知県、四万十市、宿毛市の防災担当者が連携し、四万十市、宿毛市を流れる四万十川、中筋川等の大規模な洪水災害を想定した情報収集及び伝達、状況判断、マスコミ対応、関係機関との連携等の具体的な対応を実践的に行うロールプレイング方式による模擬演習で実施し、演習部員・指揮部員・見学者等、約180名が参加しました。

 

○ 演習中は、終始実際の災害時と同様な緊張感の中で実施され、終了後には検討会を実施し、各組織(部署)から反省点、感想などの発表がありました。

 

○ また、四万十市長、宿毛市長及び演習統監の河川部長より、演習の講評を頂き、最後に高知大学農学部の大年先生より演習全体の講評を頂きました。

 

○ 今後は、いつ発生するかわからない災害に向けて課題を整理し、現在の防災計画への反映も踏まえ、減災に向けた体制を強化していきたいと考えています。

 

 

9.銅山川ダム群の渇水状況報告(1月末現在)について (吉野川水系銅山川 吉野川ダム統合管理事務所)

 

○ 銅山川流域においては、平成22年8月から平成23年1月の6ヶ月の降雨量は566.0mmで、平年の1,192.6mmと比べて47.5%と雨が少なく、特に1月においては12mmと平年(72mm)の16.7% と非常に少雨傾向が続いております。

 

○ そうした中、平成22年10月5日から一次取水制限(工業用水20%カット)、11月25日から第二次取水制限(工業用水25%カット)を実施してきましたが、貯水率は引き続き低下しており、1月26日(水)に、四国中央市内にて、今年度2回目の「銅山川渇水調整協議会」が開催され、1月28日(金)0時より、工業用水の取水量を30%、上水道用水を5%カットする第三次取水制限を開始することを決定し現在も継続中です。

 

○ また、四国中央市もこのような状況を受けて、1月28日(金)に「四国中央市渇水対策本部」を設置し、渇水対策に取り組んでいるところです。

 

○ 1月の降雨量が観測史上初めて0mmを記録するなど、四国全域でも少雨傾向となっており、今後もまとまった降雨がなければ、さらに貯水率が低下し取水制限が強化されることも予想されますが、これからも関係機関等との連携を密にし、適正な渇水対応に努めていきたいと思います。

 

 

 

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  ■連絡先■  四国地方整備局 河川部  河川管理課 課長補佐  藤田 博史

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