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四国河川ニュース

1/1(土)〜1/7()481

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                                                                        2011.1.11発行】

 

 

 

○四国・水こぼれ話談話室Vol.183

 

  ○高知県 竜川地区(土佐市)の砂防事業「災害時における避難路、避難施設の保全」 (高知県 土木部防災砂防課 加藤 仁志 課長)

 

  ○災害時の避難路・避難施設の確保及び保全 (高知県 土佐市 板原 啓文 市長)

 

 

○今週のニュース○

 

  ○いの町吾北地区こども防災キャンプ (四国山地砂防事務所)

 

  ○四万十川のアユ漁及び、中筋川ダム「陸封アユ」の勉強会を実施 (渡川水系 中筋川総合開発工事事務所)

 

  ○平成22年度 重信川維持第2工事 (重信川水系 松山河川国道事務所)

 

  ○平成22年度 貯水池等維持工事  (肱川水系 山鳥坂ダム工事事務所)

 

  ○平成22年度 大和橋下部第5工事 (肱川水系 大洲河川国道事務所)

 

 

 

 

四国・水こぼれ話談話室Vol.183

 

1.高知県 竜川地区(土佐市)の砂防事業「災害時における避難路、避難施設の保全」 高知県 土木部防災砂防課 加藤 仁志 課長

 

〈竜川概要〉

○ 高知県では、土砂災害の発生時に「安全な避難」を確保するということを重点項目に掲げ、人命保全上特に重要な避難場所、災害時要援護者施設、地域防災拠点等の優先的な保全を行い、より効果的な事業を推進しています。

 

○ 竜川は、高知市市街地より南西約20q、土佐市宇佐町竜に位置し、太平洋に面した南向きの土石流危険渓流です。

 

○ 渓流直下には、人家、津波避難場所、防災拠点となる消防屯所や、避難路としての市道があります。

 

○ 当渓流の保全対象は、3渓流の保全対象と重複しているため、3渓流すべて事業を実施する必要があります。

 

○ 流域内は、渓岸浸食や荒廃が著しく、山腹には幾度となく発生した台風や豪雨による崩壊跡が見られ、現在も渓流内には不安定な土砂が堆積しています。また、谷の勾配も急であることから、降雨によりこれらの不安定土砂が下流へ流出する危険性が非常に高く、土砂災害が発生すれば、地域に多大な被害を与えるおそれがあります。昨年の7月に、山口県内で発生した土石流災害により特別養護老人ホームが被災し、多数の犠牲者が出たことは記憶に新しく、人命保全上重要な施設等を土砂災害から守ることの重要性を痛感させられる出来事であったと同時に、当地区における砂防堰堤の必要性をあらためて感じさせられるものでした。

 

○ 当地区では、この度、土石流が発生した場合に下流へ被害をおよぼすおそれのある土石流危険渓流3渓流において、それぞれ砂防堰堤を1基設置するため、平成15年度より事業着手し、この度、合計3基の砂防堰堤が完成したところです。

 

○ しかしながら、高知県におきましては、土砂災害危険箇所約18,000箇所のうち、砂防事業未着手箇所が約9割もある状況であることから、これを一刻も早く解消する様努力して参りたいと思います。

 

〈竜川通常砂防事業の概要〉

○保全対象:人家20戸、消防屯所、市道

○事業期間:平成15年度〜平成21年度

○総事業費:373百万円

○実施内容:砂防堰堤 3基

 ・1号砂防堰堤:平成18年度完成

  (堤長51.0m、堤高12.0m)  

 ・2号砂防堰堤:平成20年度完成

  (堤長41.0m、堤高11.0m)

 ・3号砂防堰堤:平成21年度完成

  (堤長56.2m、堤高10.0m)

 

 

2.災害時の避難路・避難施設の確保及び保全  高知県 土佐市 板原 啓文 市長

 

○ 土佐市は、東に県都高知市と隣接し、それを境とした清流仁淀川が流れており、土佐市の中央部を横断するように支流の波介川が流れ、肥沃な大地に恵まれ様々な農産物を生み出せる地域となっています。また、南は太平洋に面し、幕末の志士で有名な日本の外交の先駆けとして活躍した『ジョン万次郎』が出漁した良港宇佐湾を要し、漁業も盛んで、また海産物加工品の製造も盛んな地域となっています。普段は、冬も温暖で非常に暮らしやすい街でありますが、高知県特有の雨が多い地域であることから、春から秋にかけての大雨の際には、特に海抜が低い人口の集中する市内中心部で度々浸水被害が発生しています。

 

○ 今、国交省直轄事業として取り組んでいただいている、波介川河口導流事業により治水安全度は大きく改善されるものの近年の異常気象もあり、治水砂防事業の緊急性は益々高まっています。また、次の南海地震が今後30年以内に発生する確率が60%と予想されており、大きな揺れによる軟弱地盤地及び沿岸部の地域での液状化被害や土砂災害による住宅等への被害、さらには南海地震が発生する度に津波被害を受けてきた宇佐地区では、地震後15分程度で津波の襲来が予想されているなど、災害とは縁の切れない土地柄でもあります。

 

○ 土佐市は、現在、次の南海地震に備える取り組みに重点を置き、自主防災組織の育成や防災意識向上につなげるための防災学習会等のソフト対策や、学校や市の指定避難所となっている施設の耐震補強や改築工事、津波避難路や避難広場、住民に防災情報を提供するための防災無線施設等のハード対策を積極的に行っており、特に津波被害が予想されている沿岸部の宇佐、新居地区においては、津波避難路や避難広場、ソーラー式の避難誘導灯等の施設を急ピッチで整備しているところです。宇佐、新居地区には、津波避難のできる高層ビルが無く、海から山までの距離も比較的近いことから、昔から『津波からは近くの山に逃げる』という考えが根強くあり、避難広場のほとんどが近くの山となっています。

 

○ しかし、この地域の山は傾斜がきつく、地震の揺れの後に土砂災害の危険性があります。

 

○ また、なかには川の上流部の谷間にある少しの広場を避難場所としていた地域もあり地震だけでなく大雨による土砂災害の危険性もあり砂防ダムの整備が望まれていた地域がありました。

 

○ そのひとつとして、宇佐町竜地区は漁業集落環境整備事業で施工した津波避難場所が竜川の麓の高台にあり、平成18年には土砂災害防止法による「土砂災害警戒区域」にも指定された地域で、地区住民からは大雨だけでなく津波からの避難ができなくなるのではとの不安の声も多く囁かれていました。

 

○ 現在、3つの砂防堰堤の施工が行われ、その麓には2箇所の津波避難広場が新たに完成し、地区住民が津波から安心して避難できる環境が整備されています。

 

○ しかしながら、市内には817箇所の土砂災害警戒区域があり、その多くには人家がすぐ側にあることから、災害に対する不安を抱えている住民はまだまだ多く、これを一刻も早く解消するべく努力して参りたいと考えています。

 

 

○ なお、標記内容の詳細は、次の四国地方整備局HPにおいても掲載していますので、ご覧下さい。またこのメールは、各市町村長様にもご担当より転送して下さいますよう、お願い致します。

 

   http://www.skr.mlit.go.jp/kasen/topics/mizukobore/index.html

 

 

 

今週のニュース

 

3.いの町吾北地区こども防災キャンプ (四国山地砂防事務所)

 

○ 平成22年12月18日(土)いの町立上八川小学校において、「いの町吾北地区こども防災キャンプ」が開催されました。

 

○ 「こども防災キャンプ」とは、子供たちが家族や地域とともに災害についての知識を学習し、いざという場合の対応方法を実習することで、子供たちが自ら自分の命を守る力を身につけるための「授業形式体験型学習方式」の防災学習教育のことです。

 

○ 参加機関は、清水第一小学校、上八川小学校、小川小学校、下八川小学校、吾北中学校、PTA、地区自主防災組織、仁淀消防吾北分署、いの町消防団吾北方面隊、高知県防災砂防課、スポーツ健康教育課、中央西土木事務所、いの町総務課、吾北総合支所住民課、四国山地砂防事務所、高知地方気象台等が参加しており、それぞれ担当で、「気象学習」、「南海地震」、「土砂災害」、「救急・消火訓練」、「灯りづくり」等の体験学習及び訓練をして頂き、防災に対する意識向上を図りました。

 

○ 開会式の後、上八川小学校の児童による防災学習成果発表があり、自分の住んでいる地域にある危険な場所や過去にどのような災害があったかなどの発表があり、大変防災意識が強い地区と感じました。

 

○ 四国山地砂防事務所は、「土砂災害」を担当しており、事務所が所有している降雨体験装置と土石流3D体感シアターを用いて、土石流の恐ろしさや早期避難の重要性などを理解してもらうことを目的に実施しました。児童・生徒に大変好評で土砂災害の怖さを体験してもらえたと思います。

 

○ 四国山地砂防事務所では、今後とも防災に対する意識向上を図る取り組みを関係機関と連携して実施していきたいと思います。

 

 

4.四万十川のアユ漁及び、中筋川ダム「陸封アユ」の勉強会を実施 (渡川水系 中筋川総合開発工事事務所)

 

○ 12月15日(水)「中筋川ダムの陸封アユに学ぶ」と題して、四万十川中央漁業協同組合理事の窪田幸氏、西日本科学技術研究所の東健作氏を講師に招き、所内職員を対象に勉強会を実施しました。

 

○ 講師の窪田さんは、中筋川の本川である四万十川の川漁師として、50年以上もアユをはじめとした四万十川の魚類に関わりながら、四万十川の環境保全に尽力されています。講演では長年の漁の経験や四万十川の変遷と共に、砂利採取などの人間活動の影響、自然環境の保全と観光など地域活性化との調和のあり方などについて問題提起や考えを話されました。

 

○ 一方、中筋川ダムには、海の替わりにダム湖を生活の場とする「陸封アユ」と呼ばれるアユが生息しており、中筋川総合開発工事事務所では陸封アユの生態や保全のあり方等について調査検討を行っています。

 

○ そこで、講師の東さんからは、水中撮影のDVDや図表等を使いながら中筋川ダムの陸封アユの生態や特徴について説明していただきました。また、中筋川ダムの陸封アユが全国的にも貴重であることや、ダム環境の面からも保全の重要性があることについても教えていただきました。

 

○ 参加者からは、多数の質問がされると共に、「昔の漁のことや四万十川の移り変わりがよくわかった。」「この地域とアユの関わりの深さが伝わった。」「陸封アユの保全の必要性が理解できた。」などの感想が出されるなど、意義ある勉強会となりました。

 

 

5.平成22年度 重信川維持第2工事 (重信川水系 松山河川国道事務所)

 

○ 工 事 名  平成22年度 重信川維持第2工事

 

○ 工  期  平成2241日〜平成23331

 

○ 請負業者  株式会社 小泉組

 

○ 工事場所  重信川8k〜17.2k(愛媛県松山市、東温市、砥部町)

 

○工事概要

 本工事は重信川の維持管理を目的として、堤防の除草・清掃、河道内樹木の伐採、護岸・床止の補修、応急処理等を行う工事です。

 

○現在の施工状況

 工事進捗率は12月末現在、約88%です。

堤防除草(年2回)は2回目の除草を全区間で完了、河道内樹木の伐採は予定箇所全箇所を完了、護岸補修(L=83m)を完了。

 

○現場の取り組み

 堤防除草で刈り取った草は、梱包機械でサイコロ状にして現地に仮置きし、そのほとんどを希望する地元農家の方に持ち帰っていただき、処分費を削減できました。

 また一部区間で大量に繁茂している特定外来植物であるオオキンケイギクについては、現場からの持ち出しによる拡大防止やコスト縮減の為、開花後(種子生産後)のものは工区内に設けた焼却場で野焼きしました。8〜9月の猛暑の中での野焼き作業は過酷なものでしたが、1時間に1回以上の休憩や午前午後で作業員の入れ替えを行うなど、特に熱中症対策に気を配り、無事に完了しました。

 河道内で伐採した樹木についても、除草した草と同様に処分費削減を図るため、1月末頃、地元住民への配布を実施予定です。

 今後は、床止施設の補修作業を行いますが、引き続き安全対策に万全を期し、無事故・無災害で完了したいと考えています。

 

 

6.平成22年度 貯水池等維持工事 (肱川水系 山鳥坂ダム工事事務所) 

 

○ 工事名 :平成22年度 貯水池等維持工事

 

○ 工 期  :平成22年4月1日〜平成23年3月31日

 

○ 請負業者名 :株式会社 西建設

 

○ 工事場所  :愛媛県大洲市肱川町山鳥坂地先〜西予市野村町蔵良地先

 

○ 工事概要

 本工事は、鹿野川ダム及びダム湖周辺等において、流木処理・除草・清掃及び応急処理工等を実施するものです。あわせて、ダム湖水質改善のため、上流部で底泥を除去する工事を行っています。

 

○ 施工状況

 現在の工事進捗率は、約70%となっております。今後は、現在施工中の底泥掘削を引き続き実施するとともに、山鳥坂地区の道路修繕等を実施する予定です。

 

○ 現場の取り組み

 現在、掘削した底泥は大洲市と調整しながら大洲市上老松地区へ搬出を行い、有効利用を図っているところです。

 今後も引き続き、底泥の有効利用に努めるとともに、安全な施工を心がけ、無事故・無災害で工事を完了したいと考えています。

 

 

7.平成22年度 大和橋下部第5工事 (肱川水系 大洲河川国道事務所)

 

○ 工 事 名 平成22年度 大和橋下部第5工事

 

○ 工   期 平成22914日〜平成23331

 

○ 請負業者名 株式会社 一宮工務店

 

○ 工事場所  愛媛県大洲市長浜長下須戒地先

 

○工事概要

 本工事は、肱川河口3K付近において架替を行う大和橋の橋脚(P4)を施工する工事です。

 主な工種は、橋脚躯体1基、場所打杭11本(Φ1200 L=20.5m)です。

 

○施工状況

 場所打ち杭を11月末に完工し、橋脚躯体の施工に先立ち、土留・仮締切りの ための矢板打ち込みを12月末までに完工しました。

 現在、年明けより切梁・腹起をしながら掘削を進めています。

 

○工事現場での工夫、工事での目標など現場紹介

 本工事は河川内の掘削を伴う工事であり、河川への濁水による河川利用者や、漁業関係者への影響を及ぼさないように、細心の注意をはらいながら進めています。

 また、強風による作業中止や関連工事(6件)、近接工事(4件)が錯綜する大変厳しい現場条件ですが、地域の方々の(現)大和橋に対する思いと新しい大和橋に対する期待を感じながら鋭意施工を進めているところです。

 

 

 

 

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