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四国河川ニュース

4/24(土)〜5/7()446

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2010.5.10発行】

 

 

 

○四国・水こぼれ話談話室Vol.167

 

  ○高知県高岡郡越知町 谷ノ内地すべり対策事業 「大規模地すべり地における大深度集水井による地下水排除効果」 (高知県防災砂防課 加藤 仁志 課長)

 

  ○高知県高岡郡越知町 河川治水事業の推進 「一級河川仁淀川の洪水に起因する浸水被害の解消」           (高知県 越知町 吉岡 珍正 町長)

 

 

 

○今週のニュース○

 

  ○「ゆきかう那賀川推進会議」の開催    (那賀川水系 徳島県)

 

  ○河川渓流アドバイザー会議を開催     (土器川水系 香川河川国道事務所) 

 

  ○多田堤防・県道長浜中村線完成見学会の開催 (肱川水系 愛媛県)

 

  ○野村ダム放流警報周知会を開催      (肱川水系 野村ダム管理所)

 

  ○「平成22年度 樋門操作説明会」を開催 (肱川水系 大洲河川国道事務所)

 

  ○「河川における安全利用点検」を実施   (土器川水系 香川河川国道事務所)

  

  ○「平成22年4月27日低気圧豪雨」における出水状況について  (那賀川水系 那賀川河川事務所)

 

  ○高知大学学生らが河川現場を見学    (渡川水系 高知県)

 

 

 

 

四国・水こぼれ話談話室Vol.167

 

1.高知県高岡郡越知町 谷ノ内地すべり対策事業 「大規模地すべり地における大深度集水井による地下水排除効果」

高知県防災砂防課 加藤 仁志 課長

 

【谷ノ内地すべり概要】

○ 谷ノ内地すべりは高知市の西方約25q地点、高岡郡越知町谷の内地内にあって、一級河川仁淀川水系左支川・谷の内川の上流、右岸側に位置しています。当地すべりは、昭和33年に地すべり防止区域に指定され、防止区域の指定面積は131.21haとなっています。防止区域内には、保全対象として人家27戸、耕地35.51ha、林地94.18haがあり、公共施設としては町道4q、橋梁1橋、集会所があります。また、谷の内川から下流の仁淀川本川合流付近には県道18号線、伊野−仁淀線に沿って約50戸の片岡集落と郵便局、農協などの公共施設があります。

 

○ 当地区においては、昭和50年の台風5号(総雨量681o)による集中豪雨により、地すべり末端部で大崩壊が発生したことで、町道約80m、橋梁1橋が流失し、地区が孤立する被害が発生しています。

 

○ 現在、想定されている地すべりブロックは、幅が約400m、奥行1,200mにも達しており、地すべりの平均層厚は約60mと深く、場所によっては100mを超える深さもあり、規模が大きいといわれる四国の破砕帯地すべりの中でも最大規模の地すべりです。

 

【対策と現状】

○ 当地区においては、昭和33年度より地すべり対策事業を実施しており、対策工としては主として浅層地下水に対応する11基の集水井工群による地下水排除工を実施してきております。

 

○ 更に、主に大規模地すべりを念頭に置いた2基の集水井のうち、特に16号集水井(RCセグメント、dep.48.0m)においては、測定不能となるほどの地下水排除効果を発揮し、平成11年度に最大150o/年が観測された地すべり変位量も近年においては、年間数o程度となり、地すべり活動は沈静化の傾向にあります。

 

【今後】

○ 谷ノ内地すべりにおいては、計13基の集水井による地下水排除効果が顕著に認められました。今後は、このようなハード事業以外にも降水量データを基にした各種観測機器との相関関係を求めた地すべり活動が起こりうる値(閾値−しきいち−)を用いた当地区独自の斜面監視体制の構築や、地域の方と協働して事業を進めていくために防災学習会を開催するなどハード、ソフト対策が一体となった施策を今後進めていきたいと考えています。

 

○ 最後に、事業にご協力いただいた地域住民の皆さま、並びに関係機関の方々に心から感謝申し上げますとともに、今後の事業についても、引き続きご協力いただきますようお願い申し上げます。

 

 

 

2.高知県高岡郡越知町 河川治水事業の推進 「一級河川仁淀川の洪水に起因する浸水被害の解消」

高知県 越知町 吉岡 珍正 町長

 

【越知町の概要】

○ 越知町は、高知県のほぼ中央、高知市の西方約32kmの山間部に位置し、南北に細長い形状をしています。周囲は5町村に隣接し、一級河川仁淀川、同一支川坂折川、柳瀬川の合流地点に形成された市街地部を中心に、約6,600人余りの人々が暮らしています。

 

○ 明治中期までは舟運の中継地として栄えましたが、現在では、高知市と松山市を結ぶ国道33号上の要所として、山椒や生姜、薬草などの栽培を主体とする農業や、コスモスまつりに代表される観光施策を軸としたまちづくりへと移行しています。

 

 

【河川の増水による浸水被害】

○ 前述しましたように、本町の中心部において大小3つの河川が合流しており、また仁淀川の大蛇行部、緩勾配区間に位置しているという地形的な特性上、洪水のたびに本町のエリアで河川水位が急激に上昇し、農地の大部分や一部の住宅が甚大な浸水被害を受けております。地域の基幹道である県道や町道も冠水によって寸断され、孤立状態となる集落も出るなど、住民生活への影響は極めて深刻であります。

 

○ とりわけ、平成16年の台風23号では、隣接する佐川町も含め、浸水面積は130haにも及び、床上8戸、床下1戸が浸水、また翌年の台風14号では、仁淀川上流に建設された筏津ダムからの予想放流量が、毎秒8,000tと伝えられる前代未聞の非常事態となり、町民の約半数に当たる3,139人(1,259世帯)に対して避難勧告が出されるなど、床上11戸、床下5戸の浸水被害を出し、水の恐怖に怯えることとなりました。

 

【浸水被害の解消に向けて】

○ 町民は幾代にもわたり洪水との戦いを続けてきております。山間部の限られた農地で懸命に作物を育てていますが、その大部分が浸水区域内にあり、洪水で瞬時に壊滅的な打撃を負い、たちまち生活に困窮することも珍しくはありません。

 

○ 浸水対策には莫大な予算を必要としますし、一朝一夕に解決できる問題ではありませんが、住民が安心して生活できる環境の実現に向けて、仁淀川の堤防や護岸の整備、柳瀬川の改修、そして町民の積年の念願である「導水トンネル(L=2.5km)」の早期事業化を願ってやみません。

 

 

○ なお、標記内容の詳細は、次の四国地方整備局HPにおいても掲載していますので、ご覧下さい。またこのメールは、各市町村長様にもご担当より転送して下さいますよう、お願い致します。

 

   http://www.skr.mlit.go.jp/kasen/topics/mizukobore/index.html

 

 

 

今週のニュース

 

3.「ゆきかう那賀川推進会議」の開催 (那賀川水系 徳島県)

 

○ 4月23日(金)15時半から、徳島県那賀郡那賀町横谷字夏切の四季美谷温泉において、「ゆきかう那賀川推進会議」が開催されました。

 

○ 出席者は、「那賀川流域センチュリーラン」 福住副会長、女性林業研究グループ「那賀川こまち」橋本会長、「木沢の山と花と温泉案内人」平井委員、阿南工業高等専門学校 湯城教授、阿南市 岩浅市長、那賀町 坂口町長、徳島県南部総合県民局 江本局長、徳島県河川局 坂東局長、四国地方整備局 高野河川部長、事務局長である林事務所長を含めた委員10名と、オブザーバーとして「那賀川アフターフォーラム」中村会長が出席しました。

 

○ 「ゆきかう那賀川推進会議」は、那賀川流域における関係者が集まり、流域内の交流・連携に関して、情報共有、意見交換、企画、相互協力等を行い、流域の振興を図ることを目指しています。

 

○ 会議は、平成21年度の活動報告と平成22年度の取組(案)について意見交換を行い、自然環境や課題等について活発な意見がでました。事務局からは那賀川流域の風土資源の活用について、「風土探訪マップ」(仮称)の紹介がありました。

 

○ これからも相互に協力し連携を図りながら、流域の振興を図っていきたいと思います。

 

 

 

4.河川渓流アドバイザー会議を開催 (土器川水系 香川河川国道事務所)

 

○ 4月28日(水)に、平成22年度1回目の「土器川河川・渓流環境アドバイザー」会議を、丸亀市にある「丸亀市水防センター」で、環境アドバイザー・リバーカウンセラーの先生9人の内7人の参加で行いました。

 

○ 議題は、平成22年に行われる工事箇所における工法説明、及び平成21年度河川水辺の国勢調査(魚類)や、平成21年に調査した河川内樹木伐採に対するモニタリング調査の報告や、現地視察を実施し討議していただきました。

 

○ この会議での助言等を工事や調査に活かし、事業の遂行に努めます。

 

 

 

5.多田堤防・県道長浜中村線完成見学会の開催 (肱川水系 愛媛県)

 

○ 平成22年4月24日(土)に、肱川の中流部に位置する愛媛県大洲市多田地区において、多田堤防・県道長浜中村線完成見学会(国土交通省大洲河川国道事務所・愛媛県南予地方局大洲土木事務所主催)を用地協力者など約30名の出席のもと開催しました。

 

○ 本事業は、多田地区の浸水被害の軽減と道路改良を目的として、国土交通省と愛媛県との合併施工により実施したものであり、平成22年3月に一連区間L=458mが完成したものです。

 

○ 見学会では、木村正己大洲河川国道事務所長、西田洋一愛媛県議会議員、清水裕大洲市長からの挨拶、関谷浩二大洲河川国道事務所副所長からの工事経過報告がありました。

 

○ また、地元代表として瀧本亀六氏より、「生まれ育ってきた土地が水害に対して安全になったことを心より喜びたい。また用地協力者及び関係機関の方々には感謝を申し上げたい。」と謝辞の言葉をいただきました。

 

○ 最後に、国土交通省・愛媛県の担当者から多田堤防・主要地方道長浜中村線及び河川管理施設等の案内・説明を行い、無事見学会を終了することができました。

 

 

 

6.野村ダム放流警報周知会を開催 (肱川水系 野村ダム管理所)

 

○ 平成22年4月27日(火)に、愛媛県西予市にある野村ダムでは、6月16日からの出水期を迎えるにあたり、ダムからの放流についてご理解とご協力をいただくために、地元の警察、消防、報道機関などの関係者を対象に放流警報周知会を行いました。

 

○ 当日は、18名の方に出席いただき、野村ダムの概要や昨年の降雨と放流実績の説明、放流の際の通知方法等について、約1時間の説明を行いました。

 

○ 野村ダムでは、昨年度の1年間で9回の放流を実施しましたが、今年度は4月だけで既に3回の放流を行っております。また、放流の際に実施する放流警報は、夜間・早朝になることも予想され、今後もご理解・ご協力をいただきながら、適切なダム管理に務めていきたいと思います。

 

 

 

7.「平成22年度 樋門操作説明会」を開催 (肱川水系 大洲河川国道事務所)

 

○ 大洲河川国道事務所は、4月28日(水)に『平成22年度 樋門操作説明会』を大洲市総合福祉センターおいて開催しました。

 

○ 樋門操作は、大洲河川国道事務所が管理している肱川・矢落川の直轄管理の樋門について定期点検を行うとともに、洪水時における操作を行う必要があるため、大洲市に委託し実施しています。

 

○ 当日の説明会には70名を超える操作員が出席されました。

 

○ 説明会では、施設の点検要領やゲート操作のタイミング、記録簿の記載方法などについて説明し、樋門操作の重要性を認識していただきました。

 

 

 

8.「河川における安全利用点検」を実施  (土器川水系 香川河川国道事務所)

 

○ 今年もゴールデンウイークを迎え、河川利用が多くなる時期となりました。

 

○ 香川河川国道事務所では、河川利用者が快適に利用でき、怪我等がないよう、「土器川の安全利用点検」を、4月26日(月)に河川担当職員等が分担して徒歩で実施しました。

 

○ 土器川は、高水敷の75%が公園等に利用されているため利用者が多く、その反面、河床勾配がきつく、低水護岸等の損傷も多く発生しています。

 

○ 幸い昨年は、大きな出水はなかったものの今回の点検では、低水護岸階段からの落ち込み危険発見や河岸の局所洗掘立ち入り禁止措置が不十分になったもの、堤防天端の局所陥没、許可工作物等の維持管理不十分等を発見しました。

 

○ 今回発見された河川管理施設の問題箇所については、河川の利用者が増えるゴールデンウィーク前に必要な安全対策を実施しました。許可工作物についても、早急に管理者に対して改善措置を要請することとしています。

 

○ 今後も土器川の河川利用者が、事故、怪我などがなく、快適に河川を利用して頂けるよう、適正な施設管理に努めて参ります。

 

 

 

9.「平成22年4月27日低気圧豪雨」における出水状況について (那賀川水系 那賀川河川事務所)

 

○ 東シナ海の前線を伴った低気圧により、徳島県では27日午後にかけて南部を中心に大雨となりました。

 

○ 桑野川流域においては、27日の午前6時頃から雨が降り始め、大原観測所上流の流域平均総雨量(4月27日6時〜19時)は約288mm(速報値)にも達しました。

 

○ 谷口雨量観測所においては1時間に108mm(速報値)の猛烈な雨を記録し、総雨量は301mm(速報値)に達するなど、桑野川上流域の降雨規模が卓越していました。また、谷口雨量観測所における4月の降雨としては、観測開始以来、1時間雨量・月雨量ともに過去最高を記録しました。

 

○ 桑野川の大原基準観測所では、氾濫注意水位(4.15m)を超え5.24mの最高水位を記録し、4月の水位としては観測開始以来最高の水位となりました。

 

○ 那賀川河川事務所では、「桑野川床上浸水対策特別緊急事業」等により、河床掘削や引堤、排水ポンプ場の整備などを実施し、浸水被害の軽減に努めています。今回の出水においては、事業実施による河川水位の低下や排水ポンプ場・排水ポンプ車の操作による浸水被害の軽減を図ることができました。

 

○ なお、今回の出水においては、迅速な情報提供に努めるべく翌日の28日に出水状況(速報値)の記者発表を行いました。

 

 

 

10.高知大学学生らが河川現場を見学 (渡川水系 高知県)

 

○ 430日(金)に高知大学農学部の学生と教員(計24名)が、四万十川、中筋川を見学しました。

 

○ これは、同学部の流域計画学の授業の一環として、河川で実際に行われている治水や利水、環境保全への取り組み等を見学し学習する目的で開催されているものです。

 

○ 午前中に中筋川ダムを訪れた一行は、中筋川総合開発工事事務所職員の案内で、ダムの内部に入り管理をするための各種設備等を見学した後、左右対称となっている同ダムの景観デザインなどについての説明を熱心に聞いていました。

 

○ その後、中筋川の治水計画やこれまでに実施された取り組みについて、職員から講義形式での説明があり、活発な質疑が行われました。

 

○ 午後には、四万十川の入田地区に移動し、中村河川国道事務所の案内のもと「アユの瀬づくり」の現場を見学しました。

 

○ 「アユの瀬づくり」は、四万十川自然再生事業のメニューのひとつで、樹林の適切な除去管理により、かつての広い河原や水面を再生することで、アユの産卵場面積の再生・拡大、原風景の復活に貢献し、人と良好な自然環境との共生を目指すことを目的に、専門家や一般市民の参加・連携により実践されているものです。

 

○ 今回の見学が、学生の方々の河川関係事業の理解や学習のための一助となれば幸いです。

 

 

 

 

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