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四国河川ニュース

11/29(土)〜12/5(金)》375号

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○四国・水こぼれ話談話室Vol.131

 

   ○ 徳島県における土砂災害に対するソフト対策  徳島県 県土整備部 砂防防災課長 湯浅 博幸

 

   ○ 「土砂災害に対する全国統一防災訓練に参加して」  徳島県 勝浦町長 中田 丑五郎

 

 

○今週のニュース○

 

   ○ 四国地方整備局管内の渇水状況(続報19)             (四国地方整備局)

 

   ○ 第1回柳瀬ダム新放流設備設計施工検討委員会を開催      (吉野川水系 愛媛県)

 

   ○ 中筋川総合開発事業(横瀬川ダム)の事業再評価を審議      (渡川水系 高知県)

 

   ○ 「第9回四国水問題研究会」を開催                   (四国地方整備局)

 

 

 

 

四国・水こぼれ話談話室Vol.131

 

1.徳島県における土砂災害に対するソフト対策  徳島県 県土整備部 砂防防災課長 湯浅 博幸

 

○ 本県においては、これまでに数多くの土砂災害により尊い生命や貴重な財産を失っており、平成16年8月の台風10号による被害は、まだ記憶に新しいところです。今年については、県南を中心として20件の土砂災害が発生しましたが、幸運にも大規模な災害には至っておりません。

 

○ 土砂災害対策については、砂防えん堤や急傾斜地崩壊防止施設等のハード整備を計画的に進めていますが、整備の完了までには長期間を要することから、警戒避難体制整備等のソフト対策が従来にも増して重要になっています。

 

○ 本県のソフト対策としては、土砂災害防止法の推進と土砂災害に関する啓発活動等を行っております。土砂災害防止法の推進については、土砂災害警戒区域及び特別警戒区域の指定、市町村への警戒避難体制整備の支援を実施しています。区域指定の進捗は、平成20年11月末時点で、土砂災害危険箇所13,001箇所の内、土砂災害警戒区域180箇所、特別警戒区域80箇所であり、更なる指定の促進を図る必要があります。課題としては、基礎調査実施箇所数や指定に際して開催する地元説明会回数の増にあるため、基礎調査費の見直しによるコスト縮減や説明会の対象となる範囲の拡大による効率化等により、指定の促進を図りたいと考えています。また、市町村への警戒避難体制の整備については、先進事例や県が持つ情報を提供する等の支援を行うことにより、促進を図りたいと考えています。

 

○ 次に、土砂災害に関する啓発活動については、土砂災害警戒区域指定に際しての地元説明会において、基礎調査結果に加えて、土砂災害防止法や土砂災害に関する説明を行っているほか、寄り合い防災講座への参加やシルバー大学校のカリキュラムに「土砂災害に対する防災対策」を組み込んでもらう等、一般住民の方に直接、土砂災害の特徴や実態、県の取り組み、早めの避難の重要性等についての説明を積極的に行っています。

 

○ また、今年で3回目を迎えた「土砂災害に対する全国統一防災訓練」については、平成20年6月1日に県内関係21市町村の内、13市町村(平成19年度は5市町)が参加して情報伝達訓練を行い、情報伝達手段や経路の確認、適時適切な避難勧告の発令等についての確認を行いました。また、勝浦町では、地元住民、自主防災組織及び防災関係機関が参加して、避難場所への避難、自主防災組織による避難住民の確認、消防団によるパトロール等の本番さながらの避難実地訓練を実施し、土砂災害に対する防災意識の高揚に努めました。

 

○ ソフト対策については、試行錯誤を繰り返しながら実施していますが、今後とも、ハード整備と連携しながら、土砂災害による死者ゼロを目指して取り組んでいきたいと考えています。

 

 

 

2.「土砂災害に対する全国統一防災訓練に参加して」  徳島県 勝浦町長 中田 丑五郎

 

○ 勝浦町は、徳島県の南東部に位置し、山裾に開けたみかん畑、平野に広がる田園風景、そして、まちの中央を流れる勝浦川という豊かな自然に囲まれ、2,155世帯、人口6,165人(H20.10末住基)が住み、年平均気温16℃前後、年間降水量2,200mm前後と比較的温暖多湿な気候を呈しており、みかんは古くからその産地として、また、勝浦川は、鮎釣りのメッカとして県内外に知られています。

 

○ 本町においては、歴史にその名を残すような大規模な土砂災害は、幸いにも発生していませんが、毎年のように小規模ながけ崩れ等は発生しており、農業活動や住民生活などにも様々な影響が出ています。また、町内には、土砂災害危険箇所294箇所があり、今後も土砂災害が発生する可能性がありますので、がけ崩れ対策や砂防えん堤等のハード整備はもちろんですが、警戒避難体制の整備をはじめとするソフト対策についての重要性を認識しているところです。

 

○ この一つとして、平成20年6月1日の「土砂災害に対する全国統一防災訓練」に参加し、今山地区の住民及び自主防災隊、消防団等の約80名により、住民の避難、自主防災隊による避難住民の確認、関係機関によるパトロール、防災講座等を実施しました。住民からは、防災意識の向上や危険箇所の再確認等において効果的であったとの声があった反面、普段からの危険箇所の周知や豪雨時の情報提供について役場や県に期待する声もありました。

 

○ このため、町としては、住民との協働により、自主防災隊の結成促進、土砂災害警戒区域における警戒避難体制の整備、土砂災害警戒情報の避難勧告基準への活用等のソフト対策の促進を図ります。

 

○ また、県道整備などにより、四国霊場第20番札所の鶴林寺、毎年恒例のビッグひな祭り、みかん狩り等への観光客数が年間を通じた増加が見込まれますので、住民や本町に来られる方のため、より一層の土砂災害対策に取り組み、「誇りを持って、夢や希望を語れる郷土勝浦」 の実現を目指したいと考えています。

 

 

○ なお、標記内容の詳細は、次の四国地方整備局HPにおいても掲載していますので、ご覧下さい。 またこのメールは、各市町村長様にもご担当より転送して下さいますよう、お願い致します。

 

    http://www.skr.mlit.go.jp/kasen/topics/mizukobore/index.html

 

 

 

 

今週のニュース

 

3.四国地方整備局管内の渇水状況(続報19)     (四国地方整備局)

 

○ 四国地方は、平年よりも早い7月4日に梅雨明けし、7月に入ってから少雨傾向が続いたことから、7月25日(金)9時より吉野川水系吉野川が第一次取水制限を開始するため、24日(木)14時に四国地方整備局が渇水対策本部を、同時に、徳島河川国道事務所及び吉野川ダム統合管理事務所が渇水対策支部を設置したことが、今年の四国管内における取水制限の始まりです

 

○ 四国地方は、7月、8月と記録的な少雨となったため、以下のように取水制限(自主節水は含まず)が実施されましたが、8月下旬には徳島県の東部、高知県の南西部を中心にまとまった降雨があり、9月後半には台風13号、台風15号及び秋雨前線による降雨があり4水系で取水制限が解除され、さらに10月上旬にも秋雨前線によるまとまった降雨が四国全域であり、重信川水系石手川で10月6日(月)に取水制限が解除されました。

 

  ・那賀川水系那賀川(長安口ダム・小見野々ダム)

     取水制限期間 : 7月26日〜8月28日

     最大取水制限率 : 農水20%、工水20%

 

  ・物部川水系物部川(永瀬ダム)

     取水制限期間 : 9月11日〜9月19日

     最大取水制限率 : 農水20%

 

  ・仁淀川水系仁淀川(大渡ダム)

     取水制限期間 : 8月6日〜8月15日

              8月20日〜8月30日

     最大取水制限率 : 農水50%、上水40%

 

  ・鏡川水系鏡川(鏡ダム)

     取水制限期間 : 9月10日〜9月16日

     最大取水制限率 : 農水71.6%、上水45%、工水78.2%

 

  ・重信川水系石手川(石手川ダム)

     取水制限期間 : 8月4日〜10月6日

     最大取水制限率 : 農水46.7%、上水20.0%、

                              かんがい35.0%

 

○ 吉野川水系吉野川(早明浦ダム)については、10月5日13時より実施していた取水制限の一時解除は、10月21日(火)8時に終了し、同時に、冬期における第二次取水制限を開始していました。しかし、10月23日(木)から低気圧による降雨があり、24日(木)8時から取水制限の一時解除を実施していましたが、28日13時より取水制限の一時解除を終了し、同時に、冬期における第一次取水制限を開始していました。

 

○ その後も、まとまった雨ではありませんでしたが、断続的に降雨があり、早明浦ダムの貯水率は60%以上に回復したため、11月25日に取水制限を解除しました。それを受けて、7月24日に設置していた四国地方整備局渇水対策本部を11月25日10時をもって解散しました。

 

  ・吉野川水系吉野川(早明浦ダム)

     取水制限期間 : 7月25日〜11月25日

     最大取水制限率 : 徳島用水27.8%、香川用水60.0%

              (但し、発電専用容量からの緊急放流を除く)

 

○ 12月8日(月)現在の四国地方整備局管内の渇水状況は以下の通りです。

 

○【吉野川水系銅山川】

   ・施設の状況(12月8日0時現在)

      銅山川3ダム:貯水率62.9%(平年値74.7%)

   ・支部の設置状況

      吉野川ダム統合管理事務所渇水対策支部設置:7月24日14時〜

      (早明浦ダムの取水制限により設置)

   ・取水制限の状況

      自主節水  :8月18日0時〜

         工水10.0%

      一次取水制限:8月29日0時〜

         工水20.0%

      二次取水制限:9月17日0時〜

         工水30.0%、上水5%

 

○ 吉野川水系銅山川以外でも、今後の気象状況によっては、取水制限が開始される地域が増えることも予想されますので、日頃からの節水に御協力をお願いします。

 

 

○ なお、管内の主要河川における渇水状況の詳細については、下記のホームページをご覧ください。

 

     http://www.skr.mlit.go.jp/kasen/damu/index.htm

 

 

 

4.第1回柳瀬ダム新放流設備設計施工検討委員会を開催  (吉野川水系 愛媛県)

 

○ 12月1日(月)に、吉野川ダム統合管理事務所において実施している「柳瀬ダム堰堤改良事業」の、第1回柳瀬ダム新放流設備設計施工検討委員会を開催しました。

 

○ 柳瀬ダム堰堤改良事業は、クレスト敷高以下の低標高部に放流設備を増設し放流能力を確保するとともに、治水容量をフルに使用した洪水調節ルールに変更することにより、銅山川ダム群のパンクの回避やダム放流に伴う下流河川の急激な水位上昇の緩和、下流河川の洪水量の低減等の効果を発現させる目的で、平成17年度より事業に着手しています。

 

○ 柳瀬ダム新放流設備設計施工検討委員会は、堰堤改良事業の円滑かつ効果的な進捗を図ることを目的に、総合的視点に立って、専門的見地からの指導、助言を受けるために、(独)土木研究所や四国地方整備局の専門分野の方々を委員に迎え設立しました。

 

○ 第1回委員会では、事業開始時より行ってきた調査結果及び、新放流設備やゲート、減勢工、仮締切設備、その他仮設備工の設計や施工についての検討結果を説明し、施工の確実性、安全性等について、委員の方々の専門的視点から様々な助言や提案をいただきました。

 

○ 今後は、第1回委員会でいただいた助言や提案を受け、より効果的な事業推進に向けた検討を行うとともに、引き続き委員会を開催し、総合的な視点での事業推進に努めて行きます。

 

○ また、吉野川ダム統合管理事務所は、委員会での助言や提案をいただきながら、関係機関との調整を図り、早期の工事着手によって流域の治水の安全度向上に努めます。

 

 

 

5.中筋川総合開発事業(横瀬川ダム)の事業再評価を審議  (渡川水系 高知県)

 

○ 12月1日(月)に、四万十市内のホテルで「第10回中筋川流域委員会」が開催され、横瀬川ダムの事業再評価について審議されました。

 

○ 本事業は平成18年度に事業再評価を実施していますが、今年7月に横瀬川ダムの建設に関する基本計画の変更を行ったこと、来年度ダム本体関連工事の着手を予定していることから、今回再評価を実施したものです。

 

○ 委員会では事業者である国土交通省中筋川総合開発工事事務所から、中筋川の災害実績、災害発生の危険度、横瀬川ダムの事業の投資効果、及びコスト縮減の取り組み等を説明し、その後審議していただきました。

 

○ この結果、同会、今井嘉彦委員長(高知大学名誉教授)より「横瀬川ダムについては事業継続とする事業者の判断は妥当である。」との結論と、併せて「近年、浸水被害が頻発しており中筋川の治水安全度の早期改善を図るとともに、共同事業者である四万十市西部統合簡易水道事業への影響が危惧されることから、平成27年度完成に向けた努力をすること。」との附帯意見をいただきました。

 

 

 

6.「第9回四国水問題研究会」を開催         (四国地方整備局)

 

○ 12月4日(木)に、高松サンポート合同庁舎アイホール2F大会議室において、四国4県が共有する吉野川水系及びその関連地域の水問題について総合的に把握するとともに、水資源の有効利用と治水・利水・環境の合理的な恒久対策並びに必要な実施方策について、研究および提言を行うことを目的に「第9回四国水問題研究会」を開催しました。

 

○ 当日は、水問題の治水・利水・環境に関する論点の整理及び中間とりまとめの骨子(イメージ)について議論いただきました。

 

○ 次回以降は、中間とりまとめに向けた議論をいただく予定です。

 

 

 

 

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  ■連絡先■  四国地方整備局 河川部  河川管理課 課長補佐  永原 隆

          〒760-8554高松市サンポート3番33号

          TEL 087-851-8061(代)マイクロ88-3753(永原) mailto:rivers-news@skr.mlit.go.jp

          FAX 087-811-8416(河川計画課)

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       四国地方整備局 ホームページURL(河川)

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