***************************************************

四国河川ニュース

10/4(土)〜10/10(金)》367号

***************************************************

                                                                                                                         【2008.10.14発行】

 

 

○四国・水こぼれ話談話室Vol.127

 

   ○ 徳島県 正木ダム堰堤改良事業            徳島県 県土整備部 流域整備企画課長 中瀬 敬一

 

   ○ 四国で一番人口の少ない元気な町          徳島県 上勝町長 笠松 和市

 

 

○今週のニュース○

  

   ○ 四国地方整備局管内の渇水状況(続報11)                   (四国地方整備局)

 

   ○ 「第一回いい川・いい川づくりワークショップ」に新野西小学校が参加     (那賀川水系 徳島県)

 

   ○ 「自然農による遊休農地のモデル事業」を実施(石手川ダム水源地域ビジョン推進委員会)  (重信川水系 愛媛県)

 

   ○ 土器川水系水質汚濁防止連絡協議会との「水質に関する勉強会」を実施  (四国地方整備局)

 

 

 

 

四国・水こぼれ話談話室Vol.127

 

1.徳島県 正木ダム堰堤改良事業  徳島県 県土整備部 流域整備企画課長 中瀬 敬一

 

○正木ダムの概要

   @目 的   洪水調節、かんがい用水、工業用水、発電

   A経 過   昭和48年3月着工、昭和52年8月竣工

   B位 置   勝浦郡上勝町正木

   C河川名   2級河川 勝浦川水系 勝浦川

   D諸 元   重力式コンクリートダム

               堤高:67.0m 堤体積:248,800m3

                総貯水容量:15,050千m3

                集水面積:94.7km2

 

○事業の必要性・効果

  正木ダムは、近年、異常気象により、放流操作回数が極端に多い年が頻発しています。

  放流操作時に必要な情報処理装置(ダムコン)や放流警報設備(テレメータ)は、定期点検・整備を実施していますが、更新後、10年以上(16〜18年)経過しており、交換部品は、製造が中止された上に、在庫期限も過ぎていることから、入手が困難となってきている状態です。

  情報処理装置の異常停止は、再起動に応答しない可能性もあるため、万一放流中に発生すると、ダム情報処理及びゲート操作機能が全停止し、的確なダム操作ができなくなるだけでなく、重大な事故につながる恐れがあります。

  そのため、堰堤改良事業により各設備を改良・機能アップし、放流操作・情報伝達の確実性、信頼性を向上させ、ダムの効果による安全・安心を確保するものである。

 

○事業の内容

   全体事業費  890百万円 

   事業期間   平成20年度〜平成24年度

   工事概要    ダム情報処理設備更新

                テレメータ・放流警報設備改良

                 主ゲート放流設備改良

                 貯水池付属設備改良

 

 

 

2.四国で一番人口の少ない元気な町    徳島県 上勝町長 笠松 和市

 

○ 上勝町は、徳島県の南東中央部、勝浦川の源流にあり、面積109km2、人口約2,000人、高齢化比率約49%、86%が森林で、わずか1.2%の土地に急峻な田畑樹園地、標高100〜700mの間に55の集落があります。

 

○ 上勝町には県営正木ダムがあり、発電、洪水調節、農業用水に効果を発揮し、地域に開かれたダムとして憩いの場所になっており、地域の活性化施設としても春は桜、夏は釣り等大変賑わっております。

 

○ また、標高650mには全国棚田100選の樫原棚田があり、棚田オーナー制度を活用し地域の活性化を図っているところです。美しい棚田や森林は豊かな水源と生物を育む美しい川の源であり、「高丸山千年の森」での県民参加の森づくりとして、ブナの原生林で森林浴を楽しみ、山林管理で汗を流し、森林の公益機能などを体験し学ぶことができます。

 

○ 本町の森林は人工林が83%を占めていますが、木材不況による管理不足で土砂流出が進みつつあり、農地にはシカやイノシシが出没し農作物に大きな被害がでています。

 

○ 食料や木材は外国から輸入できますが、保水力、景観、大気の浄化機能などの環境資源は輸入できないことから森林農地管理士の育成に努めています。

 

○ また、2020年目標にゴミ0(ゼロ・ウエイスト)宣言(現在ゴミのリサイクル80%)や、「日本で最も美しい村連合」にも加入し環境倫理に基づく「持続可能な地域社会づくり」をめざし町民参加のまちづくりを進めています。

 

○ 柿やモミジ、ナンテンなどの葉っぱを料理のつま物として出荷する「彩り農業」で高齢者の生き甲斐と健康づくりにも役立ち、環境への取り組みとして月ヶ谷温泉の重油ボイラーを木質バイオボイラーに変えるなど、年間多くの視察者が訪れる四国で一番人口の少ない元気な町です。

 

 

○ なお、標記内容の詳細は、次の四国地方整備局HPにおいても掲載していますので、ご覧下さい。またこのメールは、各市町村長様にもご担当より転送して下さいますよう、お願い致します。

 

    http://www.skr.mlit.go.jp/kasen/topics/mizukobore/index.html

 

 

 

 

今週のニュース

 

3.四国地方整備局管内の渇水状況(続報11)     (四国地方整備局)

 

○ 四国地方は、平年よりも早い7月4日に梅雨明けし、7月に入ってから少雨傾向が続いたことから、7月25日(金)9時より吉野川水系吉野川が第一次取水制限を開始するため、24日(木)14時に四国地方整備局が渇水対策本部を、同時に、徳島河川国道事務所及び吉野川ダム統合管理事務所が渇水対策支部を設置したことが、今年の四国管内における取水制限の始まりです。

 

○ 四国地方は、7月、8月と記録的な少雨となったため、以下のように取水制限(自主節水は含まず)が実施されましたが、8月下旬には徳島県の東部、高知県の南西部を中心にまとまった降雨があり、9月後半には台風13号、台風15号及び秋雨前線による降雨があり4水系で取水制限が解除され、さらに10月上旬にも秋雨前線によるまとまった降雨が四国全域であり、重信川水系石手川で10月6日(月)に取水制限が解除されました。

 

  ・那賀川水系那賀川(長安口ダム・小見野々ダム)

     取水制限期間 : 7月26日〜8月28日

     最大取水制限率 : 農水20%、工水20%

 

  ・物部川水系物部川(永瀬ダム)

     取水制限期間 : 9月11日〜9月19日

     最大取水制限率 : 農水20%

 

  ・仁淀川水系仁淀川(大渡ダム)

     取水制限期間 : 8月6日〜8月15日

              8月20日〜8月30日

     最大取水制限率 : 農水50%、上水40%

 

  ・鏡川水系鏡川(鏡ダム)

     取水制限期間 : 9月10日〜9月16日

     最大取水制限率 : 農水71.6%、上水45%、工水78.2%、維持用水24.6%

 

  ・重信川水系石手川(石手川ダム)

     取水制限期間 : 8月4日〜10月6日

     最大取水制限率 : 農水46.7%、上水20.0%、かんがい35.0%

 

○ 吉野川水系吉野川(早明浦ダム)については、本日の10時より取水制限を再開する予定でしたが、本日の低気圧による降雨を受け、取水制限の一時解除をしばらく継続します。

 

○ 10月14日(火)現在の四国地方整備局管内の渇水状況は以下の通りです。

 

○【吉野川水系吉野川】

   ・施設の状況(10月14日0時現在)

      早明浦ダム:貯水率33.1%(平年値90.5%)

   ・支部の設置状況

      徳島河川国道事務所渇水対策支部設置:7月24日14時〜

      吉野川ダム統合管理事務所渇水対策支部設置:7月24日14時〜

   ・取水制限の状況

      自主節水  :7月21日0時〜

         徳島用水 7.0%、香川用水(上水)10.0%

      一次取水制限:7月25日9時〜

         徳島用水15.2%、香川用水20.0%

      二次取水制限:8月 3日9時〜

         徳島用水17.0%、香川用水35.0%

      三次取水制限:8月12日9時〜

         徳島用水18.8%、香川用水50.0%

      四次取水制限:8月21日9時〜

         徳島用水21.6%、香川用水60.0%

      *8月31日10時より、9月19日15時まで発電専用容量から緊急放流

      緊急放流を停止し、取水制限一時解除:9月19日15時〜

      緊急放流を停止し、取水制限一時解除の終了:9月24日9時

      四次取水制限:9月24日9時〜

         徳島用水27.8%、香川用水60.0%

      取水制限一時解除:9月30日16時〜10月3日13時

       取水制限一時解除継続中:10月5日13時〜

 

○【吉野川水系銅山川】

   ・施設の状況(10月14日0時現在)

      銅山川3ダム:貯水率64.1%(平年値90.7%)

   ・支部の設置状況

      吉野川ダム統合管理事務所渇水対策支部設置:7月24日14時〜

      (早明浦ダムの取水制限により設置)

   ・取水制限の状況

      自主節水  :8月18日0時〜

         工水10.0%

      一次取水制限:8月29日0時〜

         工水20.0%

      二次取水制限:9月17日0時〜

         工水30.0%、上水5%

 

○ 吉野川水系以外でも、今後の気象状況によっては、取水制限が開始される地域が増えることも予想されますので、日頃からの節水に御協力をお願いします。

 

○ なお、管内の主要河川における渇水状況の詳細については、下記のホームページをご覧ください。

 

     http://www.skr.mlit.go.jp/kasen/damu/index.htm

 

 

 

4.「第一回いい川・いい川づくりワークショップ」に新野西小学校が参加  (那賀川水系 徳島県)

 

○ 9月27日(土)〜28日(日)に、東京の国立オリンピック記念青少年総合センターで開催された「第一回いい川・いい川づくりワークショップ」に阿南市立新野西小学校が参加し、長年行ってきたオヤニラミの保護育成活動について発表しました。

 

○ 同ワークショップは、もともと「川の日ワークショップ」として、1998年から全国各地でいい川づくりに活躍する市民・住民・行政が集まり、発表し合うことで「いい川づくり」のビジョン・イメージを共有しようと始まったもので、11回目の今回から名前を「いい川・いい川づくりワークショップ」に改められたものです。

 

○ 今回も全国各地や韓国から60団体以上が参加し開催されました。新野西小学校は阿南市や関係団体等の支援により全校生徒・職員の11名が参加し、阿波踊りや歌を交えて元気一杯にオヤニラミの保護育成活動について発表し、最終選考まで勝ち抜き、「歌うように絶滅危惧種と絶滅危惧の子供を守り育むで賞」をいただきました。

 

○ 新野西小学校は今年いっぱいで休校が決定していて、同学校にとっては最初で最後の参加となりましたが、全校生徒6名の小さな小学校が長年続けてきたオヤニラミの保護育成活動に対して、会場から大きな声援をいただきました。

 

 

 

5.「自然農による遊休農地のモデル事業」を実施(石手川ダム水源地域ビジョン推進委員会)  (重信川水系 愛媛県)

 

○ 石手川ダム水源地域ビジョン推進委員会では、松山市の水道水源の約半分を賄う石手川ダムの水源地域において、魅力ある地域づくりや自然環境の保全、上下流交流促進のため、様々な活動に取り組んでいます。

 

○ 本年度はその一環として、10月4日(土)、5日(日)に、講師として自然農の第一人者である川口由一氏(奈良県在住)を招き、一般募集(松山市 広報・石手川ダム水源地域ビジョンHP)した約70名の参加で「自然農による遊休農地のモデル事業」を実施しました。

 

○ この事業は、平成17年2月に策定された「石手川ダム水源地期ビジョン」の中で提言された施策の一つである「水源地域の過疎化・高齢化により放置された農地(遊休農地)の有効活用」の推進の一環で行っているものです。遊休農地は石手川ダムの水源地域にあるため、遊休農地の有効活用を図る上では、水源地域からダムに流入する水質を出来る限り良好に保てることが望ましく、そのような農法はないかということを検討したところ、「自然農」という農法の提案があり、関係者の協力のもと今回の実施に至りました。

 

○ 「自然農」は農薬や肥料を用いず、草や虫を敵とせず、大きな機械やその燃料を用いることなく栽培する農法です。また、自然の力を最大限に利用するため、基本的には耕す必要がなく、長年放置された農地のほうが栽培するには適しているということです。

 

○ 初日の10月4日(土)は、自然農の実践者であり全国的指導者の川口由一氏と、自然農の専業農家である沖津一陽氏(徳島県阿波市在住)による講演会を愛媛大学農学部にて行い、自然農の基本的な考え方や作業の流れについての説明がありました。質疑応答では白熱した意見交換が行われ、参加者の強い熱意を感じました。

 

○ 二日目の10月5日(日)は、川口由一氏と沖津一陽氏による実技指導を、石手川ダム水源地域である松山市川の郷町のモデル農地にて行いました。あいにくの雨の中でしたが、草刈りから始まり、冬野菜の種まき、イノシシ対策として電柵の設置までを行いました。現場作業においては、自然を最大限に利用し基本的には耕さないということでしたが、最初のあぜづくりなどはかなり大変な作業でした。

 

○ モデル事業として、11月、12月にも作物の生育状況に応じた農作業を予定しており、12月にはあわせて収穫祭も行う予定です。

 

○ 今回のモデル事業が参加者の皆さんにとって有意義なものになると共に、今後は地元の方や一般の参加者が主体となった取り組みが広がり、水源地域や流域の活性化につながることを期待しています。

 

 

 

6.土器川水系水質汚濁防止連絡協議会との「水質に関する勉強会」を実施  (四国地方整備局)

 

○ 四国地方整備局では、毎年、この時期に土器川において、ダイオキシン類及び環境ホルモンの試料採取に関する注意事項等の説明会を実施しています。ダイオキシン類及び環境ホルモンの測定濃度は、ダイオキシン類がpg-TEQ/L(ピコグラム/リットル)、環境ホルモンがμg/L(マイクロクラム/リットル)であり、それぞれ1兆分の1、100万分の1と非常に小さいため、環境中(大気等)からの汚染に十分注意しないと、河川での濃度を調査しているのか、環境中の汚染状況を調査しているのか、わからないようなことになるために、精度管理の観点からの注意事項等について、各事務所の水質担当者及び採水担当業者に説明しているものです。

 

○ 今年は「ダイオキシン類等試料採取現地説明会」を10月9日(木)に実施し、合わせて、土器川水系水質汚濁防止連絡協議会(香川県本庁、中讃土木事務所、丸亀市、まんのう町、香川河川国道事務所)と管内の水質担当者による「水質に関する勉強会」も実施しました。

 

   勉強会の内容

 

    @平成19年四国管内の水質現況について

      ・管内8水系の水質状況について

      ・内分泌攪乱物質(環境ホルモン)の調査結果について

      ・ダイオキシン類の調査結果について

      ・薬品類の調査結果(H19年のみ実施)について

      ・新しい水質指標(官民協働による水質調査)調査結果について

    A水質事故対策について

    BKHV(コイヘルペスウイルス)対応について

    C水質汚濁防止連絡協議会の取り組みについて

      ・全国での取り組み事例の紹介

      ・「河川整備計画」における、水質に関する取り組み及び水質汚濁防止連絡協議会等に関する記載例について

      ・水質事故頻発河川における「原因者への指導依頼文」の例について

 

○ 今回の勉強会を契機として、水質汚濁防止連絡協議会の取り組みの必要性、重要性が再認識され、各河川における水濁協の活動が、より活発になることを期待しています。

 

 

 

 

 「四国河川ニュース」に関するご意見、ご要望や四国の河川についての資料の要求、また河川に関するニュースなどがありましたら、以下までご連絡をお願いいたします。

 

  ■連絡先■  四国地方整備局 河川部  河川管理課 課長補佐  永原 隆

          〒760-8554高松市サンポート3番33号

          TEL 087-851-8061(代)マイクロ88-3753(永原) mailto:rivers-news@skr.mlit.go.jp

          FAX 087-811-8416(河川計画課)

  ────────────────────────────────────────── 

       四国地方整備局 ホームページURL(河川)

           http://www.skr.mlit.go.jp/kasen/index.html

         四国地方整備局 ホームページURL(四国河川ニュース)

               http://www.skr.mlit.go.jp/kasen/topics/news/news.html