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四国河川ニュース
《8/23(土)〜8/29(金)》361号
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【2008.9.1発行】
○四国・水こぼれ話談話室Vol.124
○ 香川県 綾川広域基幹河川改修事業 香川県 土木部 河川砂防課長 尼子 進
○ 安全・安心のまちづくり 香川県 坂出市長 松浦 稔明
○今週のニュース○
○ 四国地方整備局管内の渇水状況(続報5)
(四国地方整備局)
○ 第6回四国未来人交流in肱川〜未来を担う子供たちとの交流会を開催〜 (肱川水系 愛媛県)
○ 渇水に伴い吉野川の流況監視を強化
(吉野川水系 徳島県)
○ 第1回横瀬川ダム技術検討委員会を開催
(渡川水系 高知県)
四国・水こぼれ話談話室Vol.124
1.香川県 綾川広域基幹河川改修事業 香川県 土木部 河川砂防課長 尼子 進
○ 綾川は、香川県中央部に位置しており、その源を竜王山に発し、綾川町を経て坂出市内を流れ、瀬戸内海に注ぐ流路延長約38km、流域面積約138kuの二級河川です。
○ その流域は、四国有数の工業地帯である番の州工業地帯を擁する坂出市をはじめとし、綾川町にわたり、社会・経済・文化の基盤をなすとともに、多様な自然環境を有しています。
○ 本水系においては、昭和初期より河川改修事業として河口から約8km間の築堤工事などを実施するほか、洪水調節及び灌漑用水補給のため昭和28年に長柄ダム、平成2年に支川田万川において田万ダムを整備しました。また、昭和41年には府中ダムが完成し、番の州工業地帯へ工業用水を供給しています。
○ これまでに綾川では、流下能力不足のため、度々台風などの大雨によって氾濫を繰り返し、浸水被害が発生してきました。特に香川県全域に甚大な浸水被害をもたらせた平成16年台風23号出水では、綾川沿川の坂出市府中町等において425戸の浸水被害が発生しました。
○ このような現状において、概ね70年に1回程度発生する規模の洪水を安全に流下させることを目標として、昭和59年度から府中ダム下流の8.7km間を坂出工区として、河道掘削及び護岸整備を行っており、平成19年度末現在で河口から約5kmまでの間の整備が完了しています。
○ 坂出工区の特徴として、水辺の動植物の生息・生育環境の保全や周辺環境との調和に配慮しながら人と川とのふれあいの場が確保できるよう、自然石を用いた護岸や階段工など親水機能も向上させる整備を行っています。特に下流部の1.9km間では、「ふるさとの川整備事業」(H5モデル河川認定)による整備を実施しています。
○ 今後も環境に配慮しつつ、平成16年台風23号出水時に発生したような浸水被害を早期に軽減できるよう、綾川の河川改修に取り組み、災害に強い快適な郷土を目指します。
2.安全・安心のまちづくり 香川県 坂出市長 松浦 稔明
○ 坂出市は、香川県のほぼ中央に位置し、東は史跡と眺望に恵まれた五色台を境に高松市に接し、西は聖通寺山を隔てて宇多津町に、南は讃岐富士と呼ばれる飯野山を境に丸亀市に接し、北は風光明媚な瀬戸内海国立公園を臨む面積92.46km2、人口約5万6千人の市であります。
○ 古くは塩の町として栄えた本市も時代の変遷と共に、かつての塩田は工業用地、住宅地、農地へと変貌し、沿岸部では番の州地区の埋立地に火力発電所、石油精製プラント、造船所等の企業が進出しており、さらに平成22年の操業開始に向け液化天然ガス受け入れ基地の建設が進んでおります。また、中心市街地では予讃線坂出駅付近連続立体交差事業の完成に併せて、平成9年にスタートした坂出駅周辺整備主要プロジェクト事業による地下駐車場、高架側道、駅前広場、区画整理事業等が平成17年度に完成し、坂出駅を核とした中心市街地の再開発により四国の玄関都市としてふさわしい施設が出来上がりました。
○ また、本年3月には高松自動車道府中湖パーキングエリアに四国で初めてのスマートICが設置され、本格運用に向けた社会実験が行なわれており、利用者の利便性向上に寄与しています。
○ ところで、市域東部の平野部を南北に流れる綾川は竜王山に源を発し、途中府中ダムを経由し瀬戸内海に到る2級河川で普段はゆっくりと流れ、沿川の人々に貴重な親水空間を提供していますが、県下全域に未曽有の災害をもたらした平成16年の台風23号による異常降雨では様相は一変しました。台風の接近と共に河川水位は急速に上昇し、上流部での越流により400戸余りの家屋が浸水被害を被りました。また、坂出市全域に亘り家屋の損壊、土砂崩れ、道路の寸断等が発生し、その被害は非常に甚大なものとなりました。
○ 幸いにも人命被害はなかったものの坂出市ではこれを貴重な教訓として異常気象時に住民が速やかに対応できるよう浸水想定区域や指定避難場所を記載した洪水ハザードマップを作成しました。また、市民と行政の協働により地域の防災力を向上させるため自主防災組織の結成促進に取り組んでいます。一方県におかれては、綾川の流下能力増強を図る河床整備工事が急ピッチで進められており工事完成後は浸水被害が大幅に軽減されるものと期待しております。
○ 自然災害は避けて通ることが出来ないものであり、今後も地域住民と共に防災体制の構築に取組み、安全・安心が実感できる街づくりを実現してまいりたいと考えております。
○ なお、標記内容の詳細は、次の四国地方整備局HPにおいても掲載していますので、ご覧下さい。またこのメールは、各市町村長様にもご担当より転送して下さいますよう、お願い致します。
http://www.skr.mlit.go.jp/kasen/topics/mizukobore/index.html
今週のニュース
3.四国地方整備局管内の渇水状況(続報5) (四国地方整備局)
○ 四国地方は、平年よりも早い7月4日に梅雨明けし、7月に入ってから少雨傾向が続いていることから、7月25日(金)9時より吉野川が第一次取水制限を開始するため、24日(木)14時に四国地方整備局が渇水対策本部を、同時に、徳島河川国道事務所及び吉野川ダム統合管理事務所が渇水対策支部を設置しました。また、那賀川についても、26日(土)9時から第一次取水制限を開始するため、25日(金)12時に、那賀川河川事務所が渇水対策支部を設置し、鏡川についても、7月30日(水)9時より自主節水を開始しています。
○ その後も、まとまった降雨がないため、吉野川水系吉野川及び那賀川が第二次取水制限に強化されるとともに、新たに、8月4日(月)17時より重信川水系石手川が第一次取水制限を、また8月6日(水)19時より仁淀川が第一次取水制限を開始しました。
○ また、その後もまとまった降雨がないため、12日(火)9時より吉野川が第三次取水制限に強化されるとともに、18日(月)0時より吉野川水系銅山川で自主節水が開始されましたが、仁淀川水系では8月に入ってから局地的な降雨があり大渡ダムの貯水が回復したため、8月15日(金)10時に取水制限が解除されました。
○ さらに、少雨状態が続いているため、重信川水系石手川が8月19日(火)14時より第二次取水制限に強化されるとともに、取水制限が解除されていた仁淀川で20日(水)9時より取水制限が再開され、鏡川で20日9時(水)より自主節水が強化され、吉野川水系吉野川が21日(木)9時より第四次取水制限に強化されています。
○ 8月20日(水)に開かれた第4回吉野川水系水利用連絡協議会において、早明浦ダムの貯水率がゼロになった時点より、発電専用容量から上水のみを対象として緊急放流(徳島用水1.95m3/s、香川用水1.90m3/s)を行うことが決定されました。また、8月18日に、徳島県から要望されていた早明浦ダムの利水容量がゼロとなった時点で吉野川からの緊急取水については、渇水による農業及び工業被害の軽減を図るため、一時的緊急避難措置として「異常渇水時の保持流量」を吉野川本川で8m3/s、派川旧吉野川で5m3/sと設定し、当面の間、この流量を上回る自然流量の部分について取水が可能とする措置をとることとしました。
○ 先週、徳島県の東部、高知県の南西部を中心にまとまった降雨があり、那賀川及び仁淀川で取水制限が解除され、鏡川で取水制限が緩和されましたが、一方で、自主節水を継続していた吉野川水系銅山川で8月29日(金)0時より第1次取水制限が開始され、吉野川水系吉野川の早明浦ダムの利水容量が8月31日(日)午前10時にゼロとなり、発電専用容量からの上水への緊急放流が開始されるとともに、重信川水系石手川で本日9月1日(月)より第3次取水制限に強化されています。
○ 9月1日(月)現在の四国地方整備局管内の渇水状況は以下の通りです。
○【吉野川水系吉野川】
・施設の状況(9月1日0時現在)
早明浦ダム:貯水率0.0%(平年値83.9%)
・支部の設置状況
徳島河川国道事務所渇水対策支部設置:7月24日14時〜
吉野川ダム統合管理事務所渇水対策支部設置:7月24日14時〜
・取水制限の状況
自主節水 :7月21日0時〜
徳島用水 7.0%、香川用水(上水)10.0%
一次取水制限:7月25日9時〜
徳島用水15.2%、香川用水20.0%
二次取水制限:8月 3日9時〜
徳島用水17.0%、香川用水35.0%
三次取水制限:8月12日9時〜
徳島用水18.8%、香川用水50.0%
四次取水制限:8月21日9時〜
徳島用水21.6%、香川用水60.0%
*31日10時より、発電専用容量から緊急放流中
○【那賀川水系那賀川】
・施設の状況(9月1日0時現在)
長安口ダム:貯水率82.2%(平年値75.7%)
・支部の設置状況
那賀川河川事務所渇水対策支部設置:7月25日12時〜
・取水制限の状況
一次取水制限:7月26日9時〜
農水10.0%、工水15.0%
二次取水制限:8月 5日9時〜
農水20.0%、工水20.0%
取水制限解除:8月28日7時〜
○【鏡川水系鏡川】
・施設の状況(9月1日0時現在)
鏡ダム:貯水率91.5%(平年値100.0%)
・支部の設置状況
未設置
・取水制限の状況
自主節水T :7月30日9時〜
農水10.0%、上水10.0%、工水76.6%
自主節水U :8月20日9時〜
農水57.6%、上水33.3%、工水76.6%
自主節水T(緩和):8月27日17時〜
農水10.0%、上水10.0%、工水76.6%
○【重信川水系石手川】
・施設の状況(9月1日0時現在)
石手川ダム:貯水率50.0%(平年値78.3%)
・支部の設置状況
松山河川国道事務所渇水対策支部設置:8月4日17時〜
・取水制限の状況
一次取水制限:8月 4日17時〜
農水33.3%、上水15.0%、かんがい30.0%
二次取水制限:8月19日14時〜
農水38.9%、上水17.0%、かんがい35.0%
三次取水制限:9月 1日 0時〜
農水33.3%、上水10.0%、かんがい35.0%
*農水、上水については、9月より通常取水量が減少しているため、取水量は削減(強化)されている。
○【吉野川水系銅山川】
・施設の状況(9月1日0時現在)
銅山川3ダム:貯水率59.9%(平年値90.8%)
・支部の設置状況
吉野川ダム統合管理事務所渇水対策支部設置:7月24日14時〜
(早明浦ダムの取水制限により設置)
・取水制限の状況
自主節水 :8月18日0時〜
工水10.0%
一次取水制限:8月29日0時〜
工水20.0%
○【仁淀川水系仁淀川】
・施設の状況(9月1日0時現在)
大渡ダム:貯水率94.1%(平年値97.3%)
・支部の設置状況
高知河川国道事務所渇水対策支部設置:8月19日17時〜
大渡ダム管理所渇水対策支部設置 :8月19日17時〜
・取水制限の状況
一次取水制限:8月20日9時〜
農水30.0%、上水30.0%
二次取水制限:8月25日9時〜
農水50.0%、上水40.0%
一次取水制限(緩和):8月27日13時〜
農水30.0%、上水30.0%
取水制限解除:8月30日19時〜
○ 吉野川水系、鏡川水系、重信川水系、の3水系以外でも、現在平年よりも厳しい状況にある河川があります。今後の気象状況によっては、さらに取水制限が開始される地域が増えることも予想されますので、日頃からの節水に御協力をお願いします。
○ なお、管内の主要河川における渇水状況の詳細については、下記のホームページをご覧ください。
http://www.skr.mlit.go.jp/kasen/damu/index.htm
4.第6回四国未来人交流in肱川〜未来を担う子供たちとの交流会を開催 (肱川水系 愛媛県)
○ 8月22日(金)から23日(土)にかけてNPO法人四国河川文化ネットワークの主催で、『第6回四国未来人交流in肱川』が、愛媛県の肱川において開催されました。
○ この交流会は、四国内で河川愛護活動を行う小学生間の交流を図り、四国における河川愛護活動の連携を図る人材育成を目的として、平成15年度より継続的に行われているものです。
○ 参加した小学生は小学2年生から小学6年生と幅広く、徳島県からは加茂スポーツ少年団、高知県からは中村スポーツ少年団、地元愛媛県からは、菅田スポーツ少年団2チーム、大洲フットボールクラブの参加があり総勢50名で賑やかに交流会を実施することができました。
○ 参加者は、独立行政法人国立青少年交流の家に宿泊し、初日には子供の水難事故防止を目的に、川の安全な利用を学ぶため、カヌー教室をとおして学習しました。
○ また、野外炊飯を体験することで、日常の便利さを再確認し、家族やまわりの人々への感謝の気持ちを感じてもらいました。
○ 2日目には、サッカーを通じ、子供同士や大人と交流し、友達や仲間の大切さを学んでもらいました。
○ 無事にけがや事故もなく交流会を終えることができ、笑顔で閉会式を迎え、それぞれの地域へ、良い思い出を持ち帰っていただけました。
5.渇水に伴い吉野川の流況監視を強化 (吉野川水系 徳島県)
○ 吉野川では、初夏から続く少雨傾向により7月25日に第一次取水制限を開始し、段階に応じて取水制限を強化しつつ節水に努めてきました。
○ 早明浦ダムの貯水率は低下の一途をたどり、無降雨の状況が続くと8月30日には利水容量がゼロになる、という危機的な状況となりました。
○ このような異常渇水を受け、8月18日に徳島県知事より四国地方整備局長に対し、早明浦ダムの利水貯水率が0%になった時点で、吉野川の自然流量から農業用水及び工業用水を緊急取水できるよう要望がありました。
○ 徳島県からの要望を受け、四国地方整備局は渇水による農業及び工業被害の軽減を図るため、一時的緊急避難措置として、早明浦ダムの利水貯水率がゼロになった時点で、吉野川本川においては8m3/s、派川旧吉野川においては5m3/sを超える部分については、取水が可能とする措置をとることとしました。
○ このような状況を受け、徳島河川国道事務所では、河川流況の悪化に伴う吉野川沿川地域への影響や環境に対する影響などを把握するため、及び流況の適正な管理を行うため、8月26日(火)より毎日、吉野川及び旧吉野川の主要地点において水位の観測と流量算出(速報値)を行い、結果をホームページにて公表することとしました。
○ また、流量の減少に伴う環境等への影響も懸念されるため、水質等の調査も適宜行っていきます。
<公表内容>
下記地点における流況を、ホームページにて毎日公表。
吉野川本川 : 池田ダム放流量(三好市)
瀬詰観測所(阿波市)
西条大橋観 測所(吉野川市)
旧吉野川 : 旧吉野川観測所(板野郡上板町)
<公表方法>
徳島河川国道事務所ホームページ
6.第1回横瀬川ダム技術検討委員会を開催 (渡川水系 高知県)
○ 8月27日(水)に、中筋川総合開発工事事務所において、「横瀬川ダム技術検討委員会」を開催しました。
○ この委員会は、横瀬川ダム建設事業において、総合的なコスト縮減を図り、効率的な執行に資することを目的に、独立行政法人土木研究所のダムに関する専門家等からの意見や指摘を頂くために開催したものです。
○ 委員会の開催前に、現地視察として、ダムサイト付近の地形・地質(ボーリングコアや調査横坑の視察を含む)や施工設備の予定箇所等の視察を行いました。
○ 委員会の中で、次のようなダム本体の設計や施工設備に関する指摘をいただきました。
1.仮排水トンネルの計画
2.保全施設(滝、祠等)とダムの座取りの関係
3.オリフィスゲートの構造
4.コンクリート打設設備を含む施工計画
5.基礎掘削高と掘削工程の短縮
6.ダム堤体内構造物(監査廊、管理用発電機室等)の構造 等
○ 今後、中筋川総合開発工事事務所では、頂いた指摘について十分な検討を行い、残り2回開催予定の委員会で審議頂き、年度内のとりまとめを目指したいと考えています。
○ 四国地方整備局としては、中筋川ダム以来(平成10年度完成)のダム本体の着工を目指しているということで、管内のダムや河川技術者も参加していただき、ダム技術力の向上に役立てたものと確信しています。
「四国河川ニュース」に関するご意見、ご要望や四国の河川についての資料の要求、また河川に関するニュースなどがありましたら、以下までご連絡をお願いいたします。
■連絡先■ 四国地方整備局 河川部 河川管理課 課長補佐 永原 隆
〒760-8554高松市サンポート3番33号
TEL 087-851-8061(代)マイクロ88-3753(永原)
mailto:rivers-news@skr.mlit.go.jp
FAX 087-811-8416(河川計画課)
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四国地方整備局 ホームページURL(河川)
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四国地方整備局 ホームページURL(四国河川ニュース)
http://www.skr.mlit.go.jp/kasen/topics/news/news.html