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四国河川ニュース

6/28(土)〜7/4(金)》353号

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                                                                                                                                                               【2008.7.7発行】

 

○四国・水こぼれ話談話室Vol.120

 

   ○ 香川県 笠松川(東かがわ市)の砂防事業  香川県 長尾土木事務所長 高口 秀和

 

   ○ 「安全安心のまちをめざして」         香川県 東かがわ市長 藤井 秀城

 

 

○今週のニュース○

 

   ○ 吉野川・旧吉野川・今切川の重要水防箇所の合同巡視を実施  (吉野川水系 徳島県)

 

   ○ 高知河川国道事務所管内の排水ポンプ車訓練を実施  (仁淀川・物部川水系 高知県)

 

   ○ 「水・交流サミットin四国」の報告               (四国地方整備局)

 

   ○ 平成20年度「高知県中部地域災害情報協議会・幹事会」を開催      (高知県)

 

   ○ 『防災技術センター』第3弾としての内水排除訓練を実施             (香川県)

 

   ○ 水防に関する基礎知識を学ぶ「水防講習会」を開催  (仁淀川・物部川水系 高知県)

 

 

 

 

四国・水こぼれ話談話室Vol.120

 

1.香川県 笠松川(東かがわ市)の砂防事業  香川県 長尾土木事務所長 高口 秀和

 

【笠松川の被災】

 

○ 平成16年10月20日、台風23号の接近に伴う非常に激しい雨の影響(最大時間雨量116mm・3時間雨量312mm)で、東かがわ市水主の笠松地区では、笠松川やその他の渓流で多数の土石流が発生し、幸い人的被害は無かったものの、家屋の全壊6棟、半壊1棟、流出3棟、浸水11棟(床上1棟・床下10棟)という大きな被害が発生しました。

 

【事業概要】

 

○ 平成16年度災害関連緊急砂防事業で堰堤嵩上げを1基、平成18・19年度砂防激甚災害対策特別緊急事業で堰堤工を2基と渓流保全工680mを整備しました。

 

○ これらハード整備以外に、土砂災害(特別)警戒区域を県内で最初に指定するなど、ソフト対策にも積極的に取り組んでいます。

 

○ また、香川県ホームページに土砂災害危険箇所図、土砂災害(特別)警戒区域、砂防情報システム等を掲載し、多くの県民が土砂災害に関する情報を迅速かつ的確に得られるようにしました。

 

【工事の特色】

 

○ 当時、既設砂防ダムの捕捉能力を超えた大量の土石流が発生し、左岸の袖部地山を破壊して、下流にまで土砂が流れ出しました。そのため災害関連緊急砂防事業により、既設砂防ダムの嵩上げ工事を施工するとともに、この土石流の流れが従来の河川の流れをそれて直進したことから、住民からの要望も踏まえ、土砂が流下したルートで渓流保全工を整備することとしました。

 

○ また、砂防激甚災害対策特別緊急事業で建設したダムは、ダム中央部が鋼製スリットタイプで土石流・流木の捕捉効果が大きい形式であることが特徴です。なお、工事箇所隣接地に、災害の記憶を風化させないため、「あの日を忘れない」と彫った碑を設置しました。

 

【おわりに】

 

○ 管内の砂防激甚災害対策特別緊急事業は、まだ、一部の渓流で工事中であり、平成20年度末までに完了する予定です。災害発生が平成16年度後半であり、予算執行などのため、諸手続き・用地取得等を短期間で行う必要がありました。

 

○ また、工事発注規模を大きくすることにより事業のスピードアップによる事業効果の早期実現とコスト縮減を図ることが出来ました。

 

 

 

2.「安全安心のまちをめざして」    香川県 東かがわ市長 藤井 秀城

 

○ 東かがわ市は、平成15年4月に引田・白鳥・大内の3町が合併して誕生した人口約3万6千人、総面積153.35kuの香川県の東の玄関都市です。

 

○ 地場産業は、手袋生産が、今年、本市に導入され120年となる伝統を有し、また安戸池でハマチ養殖が初めて成功してから80年目の節目を迎えました。この他、製薬や和三盆糖などの伝統産品を今なお受け継ぐなど、伝統文化と自然環境が調和したまちです。

 

○ 観光スポットでは、引田の古いまち並みに人気があり、引田御三家といわれる旧大庄屋の「日下家」、赤壁の醤油醸造所「岡田家」、酒・醤油業の「佐野家」(旧井筒屋)の家屋敷きが軒を並べ、入り組んだ細い路地や閑静な通りには、年代を経た品格を感じさせられる趣から、多くの観光客が訪れています。

 

○ 一方、近年の地球温暖化による異常気象の影響からか、温暖で降雨量の少ない瀬戸内海特有の気候の本市は、平成16年に多発した台風から甚大な被害を受けました。とりわけ台風16号の襲来時は、大潮の満潮位と重なり、これらの古いまち並みを含む本市の低地部で多数の家屋が、これまで経験したことのない潮位による床上床下浸水等の被害を受けました。

 

○ 急峻な地形が多い山間部は、過去の被害実態から各所に砂防堰堤が設置されていましたが、台風23号襲来時には最大時間雨量116mmという未曾有の豪雨に見舞われ、笠松・五名地区とその周辺地域では、その砂防堰堤の能力を遥かに凌ぐ土石流が、河川やその他の渓流で発生し、家屋の倒壊や流出・浸水といった甚大な被害が発生しました。

 

○ 特に、笠松地区では、従来の河流が変わり、大きな岩石を含んだ土石流となって流下し、人的被害は逃れたものの2階建民家の1階部分は土石流と共に流出・崩壊、また、土石の流入・堆積など、被災現場は想像を絶するものがありました。

 

○ その後、県において砂防激甚災害対策特別緊急事業によるダム建設等が行われて、復興することができましたが、被災者の方の一部には、いまなお住宅の復旧に至っていないケースもあり、改めて、自然災害の猛威と破壊の厳しさを痛感しています。

 

○ 本市では、この平成16年の大災害を教訓に、「安全で安心なまちづくり」を掲げ、災害復旧と併せて平成17年から毎年9月に、市全域で市民参加の避難訓練を実施するなど、災害時に役立つ防災訓練を実施し、今後に生かせるよう取り組みを行っています。

 

○ この他、昨年から土砂災害で著しい被害を受けた笠松地区を含めた地区を対象に土砂災害に対する全国統一防災訓練に参加して、防災訓練を実施しているところです。今年は、6月1日に笠松地区と同様に甚大な被害を受けた五名日下・鈴竹地区の市民を対象に県、警察署、広域消防本部、地元消防団の協力の下、避難訓練及び防災訓練を実施いたしました。

 

○ 今後も「あの日を忘れずに」を合言葉に継続して、訓練を実施するとともに、安全で安心して暮らせるまちづくりを目指し尽力してまいります。関係機関の更なるご指導、ご助力賜りますようお願い申し上げます。

 

 

○ なお、標記内容の詳細は、次の四国地方整備局HPにおいても掲載していますので、ご覧下さい。またこのメールは、各市町村長様にもご担当より転送して下さいますよう、お願い致します。

 

    http://www.skr.mlit.go.jp/kasen/topics/mizukobore/index.html

 

 

 

 

今週のニュース

 

3.吉野川・旧吉野川・今切川の重要水防箇所の合同巡視を実施  (吉野川水系 徳島県)

 

○ 本格的な台風シーズンを前に、徳島河川国道事務所と徳島市において、6月26日(木)に、吉野川・今切川の沿岸の重要水防箇所の合同巡視を行いました。

 

○ 今回の合同巡視には、徳島市防災担当者、地元水防団など約50名程度が参加し、今年度新たに設定された箇所、堤防詳細点検の結果を踏まえ設定された箇所を中心として、各区間の堤防の巡視を行いました。

 

○ 今後は、6月30日(月)、7月2日(水)、7月9日(水)に徳島市以外の市町についても、順次合同巡視を行う予定です。

 

 

 

4.高知河川国道事務所管内の排水ポンプ車訓練を実施  (仁淀川・物部川水系 高知県)

 

○ 洪水の際に、内水の早期排除による浸水被害の軽減のため、排水ポンプ車は水防管理団体より要請を受けた際、直ちに出動しなくてはなりません。近年の相次ぐ洪水における排水ポンプ車の効果とニーズは非常に高く、出動実績も多数あることもあり、出動体制の確立、早期据付・排水のため、また、洪水時においては現場での指揮・連絡を行う職員の育成のため、6月27日(金)、6月30日(月)の2日間に分けて仁淀川河口付近で保有する5台の排水ポンプ車の操作訓練を実施しました。合わせて、夜間作業において排水ポンプ車とセットで使用する照明車の操作方法についても訓練を実施しました。

 

○ 高知河川国道事務所管内では昨年度末、新たに排水ポンプ車(30m3/min)1台が導入され、150m3/min×1台、60m3/min×1台、30m3/min×3台の計5台、照明車は3台を配備しており、洪水が予想される場合は、仁淀川の堤防上に設置されている車庫に人員・機材を配備し、体制を整えております。

 

○ 訓練には排水ポンプ車運営委託業者の作業員及び、仁淀川・物部川の流域市町村の水防担当者、出動時の指揮者・連絡員等々、2日間延べ100名が参加し、排水ポンプ車メーカーの指導により、据付場所のスペースの確認、据付方法、排水ホースの設置、ポンプ運転、片付等、一連作業を行い、設備の構造、排水の仕組みについて知識と経験を積みました。

 

○ 出水時においては、迅速な出動を心がけ、地域の安全に貢献できるよう、今後も体制を拡充してまいります。

 

 

 

5.「水・交流サミットin四国」の報告         (四国地方整備局)

 

○ 四国河川ニュースNo.331号でお知らせした、「水・交流サミットin四国」(1月31日に四国中央市で開催)での意見交換会の内容が、6月30日(月)より以下のHPでご覧頂けます。

 

    http://www.dam-net.jp/contents/daminfo.html

 

○ 「水・交流サミット」は、ダム管理者とダム所在市町村長や流域市町村長との意見交換会を行い、全国の管理中のダムにおける様々な課題や要望を把握し、今後の水源地域対策やダム周辺環境の改善のための施策に繋げていくために平成16年より開催されているものです。四国で開催されるのは今回が初めてでした。

 

○ 意見交換会「水・交流サミットin四国」の出席者は以下の方々です。

 

   ダム所在地首長

    俵 徹太郎 三好市長  (池田ダム所在市長)

    坂口 博文 那賀町長  (長安口ダム所在町長)

    伊原  巧 四国中央市長(銅山3ダム所在市長)

    三好 幹二 西予市長  (野村ダム所在市長)

    西村 卓士 土佐町長  (早明浦ダム所在町長)

    合田 司郎 大川村長  (    〃    )

    塩田  始 いの町長  (    〃    )

    藤崎富士登 仁淀川町長 (大渡ダム所在町長)

    久保 知章 三原村長  (中筋川ダム所在村長)

 

   ダム管理者

    国土交通省 河川局 河川環境課 土居 邦弘 流水管理室長

    四国地方整備局 河川部 小池  剛 河川部長

       〃     〃  五藤 隆彦 河川情報管理官

    (独)水資源機構 吉野川局 杉村 淑人 局長

         〃    〃   舟橋 弘師 施設管理課長

 

○ 意見交換会では、「水源地域における地域活性化の現状と課題について」と「ダム及びダム湖の観光資源としての活用について」の2議題について、意見交換を行いましたが、HPの通り、首長より様々なご意見・ご要望・ご提案がありました。

 

 

 

6.平成20年度「高知中部地域災害情報協議会・幹事会」を開催  (高知県)

 

○ 7月2日(水)、高知河川国道事務所において「平成20年度 高知中部地域災害情報協議会(第1回幹事会)」を開催し、関係機関相互の災害情報の共有化及び災害時における連携の強化を図る為の、意見交換を行いました。

 

○ 参加機関は国土交通省関係6事務所、高知県庁関係8課をはじめ、高知県中部地域の13市町村の防災関係者が集まり、高知地方気象台を含む28機関の総勢40名弱で幹事会を行いました。

 

○ 会議では、協議会規約改正案について及び今後の取り組みについて、意見交換を行い、防災関連情報については多数の情報提供が関係機関よりありました。特に、平成20年岩手・宮城内陸地震における緊急災害対策派遣隊(TEC−FORCE)の支援活動状況、ハザードマップ作成に関する技術支援、災害対策用機械等の派遣等について、市町村からは南海地震の際の防災拠点について情報提供があり、現在の状況を確認するとともに、大規模災害時に備えるための防災関連情報の共有化を図りました。

 

○ 幹事会の後半では「気象関係の話題提供」と題して、高知地方気象台から@緊急地震速報、A運用開始した新しい警報・注意報(基準)、B竜巻注意情報について説明をしていただきました。

 

○ 今後とも、当協議会、幹事会を通じて、情報共有、情報交換を積極的に行うとともに、地域の防災、減災に寄与して行くこととしています。

 

 

 

7.『防災技術センター』第3弾としての内水排除訓練を実施   (香川県)

 

○ 7月2日(水)に、高松市東植田町の公渕(きんぶち)池において「平成20年度 排水ポンプ車の操作訓練」を実施しました。

 

○ 訓練は、四国技術事務所と香川河川国道事務所が保有する排水ポンプ車2台を使用し、香川地区の四国地方整備局職員、地方自治体職員、作業を担当する土木業者及び日本建設機械化協会四国支部の支援班等の約50名が参加して、作業手順や設置作業のノウハウを習得すべく、蒸し暑い中にも関わらず熱心に取り組まれました。

 

○ 排水ポンプ車は、先月発生した岩手・宮城内陸地震でできた多数の土砂ダムの排水でも有効性を実証したのは記憶に新しく、マスコミ報道等による関心も手伝い地域住民の方々も多数見学に来られ、普段は目にすることのない排水ポンプ車の排水作業を興味深く見ておられました。

 

○ 本年度の次の訓練は、ラジコン式油圧ショベルの遠隔運転講習や衛星通信車を用いた通信訓練等を予定しています。

 

 

 

8.水防に関する基礎知識を学ぶ「水防講習会」を開催  (仁淀川・物部川水系 高知県)

 

○ 洪水の際に、水防活動は重要であり、私たち国土交通省職員は河川管理者として、水防管理団体より要請を受けた際には水防作業に対する技術指導等を行う必要があります。高知河川国道事務所では、近年の相次ぐ大洪水を踏まえ、水防に関する基礎知識を学び、指導できる職員の育成のため、7月3日(木)に「水防講習会」を実施しました。講習会は昨年度から実施しており、今回は2回目の実施となります。

 

○ 講師として四国地方防災エキスパート・水防専門家であるとともに、水防工法技術指導員でもある、山本邦一氏を始め、仁淀川、物部川の担当の防災エキスパートの方々(岡崎健一郎氏、濱口重夫氏、古屋賢二氏、文野博隆氏、前中良啓氏、三浦敏弘氏、壬生愛惠氏、森岡正男氏、山崎宏教氏)にご指導頂き、水防の責務と分担や水防指導職員の役割の講義及び、とっさの時役立つ“ロープワーク”を中心とした水防工法訓練を実施しました。

 

○ 午前中は高知河川国道事務所会議室で講義を行い、山本邦一氏より過去の水防工法による効果の事例を中心とした、実践で役立つ知識を勉強し、午後からは仁淀川河川敷において、防災エキスパートの指導により水防工法の基本となる“もやい結び”“いわし結び”をはじめとしたロープワークを習得した上で、水防工法として一般的に使われる“月輪工法”“木流し工法”の実践を行いました。

 

○ 今回の講習会は、国交省職員のみでなく、洪水時の最前線で活動を行っていただく高知県や流域市町村の担当者の方にも参加して頂き総勢60名の人数で実施しました。訓練参加者の大半は、水防工法を知識では知っているものの実践で行ったことがないため、細部にまで至る技術の習得に熱が入り、充実した講義・訓練でありました。

 

○ 本講習会は、今後も引き続き実施するよう考えており、地域防災力の意識向上に繋がればと考えています。

 

 

 

 

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