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四国河川ニュース

5/31(土)〜6/6()349

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                                                                                                                                                              2008.6.9発行】

○四国・水こぼれ話談話室Vol.118

   ○ 高知県 萩谷川床上浸水対策特別緊急事業  高知県 中央西土木事務所長 小松 幹

   ○ 宇佐地区の河川整備と防災対策           高知県 土佐市長 板原 啓文

 

○今週のニュース○

   ○ 肱川水防工法訓練を実施                        (肱川水系 愛媛県)

   ○ 「平成20年度 石手川ダム放流警報周知会」を開催       (重信川水系 愛媛県)

   ○ 四万十川の支川後川でもマイヅルテンナンショウを発見     (渡川水系 高知県)

   ○ 平成20年度 香川地区災害情報協議会を開催          (香川県)

 

 

四国・水こぼれ話談話室Vol.118

 

1.高知県 萩谷川床上浸水対策特別緊急事業  高知県 中央西土木事務所長 小松 幹

 

○ 萩谷川は、高知県中央部の土佐市宇佐地区を流れる二級河川です。

 

○ その源は、一般に波介山展望公園と呼ばれる土佐市高岡地区と宇佐地区を隔てる標高300mほどの山域であり、その東端の大峠展望所(標高270m)から四国のみち(へんろ道)で知られる塚地峠(標高202m)付近が分水嶺となっています。また、その幹川流路延長は2.6km、流域面積は2.43kuとなっています。

 

○ 流域の状況は、上流部は前述の山地からなり、中下流域は、右岸側は主に水田、ビニールハウスの平地となり、左岸側は浜堤裏に発達した市街地が接しており、細長い住宅密集地が続いています。

 

○ 途中、河口から1.4km付近(市街地手前)で浜堤にさえぎられ、市街地背後を海岸線に平行するかたちで流下し、宇佐町福浜で浦ノ内湾に注いでいます。このような、浜堤に遮られた地形的特徴から、過去、台風などの集中豪雨や高潮により、河川の流下能力不足と相まって、浸水被害を受けてきました。

 

○ このため昭和45年の台風10号に伴う高潮と氾濫浸水被害を契機に、高潮対策事業並びに河川等災害関連事業により、河口防潮水門の設置および下流部の河道改修が行われました。

 

○ しかし、浸水被害はその後も繰り返し、平成10年9月‘98高知豪雨’では浸水家屋441戸、平成13年5月の集中豪雨では浸水家屋22戸の被害を受けています。

 

○ こうした度重なる浸水被害に対する抜本対策として、平成16年度より「床上浸水対策特別緊急事業」の採択を受け、5箇年計画で萩谷川本川の未改修区間1,487mと派川新町川(放水路)310mを併せた1,797m区 間の河道拡幅及び河床掘削を行い、不足している河積の確保を重点的に実施しています。この事業の完成により、流下能力は最大で約3倍に改善され、平成10年9月豪雨での床上浸水被害(151戸)が今後は解消されることから、地元住民からは一日も早い完成が待ち望まれています。

 

○ また、防災面での事業効果として、過去の南海地震において甚大な津波被害を繰り返してきた歴史をもつ宇佐地区にとって、住宅密集地の新町川沿いの管理道は、来るべき東南海・南海地震津波時には背後の山への避難路として重要な役割を果たすものと期待されます。

 

 

 

2.宇佐地区の河川整備と防災対策     高知県 土佐市長 板原 啓文

 

<流域の概要>

 

○ 土佐市は、高知県のほぼ中央部に位置し、四国三大河川の一つ、仁淀川河口に広がるまちで、東は仁淀川を隔てて高知市と、西は虚空蔵山(こくぞうさん)を境にして須崎市と、北は不入(いらず)山脈によっていの町、日高村、佐川町と、そして南は黒潮洗う太平洋と接しています。市域は東西16キロ、南北12キロで、面積は91.59平方キロメートルで、地形は、平野、山、川、海と、起伏と変化に富んでいますが、殊にリアス式海岸の横浪半島、横浪三里の景観は美しく、また、ジョン万次郎出漁の地で知られる宇佐地区は県内屈指のマリンスポーツ基地として近年は、しおかぜ公園も整備され、休日には、モーターボートや水上バイクを楽しむ人々の姿も見られます。また、ホエールウォッチングや潮干狩りも有名であり、県民の身近なレクリエーションの場として親しまれています。

 

○ さらに温暖な気候と豊かな自然の恩恵を受け、地味肥沃な平野部での多角的近代農業のほか、仁淀川の豊かな水を活用しての製紙工業や、沿岸漁業、水産物加工など、多彩な産業が成り立っています。特に土佐市宇佐地区は、古くからカツオの一本釣り、マグロ延縄(はえなわ)漁業等の拠点として発達し、漁港背後にはカツオ節加工場が多く立地しております。土佐市西部、戸波(へわ)地区は土佐文旦発祥地であり、山の斜面を利用しての文旦作りが盛んです。近年ではハウス栽培もとり入れ県外への出荷量が増えてきました。

 

<治水事業の概要>

 

○ 宇佐地区の中央部を流れる萩谷川流域における年平均降雨量は約2,600mmと日本の平均降雨量の約1,700mmと比べて多く、さらに下流低平地部の河川勾配が緩いことから、過去には台風などの集中豪雨と高潮により頻繁に浸水被害を受けており、特に、昭和45年8月の台風10号災害を受け、昭和45年から51年にかけて、河口防潮水門の設置や河道改修が行われました。しかし、この河道改修は下流部のみであったため、近年では平成10年9月の豪雨('98高知豪雨’)や、平成13年5月の豪雨と、度々床上浸水被害が発生しました。

 

○ こういった、近年の水害を契機に、中上流部の狭い河川断面を拡幅することで、特に洪水被害の軽減・河川環境の保全を目的として、平成16年度から、国土交通省の深いご理解を賜り、高知県で「萩谷川床上浸水対策特別緊急事業」による念願の河川整備が急ピッチで進んでおります。またこの事業と併せて、想定される南海地震時の津波による避難路としての活用が期待される漁業集落環境整備事業の漁業集落道等と一連で整備を行い災害に強い街づくりができると考えています。

 

○ 今後は、市として、地域防災計画の充実や浸水履歴図の有効活用・地域の自主防災組織育成といったソフト対策を進め、流域全体のさらなる治水安全度の向上をはじめとして、近々に来るであろうとされている南海地震への様々な防災体制の確立を進めていきたいと考えています。さらに生活様式の変革・高齢化の進む当地区の社会情勢に応じた防災意識の高揚を図り、安全で安心して暮らせるまちづくりを目指していこうと考えています。

 

○ つきましては、国土交通省・高知県をはじめ関係機関の皆様方の、さらなるご指導ご協力のほどよろしくお願いいたします。

 

 

○ なお、標記内容の詳細は、次の四国地方整備局HPにおいても掲載していますので、ご覧下さい。またこのメールは、各市町村長様にもご担当より転送して下さいますよう、お願い致します。

 

    http://www.skr.mlit.go.jp/kasen/topics/mizukobore/index.html

 

 

 

 

今週のニュース

 

3.肱川水防工法訓練を実施             (肱川水系 愛媛県)

 

○ 6月1日(日)に、愛媛県大洲市若宮の肱川河川防災ステーションにおいて、本格的な梅雨や台風シーズンを前に、水害に備えるための、肱川水防工法訓練を行いました。

 

○ 訓練は、国土交通省のほか、愛媛県、大洲市、大洲地区広域消防事務組合、大洲市自主防災組織など、合わせて約130名が参加しました。

 

○ 防災エキスパートの原田重信氏、武智進氏、岡田周三氏、高橋徹馬氏の4名のご指導のもと、大洲地区広域消防事務組合は改良積み土のう工、月の輪工、シート張工の訓練を実施し、国土交通省・愛媛県・大洲市・大洲市自主防災組織はロープワーク、土のう製作、積み土のう工、改良積み土のう工の訓練を実施しました。

 

○ 今年は、昨年に比べて自主防災組織の方の参加が多く、互いに教え合ったりして真剣に取り組んでいました。

 

 

 

4.「平成20年度 石手川ダム放流警報周知会」を開催  (重信川水系 愛媛県)

 

○ 6月5日(木)に松山河川国道事務所において、「平成20年度 石手川ダム放流警報周知会」を開催しました。

 

○ この説明会は、梅雨や台風による増水に備えて実施するものであり、放流通知機関や下流沿川の地区長、小・中学校など関係者56団体に集まって頂き、毎年実施しているものです。

 

○ 説明会では放流警報の目的や、警報を発する時期、また、下流にある放流警報表示装置(電光表示装置)や、警報車による巡回等による放流情報の提供方法などダム関係の説明に加えて、河川の避難判断水位やはん濫危険水位などの水位危険度レベルの説明を行いました。

 

○ また、下流の関係者には放流警報のチラシを配布(後日、小中学校、公民館に配布予定)して、警報時の注意喚起とサイレン等の理解をお願いしました。

 

○ 地元の中学校関係者からは、「警報所からのサイレンなどの通知内容がよく理解出来た」、「生徒の安全のため油断しないよう、これからも教員による目視などを心がけたい」、とのお話もありました。

 

○ 今月11日からの洪水期を控え、県都松山市等を抱える都市河川であることを十分に認識し、ダム管理には万全を期したいと考えております。

 

 

 

5.四万十川の支川後川でもマイヅルテンナンショウを発見  (渡川水系 高知県)

 

○ 四万十川では、本川の入田箇所において絶滅危惧U類に指定されているマイヅルテンナンショウの保護活動が進められていますが、今度は、四万十川の支川後川の田野川の河川敷でも発見されました。

 

○ そのため、6月6日(金)にマイヅルテンナンショウの会、地元の方、中村河川国道事務所の合同(約30名)により生息状況調査を行いました。

 

○ 調査の結果、個体数は53個体、その内開花株3個体が確認されました。

 

○ 地域の人たちの関心も高く、地域の皆さんと一体になって良好な河川環境とマイヅルテンナンショウの保全に努めていきます。

 

 

 

6.平成20年度 香川地区災害情報協議会を開催        (香川県)

 

○ 6月6日(金)に、四国技術事務所で「平成20年度 香川地区災害情報協議会の幹事会」を開催し、合わせて災害対策車の操作訓練及び高松気象台による「台風について」の講演も開催しました。

 

○ 幹事会には、香川地区の各事務所と自治体の防災担当者44名が参加し、幹事会終了後に、次のようなプログラムを実施し、防災技術力の向上を図りました。

    @高松気象台による講演「台風について」

    A災害対策車の操作訓練(無人バックホー、照明車)

       B四国技術事務所内に整備している施設を使用した、ユニバーサルデザイン歩行体験(ユニバーサルに設計・施工された歩道の体験コ                       ースを身障者の身になって体験し、ユニバーサルデザインのノウハウを学ぶ)及び、土木実習施設見学(設計・施工ミスを再現した構造物モデルを点検することにより、品質確保の啓発を図る)

 

○ 今回は、四国技術事務所が今年4月に四国地方整備局の「防災技術センター」として組織認知された事に伴い、香川地区の防災技術力の向上を図ることを目的に上記プログラムを追加したものです。

 

 

 

 

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  ■連絡先■  四国地方整備局 河川部  河川管理課 課長補佐  永原 隆

          760-8554高松市サンポート3番33号

          TEL 087-851-8061(代)マイクロ88-3753(永原) mailto:rivers-news@skr.mlit.go.jp

          FAX 087-811-8416(河川計画課)

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