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四国河川ニュース
《2/2(土)〜2/8(金)》332号
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【2008.2.12発行】
○四国・水こぼれ話談話室Vol.107○
○ 高知県 シバ谷川砂防えん堤における取り組み
災害を知らない次の世代のために〜堤銘板設置式と防災教室〜 高知県 防災砂防課 桜井 亘 課長
○ 〜美しいふるさとを残していくために〜 高知県 仁淀川町 藤崎 富士登 町長
○今週のニュース○
○ 四国地方整備局管内の渇水状況について(続報10) (四国地方整備局)
○ 南海地震を想定したロールプレイング危機管理演習を実施 (高知県)
○ 平成19年度四国地方ダム等管理フォローアップ委員会(課題検討会)を開催 (四国地方整備局)
○ 第2回鹿野川ダム水質検討会を開催 (肱川水系 愛媛県)
○ 津蔵渕水門耐震補強工事の地元見学会を実施 (渡川水系 高知県)
○ インターネットモニターの募集案内 (四国地方整備局)
四国・水こぼれ話談話室Vol.107
1.高知県 シバ谷川砂防えん堤における取り組み
災害を知らない次の世代のために〜堤銘板設置式と防災教室〜 (高知県 防災砂防課 桜井 亘 課長)
<シバ谷川砂防えん堤の概要>
○ シバ谷川は、高知市より西方約33km、吾川郡仁淀川町岩丸に位置し、一級河川仁淀川の支川となる土居川の支渓です。
○ 仁淀川町は、平成17年8月1日に吾川郡池川町、吾川村と高岡郡仁淀村の三町村が合併して誕生した新しい町で、本渓流は旧池川町中心部である土居地区の対岸に位置しています。
○ 本渓流直下流には岩丸住宅団地など人家密集地域があり、また、近隣に特別養護老人ホームやデイサービスセンターなどの災害時要援護者施設があることから、土砂災害が発生すれば、民生に多大な被害を与えるおそれがありました。そのため、これら人家や施設を保全することを目的に、平成15年度に事業を着手し、平成18年度に堤長45.0m、堤高12.0mの砂防えん堤が完成しました。
<過去の災害を忘れないために>
○ 仁淀川町(旧池川町)では、昭和50年に台風による豪雨で日雨量704mm、最大時間雨量98mmを観測し、同町狩山日浦地区では土石流によりほぼ全ての家屋が一瞬のうちに土砂に呑み込まれるなど未曾有の大災害が発生しました。また、町内を流れる土居川も増水により水位が上がり、町内の中 心部に濁流が流れ込む被害も発生しました。この災害による同町の被害は、死者1名、全壊家屋38戸、半壊家屋29戸、床上浸水99戸となっています。
○ この大災害も発生からすでに30年以上が経ち、地域から災害の記憶が薄れつつあります。そのため、大きな災害を経験していない子供たちに、自分たちの町で「昔、何が起こったのか」、また、土砂災害に関する知識について知ってもらうために「堤銘板設置式と防災教室」を実施しました。
<堤銘板設置式と防災教室>
○ 平成19年3月14日、仁淀川町立池川小学校3年生の児童と、校長先生や担任の先生を迎えて、「シバ谷川砂防ダム堤銘板設置式」を開催しました。 堤銘板の設置式に先立って行った「防災教室」では、シバ谷川砂防えん堤の大きさやそのはたらきについて説明を行い、また、過去の災害事例として「昭和50年災害」やこれらの土砂災害に備えるために「土砂災害の前ぶれ」や「避難の仕方」などについて学習してもらいました。
○ その後に、完成したシバ谷川砂防えん堤と、設置した堤銘板を見学し、堤銘板が設置された場所では、「この字は僕が書いたんだよ!」と自分が書いた字を指さし喜ぶ姿も見られました。約1時間程度の時間でしたが、子供たちにも地域を守る砂防事業の重要性を伝えることができました。
○ 災害を知らない次の世代にかつて経験した災害から得た「知識」や「教訓」を引き継いでいくために、学習の場を提供することが、これからの地域を守る次の担い手を育てることにつながっていくと考えています。
○ 最後に、用地を提供してくださった地権者の皆さまをはじめ、本事業の実施にあたりご協力いただいた地域の方々や工事関係者の方々に感謝するとともに、今回、堤銘板設置式に参加してくれた池川小学校3年生(当時)をはじめとする地域の子供たちの明るい笑顔がいつまでも続くことを願っています。
2.〜美しいふるさとを残していくために〜 高知県 仁淀川町 藤崎 富士登 町長
○ 高知県仁淀川町は、県都高知市から北西に約45km、高知市と松山市を結ぶ国道33号の中間点に位置する中山間地で、平成17年8月に地理的・歴史的にもつながりの深い3町村(旧吾川村・池川町・仁淀村)が合併して誕生した町です。
○ 北に四国の霊峰石鎚山系の筒上・手箱山といった1,800m級の山々を擁し、東西に清流仁淀川が流れる豊かな緑と水に恵まれた美しい山里です。
○ 産業は、町面積の89.4%を占める山林を活かした林業が主幹産業で、建材や木工品も多く生産されています。また、平均気温が15℃前後で降水量は2,500mmに達する温暖多雨な気候条件に合った製茶業が盛んで、県下一の茶産地としても知られています。
○ 見どころも多く、春には樹齢500年のひょうたん桜や200年を数えるしだれ桜が咲きほこり、夏には清流仁淀川でのキャンプや清流祭り・茶(さ)霧(ぎり)湖(こ)祭りといった夏祭りで賑わい、秋には安居渓谷・中津渓谷・岩屋川渓谷などの自然美を彩る紅葉が見事です。他にも土佐の3大祭りの一つとして知られる秋葉祭りや400年の歴史を持つ池川神楽・安居神楽・名野川磐門神楽などの伝統文化も受け継がれています。
○ しかし、このような山紫水明の静かな山里にも自然の傷跡は多く残っています。県下でも有数の多雨地帯である上に急峻な地形が災いし、梅雨時や台風シーズンには災害が後を絶ちません。中でも昭和50年8月に襲来した台風5号は最大時間雨量98mm、最大日雨量704mmという猛威をふるい、死者・行方不明者各1人・被災総額46億円にものぼる甚大な被害を被りました。
○ また、近年では手入れの行き届いていない荒廃した山林が土砂を流出させ災害を引き起こす原因ともなっており、災害の危険性が高くなるほど「砂防事業」の重要さを強く感じています。このような人為的な防災や災害復旧の手段としての「砂防事業」を今後も推進していくとともに、自然のダムとしての山林の役割が十分に果たせるように我々も力を尽くしながら、美しいふるさとを守っていかなければと思っています。
○ なお、標記内容の詳細は、次の四国地方整備局HPにおいても掲載していますので、ご覧下さい。またこのメールは、各市町村長様にもご担当より転送して下さいますよう、お願い致します。
http://www.skr.mlit.go.jp/kasen/topics/mizukobore/index.html
今週のニュース
3.四国地方整備局管内の渇水状況について(続報10) (四国地方整備局)
○ 四国地方は昨年の8月以降少雨傾向にあり、平成19年11月19日(月)に高知県の仁淀川が取水制限に入りました。その後もまとまった降雨がないため、自主節水を継続していた吉野川水系銅山川でも12月14日0時より取水制限が開始され、さらに鏡川も12月14日15時より取水制限が開始されました。
○ 四国地方整備局は、高知河川国道事務所・大渡ダム管理所の渇水対策支部設置(仁淀川の取水制限)、吉野川ダム統合管理事務所の渇水対策支部設置(吉野川水系銅山川の取水制限)を受けて、平成19年12月12日に渇水対策本部を設置しました。
○ 12月の下旬から平年値を超える降雨があり、各ダムの貯水率は徐々に回復し、仁淀川では、1月15日10時に取水制限が解除され、鏡川においても1月11日17時より取水制限が自主節水に緩和され、1月21日11時に自主節水が解除されました。
○ 四国地方整備局においても、心配されていた吉野川水系の各ダムの貯水率が回復傾向にあることから、2月5日(水)16時に、渇水対策本部を解散しました。
○ 2月12日(火)現在における四国地方整備局管内の渇水状況は以下の通りです。
○【吉野川水系銅山川】
・施設の状況(2月12日0時現在)
銅山川3ダム:貯水率57.2%(平年値72.2%)
・支部等の設置状況
吉野川ダム統合管理事務所渇水対策支部設置:12月12日16時〜
・取水制限の状況
一次取水制限:12月14日0時〜
工水20.0%
○ 吉野川水系銅山川では引き続き取水制限が行われています。日頃からの節水に御協力をお願いします。
○ なお、管内の主要河川における渇水状況の詳細については、下記のホームページをご覧ください。
http://www.skr.mlit.go.jp/kasen/damu/index.htm
4.南海地震を想定したロールプレイング方式による危機管理演習を実施 (高知県)
○ 南海地震に伴う大規模災害を想定した訓練を実践的に行うため、ロールプレイング方式による危機管理演習を、1月25日(金)に高知河川国道事務所において実施しました。
○ 今回の演習では、災害情報の迅速な収集・集約・伝達・共有を行い、応急対策優先度の判断とその決定を実施し、適宜、適切な広報活動を行うこと等を目的とし、河川、道路、海岸などで発生した様々な災害に対応を行うため、事務所の全職員が参加して行いました。
○ この訓練により、組織間の連携強化を図るとともに、既存の防災マニュアル、体制等の検討、見直しを行い、高知河川国道事務所の防災対処能力の向上を図っていきます。
5.平成19年度四国地方ダム等管理フォローアップ委員会(課題検討会)を開催 (四国地方整備局)
○ 2月5日(火)に、高松市内において平成19年度四国地方ダム等管理フォローアップ委員会(委員長:三井宏徳島大学名誉教授)の『課題検討会』を開催しました。
○ 「ダム等管理フォローアップ制度」は、公共事業の効率性並びにその実施過程の透明性の向上を図る観点から、国土交通省と(独)水資源機構が管理しているダム及び河口堰の洪水調節・利水補給の実績や、環境への影響を客観的、科学的に調査・分析・評価を実施し、その内容を『定期報告書』として取りまとめたものを委員会でご審議いただき、今後の適切な管理に活かしていくと共に、必要に応じて改善措置を講じることを目的に実施しています。
○ 今回開催した『課題検討会』は3月10日に開催を予定している「本委員会」に先だって行われる中間報告的な会議で、『定期報告書』のとりまとめ方(分析方法、評価方法)についてご意見等を頂くもので、今年度の審議対象ダムは、国土交通省の管理ダムが「大渡ダム」で、(独)水資源機構の管理ダムが「池田ダム」です。
○ 課題検討会は、3つの部会(生物課題検討会、ダム管理課題検討会、水質課題検討会)に分けて行い、昨年11月に実施した両ダムの「現地検討会」での意見・質問等に対する回答や定期報告書への反映方針についてご確認いただいた後に、部会毎に両ダムの『定期報告書(案)』の説明を行い、ご審議いただきました。
■生物課題検討会(出席委員)
三井 宏 委員長 (徳島大学 名誉教授)
澤田 佳長 委員 (野生生物環境研究センター所長)
中山 紘一 委員 (高知昆虫研究会会長)
松井 宏光 委員 (松山東雲短期大学教授)
■ダム管理課題検討会、水質課題検討会(出席委員)
三井 宏 委員長 (徳島大学 名誉教授)
今井 嘉彦 委員 (高知大学 名誉教授)
村上 仁士 委員 (徳島大学 名誉教授)
○ 今後は「本委員会」に向けて、今回の各課題検討会で頂いた意見、助言を基に、『定期報告書』の取りまとめを行っていきます。
6.第2回鹿野川ダム水質検討会を開催 (肱川水系 愛媛県)
○ 山鳥坂ダム工事事務所では、鹿野川ダム貯水池やダム下流河川の水質改善のために、貯水池内及び流入河川における対策について助言を頂くことを目的として「鹿野川ダム水質検討会」を設置しています。この度、2月5日(火)に第2回鹿野川ダム水質検討会を大洲市(肱川町内)で開催しました。
○ まず、事務所より肱川の水質の現状や、水質改善策として効果が期待される「密度流拡散装置」の実験実施結果について報告しました。その後、貯水池内での実施事例として、愛媛県より環境省の環境技術実証モデル事業の結果を、野村ダム管理所より野村ダムの水質改善対策及びその効果を発表して頂きました。
○ また、流域での実施事例として、大洲市より肱川流域清流保全推進協議会の取り組みについて、大洲河川国道事務所より肱川流域の水質浄化の取り組みについて説明して頂きました。
○ さらに、中野委員(愛媛大学教授)から、アオコの生態や、アオコによるpH値の上昇、ダム下流河川での生息率等について、情報提供して頂きました。
○ 終始、活発な意見交換が行われ、今後の水質改善対策の方向性について議論して頂きました。
7.津蔵渕水門耐震補強工事の地元見学会を実施 (渡川水系 高知県)
○ 中村河川国道事務所では、南海地震などの大規模地震災害に備えて、四万十川右岸河口部に位置する津蔵渕水門で、河川構造物としては四国で初めてとなる耐震補強工事を行っています。今回、この耐震補強工事の工事概要や進捗状況についての地元説明会を2月6日(水)に開催し、地域住民約40名が参加しました。
○ 見学会では、昭和21年12月21日に発生した昭和南海地震やその地震による津波の被害を記録した映画を鑑賞した後、地震・津波が起こる仕組みや現在の水門で地震が起き津波が発生した場合の被害予測・耐震補強工事の考え方などを説明し、南海地震など大規模地震災害への備えを呼びかけました。
○ その後、工事現場へ移動して、工事の工法や工事の進捗状況の説明を行いました。地域住民からは、「近いうちに大きな地震が来ると言われているが、この様な耐震工事が行われることは、住民の意識向上にも繋がる。大変感謝している。」、「完成後の点検を怠らず、実際に必要な時にきちんと作動するように維持・管理にも努めてもらいたい」などの意見が出されました。
8.インターネットモニターの募集案内 (四国地方整備局)
○ ただいま、国土交通省ではインターネットモニターを募集しています。
○ このモニター制度は、インターネットを利用して、国民の皆様のご意見・ご要望などをお聴きし、今後の国土交通行政の施策展開の参考とすることを目的とするものです。
○ モニターになった方には、回答回数に応じて謝礼金もございます。
○ 国土交通省の施策に興味がある、意見を述べてみたいなど、ぜひ、多くの皆さんのご応募をお待ちしております。
○ 募集期間は、2月28日までです。
詳しくは、下記のホームページをご覧ください。
https://www.monitor.mlit.go.jp/
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