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四国河川ニュース

1/12(土)〜1/18(金)》329号

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                                                             【2008.1.21発行】

 

 

                          ○四国・水こぼれ話談話室Vol.104○

 

   ○ 安田川の現状                   高知県 馬路村 上治 堂司 村長

 

 

                                    ○今週のニュース○

 

   ○ 四国地方整備局管内の渇水状況について(続報7)        (四国地方整備局)

 

   ○ 四国河川技術伝承会(徳島河川国道事務所)を開催      (吉野川水系 徳島県)

 

   ○ 土器川水系雨量観測所総括点検の実施             (土器川水系 香川県)

 

 

 

四国・水こぼれ話談話室Vol.104

 

1.安田川の現状             (高知県 馬路村 上治 堂司 村長)

 

○ 「昔のアユはもっと大きかったぞ!」と自慢げに語っていた父親達の時代とは異なり、この夏は「どうでぇ?」「いかん。おらん!」というのがアユ漁師達の挨拶でした。アユ漁師達に、安田川の変化について聞くと「アユやウナギがおらんなった」「深い淵がなくなった」「エビやツガニを見んなった」等、昔の安田川とは違った一面を口にします。

 

○ 安田川では、毎年相当量のアユを放流してきましたが、アユの漁獲高は年々減少傾向にあります。そこで安田川漁協では、ずいぶん前から冷水病になりやすい湖産の稚魚の放流をやめ、人工ふ化や海産のアユに切り替えるなど、対策を試行錯誤してきました。しかし放せどもアユは増えず、年々増える放流量に反比例して、漁獲高は減少しているように感じます。これは、家庭における合成洗剤の利用をはじめとする生活排水や、森林伐採・農薬の使用による河川の汚染等様々な要因によるものと考えられます。

 

○ 安田川の本当の姿を知り、私達に何ができるかを探るため、馬路村では平成19年7月27日に、専門の調査会社に依頼し、安田川の生態調査を行いました。その結果、「県内の同様河川と比べて魚類の生息量が少ない」との結論でした。その原因としては、山林などの崩壊による土砂の流入により、淵が埋まり魚の休み場が極端に少ないということでした。

 

○ その様な現状を改善すべく平成19年8月24日には、安田川の水量や水質および水産資源(アユやアメゴなど)の保護ならびに、河川の浄化と河川環境の保全を推進していくことを目的とし、安田川水系資源保護推進協議会が開催されました。この協議会は、安田町と馬路村の行政や関係者で組織しており、ここでは、女性の有志による環境に配慮した洗剤重曹の試験使用結果の報告や、最近注目されつつある「近自然工法」の活用等について話し合われました。「近自然工法」とは、従来の護岸工事と異なり、生態への配慮がされた動植物の生息・生育空間を保全しつつ、安全を確保するための柳などの植物を植えた土手や石積みによる水制などを活用する工法です。

 

○ 楽しいけれど、少しでも油断すれば危険な目に遭遇する川。いくら慣れていても、川は私達の予想を超えるものです。釣り人が集い、川辺で子供達が楽しく遊ぶ姿が戻ることにより、より馬路村らしい姿になると思われます。感覚や感性を育ててくれるこの環境を守るため、私達にできることをみんなで真剣に取り組んでみたいと思います。河川の延長が短く、流域に住む住民も限られているこの川は、取り組みをしっかり推進すれば必ず、水産資源や自然が豊かな川として次世代に送ることができるはずだと決意を新たにしています。

 

 

○ なお、標記内容の詳細は、次の四国地方整備局HPにおいても掲載していますので、ご覧下さい。またこのメールは、各市町村長様にもご担当より転送して下さいますよう、お願い致します。

 

    http://www.skr.mlit.go.jp/kasen/topics/mizukobore/index.html

 

 

 

 

今週のニュース

 

2.四国地方整備局管内の渇水状況について(続報7)  (四国地方整備局)

 

○ 四国地方は昨年の8月以降少雨傾向にあり、平成19年11月19日(月)に高知県の仁淀川が取水制限に入りました。その後もまとまった降雨がないため、自主節水を継続していた吉野川水系銅山川でも12月14日0時より取水制限が開始され、さらに鏡川も12月14日15時より取水制限が開始されました。

 

○ 四国地方整備局は、高知河川国道事務所・大渡ダム管理所の渇水対策支部設置(仁淀川の取水制限)、吉野川ダム統合管理事務所の渇水対策支部設置(吉野川水系銅山川の取水制限)を受けて、平成19年12月12日に渇水対策本部を設置しました。

 

○ 12月の下旬から平年値を超える降雨があり、各ダムの貯水率は若干回復しており、仁淀川では1月8日21時より取水制限の緩和が行われ、1月15日10時に取水制限が解除されました。

  また、鏡川においても1月11日17時より取水制限が自主節水に緩和されています。

  平成20年1月21日(月)現在における四国地方整備局管内の渇水状況は以下の通りです。

 

○【吉野川水系銅山川】

   ・施設の状況(1月21日0時現在)

      銅山川3ダム:貯水率62.0%(平年値79.1%)

   ・支部等の設置状況

      吉野川ダム統合管理事務所渇水対策支部設置:12月12日16時〜

   ・取水制限の状況

      一次取水制限:12月14日0時〜

         工水20.0%

 

 

○ 吉野川水系銅山川では引き続き取水制限が行われており、吉野川水系吉野川、鏡川水系鏡川の2河川で自主節水が実施されており、その他の河川でも、平年よりも厳しい状況にある河川があります。今後の気象状況によっては、さらに取水制限が開始される地域も予想されますので、日頃からの節水に御協力をお願いします。

 

○ なお、管内の主要河川における渇水状況の詳細については、下記のホームページをご覧ください。

 

    http://www.skr.mlit.go.jp/kasen/damu/index.htm

 

 

 

3.四国河川技術伝承会(徳島河川国道事務所)を開催  (吉野川水系 徳島県)

 

○ 1月17日(木)に徳島河川国道事務所において、河川技術の継承と向上を図り、質の高い河川の管理、整備の一助とすることを目的に、国土交通省を退職された6名(吉野川経験者の方々のうち今回は、公文洽夫氏、高倉謙治氏、武市寛氏、浜元勝美氏、亀山忠氏、藤本久雄氏)の先輩諸兄の方々に依頼し、「四国河川技術伝承会」を開催しました。

 

○ 会議では、まず事務所より、「吉野川の概要、吉野川河川維持管理計画の策定」について説明しました。

 

○ 続いて各伝承者の皆様から、以下のご講演をいただき、

    @ 亀山 忠 氏  流量観測について

    A 高倉謙治 氏  各地区の河川改修促進について

    B 武市 寛 氏  維持管理(主として砂利採取)について

    C 公文洽夫 氏  河川管理のありかたについて

    D 浜元勝美 氏  六水会の伝承取組みについて

    E 藤本久雄 氏  はん濫注意水位(警戒水位)等の変更について

 各講演ごとに、現職の技術職員との意見交換を行いました。

 

○ 「伝承会」では、伝承者の方々から貴重な技術をいただくことができました。この紙面をお借りしまして厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。

 

○ 本会は、長年培われてきた河川に関わる技術を、次世代に伝承・継承することにより、新たな技術と相まって、安全で安心の出来る社会資本の整備に活かすことにも繋がり、さらには、我々自身が伝承者となり、吉野川の未来を築くことにもなることから、今後も開催していきたいと考えています。

 

 

 

4.土器川水系雨量観測所総括点検の実施   (土器川水系 香川県)

 

○ 1月18日(金)土器川水系の炭所、川奥雨量観測所において、河川局に設けられた「水文観測検討会」の活動の一環として、水文観測の現状を把握し、現場が直面している問題の解決と水文観測の精度向上等を目的として総点検が行われました。

 

○ 指導、点検にあたって頂いたのは、「水文観測検討会」の委員であります財団法人河川情報センターの木下研究顧問と中尾理事のお二人です。水文データはおろそかにできない性質のものであることから、整備局からは小池河川部長を始め河川部の職員、また、土器川を所管する香川河川国道事務所等から総勢25名が参加いたしました。

 

○ まず、木下研究顧問から雨量観測の基礎知識、観測の心得、保守点検の流れなど、次に中尾理事から水文観測所点検の着眼点と進め方などの丁寧な説明が行われました。その後、雨量観測所の保守点検が行われ、総評及び意見交換が行われました。雨量計の注水試験では問題はないものの、局舎屋上に設置している雨量計の設置箇所の変更など当該観測所の指摘事項、今後の改善提案などの貴重な意見を頂きました。

 

○ 水文観測データは、河川を計画する事も含め、河川管理を行う上で重要な基礎となるデータであるということの認識を深め、今後も引き続き水文観測の精度向上のため努力をしていきたいと考えています。

 

 

 

 

 「四国河川ニュース」に関するご意見、ご要望や四国の河川についての資料の要求、また河川に関するニュースなどがありましたら、以下までご連絡をお願いいたします。

 

  ■連絡先■  四国地方整備局 河川部  河川管理課 課長補佐  永原 隆

          〒760-8554高松市サンポート3番33号

          TEL 087-851-8061(代)マイクロ88-3753(永原) mailto:rivers-news@skr.mlit.go.jp

          FAX 087-811-8416(河川計画課)

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       四国地方整備局 ホームページURL(河川)

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         四国地方整備局 ホームページURL(四国河川ニュース)

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