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四国河川ニュース

12/15(土)〜12/21(金)》326号

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                          ○四国・水こぼれ話談話室Vol.101○

 

   ○ 徳島県 飯尾川総合内水対策緊急事業         徳島県 河川課 石井良直 課長

     (国の新規施策の事業採択により平成18年度着手)

 

   ○ 完成をまちわびる飯尾川の河川整備          徳島県 徳島市 原 秀樹 市長

 

 

                                    ○今週のニュース○

 

   ○ 四国地方整備局管内の渇水状況について(続報4)        (四国地方整備局)

 

   ○ 水理模型実験施設の水槽を利用した排水ポンプ車の改善実験を実施  (四国地方整備局)

 

   ○ ”仁淀川の技術を引き継ぐ”河川技術伝承会を開催      (仁淀川水系 高知県)

 

 

 

 

四国・水こぼれ話談話室Vol.101

 

1.徳島県 飯尾川総合内水対策緊急事業   (徳島県 河川課長 石井良直 課長)

  (国の新規施策の事業採択により平成18年度着手)

 

<事業の概要>

 

○ 飯尾川は、吉野川とほぼ並行に流れ、河床勾配は非常に緩やかで、流路のほとんどが低平地を緩流しています。(流路延長約26km、流域面積約70km2)

 

○ そのため、吉野川の水位の影響によって飯尾川の洪水が排水されず、これまでにも住宅地や道路の浸水を何度も繰り返してきた、県内最大の内水河川です。

 

○ 特に平成16年の台風23号では、吉野川本川が警戒水位を大幅に超え、飯尾川流域において1千戸を越える家屋浸水被害が発生しました。

 

○ このため、河道改修及び排水対策施設の整備等のハード対策及び流域における被害軽減等を図るソフト対策により、効率的かつ効果的な内水対策を実施する「総合内水対策緊急事業」の事業採択を受けました。

 

○ 今後とも、直轄施行の角ノ瀬排水機場と一体となって、緊急かつ集中的に改修を進めることにより、飯尾川流域の浸水被害の軽減に努めて参ります。       

 

  ○施行箇所       徳島市国府町〜名西郡石井町

  ○施行期間       平成18年度〜平成22年度

  ○施行内容       施行延長 L=1.2km

              樋門改築、橋梁改築、河道掘削、護岸整備等

 

 

 

2.完成をまちわびる飯尾川の河川整備    (徳島県 徳島市 原 秀樹 市長)

 

○ 徳島市は、四国東部に位置し、四国三郎「吉野川」の沖積平野に発達した温暖な気候で、水と緑に囲まれた自然環境豊かな人口26万余りの中核的都市です。産業をはじめ政治、経済、文化、教育、情報といったさまざまな面において高い集積があります。

 

○ 市内には、138の中小河川が縦横に流れ清らかで豊かな水と、優美な眉山の緑は、住む人々に安らぎを与え、訪れる人をいやします。また、今年、徳島のシンボルである眉山を題材とした、さだまさし原作「眉山」が、松島菜々子、大沢たかお主演の映画として全国に上映され話題にもなりました。

 

○ 徳島市は、地形的な背景もあって、豊かな水はひとたび台風や豪雨ともなると様相が一変し、市民に脅威を与えています。特に郊外の西部にある飯尾 川は、昭和34年から中小河川改修事業として、河川整備が進められているところでありますが、この間にも昭和50年8月の台風6号や翌昭和51年8月の台風17号、また平成16年10月の台風23号といった浸水家屋が一千戸を越える甚大な浸水被害が発生し、また、幹線道路も冠水するなどして交通不能になり、流域住民の水害に対する不安は未だ解消されていない状況にあります。

 

○ 当該地は、徳島市の都市近郊農業地帯として、ホーレン草、小松菜等そ菜園芸、花き園芸が盛んに行われ、阪神市場に出荷して高い評価を得ておりますが、吉野川に堤防ができる大正期に入るまで毎年のように氾濫し洪水被害 が発生していました。

 

○ その反面、出水のたびに肥えた土が上流から運ばれ、この地を優良な農耕地に育ててきました。古老の話では「洪水の出た翌年は肥料がなくてもよく とれた」ということのようであります。このことによって藩政時代から藍作地帯として藍が栽培されましたが、明治30年頃から人造藍輸入で急速に衰え、その後、桑園となり養蚕の全盛期には、大正末期で水田までが桑園となりましたが人絹の発明など時代の変革で次第に衰退していきました。これに代わって花き園芸、そ菜栽培、酪農等が取り入れられ農業形態が多様化して現在に至っております。

 

○ それと並行して近年では、当該地域にも幹線道路の整備と共に宅地化が進み、交通便利な市街地へと変わりつつあることから、浸水対策は、焦眉の急を要する課題であります。

 

○ そこで、流域住民の悲願として、かねて要望していた国直轄事業である角ノ瀬排水機場の新設及び県の総合内水対策緊急事業が着手され、事業も順調に進んでおり感謝しているところであります。

 

○ 一方で、本市においても、流域の無秩序な開発を防止することにより浸水被害の軽減を図るべく、流域内の市・町と県及び国と連携し、水害パネル展やソフト対策会議を開催するなどソフト面での取り組みに尽力して、水害に強いまちづくりを推進しておりますので、関係各位のさらなるご尽力ご協力を賜りますようお願い致します。

 

 

○ なお、標記内容の詳細は、次の四国地方整備局HPにおいても掲載していますので、ご覧下さい。またこのメールは、各市町村長様にもご担当より転送して下さいますよう、お願い致します。

 

    http://www.skr.mlit.go.jp/kasen/topics/mizukobore/index.html

 

 

 

 

今週のニュース

 

3.四国地方整備局管内の渇水状況について(続報4)  (四国地方整備局)

 

○ 四国地方は8月以降少雨傾向にあり、平成19年11月19日(月)に高知県の仁淀川が取水制限に入りました。その後もまとまった降雨がないため、自主節水を継続していた吉野川水系銅山川でも12月14日0時より取水制限が開始され、さらに鏡川も12月14日15時より取水制限が開始されました。

 

○ 四国地方整備局は、高知河川国道事務所・大渡ダム管理所の渇水対策支部 設置(仁淀川の取水制限)、吉野川ダム統合管理事務所の渇水対策支部設置(吉野川水系銅山川の取水制限)を受けて、12月12日に渇水対策本部を設置しました。12月25日(火)現在における四国地方整備局管内の渇水状況は以下の通りです。

 

○【仁淀川水系仁淀川】

   ・施設の状況(12月25日0時現在)

      大渡ダム:貯水率33.1%(平年値75.7%)

   ・支部等の設置状況

      高知河川国道事務所渇水対策支部設置:11月19日12時〜

      大渡ダム管理所渇水対策支部設置  :11月19日12時〜

   ・取水制限の状況

      一次取水制限:11月19日12時〜

         農水35%、上水30%

      二次取水制限:11月26日17時〜

         農水50%、上水40%

 

○【吉野川水系銅山川】

   ・施設の状況(12月25日0時現在)

      銅山川3ダム:貯水率61.3%(平年値77.5%)

   ・支部等の設置状況

      吉野川ダム統合管理事務所渇水対策支部設置:12月12日16時〜

   ・取水制限の状況

      一次取水制限:12月14日0時〜

         工水20.0%

 

○【鏡川水系鏡川】

   ・施設の状況(12月25日0時現在)

      鏡川ダム:貯水率56.0%(平年値77.1%)

   ・支部等の設置状況

      未設置

   ・取水制限の状況

      一次取水制限:12月14日15時〜

         農水28.8%、上水40.0%、工水79.7%

 

○ 仁淀川水系、吉野川水系銅山川、鏡川水系の3河川以外でも、平年よりも厳しい状況にある河川があります。今後の気象状況によっては、さらに取水制限が開始される地域も予想されますので、日頃からの節水に御協力をお願いします。

 

○ なお、管内の主要河川における渇水状況の詳細については、下記のホームページをご覧ください。

 

    http://www.skr.mlit.go.jp/kasen/damu/index.htm

 

 

 

4.水理模型実験施設の水槽を利用した排水ポンプ車の改善実験を実施  (四国地方整備局)

 

○ 四国技術事務所では、水深の浅い浸水箇所でも排水可能な排水ポンプ車の改善検討を行っています。

 

○ 現状の排水ポンプ車は、水位が1.2m位の水深でないと運転が困難でした。そのため、平成16年発生台風16号の高松地区での高潮による浸水被害時には、道路を掘削して水深を確保して、排水活動を行いました。

 

○ そこで、既存の排水ポンプ車が低水深で運転可能となる改善検討を今年度より行っており、12月12日(水)に、低水位でも排水可能な改善対策部品を装着して、実稼働試験を行ないました。なお、試験場所は四国技術事務所の構内に設置している、水理模型実験用水槽を使用しました。

 

○ 試験の結果、改善対策部品を設置すると、排水可能水位が0.5mまで低減し、現況に比べ半分以下の水深でも排水可能が確認されました。

 

○ 今後は、試験結果を踏まえ、より低水位化を目指した改善検討を行い、多様化する被災箇所に対応可能な排水ポンプ車を目指して機能向上を図りたいと考えています。

 

 

 

5.”仁淀川の技術を引き継ぐ”河川技術伝承会を開催  (仁淀川水系 高知県)

 

○ 仁淀川は古くから様々な改修事業や維持管理が行われ、現在の“形”となっています。しかしながら、現在の“形”となった経緯というのは、現在職場で働いている職員が全て理解している訳でなく、逆に知らない職員の方が多いのが現状です。今の河川の“形”を次の“形”とするため、また適正な維持管理を行うためには、仁淀川の過去や経緯に立ち返り、工事や管理の知恵や工夫を知ることが必要であり、過去に仁淀川の事業に携わった諸先輩方を伝承者として話を聞き、仁淀川の技術を引き継ぐ『仁淀川河川技術伝承会』を12月18日(火)に開催しました。

 

○ 河川技術伝承会とは、過去から積み重ねられ、磨き上げられてきた河川改修や河川管理における、当該河川特有の『経験工学』を先人(伝承者)から 引き継いでいくもので、これにより河川技術の継承と向上、若手職員の育成に寄与し、質の高い河川の管理や施設の新設・改築等整備に活かすものとして開催されています。

 

○ 今回の伝承者は、過去に当高知河川国道事務所で副所長や課長等として、第一線でご尽力・ご活躍された7名の先輩方であり、当事務所で経験された苦労話や、施工時の問題に対する解決方法、事業立ち上げや施設の設置経緯、事業に際して地域住民の方と約束した内容、維持管理に対する提言などを詳しくお聞きしました。

 

○ 特に、昭和50年、51年に発生した大洪水を契機とし、本事務所全体を上げての大事業であった激特災害事業(日下川、宇治川、波介川)での苦労話は大変興味深く、放水路トンネルや、大規模な水門、軟弱地盤対策など、難しい施工を強いられた事業であるとともに、完成図では表されていない施工方法の技術を学びました。

 

○ 本会は、今後も引き続き河川技術の向上・適正な維持管理の実施のため、さらには我々が伝承者となり、仁淀川の未来を築くためにも開催をしていきたいと考えています。

 

 

 

 

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  ■連絡先■  四国地方整備局 河川部  河川管理課 課長補佐  永原 隆

          〒760-8554高松市サンポート3番33号

          TEL 087-851-8061(代)マイクロ88-3753(永原) mailto:rivers-news@skr.mlit.go.jp

          FAX 087-811-8416(河川計画課)

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       四国地方整備局 ホームページURL(河川)

           http://www.skr.mlit.go.jp/kasen/index.html

         四国地方整備局 ホームページURL(四国河川ニュース)

               http://www.skr.mlit.go.jp/kasen/topics/news/news.html