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四国河川ニュース

12/8(土)〜12/14(金)》325号

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                          ○四国・水こぼれ話談話室Vol.100○

 

   ○ 次代に残したい第十堰伝説             徳島県 上板町 松尾 國玄 町長

 

 

                                    ○今週のニュース○

 

   ○ 四国地方整備局管内の渇水状況について(続報3)        (四国地方整備局)

 

   ○ 第五回 四国河川技術伝承会「大洲河川国道事務所」を開催   (肱川水系 愛媛県)

 

   ○ 平成19年度 河川構造物研修を実施              (四国地方整備局)

 

   ○ 仁淀川河口のシラスウナギ作業小屋のその後の状況      (仁淀川水系 高知県)

 

   ○ 第2回 吉野川現地(フィールド)講座を開催        (吉野川水系 徳島県)

 

   ○ 平成19年度 河川環境研修を実施               (四国地方整備局)

 

   ○ 「第1回 重信川流域市町長の意見を聴く会」を開催     (重信川水系 愛媛県)

 

   ○ 「石手川ダムで流木配布」を実施中             (重信川水系 愛媛県)

 

 

 

 

四国・水こぼれ話談話室Vol.100

 

1.次代に残したい第十堰伝説       (徳島県 上板町 松尾 國玄 町長)

 

○ 上板町は、阿讃山脈を背に南は清流「吉野川」に面し、水と緑豊かな自然環境の中にあり、この美しく豊かな自然は、町民の生活に潤いと安らぎを与えています。藩政期の宝暦2年、本流での農業用水を確保するために築造された「第十の堰」は、今も吉野川北岸一体の水田を潤し、また、優れた自然環境が残された憩いの場として人々に親しまれています。その吉野川の第十堰について言い伝えられていることを述べてみたいと思います。

 

○ 吉野川の流れは、今から約300年前には、第十堰付近から下流は、別宮(べっく)川という名の川幅約80mほどの運河でした。その当時の本流は、今の第十堰から、今切川と二つに分かれて海に注いでいる旧吉野川だったのです。それを三代藩主の蜂須賀忠英が、寛永2年(1625年)に、徳島城下と山分地方の水運をはかるために、名西郡第十村付近から吉野川の水を引いて運河を造ったところが、出水のたびに岸を崩していって、いつの間にか別宮川が本流になってしまいました。こうなると旧本流や今切川の水で灌漑している村々の農民は、全く困ってしまいました。水田は毎年のように干害に悩まされ、そのうえ海の水が逆流して収穫はなく、年貢米も納められなくなって、夜逃げする農民も多くなってしまうという始末だったようです。

 

○ こうして宝暦2年(1752年)に、下流の大松村の庄屋丹右衛門をはじめ、39か村の庄屋が中心になって、藩に願い出て第十村で水をせき止めて、水を本流へ流す大工事にとりかかったのです。しかし激しい水の勢いで、工事は始めから困難をきわめました。それでも村人たちはひるまず、私財と労力を費やして水をせき止めることに成功したのでした。ついに人々の努力が自然の力を征服したのです。その時の村人たちの喜びは、とても今の私たちには想像もできないものであったと想像されます。

 

○ 堰は、南岸の名西郡石井町藍畑から、北岸の板野郡上板町まで築かれ、ゴーゴーと音を立てて滝のように流れ、白布を広げたような水しぶきは、ほんとうに壮観であり、両岸の村々の平和と豊作とを祝福しているかのようでもありました。

 

 

○ なお、標記内容の詳細は、次の四国地方整備局HPにおいても掲載していますので、ご覧下さい。またこのメールは、各市町村長様にもご担当より転送して下さいますよう、お願い致します。

 

    http://www.skr.mlit.go.jp/kasen/topics/mizukobore/index.html

 

 

 

 

今週のニュース

 

2.四国地方整備局管内の渇水状況について(続報3)  (四国地方整備局)

 

○ 四国地方は8月以降少雨傾向にあり、平成19年11月19日(月)に高知県の仁淀川が渇水調整に入っています。その後もまとまった降雨がないため、自主節水を継続していた吉野川水系銅山川でも12月14日0時より取水制限が開始されました。

 

○ 吉野川水系銅山川の取水制限開始決定を受けて、12月12日に吉野川ダム統合管理事務所に渇水対策支部が設置され、それを受けて同日、四国地方整備局に渇水対策本部を設置しました。12月17日(月)現在における四国地方整備局管内の渇水状況は以下の通りです。

 

○【仁淀川水系仁淀川】

   ・施設の状況(12月17日0時現在)

      大渡ダム:貯水率29.3%(平年値75.5%)

   ・支部等の設置状況

      高知河川国道事務所渇水対策支部設置:11月19日12時〜

      大渡ダム管理所渇水対策支部設置  :11月19日12時〜

   ・取水制限の状況

      一次取水制限:11月19日12時〜

         農水35%、上水30%

      二次取水制限:11月26日17時〜

         農水50%、上水40%

 

○【吉野川水系銅山川】

   ・施設の状況(12月17日0時現在)

      銅山川3ダム:貯水率60.5%(平年値77.3%)

   ・支部等の設置状況

      吉野川ダム統合管理事務所渇水対策支部設置:12月12日16時〜

   ・取水制限の状況

      一次取水制限:12月14日0時〜

         工水20.0%

 

○【鏡川水系鏡川】

   ・施設の状況(12月17日0時現在)

      鏡川ダム:貯水率54.3%(平年値76.8%)

   ・支部等の設置状況

      未設置

   ・取水制限の状況

      一次取水制限:12月14日15時〜

         農水28.8%、上水40.0%、工水79.7%

 

○ 仁淀川水系、吉野川水系銅山川、鏡川水系の3河川以外でも、平年よりも厳しい状況にある河川があります。今後の気象状況によっては、さらに取水制限が開始される地域も予想されますので、日頃からの節水に御協力をお願いします。

 

○ なお、管内の主要河川における渇水状況の詳細については、下記のホームページをご覧ください。

 

    http://www.skr.mlit.go.jp/kasen/damu/index.htm

 

 

 

3.第五回 四国河川技術伝承会「大洲河川国道事務所」を開催  (肱川水系  愛媛県)

 

○ 平成19年11月29日(木)に、大洲河川国道事務所において河川技術の継承と向上を図り、質の高い河川の管理、整備の一助とすることを目的に、国土交通省を退職された6名の先輩諸兄の方々に依頼し、「第五回 四国河川技術伝承会」を開催しました。

 

○ 今回の伝承者は、

    藤原 喜啓 氏 

    毛利 元強 氏

   曽我 正富 氏

   亀山 忠  氏

   岡田 周三 

   川田 通   

 の六名で、肱川(大洲)経験者の方々です。

 

○ 会議では、まず、伝承者の方々の自己紹介のあと、赤松副所長や各担当課長より、「肱川の概要」、「河川整備基本方針と河川整備計画」、「河川維持管理計画」について説明し、それに対して伝承者の方々から意見を伺いました。

 

○ 続いて各伝承者の皆様から、次ぎのご講演をいただき、

   @藤原喜啓 河川改修について

      A毛利元強 肱川の河川工事について

      B曽我正富  肱川の河川管理について

   C亀山忠  肱川の流量観測について

      D岡田周三 肱川の激特事業について

 各講演ごとに、現職の技術職員と意見交換を行いました。

 

○ そのあと、肱川の現地に移動し、河道を草木の少ない河原に返すための間伐や伐採、土砂掘削水路の施工や、竹林の進入を防ぐ施設の施工状況等について沖本肱川出張所長から説明を行い、伝承者の方々からご意見を伺いました。

 

○ 「第5回 四国河川技術伝承会」では、伝承者の方々から会議、現地において、貴重なご意見をいただくことができました。これらのご意見をこれからの「肱川の整備事業」、「維持管理」に役立てていきたいと考えています。

 

 

 

4.平成19年度 河川構造物研修を実施        (四国地方整備局)

 

○ 四国地方整備局では12月3日(月)より5日間にわたり、四国技術事務所において河川構造物研修を実施しました。

 

○ 本研修の目的は、河川構造物設計や多自然川づくりにおける最新の考え方や専門知識を実践的な講義により身につけてもらうことです。具体的には、講話、災害復旧、多自然川づくり、設計実習、河川堤防・護岸設計、耐震設計などを実務重視の現場学習と、最新の設計理論をトップレベルの講師により学習できるようカリキュラムを組みました。

 

○ 四国地方整備局河川部長の講話では河川技術者として、発注者として、河川管理者としての心構えを学び、実習では災害申請の留意事項や多自然川づくり、また、設計実習のための現地調査を自ら実施し、最新の護岸設計や堤防設計法講義内容を生かした設計実務を行い、その成果について意見交換を実施し、技術力の向上を図っていただきました。

 

○ 本研修には、聴講生として地方自治体の技師7名の方々にも参加していただきました。

 

○ 本研修で得た経験や知識を、受講生各位が今後の業務に役立てていただくとともに、更なる土木技術の研鑽に努められることを願っています。

 

 

 

5.仁淀川河口のシラスウナギ作業小屋のその後の状況  (仁淀川水系 高知県)

 

○ 仁淀川河口のシラスウナギ作業小屋の設置撤去のルール化について11月16日に採補者らを代表する集荷人と協定を締結しましたが、その後の状況について報告します。

 

○ 12月1日からシラスウナギの漁期に入りましたが、渇水のため漁獲量は例年より少ないようです。(採補者談)

 

○ 12月3日(月)に第1回パトロールを、高知河川国道事務所河川管理課、仁淀川出張所と高知県の土木事務所が合同で行い、標札掲示状況の確認と全数を把握しました。その結果、全数71棟の内、掲示有りは43棟で全体の61%はルールを守っています。

 

○ 12月10日(月)に、第2回パトロールを実施し、その結果、小屋は110棟に増えていました。うち、76棟は掲示有りで、69%は協定を守っており、ルール遵守率は前回より向上しています。

 

○ 12月14日(金)に、仁淀川河口にて集荷人の方全員と打合せを行い、標札の掲示の徹底をお願いしました。その後、標札の掲示状況を合同で確認 しました。

 

○ 12月17日(月)に、第3回目のパトロールを実施する予定です。

 

 

 

6.第2回 吉野川現地(フィールド)講座を開催  (吉野川水系 徳島県)

 

○ 平成19年12月9日(日)に、西条大橋左岸砂州において、吉野川の自然環境を学んでいただきながら川への関心を高めてもらう目的で第2回「吉野川現地(フィールド)講座」(吉野川の自然観察会)を国土交通省、徳島県の共催で開催しました。

 

○ 今回のフィールド講座には16名の参加があり、吉野川河川・渓流環境アドバイザーの森本 康滋 徳島県自然保護協会会長に指導員として御協力頂きました。

 

○ 吉野川の自然環境の問題点や本来の姿であるレキ河原に戻す事業等について説明させて頂いた後、砂州内を歩いて観察しました。途中、森本先生よりシナダレスズメガヤなどの外来植物やヤナギについて説明を受けた後、マウンド内のヤナギの地下根茎の状況についても観察して頂きました。

 

○ そして最後に、ヤナギの伐採やシナダレスズメガヤの抜き取りを体験して頂きました。

 

○ 参加者からは、「レキ河原の大切さが分かった」、「良い体験になった」などの感想を頂きました。

 

 

 

7.平成19年度 河川環境研修を実施         (四国地方整備局)

 

○ 四国地方整備局では、12月10日(月)より5日間にわたり、四国技術事務所において河川環境研修を実施しました。

 

○ 本研修は、河道計画や低水管理等の実務に必要な、河川生態系、水質、環境アセスメント、正常流量等についての知識・資質の向上を図るものです。

 

○ 研修講師には、民間で活躍される方も招き、行政だけに偏らない講義と演習を行いました。

 

○ 「里と水辺研究所」の浅見先生には、河川環境から見た川づくりを、NPO「肱川流域會議 水中めがね」の坂本 芳教氏、井関 啓壹氏には、地域連携についての事例紹介を講義していただきました。また、演習では、横断図、写真、植生等の情報から河川環境のインパクトレスポンスを把握し、その対策について議論しました。

 

○ 本研修で得た経験や知識を、受講生各位が今後の業務に役立てていただけることを願っています。

 

 

 

8.「第1回 重信川流域市町長の意見を聴く会」を開催  (重信川水系 愛媛県)

 

○ 重信川では、「重信川水系河川整備計画【素案】」を平成19年10月29日に公表し、流域の皆様方から様々なご意見をお聴きしています。

 

○ これまでに、11月15日に「第1回 重信川流域学識者会議」を開催し、11月24日に東温市(第二会場)、11月26日に松山市(第一会場)において、それぞれ「第1回 重信川流域住民の意見を聴く会」を開催しました。

 

○ そして今回、「第1回 重信川流域市町長の意見を聴く会」を12月12日(水)に松山市総合コミュニティセンターにおいて開催しました。

 

○ 参加した市町長からは、治水、利水、環境にわたる整備計画の推進、適切な河川管理、防災体制強化、住民への情報提供、親しみがもてる川づくりなどについて意見が出されました。

 

○ 今回頂いたいろいろなご意見は、出来る限り整備計画に反映していきたいと考えています。

 

○ 今後は、「今回頂いたご意見」及び「素案の修正案」を後日公表させて頂くとともに、「素案の修正案」に対するご意見を再度お聴きすることとしています。

 

 

 

9.「石手川ダムで流木配布」を実施中       (重信川水系 愛媛県)

 

○ 石手川ダムでは、石手川ダム原石山跡地にて、12月13日(木)から12月22日(日曜日は除く)の9:00〜16:30に、「流木配布」を実施しています。

 

○ この流木配布は、石手川ダムに流入する木及びダム管理上支障となる伐採木を、コスト縮減及び資源の有効活用の観点から、地域住民の皆さんに活用して頂こうと平成17年度より実施しているもので、今回で3回目になります。

 

○ 今年度は記者発表をレクチャー付きで行い、新聞やテレビで多く取り上げて頂いたおかげか出足が好調で、最初50m3あった流木の半分以上が初日の午前中に無くなりました。これは昨年の実績約20m3を半日で超えたということで、報道の影響力の大きさを再認識したとともに、地域住民の皆さんに この流木配布が定着してきたことを実感しました。

 

○ 今後の課題として、同じ人が大量に持ち帰っているケースもあり、より多くの方に活用して頂けるよう、工夫が必要ではないかと考えています。今後も継続して実施していくと共に、流木配布時に回収したアンケート結果を反映させ、内容の充実も図っていきたいと考えています。

 

 

 

 

 「四国河川ニュース」に関するご意見、ご要望や四国の河川についての資料の要求、また河川に関するニュースなどがありましたら、以下までご連絡をお願いいたします。

 

  ■連絡先■  四国地方整備局 河川部  河川管理課 課長補佐  永原 隆

          〒760-8554高松市サンポート3番33号

          TEL 087-851-8061(代)マイクロ88-3753(永原) mailto:rivers-news@skr.mlit.go.jp

          FAX 087-811-8416(河川計画課)

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