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四国河川ニュース

12/1(土)〜12/7(金)》324号

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                          ○四国・水こぼれ話談話室Vol.99○

 

   ○ 高知県 渡川水系 相の木川(四万十市)災害関連緊急砂防事業  高知県 防災砂防課 桜井 亘 課長

 

   ○ 『自然の猛威もコツコツと』          高知県 四万十市 澤田 五十六 市長

 

 

                                    ○今週のニュース○

 

   ○ 四国地方整備局管内の渇水状況について(続報2)        (四国地方整備局)

 

   ○ 平成19年度第十堰補修工事を施工中!!          (吉野川水系 徳島県)

 

   ○ 田野川地区河川改修事業が竣工                (渡川水系 高知県)

 

   ○ 吉野川水系河川整備計画の「第3回 吉野川流域住民の意見を聴く会」(上流域:愛媛県会場)を開催  (吉野川水系 愛媛県)

 

 

 

 

四国・水こぼれ話談話室Vol.99

 

1.高知県 渡川水系 相の木川(四万十市)災害関連緊急砂防事業 (高知県 防災砂防課 桜井 亘 課長)

 

<被害の状況>

 

○ 平成16年7月31日、台風10号と台風から変わった熱帯低気圧のため、県内全域で大雨となり、多いところでは総雨量1,000mmを超える豪雨となった。

 

○ 早めの避難により幸い死者は出なかったが、2時間で154mmの雨量を記録した県西部の四万十市(旧西土佐村)の相の木川(流域面積A=0.09km2)では、土石流により人家2戸が全壊し、また、主要県道(災害時の避難路)へ土砂や流木が流出したため、一時通行不能となるなど、多大な被害をもたらした。

 

○ この土石流により流域が著しく荒廃し、再度、土石流が発生する危険な状況となったことから、緊急に砂防えん堤を設置し、今後の土石流災害を防止するため、災害関連緊急砂防事業に着手した。

 

<災害関連緊急砂防事業の概要>

 

○ 被害実績 : 人家2戸全壊、倉庫2戸全壊、主要県道及び村道損壊、流出土砂量 約2,500m3

 

○ 実施内容 : 砂防えん堤1基(堤長34.0m、堤高7.5m)、渓流保全工(全長48.5m)

 

○ 総事業費 : 63,000千円

 

○ 工事完成 : 平成18年3月

 

<渡川(四万十川)水系における取り組み>

 

○ 「日本最後の清流」といわれる四万十川。この川を地域の住民はもとより、県民・国民共有の財産とし、後世に引き継いでいくための基本的なルールとして、平成13年3月に「四万十川条例」を定めた。この条例では、本川のみならず主要支川においても第一稜線までの範囲内で事業を実施する場合、 生態系及び景観の保全・復元に配慮しなければならない。

 

○ 相の木川は主要支川目黒川に位置しており、今回の災害関連緊急事業においても例外ではなく、条例を踏まえて流域内の公共事業の方針を定めた「高知県四万十川流域環境配慮指針」の趣旨を踏まえ、施設の機能及び維持管理上支障のない範囲において、砂防えん堤前面を巨石積みとし、自然環境との調和を図った。

 

○ また、流域内は立木で覆われており、流木による再度災害の防止を図るとともに、河川への流出により河川の流下に影響を及ぼさないよう流木捕捉工を設置した。

 

<ソフト対策の取り組み>

 

○ 平成19年11月2日、四万十川下流域に位置する旧中村市において、土砂災害防止法に基づく「土砂災害警戒区域」を、土石流89渓流、急傾斜地の崩壊127箇所で指定した。

 

○ 今後は、旧西土佐村のある上流域も含め、四万十市全域にわたり指定を進め、ハード・ソフト、県・四万十市が一体となった砂防事業を展開し、より良い事業効果の発現を目指す。

 

 

 

2.『自然の猛威もコツコツと』    (高知県 四万十市長 澤田 五十六)

 

○ 高知県四万十市は、「日本最後の清流」といわれる四万十川の中流域から太平洋に注ぎ込む河口までの間に位置するまちです。ここに時の関白一條教房は土佐の小京都をつくりました。

 

○ 高知市から西に110km、自動車で2.5時間ほどかかりますが、耳をすませば四国西南部の幡多弁が聞こえ、年毎に迎える秋祭りには、五鹿踊りや花取り踊りなどの伝統芸能が、時を越えて伝えられる地区もあり、人情あふれた懐かしい日本のふるさとを感じることができます。

 

○ 地球は「水の惑星」といわれていますが、四万十市もその名のとおり四万十川の大いなる恵みを十分に受けています。アユ、ウナギ、テナガエビ、青のり、アオサ等の水産資源のほか、河口付近には「まぼろしの魚」といわれるアカメも生息しています。夏にはアユの火振り漁が行われ、水辺にうかぶその光景は幻想的で、古来からの漁法として観光客はもとより地元住民にやすらぎと涼しさをもたらし、心がリフレッシュされます。

 

○ しかし、普段は優雅に流れる四万十川も、洪水になり一度牙をむくと人家も農地も押し流してしまうほどの暴れ川となります。大自然の前では、人間はいとも小さく台風の過ぎるのをただなすすべもなく待つしかありません。

 

○ 去る平成16年8月1日から2日にかけて、台風10号による最大時間雨量80mmの集中豪雨により、西土佐地域を流れる支流相の木川では人家2棟、倉庫2棟が土石流に埋まり道路も寸断される甚大な被害を受けました。幸いに人的被害はありませんでした。

 

○ 災害復旧により堰堤がつくられ、大量の土砂や流木のせきとめがおこなわれ、地域住民が安心して暮らせる環境と大切な四万十川の清流保全ができるのも「砂防事業」のおかげと感謝する次第です。

 

○ 自然が瞬間的な猛威をふるった後、人はコツコツと時間をかけて元のように復元し生活を守ります。人間と自然の災害との闘いは繰り返しますが、いつの場合も忍耐と希望で立ち向かい大切な水を利用し、恩恵を最大限に引き出します。

 

○ 近年アユの不漁が聞こえてきますが、エサとなるミズゴケが泥に埋まりアユが食べられないことが不漁の原因のひとつといわれています。崩壊の起こった箇所からの土砂の流出を防ぎ、良好な河川環境を保つ為にも砂防事業は欠かせないものとなっています。

 

○ 日本一生き物が多くすみ、自然が沢山残された清流四万十川をいつまでもいつまでも子孫に伝えていきたいと願っています。

 

 

 

 

今週のニュース

 

3.四国地方整備局管内の渇水状況について(続報2)  (四国地方整備局)

 

○ 四国地方は8月以降少雨傾向にあり、平成19年11月19日(月)に高知県の仁淀川が渇水調整に入っていますので、12月10日(月)現在の四国地方整備局管内の渇水状況をお知らせします。

 

○【仁淀川水系仁淀川】

   ・施設の状況(12月10日0時現在)

      大渡ダム:貯水率28.8%(平年値77.4%)

   ・支部等の設置状況

      高知河川国道事務所渇水対策支部設置:11月19日12時〜

      大渡ダム管理所渇水対策支部設置  :11月19日12時〜

   ・取水制限の状況

      一次取水制限:11月19日12時〜

         農水35%、上水30%

      二次取水制限:11月26日17時〜

         農水50%、上水40%

 

○ 仁淀川水系以外でも、現在平年よりも厳しい状況にある河川があります。今後の気象状況によっては、さらに取水制限が開始される地域も予想されますので、日頃からの節水に御協力をお願いします。

 

○ なお、管内の主要河川における渇水状況の詳細については、下記のホームページをご覧ください。

 

     http://www.skr.mlit.go.jp/kasen/damu/index.htm

     ※先週号までアドレスに間違いがあり、ご迷惑をおかけしました。

 

 

 

4.平成19年度第十堰補修工事を施工中!!    (吉野川水系 徳島県)

 

○ 平成19年11月30日(金)に、吉野川の第十堰(上堰)において補修工事の現地見学会を開催しました。

 

○ 昔、吉野川は第十堰(下堰)に沿って南から北へ流れており、第十堰より下流の現在の本川は別宮川と呼ばれていました。徳島藩時代に吉野川と別宮川はつながり、別宮川が本流化したことにより、旧吉野川では水不足や塩害が発生するようになりました。

 

○ このようなことを受けて、1752年に別宮川に水がこぼれないように、現在の第十堰(下堰)が設けられました。しかし、吉野川の流れが東西方向に変遷したことにより旧吉野川へ流れにくくなったことから、上堰が設けられ現在の2段堰となりました。その後、堰の付近が堆砂傾向であったため、現在の第十樋門の位置へと旧吉野川の河道が付け替えられ、現在に至っています。

 

○ 現在も第十堰は、吉野川を横断している構造物であり、河口からの塩水の遡上をくい止め堰上流を真水に保つとともに、旧吉野川へ水が流れるように するための役割を担っています。この第十堰が平成16年のたび重なる出水等により著しい損傷を受けたために、平成17年度から補修を実施しています。補修方法は、広く一般住民の方に意見を募集し、施工性、経済性、景観を考慮して決定しました。

 

  今回の工事も今までの補修方法と同様に、損傷を受けた箇所の残った青石を一度撤去し、松杭Φ18cm程度 L=1.5〜3.0m程度 約170本程度を打ち込み、松杭を松丸太で連結し枠組をこしらえ、河床材を埋め戻し、撤去した青石を青石を使用した練石張りの施工時に再利用しています。青石の練石張り施工面積は約450m2を予定しており、不足分については購入を予定しています。(青石:300〜500kg程度/個)

 

○ 見学会においては、松杭と松丸太の枠組が施工された状況を見学し、参加した見学者約15名程度の方から、補修方法について意見や質問が飛び交い、工事内容の説明にも熱心に耳を傾けていました。参加者の第十堰に対する関心の高さを感じました。

 

○ 尚、来年の2月頃に、青石張りの見学会を開催する予定ですので、機会があれば、見学会にご参加ください。

 

  ■第十堰の写真・位置図については下記HPの吉野川歴史探訪ガイドブックをご覧ください。

 

     http://www.toku-mlit.go.jp/river/shiru/tanbou/tanbou-top.htm

 

  ■工事箇所の位置図、構造断面図については、下記HPの記者発表資料をご覧ください。

 

     http://www.toku-mlit.go.jp/report/info19/h191126-3/h191126-3.htm

 

 

 

5.田野川地区河川改修事業が竣工      (渡川水系 高知県)

 

○ 四万十市田野川地区は、長年、台風や集中豪雨のたびに田野川川の増水と後川の氾濫により、浸水被害に悩まされてきました。

 

○ 国土交通省が四万十川左支川の後川の築堤事業を、高知県が後川右支川の田野川川の現況河道改修事業と河道付替事業を実施しました。当事業は40年余りの長きにわたるものでしたが、国と県の連携及び地元の協力により竣工の運びとなり、12月1日(土)に竣工式が執り行われました。

 

○ 式典には、四万十市長や国、県の関係者が出席し、式典の後には田野川小学校の生徒さんによる合唱・演奏や、もち投げなどを住民総出で行い、完成を祝いました。

 

○ 住民の方からは、「安心して暮らせるようになるまでに長い時間がかかったが、やっと安心が確保でき本当に嬉しい」との声が聞かれました。

 

 

 

6.吉野川水系河川整備計画の「第3回 吉野川流域住民の意見を聞く会」(上流域:愛媛県会場)を開催                                                       

                                                 (吉野川水系 愛媛県)

 

○ 四国地方整備局は、吉野川水系河川整備計画を策定するため、「第3回 吉野川流域住民の意見を聴く会」を12月2日(日)に愛媛県四国中央市(霧 の森交湯〜館)において、参加者6名のもと開催しました。

 

○ 意見を聴く会では、事務局より吉野川水系河川整備計画【修正素案】について多くの方々からいただいた意見をもとに修正した吉野川水系河川整備計画【再修正素案】を説明し、その後、流域住民の方々からその【再修正素案】についてのご意見・ご質問をいただきました。

 

○ 説明の内容を素案に反映して欲しい、日頃からの広報、環境用水、早明浦ダム、銅山川水系のダムに関することなどの意見が出されました。

 

○ 「第3回 吉野川流域住民の意見を聴く会」は、来年の1月末までに計8回実施する予定としおり、今回が3回目になります。

 

○ なお、会議等の資料及び吉野川水系河川整備計画に関することは以下のHPにて、ご確認下さい。

 

      吉野川水系河川整備計画HP: http://www.yoshinoriver.info

 

 

 

 

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  ■連絡先■  四国地方整備局 河川部  河川管理課 課長補佐  永原 隆

          〒760-8554高松市サンポート3番33号

          TEL 087-851-8061(代)マイクロ88-3753(永原) mailto:rivers-news@skr.mlit.go.jp

          FAX 087-811-8416(河川計画課)

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       四国地方整備局 ホームページURL(河川)

           http://www.skr.mlit.go.jp/kasen/index.html

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               http://www.skr.mlit.go.jp/kasen/topics/news/news.html