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四国河川ニュース

11/3(土)〜11/9(金)》320号

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                          ○四国・水こぼれ話談話室Vol.95○

 

   ○ 香川県 通谷川(さぬき市)の砂防事業

     『災害関連緊急砂防事業及び砂防激甚災害対策特別緊急事業』 香川県河川砂防課 田村 寛司課長

 

   ○ 土石流による人災をゼロに

     『さぬき市大川町田面の砂防事業』        香川県 さぬき市 大山 茂樹 市長

 

 

                                    ○今週のニュース○

 

   ○ 「みんなでつくる那賀川」〜那賀川水系河川整備計画策定の記録〜を作成  (那賀川水系 徳島県)

 

   ○ 「第3回銅山川源流ツアー」を実施             (吉野川水系 愛媛県)

 

   ○ 植物重要種の移植実験を開始                 (肱川水系 愛媛県)

 

   ○ 第22回 国民文化祭 吉野川文化探訪フェスティバルの開催 (吉野川水系 徳島県)

 

   ○ 「四国のみずべ八十八カ所」見学会〜瀬戸内 秋のみずべを巡る〜を開催  (香川県)

 

   ○ 吉野川・善入寺島の不法投棄対策〜鳥居監視網〜       (吉野川水系 徳島県)

 

   ○ 『平成19年度 四国地方ダム管理連絡会議』を開催       (四国地方整備局)

 

 

 

 

四国・水こぼれ話談話室Vol.95

 

1.香川県 通谷川(さぬき市)の砂防事業

  『災害関連緊急砂防事業及び砂防激甚災害対策特別緊急事業』 (香川県河川砂防課 田村 寛司 課長)

 

香川県の土砂災害について

 

○ 本県の気候は瀬戸内海式気候に分類され、温暖で降水量が少ないことから、「香川県は土砂災害が少ない県」と思われてきました。実際、昭和49、51年に甚大な土砂災害が発生してからは約30年の間、大きな土砂災害に見舞われることなく経過してきました。(平成15年以前の過去10年間における土砂災害発生件数は22件で全国で45位)

 

○ しかし、平成16年は6月の台風4号から10月の23号まで10個の台風が日本列島に襲来し、そのうち9個が本県に甚大な被害をもたらしました。土砂災害は台風11、15、21、23号をあわせると、本県のほぼ全域で 発生し、土石流111件、地すべり2件、がけ崩れ91件で合計は204件にものぼりましたが、これは全国で3番目に多い件数でした。(土石流の111件は全国で1位)

 

通谷川の被災

 

○ 平成16年10月20日、時間91mmの記録的な豪雨の影響で、さぬき市 大川町田面の森行地区では通谷川やその他の渓流で土石流が発生し、人的被害の他、家屋の全壊1棟、半壊2棟、一部破損4棟、床上浸水6棟、床下浸 水4棟等の大きな被害が発生しました。

 

事業概要

 

○ 平成16年度災害関連緊急砂防事業でえん堤工を1基、平成17、18年度砂防激甚災害対策特別緊急事業で渓流保全工L=419mを整備しました。これらハード整備以外に土砂災害警戒区域を県内で初めて指定するなど、ソフト対策にも積極的に取り組んでいます。また、香川県ホームページに土砂災害危険箇所図、土砂災害警戒区域、砂防情報システム等を掲載し、県民の多くが土砂災害に関する情報を得られるようにしました。

 

 

 

2.土石流による人災をゼロに

  『さぬき市大川町田面の砂防事業』  (香川県 さぬき市 大山 茂樹 市長)

 

○ さぬき市は、香川県の東部に位置し、平成14年4月1日に、旧大川郡の8町のうち、5町が合併して誕生し、「白砂青松の津田の松原」「緑豊かなみ ろく自然公園」「東瀬戸内海眺望の大串自然公園」「水辺と森に囲まれた門入の郷」「桜の名所亀鶴公園」など、歴史的、文化的観光資源を有しております。その中で、大串地域には、四国で唯一のワイン工場「さぬきワイナリー」があり、市内などで生産されたデラウェアなどのぶどうを原料に作られたワインの購入や製造工程の見学、試飲ができます。

 

○ また、門入の郷では、門入ダム(貯水量290万トン)周辺で、例年、県 内外から、よさこい連などでにぎわう「門入よさこい」祭りを開催しています。被災にもめげず、平成17年には災害の爪あとの残る土石流の堆積土砂上で開催し、熱気で湖面を焦がすほどであったそうです。

 

○ さらに、四国霊場88カ所のうち、上がり3カ寺を有する「結願のまち」として、もてなしの心、いやし文化の発信基地となっています。

 

○ しかし、平成16年の台風23号の襲来時には、豪雨による土石流が発生し、5名の尊い命が奪われ、家屋の崩壊27棟、床上床下浸水3,047棟等、甚大な被害を受けました。なかでも大川町田面の森行地区は急傾斜地であることから、幅員5mの市道が約300m崩壊し、その跡地が渓流と化し、 特に通谷川では土石流が発生し、1名がその犠牲となりました。

 

○ ご近所の方にお聞きしますと、その方の家は「ふぁっ」と浮かび上がって、くるっと西に向きを変えて、「ダァ−ッ」と流れたそうです。また、裏の道路は川となり、大きな何トンもあるような岩が立ち並びました。このような中でも、「家を直撃するはずの土石流を止めたのが砂防堰提だったと胸をなでおろし、ほっとした。堰提様々やのう。」と九死に一生を得た方もおられたようです。

 

○ 本市では、16年災害のような人的被害を防止するため、防災のしおりとハザードマップを平成17年8月に作成し、全戸に配布しています。また防災行政無線を整備し、情報通信網の共有化を図ることで被害の軽減、人命の保護に努めています。さらに、この地区は、土砂災害警戒区域等の指定となり、避難体制の充実を図っています。

 

○ 土石流対策としては、香川県は山と海が接近していることから、中山間地域や下流の平野部の災害を防止するには、やはり砂防堰提を設置することが第一であると考えています。現在、国・県のご尽力、ご努力により、災害関連緊急砂防事業等に取組んでいただいており、下流から地域を眺めますと、お隣の東かがわ市内も砂防堰提工事を実施していることから、森行要塞といった観があります。

 

○ これらの整備等を通じ、今後、地球温暖化による異常気象の豪雨等による土砂災害をできるだけ未然に防ぎ、人的被害ゼロになるよう努力したいと思 います。

 

 

 

 

今週のニュース

 

3.「みんなでつくる那賀川」〜那賀川水系河川整備計画策定の記録〜を作成  (那賀川水系 徳島県)

 

○ 那賀川河川事務所と徳島県では、平成19年6月14日に「那賀川水系河川整備計画」を四国の一級河川では初めて国と県が管理する水系全体で策定しました。

 

○ この度(9月)、策定に至るまでの経緯を冊子(A4版カラー23ページ)としてとりまとめました。すでに、冊子は四国地方整備局管内の関係事務所には、少数ですが送付しています。

 

○ 「四国河川ニュース」ご愛読の皆様で、送付のご希望がありましたら、下記までお問合せ下さい。

 

    担当・連絡先

 

     四国地方整備局那賀川河川事務所

 

      住所 : 〒774-0011 阿南市領家町室の内390

 

      担当 : 調査課 調査係長 酒巻 政夫

 

      連絡先: TEL : 0884-22-6562,    FAX : 0884-22-6451

                      E-mail : sakamaki-m8812@skr.mlit.go.jp

 

 

 

4.「第3回銅山川源流ツアー」を実施       (吉野川水系 愛媛県)

 

○ 10月27日(土)に、新居浜市別子山別子銅山跡において、柳瀬ダム主催イベント「第3回銅山川源流ツアー」を開催しました。

 

○ 新宮ダム・柳瀬ダム・富郷ダムの3つのダムが連なる四国中央市の水源地域を更にさかのぼった銅山川の源流域には、美しい森や清流などの豊かな自然とともに、銅山として栄えた頃の歴史的な遺構が数多く残されています。

 

○ 「銅山川源流ツアー」は、より多くの方々に銅山川の源流域に関心を深めて頂き、山歩きの目標として源流域に残された歴史的な遺構に親しんでもらいながら、「水源の森」や「森と人との関わり」を学ぶとともに、圏域を超えた人々の交流が促進されることを目指して企画したものです。

 

○ 今回のツアーは、残念ながら雨天での開催でしたが、小学生から70代の方まで22名の参加があり、「過去に栄えていた別子山村を想像することが出 来ました」、「大変な労働であったと思いますが、それが今の私達の生活に繋がり、役立っていることは感謝すべきことだと思いました」、「雨の登山も風 情のあるものでした」などの感想を頂きました。

 

○ 「銅山川水源ツアー」は、今後も毎年開催していく予定です。

 

 

 

5.植物重要種の移植実験を開始           (肱川水系 愛媛県)

 

○ 山鳥坂ダム工事事務所では、現在、環境影響評価の手続きを進めており、環境影響評価準備書において、植物の重要種と選定された21種を、ダム建設で影響を受けない場所への移植を実施することとしています。

 

○ 具体的な移植方法などは学識者による専門部会で検討を進めています。

 

○ 今回、11月2日(金)に、まもなく土地の改変が予定されているホシクサ(愛媛県レッドデータブック:準絶滅危惧)、コシロネ(愛媛県レッドデータブック:準絶滅危惧IB類)について、本移植前の基礎資料を得るための移植実験用のサンプルを採取しました。

 

○ 採取した資料は、実験施設で水やり頻度や適切な土壌条件などを研究・調査し、来年2月〜3月に事務所周辺の圃場に移植や種子撒きを実施する予定です。

 

○ また、来春以降も移植や実験を進め、重要種の保存に努めていきます。

 

 

 

6.第22回 国民文化祭 吉野川文化探訪フェスティバルの開催  (吉野川水系 徳島県)

 

○ 「吉野川文化探訪フェスティバル」が、吉野川が育んだ文化や吉野川がもたらす暮らしの豊かさを「探求」、「創造」、「交流」の3分野をテーマにして、美馬市・吉野川市・三好市の各会場で実施されました。

 

○ 美馬市会場では、「探求」をテーマに「まほろばの風にのって〜うだつ秋絵巻き〜」と題し、舞踊、演劇、各種体験コーナーなどが催され、徳島河川国道事務所は、11月3日(土)に「うだつの町並み」(美馬市脇町)がある通りの個人宅のガレージで「吉野川パネル展」を開催しました。

 

○ 「吉野川パネル展」では、吉野川の古い時代の写真、洪水の写真、現在の風景写真など69枚を展示しました。会場には、たくさんの方が来場され、友人と一緒に来たご年配の方は、パネルを指差しながら、昔の状況等をなつかしく思い出しながら話をしていました。

 

 

 

7.「四国のみずべ八十八カ所」見学会〜瀬戸内 秋のみずべを巡る〜を開催  (香川県)

 

○ 11月3日(土)、応募により県内から約40名の方が参加され、香川のみずべ21カ所の内、瀬戸内のみずべ4カ所(サンポート高松・玉藻公園、屋 島、大串半島、津田の松原)を巡りました。

 

○ みずべ見学会は、一昨年の小豆島、昨年の庄内半島に続いて3回目になります。主な目的は、四国のみずべを一般の方々に知っていただき、みずべの認知度を高め、みずべを核とした地域の活性化に役立てるとともに、みずべの環境保全の啓発を目的として実施しています。

 

○ 参加者には、みずべで活動されている「満濃池コイネット」のボランティアの方も参加され、現地の案内は、「サンポート高松・玉藻公園、屋島」では 高松観光ボランティアガイド協会の方々によって自慢の水辺の歴史・文化や隠れた史跡などが説明され、「津田の松原」では昭和63年より清掃奉仕や松原の水環境の保全に取り組んでいる「八八松甦会」の熱心な説明を受け、交流を深めながら秋の一日を楽しく過ごして頂きました。

 

○ アンケートを実施した結果、「ガイドさんの説明がわかりやすく大変よかった」、「すべてのみずべを訪れたい」、「みずべの大切さを再確認した」等の感想を頂きました。ご意見等を参考にしながら、今後のみずべの活動に反映させて参ります。

 

 

 

8.吉野川・善入寺島の不法投棄対策〜鳥居監視網〜  (吉野川水系 徳島県)

 

○ 吉野川・善入寺島では、従前の「ゴミ捨て防止看板」の代わりに、本物そっくりの『朱色のミニ鳥居』(高さ=1m、幅=0.8m)を建立して、不法投棄対策を行っています。(なお、従前の看板は、10万円/基程度であるが、ミニ鳥居は、1.5万円/基程度。)

 

○ 平成17年度より試験運用しており、17年度に30基、18年度にも30基設置し、今年度は、5月に10基、吉野川善入寺土地改良区組合員の皆さんが島内一斉清掃に取り組んだ11月4日(日)にも、組合員の皆さんの協力を得て20基を追加設置しました。

 

○ 善入寺島とは、吉野川河口より約30km上流に位置する中洲(東西6km×南北1.2km)で、約500haの広さがあります。島は5つの潜水橋で結ばれ、昼間は農家の人が働いていますが、夜間はほとんど真っ暗な無人島となるため、ゴミの不法投棄が絶えませんでした。

 

○ 看板を鳥居に変えたことにより、ゴミの量が約8割も減少しており、大きな効果がでています。

 

 

 

9.『平成19年度 四国地方ダム管理連絡会議』を開催  (四国地方整備局)

 

○ 11月7日(水)に、高松サンポート合同庁舎において、国土交通省、(独)水資源機構吉野川局、四国4県、電力会社3社の四国のダムを管理する所長ら62名が参加し、「四国地方ダム管理連絡会議」を開催しました。

 

○ 本会議は昨年初めて開催し、今回が2回目で、ダム管理に関する情報の共有化を図ること、そして現在各ダムが抱えているダム管理上の課題について意見交換して問題解決を図ることを目的として実施しています。

 

○ 今回は、国土交通本省流水管理室より山本課長補佐をお迎えして、ダム管理の課題や今後の取り組み及び中越・中越沖・能登半島地震によるダムの被害状況について説明して頂いた後、各ダムの最近の取り組み事例の紹介を行い、最後に、「ダムの機能に関する啓発活動」(地域住民、関係機関、マスコミ等に対するダム機能・効果の伝え方)、「ダム湖及びその周辺利用者への規制」について意見交換しました。

 

○ この会議が、四国地方のダムの、より良い管理に繋がればと考えています。

 

 

 

 

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  ■連絡先■  四国地方整備局 河川部  河川管理課 課長補佐  永原 隆

          〒760-8554高松市サンポート3番33号

          TEL 087-851-8061(代)マイクロ88-3753(永原) mailto:rivers-news@skr.mlit.go.jp

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