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四国河川ニュース
《10/27(土)〜11/2(金)》319号
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【2007.11.5発行】
○四国・水こぼれ話談話室Vol.94○
○ 四国―南南西に進路をとれ! 高知県 大月町 柴岡 邦男 町長
○今週のニュース○
○ 「四万十川下流域に学ぶ会」の開催 (渡川水系 高知県)
○ 吉野川流域講座「吉野川の自然」を開催 (吉野川水系 徳島県)
○ 第12回山鳥坂ダム環境検討委員会を開催 (肱川水系 愛媛県)
○ 松原泉の除草、清掃を実施 (重信川水系 愛媛県)
○ 重信川水系河川整備計画(素案)を公表 (重信川水系 愛媛県)
○ 吉野川河川砂利の農業用『手入れ砂』への試験的使用を開始 (吉野川水系 徳島県)
○ 平成19年度ダム管理検討会の開催 (四国地方整備局)
○ 「第4回松山分水に関する意見交換会」における出前講座を実施 (四国地方整備局)
○ 桑野川堤防開削調査における現地見学会を開催 (那賀川水系 徳島県)
四国・水こぼれ話談話室Vol.94
1.四国―南南西に進路をとれ! (高知県 大月町 柴岡 邦男 町長)
○ 高知県の西南端、三角形状の103平方キロに暮らすまちびと6,600人。南に、雄大な沈降式から優美な箱庭的景観に変化する海岸線を持ち、北西側には、穏やかな豊後水道に囲まれたなだらかな丘陵地で、一次産業の農漁業を中心とする生計を営んでいる。
○ 黒潮分岐流が入り込む温暖な気候の丘陵地には県下一の葉たばこ栽培地が広がる。その畑地に数年前、一人の農家青年のつぶやき「みんなの笑顔が見たいねや〜」がきっかけとなり、一人又一人と仲間が集まる人の輪が出来上がった。甲子園球場6個分の敷地に2,000万本が咲く四国有数規模のコスモス祭りへと変貌した。近年は高知市近郊を問わず各地から訪れる人が来るまでに成長してる。
○ 三面のうち二面を海に囲まれた町には、陸域と並ぶ海中景観が広がっている。温帯から亜熱帯性気候に恵まれた海には、日本産魚種の1/3に及ぶ1,000数種が確認されている。魚種はもとよりサンゴ群集景観が広がる特異な多様性により4箇所が海中公園区域に指定され、本土有数規模のサンゴが織りなす亜熱帯と見まちがう景観は多くのダイバーを引きつけている。特に柏島周辺は世界に比肩するマクロのダイビングスポットとして知られている。
○ そんな町に、平成13年9月初旬、町史始まって以来と言われる未曾有の豪雨が襲った。集落の中心を流れる川が氾濫し、屋根裏にまで達する水に追われ、屋根に駆け上がり助けを求める人達。326件、70億円を超える激甚災害に見舞われながらも、一人の犠牲者も出さなかった背景には、お年寄 りの普段の生活までよく知る人と人との繋がりがあった。地域の助け合いとともに、各地から駆け寄ってくれたボランティアの汗も、復旧への大きな力となった。
○ 以来、激しい雨が降れば被災の生々しい記憶とともに、防災出動の準備を意識する習慣となった。あの災害にまた見舞われるかもしれない豪雨ではなく、環境に優しい風力発電の羽が、町並みを見下ろす尾根に12基並んだ。まさに、可憐なコスモス畑の真上にやさしい風を吹き込むように、まちのゆるやかな発展と優しい人の輪を象徴するように回り続けている。そんな風車とともに、おだやかな風、水、光を浴びて、ゆっくりと前進していく町を目指したい。
2.「四万十川下流域に学ぶ会」の開催 (渡川水系 高知県)
○ 「四万十川下流域に学ぶ会」が10月26日(金)と27日(土)の2日間、四万十川防災ステーションで開かれ、高知県内の小中高大学生ら延べ270名が現地見学やワークショップを通じて、ものづくりの楽しさや自然との調和について意見交換しました。
○ 本会は、高知県に在校する建設系の学生が小中学生と一同に会して、幅広く連携する機会を設け未来に通用する技術者を育成することを目的として、建設関係の学科のある高校や高専・大学でつくる県建設系教育協議会(草柳俊二会長 H18年発足)の主催で開催されたものです。
○ 初日は県内の高校・高専・大学生や教員70名が参加し、中村河川国道事務所長より「地域の魅力を活かす社会資本整備」と題しての講演があり、四国の自然や歴史・文化・土木遺産の美しさの紹介や、少ない予算のなかでも地域に喜ばれるよう夢を持って社会資本整備に取り組むことの楽しさについて学びました。
○ 続いて、四万十川に七十余年前に架けられた鉄橋をめぐる秘話、清流保存への思いと、四万十川の歴史を金井明先生(著作:「赤鉄橋の町」)に学んだ後、グループごとに下流域にある橋や樋門・護岸・石碑などを歩いて見学し、ワークショップ形式で意見交換を行いました。
○ 2日目は小中学生も参加(200名)し、屋形船に乗って川面から沈下橋や四万十川の風景を観察・写真撮影した後、防災ステーション内の防災センターにてグループごとに地図へ写真や感想を貼り付け、「コンクリート構造物が少ない」、「この自然を守らなければ」など、思い思いの意見を出し合いました。
○ 未来の建設系技術者達からは、「いつもと違う視点で新しい発見があった」、「四万十川の自然を大切にしたい」など大好評でした。
3.吉野川流域講座「吉野川の自然」を開催 (吉野川水系 徳島県)
○ 10月28日(日)に石井町の住民の方々を対象に、吉野川右岸河川敷(六条大橋下)で吉野川流域講座「吉野川の自然」を行いました。これは石井町 藍畑地区コミュニティ推進協議会の依頼により、毎年行っている「ふれあい大会」(今回第21回)の行事の中で行ったものです。
○ 当日は約400名の方々が参加し、河川清掃の後、宝探しや綱引きなど色々な行事が行われる中、河川環境課職員が、吉野川の植物、野鳥や魚などについて、クイズ形式で出題し説明しました。
○ 約400名という大勢の方々の参加をいただきましたが、クイズ形式ということで楽しく吉野川の自然について学んでいただけたのではないかと思います
○ これからも身近な川である吉野川を大切していただきたいと思います。
4.第12回山鳥坂ダム環境検討委員会を開催 (肱川水系 愛媛県)
○ 山鳥坂ダム工事事務所では、山鳥坂ダム建設事業の環境面について、専門家から技術的助言を頂くために「山鳥坂ダム環境検討委員会」を設置しており、10月28日(日)に第12回山鳥坂ダム環境検討委員会を開催しました。
○ 委員会では、今年の8月10日に提出された準備書についての愛媛県知事意見と、それに対する事業者の見解について説明しました。愛媛県知事からは、全般的事項、騒音、振動、水質、動植物及び生態系等に関する22の意見が提出されており、それに対する事業者の見解について、いくつかのご指 摘を頂き、対応することで了承を頂きました。
○ 加えて、昨年の12月と今年の8月に環境省のレッドリストが見直されたことを受けて更新した重要な種に関する対応についてもご確認頂きました。動物では、新たにウナギやアマゴ等の7種を予測対象種に追加し、オオオカメコオロギの1種を削除しましたが、植物では新たに予測対象種に追加・削除する種はありませんでした。
○ また、8月30日に開催した「第2回動植物の保全措置に関する専門部会」で議論して頂いた内容についても報告しました。
○ 今後は、この委員会で議論して頂いた内容を踏まえ、評価書を作成します。評価書は11月中を目標に完成させ、国土交通大臣に提出する予定です。その後、90日以内に環境大臣及び国土交通大臣からの意見が提出され、評価 書を補正して最終的な評価書を完成させ、年度内の公告・縦覧を目指していきます。
5.松原泉の除草、清掃を実施 (重信川水系 愛媛県)
○ 松山河川国道事務所が「重信川自然再生事業」として整備した松山市森松の重信川右岸河川敷の「松原泉と小川」は、周辺の人々の憩いの場として、 また、子供たちの学習の場として利用されています。
○ 10月28日(日)に、「松原泉を再生・保全する会」(会長:森田光一氏)の地元地区の方々が主体となり、重信川の自然をはぐくむ会、学校及びその関係者など総勢約100名のボランティアの参加により、泉と小川の周辺に生い茂っていた雑草を、約2時間かけて除去しました。
○ 今後、さらに多くの人々が松原泉に訪れ、自然に親しんでいただければと思います。
○ 「松原泉と小川」には、すでに多くの動植物が生育しています。一方で、ジャンボタニシなどの外来種も多く入りつつありますが、今後とも、将来の子供たちのために豊かな自然を育むことができるように、植物、魚類、底生生物の各専門家のご意見を伺いながら、地元や関係団体等との協働による継続的で適切な管理を目指していきます。
6.重信川水系河川整備計画(素案)を公表 (重信川水系 愛媛県)
○ 重信川水系では、平成18年4月24日に、河川法に基づく「重信川水系河川整備基本方針」が策定されました。これを受け、四国地方整備局では、概ね30年程度の具体的な河川整備の内容を示す「重信川水系河川整備計画」(以下『整備計画』という。)の検討を進めてきました。
○ このたび、『整備計画』について流域の皆様の様々なご意見をお聴きするために、「重信川水系河川整備計画【素案】」(以下『素案』という。)を作成し、10月29日(月)に公表しました。
○ 『素案』では、「安全で安心できる重信川の実現」、「重信川を軸とした水と緑のネットワークの形成」、「重信川を媒体とした自然と人、人と人がふれあう交流と学習の場の形成」を基本理念に、関係機関や地域住民との情報の共有、連携の強化を図りつつ、治水、利水、環境に関わる施策を総合的に展開していくこととしています。
○ 今後は、より多くの方々から『素案』に対するご意見をいただきながら、『整備計画』の策定に向けての検討を進めていきたいと考えています。
○ 詳細につきましては、松山河川国道事務所HPをご覧ください。
松山河川国道事務所HP ― 重信川水系河川整備計画
http://www.skr.mlit.go.jp/matsuyam/river/seibikeikaku/index.html
7.吉野川河川砂利の農業用『手入れ砂』への試験的使用を開始 (吉野川水系 徳島県)
○ 10月下旬より、徳島県を代表するブランド農産物となっている「なると金時(さつまいも)」の栽培に欠かせない『手入れ砂』として、「吉野川の砂」の試験的な使用が始まりました。試験的使用は、平成19年度から23年度の5年間を予定しています。
○ 試験的に使用する量は、平成19年度が約1万m3。平成20年度から平成23年度は、毎年約2万m3を予定しています。
(県知事、徳島砂・砂利採取共同組合理事長、徳島県手入れ砂対策協議会会長の3者協定による)
○ これは、吉野川の持つ豊富な資源(恵み)に視点をあて、地域振興を支援するための【吉野川の恵み協働プロジェクト】の3本柱のひとつである「なると金時プロジェクト」として実施するものです。
○【吉野川の恵み協働プロジェクト】とは、国(国土交通省四国地方整備局徳島河川国道事務所)と徳島県が連携して、吉野川の持つ豊富な資源(恵み)に視点をあて、地域振興を支援する ため取り組んでいるものです。
プロジェクトは、次の3本柱からなっています。
@「なると金時プロジェクト」(特産品の支援)
徳島県が全国に誇るブランドである「なると金時」の育成を支援するため、栽培体系上不可欠である『手入れ砂』に「吉野川の砂」を活用し、試験運用します。
A「資源有効活用プロジェクト」(資源の有効活用)
吉野川の河川維持管理に伴い発生する副産物(堤防除草で発生する草など)を様々な分野で有効活用し、地域振興に寄与するとともに、河川維持管理費のコスト縮減や環境保全にも役立てます。
B「水辺の憩いプロジェクト」(県民の憩いの場としての活用)
吉野川の水辺や河川敷を整備し、県民の憩いの場として活用するとともに、県民との協働による環境美化を図ります。
8.平成19年度ダム管理検討会の開催 (四国地方整備局)
○ 10月30日(火)、31日(水)に、九州地方整備局が幹事となり、「平成19年度ダム管理検討会」が開催されました。
○ 本会議は、ダム管理に関する情報共有と意見交換を目的として、各整備局が持ち回りで毎年開催しているもので、国土交通省及び水資源機構のダム管理担当者30名が集まり行われました。
○ 会議では、本省からの事務連絡、各地整からの情報提供、土木研究所からの研究成果報告の後、「新しい放流警報立札の文案」について意見交換を行いました。
○ また翌日は、筑後川流域の現地視察(下筌ダム、松原ダム、大山ダム)を行い、2日間の全行程を終了しました。
○ この会議により得られた情報を、今後の四国におけるダム管理に活かしていきたいと考えています。
9.「第4回松山分水に関する意見交換会」における出前講座を実施 (四国地方整備局)
○ 10月31日(水)14時から約2時間、西条市役所5階大会議室において一般の傍聴約50名も含め約70名に対して「水利権・正常流量について」という題で出前講座を実施しました。
○ 松山分水については、関係する松山市、西条市、新居浜市が話し合う「松山分水に関する意見交換会」が開催され、すでに3回会合を開いていますが松山、西条両市の主張が平行線をたどっています。今後、共通認識に基づいて議論を進めるため、四国地方整備局に出前講座の要請がありました。
○ 出前講座の内容としては、水利権の定義、水利権を許可する際の考え方(申請者は円満に取水ができるよう、既得水利権者等の同意を取得することが前提)、正常流量の設定の考え方、用途変更の際の考え方を説明し、最後に水を貰うためには関係者の話し合いが重要であることを強調しました。
○ 参加者に一定の理解はして頂いたと考えています。
○ また、取材に来られた報道関係者も7社と多く、関心の高さを物語っていました。
10.桑野川堤防開削調査における現地見学会を開催 (那賀川水系 徳島県)
○ 桑野川では、平成14年度から「桑野川床上浸水対策特別緊急事業」として、左岸堤防の引堤3.2kmと排水ポンプ場2基の整備を実施しており、平成19年度末の進捗率は事業費ベースで88%となります。
○ 左岸堤防の引堤工事の完成に伴い、順次、旧堤(古い堤防)を撤去(開削)しており、平成17年度に実施された堤防非破壊調査【弾性波の伝搬特性や電気電磁特性、温度特性を利用して、地盤下(堤防内)の状態を確認する手法】の精度把握や精度向上を図ることを目的として、堤防開削時に土質状況の確認や護岸背面・路床下のゆるみ状況を確認するための各種調査を実施しています。
○ 四国技術事務所と那賀川河川事務所では、11月18日の「土木の日」の 関連イベントとして、阿南高専建設システム工学科の学生を迎えて、上記堤防調査に関する現地見学会を開催しました。
○ 10月31日(水)は晴天に恵まれ、約70名(内、阿南高専4年生45名、国土交通省若手職員25名)、11月1日(木)は小雨の中、阿南高専5年生約35名が参加し、堤防開削という滅多にない機会に、堤防断面の土層状況などの説明を専門家から受け、わからないことを質問するなど、良い経験となったのではないでしょうか。
「四国河川ニュース」に関するご意見、ご要望や四国の河川についての資料の要求、また河川に関するニュースなどがありましたら、以下までご連絡をお願いいたします。
■連絡先■ 四国地方整備局 河川部 河川管理課 課長補佐 永原 隆
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