****************************************
四国河川ニュース
《9/29(土)〜10/5(金)》315号
****************************************
【2007.10. 9発行】
○四国・水こぼれ話談話室Vol.90○
○ 香宗川 治水事業の沿革 高知県 河川課長 長谷部 和英
○ 「待望の香宗川広域河川改修事業が完成」 高知県 香南市長 仙頭 義寛
○今週のニュース○
○ 吉野川中流域での交流体験・・吉野川交流推進会議:大学生による活動 (吉野川水系 徳島県)
○ 旧吉野川における不審物(爆弾)の発見及び処理 (吉野川水系 徳島県)
○ 平成19年度 河川技術研究会(リバーカウンセラー会議)を開催 (四国地方整備局)
○ 水辺八十八カ所エコーはがきを発行 (高知県)
1.四国・水こぼれ話談話室Vol.90
香宗川 治水事業の沿革 (高知県 河川課 長谷部 和英 課長)
○<流域の概要>
香宗川は、香南市香我美町別役峠(標高292m)に源を発し、高知県の穀倉地帯高知平野の東端を土佐湾に向かって南西に流下している。下流部の 岸本付近では、浜堤により行く手をさえぎられ海岸線に沿って大きく西進し香南市吉川町でUターンして東流し、土佐湾に注いでいる。
この香宗川は流域面積60.6平方キロメートル、幹川流路延長19.5kmに過ぎないが、流域である香南市の香我美、野市、赤岡、吉川の各旧町村 の自然、社会、経済、文化の基盤をなしている。
しかしながら、流域は氾濫の歴史でもあり、河積不足と蛇行、多数の井堰の影響で「香宗川が溢れるには雨が三粒降ればよい」といわれたほどである。
○<治水事業の概要>
この、「雨が三粒降れば良い」といわれた香宗川は、戦後、災害復旧による河口部の導流堤や、地盤変動対策事業で下流部の拡幅、護岸工事を実施してきたが、いずれも抜本的な治水対策には至らなかった。そこで昭和41年より中小河川改修事業として本格的な河川改修事業に着手し、昭和46年より最大の懸案であった香宗川放水路の開削工事に着工し、昭和51年出水期前に概成した。
その後、上流河道の改修を促進し、昭和63年には香宗川本川工区L=5400mの改修を終え、平成2年には放水路河口処理(導流堤、防潮堤)が完成した。さらに残る支川山北川工区L=3600mの改修を促進し今年度をもって香宗川広域基幹河川改修事業が完了する見通しとなった。この間、42年の歳月と総事業費約96億8千万円を要した大事業であった。
○<関連する他事業>
この河川改修事業の着手と共に、流域左岸ではこの機を失せずと昭和42年より県営第1号の圃場整備事業、かんがい排水事業が採択され施工されることとなった。これにより6堰の3堰統合可動化、・内水排水ポンプの設置、また昭和48年からは水田転換特別対策事業による圃場嵩上げが行われた。また右岸では、古川、江見、土居、清水川の4排水機場が順次整備され、内水対策が図られた。これらの諸事業は、香宗川河川改修事業、とりわけ放水路の開削という高知県土木史に残る大事業によりはじめて可能となったものである。
○ 最後に用地提供して頂いた地権者の皆様をはじめ、事業に協力頂いた地域住民の皆様、関係機関の方々に心から感謝申し上げます。
「待望の香宗川広域河川改修事業が完成」 (高知県 香南市 仙頭 義寛 市長)
○ 高知県香南市は、高知県の中央部に位置し、平成18年3月1日旧香美郡 南部の5か町村が合併して誕生した、面積約126平方キロメートル、人口約3万4千人の新市です。
○ 県都高知市の東約18キロにあり、高知龍馬空港に隣接し、高知自動車道にも近く、利便性に優れ、南部地域は太平洋に面する海岸と肥沃な平野が東西に広がり、中部地域には低山が連なる中に自然豊かな里山環境があります。また、北部地域は標高約300〜600メートルの四国山地の一部を構成する山林が広がっております。
○ 本市は温暖な気候に加え、年間降水量は県下でも少ない地域であることから、古くから野菜の早出し栽培に取組み、野菜や果物のハウス栽培が盛んであります。緑豊かな森林環境と変化に富む海岸、多様な自然環境に恵まれております。
○ 旧香我美町の西北部秋葉山系とその東部の山々から流れ出る香宗川は、流域住民に限りない恩恵と母なる川として親しみを持つ川であります。しかし ながら洪水となると様相を一変しその驚異は計り知れないものがあります。特に本県は台風銀座といわれ、原始河川である香宗川は、台風や集中豪雨により堤防の決壊や越流で、約600ヘクタールの水田が一瞬にして冠水し農産物に多大な被害を与えるとともに、生活基盤である住宅約200戸が床上床下浸水、多いときには一年間で十数回の被害を受けました。
○ そして昭和38年の出水を契機に、昭和41年度より香宗川の河川改修事業に着手、河道掘削、築堤、護岸整備等を進めてきました。しかしながら、事業期間中も度々浸水に見舞われ、近年では平成5年7月台風5号により床下浸水27戸、平成10年9月豪雨により床下浸水6戸の被害を受けました。
そのような経過を経て、平成19年度をもち、長年浸水被害に悩まされてきた流域住民にとって待望の事業完了となった次第です。この香宗川広域基幹河川改修事業におきまして、長年にわたり協力をいただいた、国土交通省、高知県、用地を提供いただいた流域住民のみなさま、行政関係者に心から感謝とお礼を申し上げます。
○ なお高知県を初め四国地方全域は、今後30年間で52%以上の確率で、南海地震、東南海地震が発生すると予測されております。完成から32年もたっている「岸本放水路の水門」は、老朽化しており、予測されております地震、津波災害には耐えられないではないかといわれており、今後とも国土交通省の皆様には、さらなるご協力をお願いいたします。
2.吉野川中流域での交流体験・・吉野川交流推進会議:大学生による活動 (吉野川水系 徳島県)
○ 9月29日(土)、30日(日)の2日間、吉野川交流推進会議の活動として取り組んでいる「大学生による吉野川の情報発信」の一環として、吉野川中流域(美馬市)で地元のNPOや地域の方々とのふれあい交流体験を行いました。
○ 今回の交流体験は、今年の吉野川交流推進会議常任委員会及び総会で、大学生の視点を取り入れた吉野川に関する情報発信や交流連携等について取り組む旨が可決されたのを受け、大学生が吉野川について学び、またその魅力を広く一般の方々に伝えることを目的に吉野川の中流域において、実施しました。
○ 今回は徳島市内の小学生も参加し、大学生とともに吉野川について学びました。
○ 1日目は、今年度新しく活動し始めた総合型地域スポーツクラブ「AMEMBO」の方々と一緒に、カヤック体験やボート下り(四国三郎の郷〜青石橋までの約2km)を行いました。
○ ボート下りでは、8人乗りのEボートに「AMEMBO」のメンバーに大学生と小学生が乗り込み、吉野川中流域の特徴である竹林・瀬・渕・砂州を見ながら、吉野川中流域の川の特徴を、普段では味わえない自然体験という形で知ることが出来ました。
○ 2日目は、NPO「美馬体験交流の会」の方々の指導のもと、近くにある竹林から切り出した竹を使用し、箸やカップの製作を行い、地元にある伝統文化に触れることが出来ました。
○ 今後もこういった交流等を実施しながら、大学生が吉野川の魅力を情報発信して行くこととしています。なお、今回の体験は吉野川交流推進会議のHPでも報告する予定です。
3.旧吉野川における不審物(爆弾)の発見及び処理 (吉野川水系 徳島県)
○ 10月3日(水)午後0時30分頃に、旧吉野川23k/8付近(第十樋門から旧吉野川に向け、下流300m
付近)で、吉野川中央漁協がアユの産卵場の整備途中に爆弾らしき不審物が発見され、板野警察署へ通報がありました。爆弾は赤茶色に錆ていて、長さ1.35m×直径25cm、重さ約50kgの円筒形でした。
○ 10月4日(木)午前10時過ぎより、板野警察署、上板町役場、上板町消防団、徳島河川国道事務所、水資源機構旧吉野川河口堰管理所の立会のもと、陸上自衛隊第14旅団司令部第4部が、現地にて確認した結果、旧日本軍の航空機爆弾と判明しましたが、起爆装置、爆薬とも無い状態であり、爆発の危険性は無いものと判断されました。
○ 発見された爆弾については、徳島河川国道事務所が10月4日(木)14時より、撤去を行い、上板町役場へ運搬し、上板町が保管しています。今後、上板町泉谷の「町歴史民族資料館」などで資料展示する予定です。
4.平成19年度 河川技術研究会(リバーカウンセラー会議)を開催 (四国地方整備局)
○ 平成19年10月3日、四国地方整備局において「平成19年度 河川技術研究会(リバーカウンセラー会議)」を開催しました。
○ 今年度より「リバーカウンセラー制度」を再編し、四国内の一級河川の調査・計画・工事・管理において、各水系の抱える技術的な課題の解決に向けた、共同研究、意見交換、啓発活動を行うことを目的としています。
○ リバーカウンセラーとして四国内の各大学の先生方9名に委嘱を行っており、初回となる今回の会議には全員参加していただきました。
(リバーカウンセラー)
岡部 健士 教授 徳島大学大学院
湯城 豊勝 教授 阿南工業高等専門学校
竹林 洋史 准教授 徳島大学大学院
田村 隆雄 助教 徳島大学大学院
大年 邦雄 教授 高知大学
岡田 将治 准教授 高知工業高等専門学校
渡邊 政広 教授 愛媛大学
門田 章宏 講師 愛媛大学大学院
石塚 正秀 准教授 香川大学
○ 会議では、リバーカウンセラーの研究成果について発表をいただき、河川工学の最先端の知識を得ることができました。また、各事務所から現在河川が抱えている課題について発表をし、河川工学上の問題点や課題について認識を深めていただきました。
○ 今後は、河川を研究のフィールドとして活用し、研究・アドバイスを頂いていく予定で、本会議は年一回程度の開催を考えています。
5.水辺八十八カ所エコーはがきを発行 (高知県)
○ 「四国のみずべ八十八カ所」実行委員会高知部会では、「認知度を高める活動」の一環として、県内はもとより県外の方々に広く知っていただくために「四国のみずべ八十八カ所」のうち「高知のみずべ二十三カ所」を取り上げたエコー葉書を発行することとなりました。
○ 今回の企画デザインの意図として、平成13年度に一般公募により選定し決定された「四国のみずべ八十八カ所」のロゴマークを分母に「高知のみずべ二十三カ所」を分子として強調しました。また、高知県内のみずべ二十三カ所を水系別に大別し、みずべ二十三カ所の位置とみずべ景観写真を小さいながら全カ所掲載しました。
○ なお、エコー葉書は11月8日(木)9時から高知県内の郵便局で一斉に発売されます。発売枚数は8万枚ですので、高知県内の郵便局にお立ち寄りの際は是非ご購入(1枚45円)をお願いします。発売のお知らせについては10月16日(火)に郵便事業株式会社四国支社においてマスコミ報道されます。また、同時にエコー葉書の発行については当事務所のホームページ、高知県観光コンベンション協会のよさこいネットでも掲載する予定です。
○ 皆様のエコー葉書の使用により、送る方と受け取る方を通してみずべ八十八カ所がより広く知られる事を期待しております。
「四国河川ニュース」に関するご意見、ご要望や四国の河川についての資料の要求、また河川に関するニュースなどがありましたら、以下までご連絡をお願いいたします。
■連絡先■ 四国地方整備局 河川部 河川管理課 課長補佐 永原 隆
〒760-8554高松市サンポート3番33号
TEL 087-851-8061(代)マイクロ88-3753(永原)
mailto:rivers-news@skr.mlit.go.jp
FAX 087-811-8416(河川計画課)
──────────────────────────────────────────
四国地方整備局 ホームページURL(河川)
http://www.skr.mlit.go.jp/kasen/index.html
四国地方整備局 ホームページURL(四国河川ニュース)
http://www.skr.mlit.go.jp/kasen/topics/news/news.html