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四国河川ニュース
《9/8(土)〜9/14(金)》312号
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【2007. 9.18発行】
○四国・水こぼれ話談話室Vol.89○
○ 「濁水と森林崩壊」 高知県 香美市 門脇 槇夫 市長
○今週のニュース○
○ 四国地方整備局管内の渇水状況の報告(続報1) (四国地方整備局)
○ 河辺川における水生生物による水質の簡易調査を実施 (肱川水系 愛媛県)
○ ダイオキシン類及び環境ホルモン等試料採取の現地説明会を開催 (四国地方整備局)
1.四国・水こぼれ話談話室Vol.89
「濁水と森林崩壊」 (高知県 香美市 門脇 槇夫 市長)
○ 香美市は、四万十川、仁淀川と並ぶ高知県下3大1級河川の1つ物部川の上中流域に位置する3町村が合併し、平成18年3月に誕生しました。面積 は約538km2、北部山間地域の地形は、概ね1,000〜1,800mの高 峰が周囲にそびえることから急峻で、棚田や集落が広範囲に点在しています。人口の3分の1は平野部に集中しています。年間降水量は、平野部の2,400mmに対して山間部では4,000mmを記録することもあり、温暖な気候とあいまって森林資源の形成や農作物の育成に適した地域です。
○ 香美市の約9割を占める森林の多くは、剣山国定公園、奥物部県立自然公園、龍河洞県立自然公園に指定されており、物部川及び支流は、高知県でも有数のアメゴ、アユの釣り場であり、カワセミ、ホタルなども観察され、紅葉で名高いべふ峡、轟の滝(日本の滝百選)などがあります。
○ このように、自然に恵まれた環境でありますが、香美市を流れる物部川は近年濁水に悩まされております。集中豪雨のたびに上流域で山崩れが起こり、大量の土砂が川へ流れ込み、下流域に長期にわたり濁水をもたらすためです。濁水の長期化は川の生態系を破壊し、河床の環境を悪化させ、漁業者に深刻な被害をもたらし、用水路の水を使う農家にも濁水散布被害が発生しています。
○ 森林崩壊の主な原因は山の荒廃であり、その要因としては、山林火災(93年発生476.66ha焼失)、棚田の減少、ニホンジカ等有害獣増加による 食害の深刻化などがあげられますが、そのほか高度成長期に大規模に行われた拡大造林によるものがあります。天然林を伐採し植えられたスギ・ヒノキ が成長盛りの時期で多くの水を吸い上げ、その結果山の保水力の低下を招いています。また、林業の衰退により放置され間伐の行われていない人工林はモヤシ林状態で、根の張りが浅く土壌を抑える力が弱いため崩壊が生じやすくなっています。
○ 濁水の原因としては、そのほかに物部川の3つのダムに大量に堆積されたヘドロの流出や流域の生活排水等が考えられます。
○ 頻度が増加する豪雨や急激に増加した有害獣も温暖化の影響によるものと考えられ、元を正せばこれらの事は利益・利便性を追求した人間に原因があります。自然の警鐘は至るところで鳴らされ始めています。手遅れかもしれないが私たちはこの問題に真剣に立ち向かっていかなければならない。
2.四国地方整備局管内の渇水状況の報告(続報1) (四国地方整備局)
○ 四国地方は、8月上旬の台風5号による降雨以降、まとまった降雨がなく、平年に比べて少雨傾向が続いていました。
○ その影響が高知県を中心に出始め、8月30日に鏡川(鏡ダム)で自主節水が始まり、9月7日に物部川(永瀬ダム)で取水制限が始まりました。
○ その後もまとまった降雨がないため、自主節水を継続していた鏡川で9月12日13時より取水制限が始まり、また、吉野川(早明浦ダム)でも降雨がなかった場合9月16日前後から取水制限が開始される予定でした。
○ これらの状況を受けて、9月12日に高知市渇水対策本部が設置され、9月14日に四国地方整備局渇水対策本部、徳島河川国道事務所渇水対策支部、吉野川ダム統合管理事務所渇水対策支部が設置されました。
○ しかし、台風11号によって四国南部を中心にまとまった降雨があり、取水制限を実施していた永瀬ダム、鏡ダムの渇水が解消され、そして取水制限 を予定していた早明浦ダムについても満水となりましたので、9月14日から設置していた「四国地方整備局渇水対策本部」は、本日(9月18日10時)解散しました。
○ 当面、取水制限等の可能性は低くなりましたが、日頃からの節水に御協力をお願いします。
3.河辺川における水生生物による水質の簡易調査を実施 (肱川水系 愛媛県)
○ 山鳥坂ダム工事事務所では、9月5日に地元小学生の協力を得て、河辺川で水生生物調査を実施しました。郷土の川への関心を深め、水質保全・河川愛護思想の普及・啓発を図ること目的として、水生生物を指標とした水質の簡易的な評価を行いました。
○ 河辺小学校の3、4年生、計15人が参加してくれました。時折、水の流れに足を取られながらも、懸命に石をめくって裏側についている生物を採取してくれました。また、CODとPHのパックテストも行いました。
○ 採取した生物には、カワゲラやヒラタカゲロウ、サワガニ等が多く見つかり、河辺川がきれいな水であることを確認することができました。今後も、このような活動を通して、河川を愛護する気持ちを持っていって貰えたらと思います。
4.ダイオキシン類及び環境ホルモン等試料採取の現地説明会を開催 (四国地方整備局)
○ 9月12日(水)に土器川において、ダイオキシン類及び環境ホルモン、医薬品の試料採取における説明会を実施しました。
○ ダイオキシン類及び環境ホルモン、医薬品調査の測定濃度は、ダイオキシン類がpg-TEQ/L(ピコグラム/リットル)、環境ホルモンがμg/L(マイクロクラム/リットル)、医薬品がng/L(ナノグラム/リットル)であり、それぞれ1兆分の1、100万分の1、10億分の1と非常に小さいため、環境中(大気等)からの汚染に十分注意しないと、河川での濃度を調査しているのか、環境中の汚染状況を調査しているのか、わからないようなことになります。
○ そのため、四国地方整備局及び四国技術事務所では、必要な調査精度を確保するために、採水業者の担当者及び監督職員等を対象に、採水作業及び運搬時の注意事項等についての説明会を実施したものです。
○ 説明会は、品質管理・精度管理の向上を図るために、今後も継続していく予定です。
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■連絡先■ 四国地方整備局 河川部 河川管理課 課長補佐 永原 隆
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