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四国河川ニュース
《12/17(土)〜12/23(金)》224号
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【2005.12.26発行】
◆2005年も残りわずかとなりました。今年は11年ぶりの大渇水に見舞われ各地の被害が深刻な折りに、一転して台風14号の影響による洪水被害が生じたり、また暮れには日本海側を中心に12月では珍しく観測史上発の大雪に見舞われるなど、年間を通じて激動の年となりました。
◆今年の四国河川ニュースも今回で最後となります。来年は、1月10日からお送りさせていただきます。本年同様よろしくお願いいたします。
○四国・水こぼれ話談話室Vol.22○
○
「清流四万十川」に関する話題(高知県 大正町 中平 義幸町長)
○今週のニュース○
○平成17年度 第3回四国地方整備局新技術活用評価委員会の開催報告(四国管内)
○平成18年度予算内示情報 (四国管内)
○第2回アゴヒゲアザラシに関する検討会を開催(那賀川水系 徳島県)
○ 「四国のみずべ八十八カ所」隠れた秘境紹介〜28番 轟の滝〜(高知県内)
1.四国・水こぼれ話談話室Vol.22 「清流四万十川」に関する話題 (高知県 大正町
中平 義幸町長)
○大正町は「清流四万十川」の中流域にあって、豊かな自然と厚い人情に育まれた「花とロマンの里」でございます。大正町の水を語るとき四万十川をなくして語ることはできません。また、四万十川を語るときダム問題をなくして語ることはできません。
○四万十川は日本に残る最後の清流として全国的に知られております。ゆったりと雄大な流れ、河川流域の豊かな自然、そして本流にダムのない川として。
○しかし、実際には家地川ダム(佐賀取水堰)があります。このダム直下の大正町では冬場の渇水期には一滴の水も流れないという状況にありました。家地川ダムでせき止められた水は、水力発電のため別水系に分水され再び四万十川に戻ることはありません。
○このようなことから大正町には、ダム設置反対、ダム撤去の長い住民運動の歴史がございます。
○現在では、2001年4月の発電水利権更新時の国土交通省四国地方整備局のお力添えによりまして、冬場の渇水期でも毎秒1.13トンの河川維持流量となり、さらに夏場には国のガイドラインの約3倍に当たります毎秒3.4トンが放流されるとともに、水利権更新期間も更新前の30年から10年に短縮をされております。これによりまして冬場に河川が干上がるという状況は、回避をされました。
○大正町は、来年3月20日に隣接する流域の3町村が合併して、名実ともに「四万十町」となります。四万十川が「清流四万十川」として、日本の宝としていつまでもその名を後世に残していくためには、いつの日かダムのない、そして鮎が自然に遡上できる川となることが大正町民の願いです。
○なお、標記内容の詳細は、次の四国地方整備局HPにおいても掲載していますので、ご覧下さい。またこのメールは、各市町村長様にもご担当より転送して下さいますよう、お願い致します。
http://www.skr.mlit.go.jp/kasen/topics/mizukobore/index.html
2.平成17年度 第3回四国地方整備局新技術活用評価委員会の開催報告(四国管内)
○12月19日(月)、平成17年度第3回四国地方整備局新技術活用評価委員会(委員長:室 達朗 愛媛大学名誉教授)が、高松市内で開催されました。
○今回、下記3技術について審議(事前評価)を行い、直轄現場において試行することに問題がない(試行可である)ことが確認され、事前評価結果として決定されました。
○また、四国独自のテーマ設定による技術公募のあり方について意見が交わされ、四国のためになる技術公募を行うためのテーマの設定の仕方や課題等について議論が交わされました。
○なお、今回事前評価が行われた技術については、今後直轄現場において試行等を行い、「経済性,安全性,耐久性」等の評価(事後評価)を実施していく予定です。
技術1 Eウォール(大型ブロック積み擁壁、日本興業梶j
技術2 ドリームブロック(大型ブロック積み擁壁、ランデックス工業梶j
技術3 粉塵低減材ファイナッシュ(石炭灰を活用し吹き付けコンクリート施工時に粉塵を低減、四国電力梶j
[問合せ:四国地方整備局 企画部 施工企画課(087-851-8061)]
3.平成18年度予算内示情報(四国管内)
○12月20日(火)、平成18年度予算内示が行われ、国土交通省河川局所管予算が新規制度等を含め総額1兆86億円(前年比0.97)で内示されました。
○河川局関係の新規制度等については、以下のとおりとなっています。
@土地利用一体型水防災事業の創設
土地利用状況等を考慮し、連続堤で整備した場合よりも効率的かつ効果的である場合には、床上浸水被害等を解消するために行う輪中堤の築造や宅地の嵩上げ、浸水防止施設、貯留施設等の整備等を実施する制度を創設。
A総合内水対策緊急事業の創設
外水対策に対して劣後であった内水対策について、ハード対策とソフト対策を河川管理者と地方公共団体等が連携して緊急的・先行的に実施する制度を創設。
B総合流域防災事業の拡充(洪水調節施設機能高度化事業の創設)
総合流域防災事業を拡充し、洪水調節機能の向上を図るために行う既設の遊水地、調節池等の改良を実施する。
C地震・高潮等対策河川事業の拡充(河口部における津波対策等の拡充)
津波・高潮対策事業に津波・高潮による浸水想定区域に係る調査を追加するとともに、津波による被害が想定される指定区間内の一級河川又は二級河川のうち、耐震対策を必要とする河川についての耐震対策事業等を追加する。
D直轄堰堤維持事業の拡充(事前放流に伴う損失補填)
事前放流した利水容量が対象とした洪水で回復せず、利水者に実損が生じた場合、一定の基準に基づき公共費で利水者の実損額を補償する。
E砂防関係事業の採択基準改正(警戒避難体制との連携強化)
砂防堰堤等のハード施設の新規採択にあたっては、原則として当該ハード施設整備によって被害が軽減される地域内において、土砂災害危険箇所の公表等のソフト対策が実施済であることを義務付け。あわせて、保全対象に避難場所を含む土砂災害危険箇所について、保全対象が避難場所のみであっても採択できるよう事業制度を改正。
F津波・高潮危機管理対策緊急事業の創設
津波・高潮発生時における人命の優先的な防護の推進を目的として、従来の津波危機管理対策緊急事業を高潮対策にも拡充し、一連の防護区域を有する海岸において、地方が作成する津波・高潮危機管理対策緊急事業計画に基づき、津波・高潮対策を推進する制度を創設。
○新規採択箇所
建設事業着手
(直轄)河川総合開発事業 肱川水系:鹿野川ダム改造事業
・既設鹿野川ダムの改造を行うとともに、発電容量を振り替え、洪水調節容量の増強、環境(不特定)容量の新設を行う。
4.第2回アゴヒゲアザラシに関する検討会を開催(那賀川水系 徳島県)
○12月20日(火)、阿南市内のロイヤルガーデンホテルにおいて、アザラシ「ナカちゃん」と今後の災害復旧工事等のあり方について、「第2回アゴヒゲアザラシに関する検討会」を委員4名の出席のもとに開催致しました。
出席された委員は、以下の方々です。(五十音順)
徳島大学工学部 鎌田 麿人 助教授
徳島県立博物館 佐藤 陽一 専門学芸員
海遊館 飼育展示部 地本 和史 課長代理
阿南工業高等専門学校
湯城 豊勝 教授
○会議では、第1回検討会の指摘事項である、ナカちゃんの行動範囲や他の休息場所の把握、水中騒音・振動、水質汚濁、急激な環境変化に対する予測などに関し、多摩川等に出現したタマちゃんと比較してとりまとめた調査・検討結果を事務局より報告しました。
また、これらの状況から工事実施に対しては、@シルトフェンスを2重に設置し、A重機の速度をゆっくり作業するなどへの配慮、並びに監視を行いながら工事を継続するなどの提案を行いました。
○事務局の説明を踏まえ、委員の方々には今後の工事のあり方について議論していただき、以下のような意見が出されました。
@工事再開による影響は生息可能な範囲内。
A工事再会にあっては徐々に慣らしていくことがポイント。工事のパターンを作ってそれに慣れてもらう。
Bまず横見のほうから日を決めて始めてみる。赤池のほうは早めにシルトフェンスを設置し、慣れてもらう。
C事務局提案の騒音等への配慮をして工事を行うと同時にナカちゃんのパターンを監視する必要がある。
○以上から、ナカちゃんと共存共生できるよう、配慮しながら工事を再開する ことが決まりました。
5.「四国のみずべ八十八カ所」隠れた秘境紹介 〜28番 轟の滝〜(高知県内)
○轟の滝は奥物部県立自然公園内に位置し、高知市から国道32号を高松方面へ10q近く走行し右折、 国道195号に入り香北町方面(徳島方面)へ進み、土佐山田町を抜けて香北町に入り右手にアンパンマンミュージアムを確認したら、さらに2q近く走ると「轟の滝」という案内標識を見ることができます。そこを左折して県道に入り、後は看板の示す方向へ8q近く進めば、約1時間30分で滝の駐車場にたどり着くことができます。
駐車場はおよそ十数台分はあり、そのすぐそばには公衆トイレもあります。
駐車場から滝までは遊歩道が整備されているので、500M歩くと滝の正面の展望台に到着します。
遊歩道の入口から1周1kmの遊歩道を歩くと、いろいろな角度から滝を見ることができます。
○香北町のシンボルとも言うべき轟の滝は物部川の支流に落差82m(三段)の瀑布がごうごうと水しぶきを上げています。
最上段の滝壺は直径約15mの甌穴で、滝壺脇には繁栄と幸福の女神・玉織姫を祭る轟神社があり、その西側に幅5m、落差82mを三段(上段23m、中段25m、下段34m)の飛瀑と三ツ(最深部17m)の深淵をつくり、木立を震わせ落下するその姿は土佐十景の一つに数えられ、西日本でも一、二を争う優美な滝と絶賛され、濃緑色の滝壷に引き込まれそうな錯覚をおこす、幻想的な滝です。
神社を通って滝見道を下りると滝下から眺めることが出来ますが、反対の山側にある滝見台から見る轟の滝も絶景です。
滝の周辺は春の桜、夏の新緑、また秋は紅葉の景勝地として賑わい、高知県の天然記念物および名勝指定を受け、また、「日本の滝100選」にも選ばれています。 また、青く輝く滝壷は魔の深淵となって太古の幽玄をたたえ、玉織姫にまつわる平家伝説の哀れな話も伝わっています。
○この神秘的な滝壺には平家一族、伊和三太夫とその一人娘の「玉織姫伝説」といわれる不思議な伝説があります。
「その昔平家一門、伊和三太夫の一人娘玉織姫は、近郷に比類のない美貌を持った機織りの名人でした。ある日玉織姫は川向こうに機織り道具を返しに行ったっきり、夜遅くなっても帰ってきませんでした。玉織姫は滝の主の大蛇に見初められ滝壷に引き込まれてしまったのです。姫の身を案じた三太夫は、滝壺に大蛇が住んでいることに思い当たるや、家伝の名刀を握りしめ滝へ駆け付けました。三太夫は激しい憤怒と共に小太刀を口にくわえて、濃藍の滝壺めがけて身を踊らせました。水底には乾いた岩盤の世界があり、姫が父を待っていました。姫は背が高く眉目涼しげな若侍を父に引き合わせ、三日間父を接待しました。友に帰ろうとする父に姫は形見の絹六巻を渡し、惜別の情断ち難くも永遠の別れを告げました。生還してきた三太夫は三年の月 日がたっていたことに驚きました。その後、柚の木の山里には平和な日々が訪れ、次第に繁栄していった。」と伝えられています。
○地元に伝わるこのような伝説もさぞやと思わせるほど、轟の滝は見るものの魂を奪うような神秘的なたたずまいです。高知県中央部に位置する御在所山の北麓、日比原川の上流でごうごうと飛沫を轟かせている。年に一度、町民全員(全戸)参加の愛護作業を行っていて、平成2年には「日本の滝百選」にも選ばれた名瀑です。
展望台から見た轟の滝。滝は3段に分かれていいます。
滝壷は深く青々としている
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四国地方整備局 河川部 河川管理課 課長補佐 大谷忠夫
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FAX 087-851-8474(河川計画課)
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