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四国河川ニュース

11/19(土)〜11/25(金)》220号

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2005.11.28発行】

 

○四国・水こぼれ話談話室Vol.18○

○水明の郷の歴史とひとびとの営み(香川県 東かがわ市 中條 弘矩市長)

○今週のニュース○

○第7回吉野川現地(フィールド)講座開催〜吉野川の外来植物対策について〜(吉野川水系 徳島県) 

○四国南海・南海地震対策連絡調整会議 広域連携部会による広域合同演習の実施について(四国管内)

○阿南高専生と共に「那賀川流域バスツアー」・「桑野川探検隊」を開催(那賀川水系 徳島県)

○ 「四国のみずべ八十八カ所」隠れた秘境紹介 〜21番 母川〜 (徳島県内)

              

 

1.四国・水こぼれ話談話室Vol.18  水明の郷の歴史とひとびとの営み (香川県 東かがわ市 中條 弘矩市長)

 

○東かがわ市は、その名のとおり香川県の東端に位置する自然豊かな町である。南に阿讃山脈、北に瀬戸内海を臨み、大きな山、川、平野はなく、温暖少雨の典型的な瀬戸内海気候によって育まれてきた土地柄と言える。そのある山懐に水主という地がある。さほど高くもない山々に囲まれた中を与田川という小さな川が流れ、ほぼ中央に水主神社という鄙びた社がある。その言伝えは古く奈良時代に遡り、創祀の時期は定かでないが朝廷から正一位の官位を授かり、主祭神は、日本書紀にも記されている皇女百襲姫命と言われている。

 

○水主の地名と関係あることかどうかは知らないが、この地の水は清浄で飲料にも適し、名水として知られてきた。とは言え、香川の地は少雨でしかも保水力がなく、昔から農業用水が不足する宿命を背負ってきたが、この地も例外ではなく、水にまつわる苦労の歴史は数知れないものがあったようである。そのような苦労も、香川用水や農業基盤整備、パイプライン施設などの整備によって飛躍的に改善され、複雑な水利組合の統合や集落営農など昔では考えられなかったようなことも現実のものとなり今や昔の感がある。

 

○十数年前からこの地には不向きと言われたコシヒカリを作付けし、今ではおいしい「みずし米」として好評で、知る人ぞ知るブランドとなりつつある。のどかな土地柄、人柄のなかで意欲的な取り組みがなされていることは誠に心強い限りである。

 

○その地が昨年、記録的な集中豪雨をもたらした台風23号によって大きな被害を受け、深い傷を負うこととなった。途方にくれる人も多かったと思われるが、願わくばチャレンジ精神や営農意欲を損なうことのないよう祈りたい。今は、災害復旧工事がハイピッチで進められているが、一日も早く、蛍が飛び交うのどかな水明の郷が蘇えるよう願うばかりである。

 

○なお、標記内容の詳細は、次の四国地方整備局HPにおいても掲載していますので、ご覧下さい。またこのメールは、各市町村長様にもご担当より転送して下さいますよう、お願い致します。

 

        http://www.skr.mlit.go.jp/kasen/topics/mizukobore/index.html

 

 

2.第7回吉野川現地(フィールド)講座開催 〜吉野川の外来植物対策について〜 (吉野川水系 徳島県)

        

 

○11月19日(土)、徳島河川国道事務所では、「吉野川の外来植物対策」と題して今年度7回目のフィールド講座が、阿波市吉野町西条の河原(西条大橋の下流)で実施されました。(国土交通省、徳島県、吉野川シナダレスズメガヤ対策検討委員会、吉野川交流推進会議の共催)

 

○近年、吉野川では外来種であるシナダレスズメガヤが急激に繁茂してきたことから、平成16年1月に吉野川シナダレスズメガヤ対策検討委員会を立ち上げ、継続的に試験施工やモニタリング調査を実施しているところです。今年度は、これまでの調査結果を踏まえて、洪水時に流れを阻害するヤナギ群落を伐採し、河床の攪乱を促し洪水の力を利用してシナダレスズメガヤを消失させる試験を実施しております。そこで、今回のフィールド講座では、洪水時におけるヤナギ群落の影響やヤナギの生態について、現地を観察しながら学んでいただくことを目的としています。

 

○今回のフィールド講座では、総勢約70名と多くの方々に参加していただきました。また、当日は徳島市内では朝から雨が降っていましたが、会場では時折日の差す穏やかな好天に恵まれ、足の取られそうな河原を歩く方々の中には汗ばんでおられる方もいらっしゃいました。

 

○始めに徳島河川国道事務所から外来種対策の経緯や調査結果などを説明した後、ヤナギ伐採の試験区に移動して、徳島大学環境防災研究センターの岡部センター長により講義をいただきました。講義の中では、ヤナギの樹林化による洪水時の水位上昇や河床の洗掘・堆積のメカニズムについて分かりやすく説明していただきました。特に、洪水の流れを阻害するヤナギ群落の影響について、廊下をジョギングする大人と子供に例えて説明されたのは印象的でした。

 

○続いて、吉野川に見られるヤナギの生態について、徳島県自然保護協会会長の森本先生から講義をしていただきました。ヤナギ試験区では、様々な伐採方法の効果を検証するためのモニタリング調査を実施していることから、伐採してもすぐに再生するヤナギの生態を、「ヤナギの七不思議」と題して分かりやすく説明して下さいました。

 

○参加者の皆さんは、両先生方のお話を大変熱心に聴講されており、今回のフィールド講座から洪水時におけるヤナギ群落の影響やヤナギの生態について十分に学んでいただけたと思います。

 

○講座の最後には、洪水後に露出したヤナギの伐採体験をしていただきました。参加者の中には、チェーンソーを持参して伐採している方もおられ、皆さんのやる気が十分にうかがえました。

 

○講座の最後に実施したアンケートの結果によると、河道内の植生が洪水に影響を与えることを初めて聞いた人も多くいらっしゃったようです。直接ものに触れる体験と詳しい講義が一度に味わえたことについても好評をいただきました。

 

○吉野川における外来植物対策は、今後も引き続き調査・検討を行い、河川本来の多様な環境づくりに取り組んでいきたいと思っています。

 

 

3.四国南海・南海地震対策連絡調整会議 広域連携部会による広域合同演習の実施について(四国管内) 

            

 

○11月21日(月)、四国地方整備局では高松市の県民ホールにおいて、四国東南海・南海地震対策連絡調整会議の広域連携部会(各機関の部長級の会議)による広域合同演習(図上演習)を実施しました。今回の演習は、「四国全体の被害様相(地震被害、津波被害)の共通認識」「広域連携の内容とその際の課題の把握」の2点を目的に実施しました。

 

○演習方法としては、富士常葉大学の小村助教授の進行のもと、DIGの要素を取り入れたディスカッション形式の図上演習を採用しました。DIGとは、参加者が地図を使って防災対策を検討する演習でDisaster(災害)、Imagination(想像力)、Game(ゲーム)の頭文字を取って命名されたものです。

 

○東南海・南海地震が発生すると、高知県へのアクセスは高速道路だけがたより、高知県は80%が停電となる。港は漂流物でしばらく使えない。NTT回線は電話基地局は地震動には耐えるが、停電すれば1日程度しかバッテリーが持たず不通となる。JRは土砂崩れがあれば復旧に数ヶ月必要、等について情報の共有が図られました。

 

○演習はこのような被災想定を基に実施し、被災情報の空撮映像を国土交通省の光ファイバーのネットワーク等を使って共有したい。大型ヘリコプターが使用可能なヘリポート情報の共有化を図りたいなどのディスカッションがなされました。

 

○これらの課題については、専門部会で検証し、具体的な連携体制を組み立てることとしています。

 

○連絡調整会議の概要については、四国地整HP http://www.skr.mlit.go.jp/より、「防災・災害」をクリックし、下の方の四国地方整備局の取り組み「四国東南海・南海地震対策連絡調整会議」を参照下さい。

 

 

4.阿南高専生と共に「那賀川流域バスツアー」・「桑野川探検隊」を開催 (那賀川水系 徳島県)

                       

 

【H17那賀川流域バスツアー】

○11月22日(火)、阿南工業高等専門学校5年生34名が湯城教授(同校建設システム工学科)の説明を受けながら、那賀川についての理解を深めようと那賀川の北岸堰(羽ノ浦町古毛)から高の瀬峡(那賀町(旧木頭村))にかけて自然環境や川の特徴を見学・調査し、流域の現状を見て回りました。

 

○北岸堰(羽ノ浦町)と長安口ダム(那賀町(旧上那賀町))ではパックテストと呼ばれる簡易検査器具でpH(水素イオン指数)とCOD(化学的酸素要求量)を測定しました。

 

○那賀川河川事務所では那賀川の管理者として同行し、流域の説明と水質調査の補助を行いました。

 

【H17桑野川探検隊】

○11月24日(木)、阿南工業高等専門学校4年生29名が、桑野川についての理解を深めようと桑野川の一の堰(阿南市富岡町)から長生橋(阿南市長生町)までを歩き、自然環境や河川構造物、埋蔵文化財調査現場を見学・調査し、桑野川の現状を見て回りました。

 

○今年は、那賀川河川事務所職員と共に、7月に当事務所にきていた阿南高専4年生の実習生が”特別ガイド”を努め、学生に説明を行いました。

 

○また、班に分かれて、富岡新橋(阿南市富岡町)と大津田樋門(阿南市長生町)ではパックテストと呼ばれる簡易検査器具でpH(水素イオン指数)と COD(化学的酸素要求量)を測定しました。

 

 

5.「四国のみずべ八十八カ所」隠れた秘境紹介 〜21番 母川〜 (徳島県内)

       

 

○国道55号を徳島方面から南下すること約2時間あまり、海部川を過ぎてすぐ左手前方に、海部町役場の建物が見えてきます。役場を過ぎたすぐの交差点を右折し5分程進むと、四国でもトップクラスの水質を誇る、海部川の支川母川に到着します。

 

○この母川は、昔から源氏ボタルの生息地としてしられており、県内外の多くの人達に知ってもらおうと、昭和56年から「蛍まつり」が始まりました。まつりは、毎年六月の第三土、日曜日の二日間、母川の河川敷まつり会場で行われ、延べ参加人員は、町の人口の7倍近い約2万人が訪れる町の一大行事になっています。

 

○蛍まつりは、ぼんぼりを掲げた昔ながらの高瀬舟の遊覧が川面を滑る中、闇を乱舞する源氏ボタルの光が幻想的に水面に映ります。川べりには、大きな手作りの水車がゆっくりと回り、情緒たっぷりのまつりの風情を醸し出します。また、まつり会場では、この他に野点や俳句・川柳の会、笹舟づくり教室など盛りだくさんのイベントが催されています。

 

○またこの母川には、オオウナギ伝説や逸話が言い伝えられ、中でもオオウナギが洞穴の奥からせり割って出てきたという、「せり割り岩」の伝説は有名だそうです。オオウナギは、淡水に生息する熱帯性の魚で、日本が生息の北限となっており、日本では海部町の他、長崎、和歌山など数カ所で発見されているようです。この「せり割り岩」の周辺は、オオウナギの生息地として、国の天然記念物にも指定されています。

 

○是非一度、初夏の夕べの一時を幻想的なホタルと過ごしてみては、如何でしょう。

 

 

 

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760-8554高松市福岡町4丁目26−32

TEL 087-851-8061(代)マイクロ88-3753(大谷)

FAX 087-851-8474(河川計画課)

四国地方整備局 ホームページURL(河川)

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