《市町村合併に関するお問い合わせ》No.4

 

 ○○財務局より、合併が4月1日で行われる市町村の予算について繰越を行う場合、収支の消滅により予算そのものが消滅するということから、繰越行為自体が不可能であると指摘されました。よって、事業が繰越される場合は、繰越予算相当額が不用額となってしまうことになり、補助事業の円滑な執行に多大な影響があります。どう対処すればよいかご教授下さい。

 【参考】 地方自治法施行令第5条
 1 普通地方公共団体の廃置分合があった場合においては、その地域が新たに属した普通地方公共
  団体がその事務を承継する・・・
 2 前項の場合において、消滅した地方公共団体の収支は、消滅の日を以てこれを打ち切り、当該地
  方公共団体の長・・・がこれを決算する。

答:
 この承継とは、財産以外の債権債務等のみならず、一切の行政処分も含むと解されており、一般的には、何らかの法律関係が形成されるに至っているものは承継されるとされています。しかし、予算については、地方公共団体の内部意志の決定にすぎず、第3者との法律関係が生じていない(未契約の)場合は、合併関係市町村の消滅と同時に効力を失うこととなります。つまり、市町村において、繰越財源である国費の歳入予算が消滅してしまうのと同時に、歳出予算が3月31日時点ですべて決算されることにより繰越ができないといった状況が生じることになってしまいます。
 しかし、補助事業の場合、補助事業者が補助金等の交付の決定を行った上で予算の執行を図るが、この場合、行政処分としての交付決定により、補助事業者は補助金等の交付を受けるべき権利(補助金等交付請求権)を取得するという法律効果を生ずることとなります。 よって、交付決定は債務者である国と、債権者である補助事業者の間で取り交わす法律行為であり、交付決定を受けている予算については、法律関係が形成されているものとして、当然にその権利は承継されることとなります。