高知県西南部豪雨災害に関する
住民アンケート結果速報

〜 概  要 〜

平成13年11月 高知県西南部豪雨災害検討会
 本報告は、高知県西南部豪雨災害で被災された住民の方々に対し、後述する目的、要領で実施したアンケート調査の第1次集計結果をとりまとめたものである。第1次集計では、アンケート調査結果の単純集計から伺える防災や避難行動に対する地域の特性について報告する。今後、このアンケート調査結果の詳細な分析を行い、地域の復興計画や防災計画に反映していく所存である。

■アンケート調査の概要
1.調査の目的

 住民一人一人が水害・土砂害に備えて避難などの適切な行動がとれるように、洪水時の 効果的な情報提供や避難誘導対策、そして今後の復興計画の立案や防災計画に反映していくために、今回災害にあわれた住民の方々に豪雨時の行動や日頃の備えについてアンケート調査を行った。

2.調査項目(設問及びその内容については、別添アンケート調査表のとおり)
 (1)ご家族のことなどについて
 (2)避難の状況や災害時に感じたことについて
 (3)救助の状況について
 (4)今回の豪雨における情報について
 (5)今回の災害時に何をしたかについて
 (6)日頃の災害に対する備えについて
 (7)今回のことや防災機関に対するご意見について

3.調査対象
 河川の浸水被害等が発生した14河川の川沿いの集落を対象に、4市町村で、家屋が浸水被害・土砂害等に関係したと考えられる集落を住宅地図よりリストアップし実施した。(別紙「水害に関するアンケート調査対象地域図」のとおり)
   (1)アンケート対象世帯:1,969世帯

4.調査時期
 平成13年10月7日(日)から平成13年10月14日(日)までの8日間

5.調査方法
 10月7日、8日の2日間で、アンケート調査表を対象の全世帯に配布し、回答を御願いした。9日から調査員が各世帯を訪問し、ヒアリングしながら回収を始め14日に終了した。(調査員75名延べ402人)

6.回収結果
 (1)調査対象世帯
    ・調査対象世帯               1,969世帯
 (2)調査票の回収
    ・回答者                   1,627人
 (3)回答率
       1,627人/1,969世帯=82.6%

7.アンケート結果速報から見い出せる特徴
 別紙資料のとおり。

8.アンケート結果速報
 別添資料のとおり



別紙資料

住民アンケート結果速報から見い出せる特徴

1.地域の住民間の情報連絡(伝達)
 今回の災害は行政からのタイムリーな情報伝達が困難であった。災害の局面において充分機能しなかった。
 そうした中、地域の住民は、自ら外部の状況を確認したり、近所の人や家族・知人と連絡をとりながら状況を認識して、災害時における行動を取っている世帯が多く、役所への問合せを行なっている人は非常に少ないなど、状況を自らが判断し、近隣住民が連絡を取り合いながら自分達の力で災害を乗り切っている。
 言い換えると地理的な孤立はあったものの、精神的な孤立(自分だけが取り残されている)感はなかったと伺える。 【 問12(P17) 】

2.呼びかけにより住民は自主的避難
 災害時の避難の呼びかけや情報の入手先は、消防団からという世帯が圧倒的に多く、地区長や隣近所の人などからの呼びかけなど、地域の消防団や住民同士で活発に情報交換が行われ自主避難が多く行われている。
 地域の人(消防団等)は情報を受けるだけでなく、外に直接出て状況を確認して情報を発信している。また連絡を確実なものとするため、自らが面会して安否の確認までして避難を支援した姿が見える。また避難した世帯で救助、援助支援を受けた世帯は40%と高率であり、さらに避難しなかった(出来なかった)世帯まで援助の手が差し延べられている。  【 問3(P4)、問8(P9) 、問9(P13)、 問10(P14)、問11(P16)、問12(P17) 】

3.切羽詰った避難であったが犠牲者ゼロ

今回の災害は、避難には危険が伴ったにも関わらず犠牲者がでなかったのは、前述したような行政からの情報伝達が困難中、地域の人が自分達の力で災害の局面を乗り切った地域内の情報連絡やコミュニティの充実が伺える。結果として激甚な災害にも関わらず犠牲者がでなかったと考えられる。  【 問6、8(P10) 】

■今回被災された地域においては、公的扶助を期待しつつも地域毎の自助、相互扶助の望ましい形態である自立型(地域完結型)の行動がとられた。
 地理的に孤立したものの、精神的に孤立しなかった今回の災害時の住民行動を風化させることなく、これからも地域として継承し防災文化にまで高めていくための取り組みが望まれる。



水害に関するアンケート調査対象地域



  河川別アンケート調査回答率総括表
                     平成13年10月7日〜14日
no 河川名 対象世帯  回答者  回答率 (%) 備考
対象者 回答者 対対象者
A B B/A
1 下ノ加江川 314 246 78.3% 土佐清水市・三原村
2 以布利川 165 121 73.3% 土佐清水市
3 加久見川 133 112 84.2% 土佐清水市
4 益野川 111 88 79.3% 土佐清水市
5 三崎川 5 5 100.0% 土佐清水市
6 宗呂川 420 370 88.1% 土佐清水市
7 貝ノ川川 75 66 88.0% 土佐清水市
8 小才角川 97 90 92.8% 大月町
9 才角川 54 40 74.1% 大月町
10 周防形川 89 69 77.5% 大月町
11 平山川 48 48 100.0% 大月町
12 頭集川
13 福良川(支川
弘見川含む)
345 277 80.3% 宿毛市・大月町
14 伊与野川 113 95 84.1% 宿毛市・大月町
  合 計 1,969 1,627 82.6%  

  平均回答率:82.6%
(尚、復興に向けて家屋が工事中等、住人が住んでいない世帯は対象から除外している。)

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